課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

中長期的な経営方針及び対処すべき課題

 当社グループは、「知恵」「実行」「貢献」の社是のもと、知恵で地理空間情報のイノベーションを実行し社会資産の豊かな発展に貢献することを経営理念に掲げ、事業活動を行っております。

 

(1) 当社グループの経営方針

 当社グループでは次の社是、経営理念、行動指針を定め、経営を行っております。

 ・社是

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 ・経営理念

知恵で地理空間情報のイノベーションを実行し社会資本の豊かな発展に貢献する。

 

 ・行動指針

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(2) 中期的な経営目標

 当社グループは、優秀な人財の確保とその人財への教育制度の充実が経営の基礎と考えております。その中で、測量業務のソフトウェアから測量計測機器までのトータルでのソリューションを実現し、且つ、自動車の自動走行に必要とされる高精度三次元地図に「測量」の技術を融合させることのできる国内唯一の企業として、当社が社会に果たすミッションとして次のとおり定めております。

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(3) 中期経営計画(2021年4月~2024年3月)

 当社は、2022年3月期~2024年3月期を計画期間とする、新中期経営計画を策定しております。

前中期経営計画であるChallenge & Rebuildを経て、持続的に成長可能な企業を目指すべく、前計画で築いた土台から次なる成長に向けた期間と位置付け、「Investment & Innovation」のスローガンを掲げて成長分野に向け大胆に投資し新機軸の創出を目指し、取り組んでまいります。

①当社の目指すべき方向性

・人財が当社グループにおける事業活動の基盤であり、採用やスキルアップへの投資を恒常的に図る。

・測位・測地演算ならびに地図創造技術をプラットフォームに「測量システム」「高精度計測システム」

「高精度三次元地図」を中核事業とする。

・当社グループは、「測量・不動産登記業務の生産性向上」と「自動運転の社会実装」の実現によって     社会資本の豊かな発展に貢献する。

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②中期経営計画(2021年4月~2024年3月)の位置づけ

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営業利益の推移のイメージ

 

 

 

③中期経営計画(2021年4月~2024年3月)の基本方針及び経営目標

 ・基本方針

基本方針1

地理空間情報プラットフォームのもとNext事業の開拓、創出

基本方針2

既存事業の収益性改善

基本方針3

DXによる生産性向上と強靭な財務体質の実現

基本方針4

少子高齢化時代における持続的成長を支える人財の採用と育成、活用

基本方針5

コンプライアンスの徹底及び改訂コーポレート・ガバナンスコードへの対応

 

   ・経営目標

経営目標1

2024年3月期において営業利益7億円を目指す

経営目標2

Investment & Innovationの実施

経営目標3

公共セグメントにおいて市場占有率を高める

経営目標4

自動運転に係る技術、ノウハウを収益に変える

経営目標5

新常態に適応したワークスタイルを確立する

 

④2024年3月期定量目標

 新中期経営計画の最終年度である2024年3月期の売上高は55億円、営業利益7億円、売上高営業利益率は12.5%強を目標水準とします。当面は、「Investment & Innovation」のスローガンを掲げて成長分野に向け大胆に投資し新機軸の創出を目指すことから営業利益は低く抑えられる見通しですが、その投資効果から持続的な成長軌道へ起点とすべく、定量目標の達成を目指します。

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(注)売上高及び営業利益の増減は2021年3月期比の数値です。

 

⑤2024年3月期定量目標に対する2022年3月期進捗

 当連結会計年度におきましては、本中期経営計画の初年度として、2024年3月期において営業利益7億円を達成すべく、株式会社三和とのM&A、新卒採用・キャリア採用といった採用活動とあわせ人財のスキルアップといった「人」への投資を中心に、様々な研究開発、ソフトウェアやツール開発にも取り組んでまいりました。

 売上高55億円

2024年3月期に売上高55億円を目指す中期経営計画の初年度として、売上計画44.5億円を掲げて事業展開を進めるも、40億円強にとどまる結果となりました。特に、国内外の経済状況が不安定な中、高額商材・案件における計画未達がその要因。2023年3月期は、採用した人財の投資効果も期待され、46億円の計画を目指します。

 営業利益7億円

中期経営計画の初年度として、営業利益計画2.2億円を掲げ、それを上回る2.5億円の実績となりました。売上高の底上げ、自社ソフトウェアの販売量を増やす計画は初年度としては未達も、2年目以降に向けての土台は構築し、生産の効率化とコストダウンの取り組みはしっかり行え、結果、売上は計画未達の中、利益項目の達成に繋がりました。

 売上高営業利益率12.5%強

中期経営計画の初年度として、利益率の高い自社製品、サービスの売上高の比重を高める土台作りを推進し、同時に、生産の効率化とコストダウンの効果を図りました。人財への集中的な投資が一部キャリア採用の面で計画未達に終わったことから、売上原価及び販売管理費の抑制となり、売上高営業利益率は初年度計画を上回る6.1%となりました。

 

(4)サステナビリティへの取り組み

①測量で、自動運転で社会インフラ整備

地震、豪雨時の災害発生時には、お客様の業務を支援するプログラムを用意し、速やかな復興に向けた貢献を行いました。また、震度5強以上の地震発生時には、電子基準点の情報を観測し、その地域の地殻変動量を算出し、レポートを公開しております。

自動運転の実証実験においては、国、自治体、交通事業者をはじめとするパートナーの皆様と連携し、数多くの実用化に向けた実証実験を行ってまいりました。新たな移動手段を社会に提供し社会課題を解決することを目的として、人材や技術など投資も進め、事業モデルの構築を加速化させてまいります。また、新たな街づくりとして期待される「スマートシティ」や「スーパーシティ」のプロジェクトにも積極的に参画しています。

②人事制度改定により70歳定年制度へ

少子高齢化の時代が進み、人生100年時代と言われる昨今、経験とノウハウを持つ高年齢者が、意欲と能力のある限り、年齢に関わりなく働くことができる生涯現役社会をサポートする制度を設けることが社員、会社のお互いにメリットがあると考えます。

また、国の社会保障制度としても65歳以上への定年引上げや高年齢者の雇用管理制度の整備、高年齢の有期契約労働者の無期雇用への転換等を求めており、そのような要請に対応すべく、当社グループでは、2020年4月に人事制度を改定し、従来の60歳定年制度を70歳までの年度で社員個々が定年年齢を選択可能な制度を創設しました。

③働き方改革に対応し、柔軟な働き方の選択が可能に

社員各々の価値観が多様化する中、どのように事業の成果を上げるか、そのための働き方の多様化が求められています。また、出産、育児、介護が必要な環境下においても、就業継続可能な環境を用意することが経験を持った優秀な社員の離職を防ぐため重要と考えております。

当社グループでは、従来より出産、育児、介護から復帰を可能とする休暇制度とともに、短時間勤務制度、在宅勤務制度を設けており、過去10年出産、育児を理由とした離職率は0%を維持しております。また、2020年4月にはテレワーク制度の充実を図る制度改定も行いました。

こうした取り組みもあり、新型コロナウイルスに対応するための柔軟な働き方への移行は、全社員がスムーズに行えました。

④改訂コーポレート・ガバナンスコードへの対応を通じたガバナンス体制の強化

「知恵」「実行」「貢献」の社是に基づく企業倫理の浸透とコンプライアンスの徹底を図るとともに、リスクマネジメントの徹底に努めております。

2021年6月にコーポレート・ガバナンスコードが改訂されるとともに、2022年4月には、東京証券取引所において、市場再編が行われました。当社グループは、従来は、JASDAQ市場であり、基本原則への対応が求められていました。今回の市場再編に際して、全項目への対応が求められ、その取り組みをウェブサイトで公開しております。具体的には、独立社外取締役の増員など取締役会の機能強化を実施するとともに、投資家との対話の充実を更に進めてまいります。

⑤期末連結従業員数140名体制へ

当社の事業活動では幅広い人財が必要となります。そのために、新卒採用活動を継続的に実施するとともに、各事業分野で必要とする経験者をキャリア採用として確保しております。加えて、当社グループに入社した社員の育成プログラムも再構築し、安定した活躍の場を設けております。

また、中期経営計画(2021年4月~2024年3月)の目標達成に向けて従来以上の人員確保が必要となり、積極的な採用活動、人材育成に取り組んでおります。

併せて、M&Aを活用することで、上記で不足する部分を補完することも常時検討を行っております。2021年10月に新たに当社グループに加わった株式会社三和もその一環となります。

⑥生産性の向上を目指してDX推進

当社グループでは、紙資源の利用を抑制するためにペーパレス化を推進しております。取締役会では数年前よりペーパレス化を図り、資料の紙での配布を廃止しております。また、お客様への納品書、請求書も電子化するサービスを導入しております。

2020年7月より契約書類の一部や取引における書面のやり取りに関し、電子署名技術を活用した電子契約サービスを導入する取り組みも開始しております。これらの取り組みは環境面のみならず、間接業務の生産性向上にも寄与するものと考えております。

 その他、ITやクラウドを積極的に活用し業務の効率化を実現することで、社員は人間にしかできない戦略的な業務に集中することが可能となり、働き甲斐を向上させるよう取り組んでまいりました。

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(5) 2023年3月期業績見通し

 「中期経営計画(2021年度~2023年度) Investment & Innovation」の2年目として定量的な目標達成に取り組んでまいります。

 その中期経営計画の基本方針は、以下の通りです。

① 地理空間情報プラットフォームのもとNext事業の開拓、創出

② 既存事業の収益性改善

③ DXによる生産性向上と強靭な財務体質の実現

④ 少子高齢化時代における持続的成長を支える人財の採用と育成、活用

⑤ コンプライアンスの徹底及び改定コーポレート・ガバナンスコードへの対応

 

 2023年3月期においては、不透明な経済情勢下にありますが、下記のとおり計画・予想としております。その達成に向け、以下の項目に取り組んでまいります。

① 引き続き積極的な人財採用を行うとともに、人財の成長を促す教育への投資を行います。

② 新たな製品、サービスをリリースし、既存事業の収益性向上に繋げます。

③ 前連結会計年度より取り組んでおります、オンラインを活用した営業活動と対面型営業活動を融合させ、お客様との接点を増やし、また、既存のお客様には顧客満足度の高いサポートサービスを行ってまいります。

 

 2023年3月期は中期経営計画の最終年度である2024年3月期の目標達成に向けた、重要な事業年度と考えております。

 併せて、当社グループでは、株主・投資家の皆様と建設的な対話を行うことを通じて、当社グループの経営方針や成長戦略等を理解し支持していただけるよう努めております。また株主等の声を適切に反映させていくことが、当社グループが中長期的な企業価値を向上させることにつながると考えており、これらの取り組みを強化してまいります。なお、2023年3月期における連結業績予想は以下の通りであります。

 

 アイサンテクノロジーグループの連結実績及び次期の業績予想

  (単位:千円)

 

2022年3月期

(実績)

2023年3月期

(計画)

対前期増減額

対前期増減率

売上高

4,190,776

4,600,000

409,223

9.8%

営業利益

257,509

320,000

62,490

24.3%

経常利益

253,431

310,000

56,568

22.3%

親会社株主に帰属する当期純利益

203,327

217,000

13,672

6.7%

 

 各セグメントの2023年3月期における市場環境を含めた見通しは以下の通りです。

 なお、報告セグメントについて、従来はソリューション別に「測地ソリューション事業」「G空間ソリューション事業」「新規事業」と区分しておりましたが、2022年3月期よりターゲット市場に対し適切な意思決定を行うことを目的に組織体制の見直しを行ったことから、報告セグメントも市場別に「公共セグメント」「モビリティセグメント」「その他」の3区分へと変更しております。

 

a.報告セグメント別の業績見通し

                                           (単位:千円)

 

 

2022年3月期

(実績)

2023年3月期

(計画)

対前期増減額

対前期増減率

公共セグメント

売上高

2,925,449

3,120,000

194,551

6.7%

営業利益

396,876

507,000

110,124

27.7%

売上高営業利益率

13.6%

16.2%

 

 

モビリティセグメント

売上高

1,254,540

1,470,000

215,460

17.2%

営業利益

77,931

89,000

11,069

14.2%

売上高営業利益率

6.2%

6.1%

 

 

その他

売上高

10,786

10,000

▲ 786

▲7.3%

営業利益

5,197

4,000

▲ 1,197

▲23.0%

売上高営業利益率

48.2%

40.0%

 

 

b.報告セグメント別の2023年3月期の見通し概要

(公共セグメント)

 現在の国内外においては、いまだに新型コロナウイルスの収束が見通せない状況に加え、世界的な半導体不足、ウクライナ情勢に起因するエネルギー・食料品価格の高騰など物価高による景気押し下げなど複合的な経済に与えるリスクを有する経済情勢下の測量・不動産登記に係る市場においては、お客様の設備投資意欲の低下も見え始めるとともに、測量機器、MMSなどのハードウェア関連の生産遅延、在庫不足による商談機会を逸するリスクが存在しております。そのような環境下においても、引き続き、三次元データの利活用推進の動きは予想されます。本事業セグメントでは計測機器販売、取得した三次元データの処理ソフトウェア販売、三次元データ計測請負の各事業を融合させることが強みであり、成長分野として捉えております。

・当社グループの主力製品である「WingneoINFINITY」の定期的なアップデート、サポートサービスに加え、新たな製品・サービスのリリースを行うことで安定した収益の獲得を目指すとともに、効果的な分野、地域への販売コストの集中的な投下により、収益性の改善を図っていきます。

・所有者不明の土地問題を解消するための関連法案が、2021年4月に成立するなど、従来以上に活性化が予測される不動産登記行政に対し、様々なサービス、製品の提案を強化し、収益確保を目指していきます。

・道路の維持管理など公共分野においてもMMSを利用し取得した三次元データの利活用が様々な分野で進められております。当社グループでは、これまでのMMS計測機器販売や計測請負の実績を活かすとともに、取得したデータを利活用し、事業推進を行ってまいります。

・建設関連業界におけるi-Constructionの流れは次期以降も引き続き顕著であり、補助金活用や税制優遇を活用したお客様の生産性向上の提案を推進してまいります。

・当連結会計年度より取り組んでいるオンラインを活用したインサイドセールスをさらに進め、詳細に顧客ニーズを分析し販売へつなげてまいります。また、ウェブサイト上の測量機器総合マーケット「GEOMARKETセンター」では中古測量機器やレンタルの需要も高まっております。

・次期の第1四半期業績に関しては、すでに契約済みのサポートサービスによる最新バージョンの出荷に伴う売上計上が予想されるとともに、当連結会計年度からの継続案件による収益計上が見込まれます。

 

(モビリティセグメント)

 自動車関連産業においては、EV化や自動運転などをはじめとした変革期を迎えております。中でも自動走行社会の実現は、国を挙げての取り組みが加速しており、内閣府によるITSロードマップ2020においても、その実用化時期を2025年度とした様々な法改正や制度改正が進んでおります。2022年4月に無人運転による自動運転レベル4や自動走行ロボットの公道走行を可能にする道路交通法の改正が可決・成立したのもその一環であります。本事業セグメントにおいても、2025年をターゲットとして事業を推進しており、それまでの投資局面では、様々な自治体やパートナー企業と連携し、高精度三次元地図の整備、実証実験、モビリティ開発、スマートシティやスーパーシティプロジェクトへの参画等を進め、2025年度以降の当社のビジネスモデルを構築してまいります。そのためにも人財確保と育成および研究開発を各専門分野で実施し、またパートナー連携の強化、プロジェクトの深化などを進め、将来の収益性の向上を図ります。

・高精度三次元地図関連事業では、既に自動車メーカーより自動運転レベル2から3に対応した車種が発売されており、高精度三次元地図も実用化フェーズに移行しております。当社としては引き続きパートナー企業との連携を深め、今後のニーズ拡大が期待される自治体向け高精度三次元地図データの利活用に向け、自動運転用地図の配信基盤の研究開発に取り組むとともに、スマートシティやスーパーシティなどで期待される高精度三次元地図データプラットフォームなどへの取り組みを進めてまいります。また、本事業の収益性を更に高めるため、自社開発の地図生産ソフトウェアの機能性をさらに高め、地図データ生成における生産性向上と品質強化の取り組みを強力に推進してまいります。

・自動走行に係る車両構築や実証実験においても、国の掲げるロードマップに即し、新たな移動手段を社会に提供し社会課題を解決することを目的として、パートナー企業と連携し、全国自治体との対話を進め、将来の実用化に向け今後も積極的に推進するとともに、人財や技術など投資も進め、事業モデルの構築を加速化させてまいります。

 

(6) 経営環境及び優先的に対処すべき課題

 当社グループでは、経営理念、中期経営計画にもとづく成長戦略に沿って事業活動を行っております。事業活動を行うに際しては、社会変化や技術革新など外部環境の変化に伴う機会と脅威が存在するとともに、事業を継続するうえで普遍的な課題が存在しています。これらに適切に対応することで、持続的な成長に繋がるものと考えますが、対応を誤ると獲得できる可能性のあった収益を失うことにもなります。現在、新型コロナウイルスや不安定な国際情勢に起因するエネルギーや物流コストの高騰、世界的な半導体不足による多方面での生産遅延が起きる不確実性の高い事業環境下において、測量・不動産登記に係る市場における技術革新への対応やモビリティ分野における自動運転の実用化社会に向けた開発競争が激しくなるなど、目まぐるしく変化する経営環境の中、「知恵・実行・貢献」の社是のもと「未来の社会インフラを創造する」企業として、持続的な成長を目指すべく「Investment & Innovation」のスローガンを掲げ、中期経営計画の達成に向け、以下の通り取り組んでまいります。

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①新型コロナウイルス感染症への対処すべき課題

 新型コロナウイルス感染症の影響について、ワクチン接種ならびにその治療薬の開発が世界各地で進む一方で、様々な変異型も登場し、収束が見通せない状況にあります。国内においても若年層を中心に変異型ウイルスへの感染が一定程度報告され、その影響から現役世代の就労環境にも影響を及ぼしております。今後の感染状況によっては、販売部門、研究開発部門、技術部門、間接部門のすべての部門において、事業活動の制限など当社グループの経営成績、財務状況等に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、不透明な環境下においても業績目標の達成に向けて、感染予防や拡大防止に対して適切な管理体制を構築するとともに業績に与える影響を可能な限り抑制する取り組みを臨機応変に実施していかなければいけません。

 

②地政学リスクへの対処すべき課題

 当社グループにおける主たる事業活動の地域は、国内が中心であり、直接海外での事業活動を展開していないことから、地政学リスクの直接的な影響は小さいものと判断しております。しかしながらその影響による国内外の景気や経済活動の動向による間接的な影響を受けることとなります。

 具体的には、お客様の投資マインドの低下、生産の遅延や資源価格高騰による物流への影響などがあげられます。

 当社グループでは、このようなリスクに対応すべく、多方面での事業展開も同時に行うことで、特定の市場環境の影響に偏らないよう、事業活動を行うとともに、将来の取引の見込みより適正な在庫管理を行うなど実施していかなければいけません。

 

③中期的な対処すべき課題

 当社グループでは、2021年5月14日に発表しました「中期経営計画(2021年4月~2024年3月)  Investment & Innovation」にて掲げる2024年3月期の連結業績目標である営業利益7億円、さらにはその先の事業拡大、業績拡大に向け、限られた経営リソースを成長分野へ集中的に投資するとともに、従来の対面式営業と、IT技術を活用したオンライン営業を融合させ、お客様とのコンタクト機会を増やすことを実践し、中期経営計画の達成を目指していかなければいけません。

 

④各事業分野における対処すべき課題

(コーポレート部門)

・投資コストや資本コストを有効に活用し、効率的に利益を計上可能な取り組みを推進する。また、売上高営業利益率、ROE、ROICの指標を改善する。

・株主・投資家への情報発信・対話を強化し企業価値の向上に努める。

・ESG経営の実践により、中長期的な持続的成長のため、変化する環境問題への取り組み、社会とのつながり、ガバナンスを強化への取り組みを実施する。なお、2022年3月期における取り組み内容は、「第2 事業の状況  1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)サステナビリティへの取り組み」に記載の通りです。

・情報セキュリティ対策を適切に講じ、事故を未然に防ぐ。

・DXによる間接業務の生産性向上を図り、小さな間接部門を目指す。

 以上により、持続的に成長する企業として、公正で透明性の高い、社会から信頼を寄せられる経営を進めることがコーポレート部門における対処すべき課題となります。

 

(公共セグメント部門)

・新製品、新サービスを継続的にリリースし、お客様への新商材の提案を強化する。

・対面型営業活動とオンライン型営業活動の融合によりお客様とのコンタクトを増やし、効率的な営業活動により収益性を向上させる。

・パートナー企業との連携を強化する。

・半導体不足など商品の流通環境が不安定な中、MMS機器をはじめとする三次元計測機器販売の商談スピードを速める。

・公共分野でのMMSを活用した請負業務の受注活動の強化とともに、その生産の内製化を進め、原価率の低減を図る。

 以上により、市場占有率を高めるとともに、収益性の改善に努めることが本事業分野における対処すべき課題となります。

 

(モビリティセグメント部門)

・自治体、パートナー企業との連携を強化し、自動運転の実用化に向けた社会の動きに合わせた事業推進を行う。

・これまで培ってきた営業ノウハウとソリューションを体系化させ、自治体や交通事業者などへの提案を強化する。

・収益性を改善するために、自社製品を中心としたソリューションが必要不可欠であり、その研究開発の推進と製品リリースを行う。

・高精度三次元地図の品質向上を引き続き実施するとともに、自動運転の実証実験は、リスクアセスメントをしっかり実施し、安全優先のうえ無事故で実施する。

 2025年に向けて自動運転の実用化が進むと想定され、これらにより既存の基盤技術・ノウハウを更に成長させ、新たな三次元地図の利活用フィールドにチャレンジすることが本事業分野における対処すべき課題となります。

 

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