業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、2019年6月27日に開催された第55期定時株主総会において第1号議案「定款一部変更の件」が承認されたことを受けまして、2019年12月期より決算日を3月31日から12月31日に変更いたしました。このため、各セグメントにおける比較につきましては、2019年1月から12月までの12ヶ月間を「前年同一期間」として算出した参考数値と比較しております。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、世界的に経済活動が停滞し、企業収益の低下や雇用情勢の悪化が急速に進みました。欧米では一部ワクチンの接種開始や、中国における早期経済活動の再開、日本国内においても各種政策の効果などによる回復の兆しがみられたものの、足元では再び感染拡大が顕在化し、経済の先行きはより一層不透明感を増しております。

当ブライダル業界におきましても、新型コロナウイルス感染症拡大により、多くの婚礼が延期やキャンセルとなるなど、業界全体に深刻な影響を及ぼしており、大変厳しい状況となっています。

「リゾート挙式」においては、新型コロナウイルス感染症拡大による世界各国での出入国規制や渡航制限の影響を受け、2020年2月後半以降、当社が取扱う海外ウェディング実行エリアの全挙式施設の催行が不能となりました。沖縄においては、同年4月の緊急事態宣言発令期間中は挙式運営を一時休止したものの、同年6月からの稼働再開後は徐々に回復傾向へと向かいました。しかしながら、感染症再拡大によりその勢いも鈍化し、当期に実行予定の多くの挙式が延期及びキャンセルとなりました。このような状況下、ウイズコロナに対応すべく様々な施策を進めてまいりました。感染拡大防止に努めるべく、コロナ禍における接客サービスの新基準「安心への5つの約束」を制定し、ガイドラインに沿った対応を実践いたしました。販売面においては、来店不要型のWEBサービス「リゾ婚オンラインカウンター」の接客体制を強化し、実店舗とオンラインそれぞれの特性を活かしたチャネル戦略を展開し、オンラインの利用者数が前年に比べ大幅に増加いたしました。他方、フォト事業では、コロナ禍において挙式延期やキャンセルをされたカップルのフォト需要を捉えた商品展開や集客施策を実施し、全国のフォトスタジオの利用及び受注が好調に推移いたしました。

「ホテル・国内挙式」におきましては、ホテル雅叙園東京、メルパルク共に、2020年4月の緊急事態宣言発令期間中は、施設毎に休業及び一部営業自粛などの対応を実施いたしました。宣言解除後、婚礼においては一組当たりの列席人数が減少しているものの、実行件数は徐々に回復基調へと向かいました。また、宿泊・レストランなどの館内施設の利用については、国内需要をターゲットとした営業施策を展開し、GO TOキャンペーン政策の追い風もあり一時回復をみせるものの、年末の感染症再拡大の影響を受け、再び低迷いたしました。

 

以上の施策を展開すると共に、役員報酬の減額をはじめとした人件費や広告宣伝費の抑制、賃料減額交渉など、様々な費用削減対策を実施いたしました。また、このような厳しい経営環境が一定期間続くことを想定し、2020年6月に、コロナ禍へ迅速な対応とコロナ収束後の収益回復に備えるため「WATABE Sustainable Plan」を策定し、当社グループ全体で更なる対策を推進いたしました。運営効率化や固定費削減を図るべく、一部のリゾート挙式販売店並びに海外エリアの閉鎖・譲渡の実施、また、それら施策に伴う人員構成の最適化として希望退職の募集を行いました。さらに、取引金融機関からの借入や自社保有資産の売却を実施し、手元流動性確保に努めるなど、経営安定化に資する財務政策を進めました。

 

以上の結果、当社グループの業績は、売上高19,678百万円(前年同一期間比61.1%減)、営業損失10,983百万円(前年同一期間営業利益629百万円)、経常損失11,075百万円(前年同一期間経常利益886百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失11,738百万円(前年同一期間親会社株主に帰属する当期純利益208百万円)となりました。

 

(単位:百万円)

 

前年同一期間(参考)

(自2019年1月1日

至2019年12月31日)

2020年12月期

(自2020年1月1日

至2020年12月31日)

増減率

(%)

売上高

50,567

19,678

△61.1

営業利益又は

営業損失(△)

629

△10,983

経常利益又は

経常損失(△)

886

△11,075

親会社株主に帰属する当期純利益又は

親会社株主に帰属する

当期純損失(△)

208

△11,738

 

a. 財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ915百万円増加し、26,003百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ12,918百万円増加し、26,867百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ12,002百万円減少し、863百万円の債務超過となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上高19,678百万円、営業損失10,983百万円、経常損失11,075百万円、親会社株主に帰属する当期純損失11,738百万円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。なお、以下の数値は、セグメント間の取引消去後となっております。

 

(a) リゾート挙式

新型コロナウイルス感染症拡大による、海外挙式催行中止の影響を大きく受け、挙式組数が大幅に減少した結果、売上高8,298百万円(前年同一期間比63.0%減)となりました。利益面では、不要不急の投資を抑えつつ、広告宣伝費や人件費を削減するものの、売上高の大幅な減少により、セグメント損失4,505百万円(前年同一期間セグメント損失79百万円)となりました。

 

(b) ホテル・国内挙式

新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、婚礼・宿泊・宴会利用が大幅に減少した結果、売上高11,379百万円(前年同一期間比59.5%減)となりました。利益面では、人件費や広告宣伝費削減など執行費用コントロールに努めるものの、売上高の大幅減少により、セグメント損失6,558百万円(前年同一期間セグメント利益651百万円)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが11,774百万円の支出、投資活動によるキャッシュ・フローが533百万円の収入、財務活動によるキャッシュ・フローが16,031百万円の収入となり、この結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」という)期末残高は、期首より4,574百万円増加し、9,188百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は11,774百万円となりました。これは、税金等調整前当期純損失11,025百万円等があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果得られた資金は533百万円となりました。これは、有形固定資産の売却による収入2,315百万円等があった一方で、有形固定資産の取得による支出1,304百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は16,031百万円となりました。これは、短期借入金の純増加額16,600百万円等があったことによるものであります。

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

品目

当連結会計年度

(自 2020年1月1日

至 2020年12月31日)

前年同期比(%)

ウェディングドレス

6千着

タキシード

3千着

アルバム

36千冊

(注)2019年6月27日に開催された定時株主総会で「定款一部変更の件」が承認されたことを受けまして、2019年12月期より決算期を3月31日から12月31日に変更いたしました。これに伴い、決算期変更の経過期間となる2019年12月期は2019年4月1日から2019年12月31日までの9ヶ月決算となりますので、前年同期比は記載しておりません。

 

b.受注実績

 当社グループの営業は、当社製品であるウェディングドレスを受注生産するとともに、挙式関連サービス及び国内における貸衣裳を事前受注していますが、商品販売及び海外における貸衣裳は店頭販売しています。そのため、販売実績と整合する受注及び受注残高を表示出来ないため、受注実績は記載しておりません。

c.販売実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年1月1日

至 2020年12月31日)

 

前年同期比(%)

 

リゾート挙式(百万円)

8,298

ホテル・国内挙式(百万円)

11,379

合計

19,678

(注)1.2019年6月27日に開催された定時株主総会で「定款一部変更の件」が承認されたことを受けまして、2019年12月期より決算期を3月31日から12月31日に変更いたしました。これに伴い、決算期変更の経過期間となる2019年12月期は2019年4月1日から2019年12月31日までの9ヶ月決算となりますので、前年同期比は記載しておりません。

2.セグメント間の取引については相殺消去しております。

3.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

4.販売実績が総販売実績の10%以上の相手先はありません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

また、2019年6月27日に開催された第55期定時株主総会において第1号議案「定款一部変更の件」が承認されたことを受けまして、前連結会計年度より決算期を従来の3月31日から12月31日に変更いたしました。

これに伴い、決算期変更の経過期間となる前連結会計年度は2019年4月1日から2019年12月31日までの9ヶ月間の変則決算となりますので、経営成績等連結損益計算書に関する対前連結会計年度増減率は記載しておりません。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。

詳細につきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる事項」に記載のとおりであります。

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

(資産合計)

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ915百万円増加し26,003百万円(前連結会計年度末は25,087百万円)となりました。これは、現金及び預金の増加4,574百万円などにより流動資産が4,357百万円増加した一方で、建物及び構築物(純額)の減少1,253百万円などにより有形固定資産が2,156百万円減少し、投資その他の資産の繰延税金資産の減少593百万円やその他の減少622百万円などにより投資その他の資産が1,235百万円減少したことなどによるものであります。

 

(負債合計)

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ12,918百万円増加し26,867百万円(前連結会計年度末は13,948百万円)となりました。これは、短期借入金の増加16,600百万円などにより流動負債が13,884百万円増加した一方で、退職給付に係る負債が1,176百万円減少したことによる固定負債の減少965百万円などによるものであります。

 

(純資産合計)

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末11,138百万円より12,002百万円減少し863百万円の債務超過となりました。これは、利益剰余金が12,385百万円減少した一方で、土地再評価差額金が568百万円増加したことなどによるものであります。

 

2)経営成績

(売上高)

新型コロナウイルス感染症拡大により、リゾート挙式セグメントにおいて、海外挙式催行中止の影響を大きく受け、挙式組数が大幅に減少しました。また、ホテル・国内挙式セグメントにおいても新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、婚礼・宿泊・宴会利用が大幅に減少した結果、当連結会計年度の売上高は19,678百万円となりました。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費)

当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度と同水準の原価率を維持し6,709百万円となりました。

新型コロナウイルス感染症拡大による売上高の減少を補うべく不要不急の投資を抑えつつ、広告宣伝費や人件費を削減するなど費用削減に努めましたが、当連結会計年度の販売費及び一般管理費は23,951百万円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、営業外費用に為替差損を計上したことや、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い特別利益に助成金収入や固定資産売却益を、特別損失に臨時休業等による損失や施設店舗整理損、減損損失を計上したことなどにより11,738百万円となりました。

 

3)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループは、日本の顧客に対し、海外でサービスを提供することが多いことから、当社と海外子会社との間の取引が多くなっております。海外挙式においては日本での外部売上に対応する原価は海外での外部仕入れとなり、外貨建ての決済が多いことから為替変動の影響を大きく受けます。

 前連結会計年度に比較して円安になった場合は、売上原価が増加し利益を圧迫することになります。逆に円高になった場合は、売上原価が減少することにより利益に貢献することになります。

 また、日本における少子化の進行や結婚式実施率の低下は将来の婚姻組数の減少となり、ブライダル業界全体のマーケット規模が縮小し、当社グループ全体の売上に重要な影響を与える可能性があります。

 さらに、当連結会計年度におきましては、3月以降拡大した新型コロナウイルス感染症拡大を受けて、世界各地で緊急事態宣言が発令するなどイベント自粛や海外渡航制限が継続することで、業界全体に深刻な影響を及ぼしております。特に、リゾート挙式市場におきましては、海外渡航制限解除や航空路線の正常化の見通しが不透明であるなど、今後も引き続き大変厳しい環境が継続すると想定されます。

c.資本の財源及び資金の流動性

 資金需要

 当社グループの事業活動における資金需要は、運転資金需要と設備資金需要があります。運転資金需要としては、リゾート挙式事業及びホテル・国内挙式事業における仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要としては、リゾート挙式事業における挙式施設の建設や、ホテル・国内挙式事業における施設のリノベーション等によるものであります。

 

 財務政策

 当社グループは、運転資金及び設備資金について、国内、海外子会社のものを含め当社において一元管理しております。

 また、国内子会社においては、キャッシュ・マネジメントシステムにより当社グループ内での余剰資金の有効活用を図っております。

 運転資金については、内部資金より充当し、不足が生じた場合は短期借入金で調達を行っております。また、設備資金については、内部資金で不足する場合は長期借入金により調達を行っております。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、株主の皆様の投資の期待に応える収益性の高い経営を目指しており、従来から「ROE(自己資本当期純利益率)」、「経常利益率」を重要な経営指標と認識いたしております。これら指標の改善を目指して、効率的な経営に努めた結果、前連結会計年度までは下表のとおり「ROE(自己資本当期純利益率)」は改善傾向にあり、「経常利益率」は2017年3月期以降同率で安定的に推移しております。

 しかしながら、当連結会計年度は新型コロナウイルス感染症拡大を受けて大幅に悪化いたしました。

 

 

2017年3月期

2018年3月期

2019年3月期

2019年12月期

2020年12月期

ROE

1.2%

1.6%

2.1%

6.5%

△228.6%

経常利益率

1.5%

1.5%

1.5%

3.5%

△56.3%

 

e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

[リゾート挙式]

新型コロナウイルス感染症拡大による、海外挙式催行中止の影響を大きく受け、挙式組数が大幅に減少した結果、売上高8,298百万円となりました。利益面では、不要不急の投資を抑えつつ、広告宣伝費や人件費を削減するものの、売上高の大幅な減少により、セグメント損失4,505百万円となりました。

 

[ホテル・国内挙式]

新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、婚礼・宿泊・宴会利用が大幅に減少した結果、売上高11,379百万円となりました。利益面では、人件費や広告宣伝費削減など執行費用コントロールに努めるものの、売上高の大幅減少により、セグメント損失6,558百万円となりました。

 

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