(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りです。
当連結会計年度における国内及び海外経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大懸念や国際情勢の悪化等、不透明な状況が続きました。当社グループが属するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービス業界においては、消費者ニーズの複雑化・高度化への対応やコミュニケーションのデジタル化等、お客様企業が直面する課題を解決するためのアウトソーシング需要が底堅く推移しました。また、社会イベントに伴うスポット需要が増加しました。
このような経営環境の下、当社グループは2021年5月に公表した「中期経営計画2023」を推進しております。同計画では、「あらゆるステークホルダーにとっての『信頼No.1企業』へ生まれ変わる」をビジョンとし、計画達成に向け「CXの創造」「EXの創造」「経営基盤の強化」の3つの重点テーマに取り組みました。当連結会計年度における具体的な進捗は以下の通りです。
・CXの創造
CXの創造を支えるDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みとして、2021年4月にDX戦略本部を新設し、業務アセスメントを通じた最適チャネルの設計や当社サービスの高度化に資するデジタルサービスの開発を推進しました。同年10月に当社のDXを加速させる具体的な方針を「りらいあDX戦略」として公表し、2022年3月には、お客様企業のCX創造を一層推進させることを目的として、当社が考えるコンタクトセンターのあり姿とその実現方法を示す「CXグランドデザイン」を発表しました。また、オンラインセミナーやワークショップの開催等、当社のサービスやソリューションの積極的なマーケティング活動を行った結果、DXを進める案件が増えました。
・EXの創造
従業員満足度調査、ダイバーシティに関するイベントや研修等を実施し、多様な人財が健康でやりがいを持って働ける職場づくりを推進しました。また、2022年7月導入予定の新たな人事制度の構築を進めると共に、管理者やオペレーター向け研修をリニューアルし、「りらいあオペレーションスクール」として開講しました。このほか、各自治体から子育てや女性活躍等に関わる各種認定・登録を受けると共に、当社の特例子会社である株式会社ビジネスプラスは、障がい者雇用に関する優良事業主として厚生労働省の「もにす認定制度」の認定企業に登録されました。
・経営基盤の強化
「信頼回復に向けた取り組みの基本方針(大綱)」に基づいた施策を着実に推進しました。新たに策定した行動基準の浸透に向けたワークショップの開催や各職場でのエンゲージメント向上策に取り組んだほか、全社情報のセキュリティ強化施策を推進しました。また、コーポレート部門のDXとしてペーパレス化や社内申請手続きのオンライン化等を推進し、多様な働き方を支援する仕組みの整備を行いました。さらに、業務運営のモニタリング強化や自己点検により業務運営品質の向上に取り組みました。
また、「中期経営計画2023」では当社が考える社会全体のあるべき姿「Sustainable & Reliable Society」の実現に向け非財務目標を設定し、経済価値及び社会価値の両面での成長を目指しております。当連結会計年度においては、経済産業省が定める「DX認定」の取得、デジタル技術を活用したオペレーション顧客数の増加、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づく情報開示体制の構築等を推進しました。
引き続き3つの重点テーマ及び非財務目標達成に向けた取り組みを着実に推進し、「中期経営計画2023」の達成に向けた取り組みを進めてまいります。
セグメント別の業績は、以下のとおりです。
なお、従来報告セグメントとしておりました「フィールドオペレーション事業」については、前連結会計年度において同事業を主力事業とする株式会社アイヴィジットの全株式を譲渡したことにより、量的重要性が乏しくなったため、当連結会計年度より「その他」の区分に含めて記載する方法に変更しております。
コンタクトセンター事業
国内においては、基礎業務は一部業務の終了及び縮小の影響を受けた一方で、スポット業務は社会イベントに伴う受注が前年度比で増加しました。海外においては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも、在宅オペレーションの定着等により安定的なオペレーションを実現し、北米向けの堅調な需要を取り込みました。この結果、当事業の売上高は101,694百万円(前年同期比3.9%減)、セグメント利益は6,450百万円(同2.7%増)となりました。
バックオフィス事業
基礎業務は概ね堅調に推移しましたが、スポット業務が前年度比で減少したことにより、当事業の売上高は16,156百万円(同9.9%減)、セグメント利益は1,848百万円(同36.1%減)となりました。
その他
上記の通り、前連結会計年度において株式会社アイヴィジットの全株式を譲渡したため、売上高は33百万円(同99.1%減)、セグメント利益は1百万円(同99.7%減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、連結売上高は117,884百万円(同7.6%減)、営業利益は8,300百万円(同14.2%減)、経常利益は8,180百万円(同16.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,439百万円(同29.9%減)となりました。自己資本当期純利益率は11.9%となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第 29 号 2020 年3月 31 日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第 30 号 2021 年3月 26 日)を当連結会計年度の期首より適用しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。
当連結会計年度末における総資産は、65,435百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,692百万円の減少となりました。主な増加は、契約資産1,418百万円であり、主な減少は、受取手形及び売掛金974百万円、仕掛品1,352百万円、投資有価証券665百万円です。
負債は19,183百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,668百万円の減少となりました。主な減少は、未払金939百万円、未払法人税等184百万円、長期リース債務124百万円です。
純資産は46,251百万円となり、前連結会計年度末に比べ975百万円の増加となりました。主な増加は、親会社株主に帰属する当期純利益5,439百万円、為替換算調整勘定858百万円、主な減少は、剰余金の配当金支払2,907百万円、自己株式の取得2,499百万円によるものです。
なお、自己資本比率は前連結会計年度末の67.4%から、70.7%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、25,746百万円となり、前連結会計年度末に比べ88百万円の増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって獲得したキャッシュ・フローは7,210百万円(前連結会計年度は7,914百万円の獲得)となりました。主な増加は、税金等調整前当期純利益8,220百万円、減価償却費2,443百万円、売上債権及び契約資産の増減額1,419百万円であり、主な減少は、未払消費税等の増減額1,370百万円、法人税等の支払額2,844百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって使用したキャッシュ・フローは1,368百万円(前連結会計年度は372百万円の獲得)となりました。主な増加は、投資有価証券の償還による収入700百万円であり、主な減少は、有形固定資産の取得による支出1,438百万円、無形固定資産の取得による支出760百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって使用したキャッシュ・フローは6,040百万円(前連結会計年度は5,423百万円の使用)となりました。主な減少は、リース債務の返済による支出633百万円、自己株式の取得による支出2,499百万円、配当金の支払額2,906百万円です。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社グループの主たる事業であるコンタクトセンター事業は、お客様企業のカスタマーサポートやマーケティング活動を支援するサービスを提供する事業であり、生産量の測定が極めて困難であるため、記載を省略しております。
b. 受注実績
当社グループが顧客企業と締結している契約で規定されているのは、料金算定の基礎となる単価等であり、受注金額の算定に必要な座席数等についてはコール予想等に応じて頻繁に変動します。また、コール実績に応じて売上が計上される契約については受注金額の特定が極めて困難であります。従いまして、受注とはいえ受注金額を確定することが困難な状況であるため、同数値の掲載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当連結会計年度における、経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、連結売上高は前連結会計年度に比べ、7.6%の減少となる117,884百万円となりました。国内においては、大型スポットが前期を上回った一方、基礎業務の一部業務終了及び縮小や株式会社アイヴィジットの売上高減少の影響を受けました。海外においては、主にフィリピン国内のInspiro Relia, Inc.にて、新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも、在宅オペレーションの定着等による安定的なオペレーションのもとで、北米向けの堅調な需要を取り込むなど、前期を上回りました。
販売費及び一般管理費は、品質管理や情報セキュリティ強化による費用増加があった一方で、新型コロナウイルス感染症の関連費用の削減や株式会社アイヴィジットの譲渡等により、前連結会計年度に比べ1.1%の減少となる11,021百万円となりました。
営業利益は、前期に赤字であった海外子会社の黒字転換や、大型スポット業務の増加があった一方で、基礎業務の減収や株式会社アイヴィジットの譲渡に伴う利益減少 等により、前連結会計年度に比べ、 14.2 %の減少となる 8,300 百万円となりました。
セグメントごとの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
「中期経営計画2023」の初年度となる 2022 年3月期は、経営基盤強化の1年と位置づけ、今後の成長の礎となる強固な品質管理・セキュリティ基盤の強化などに取り組み、これらの施策は順調に進捗しました。当期の取り組みの成果を踏まえて、次期は基礎業務の拡大に加え、様々な社会イベントに伴う需要を積極的に取り込み、事業基盤の再強化を進めてまいります。
当社グループの資本の財源及び資本の流動性について、当社グループの運転資金需要の主なものは、当社グループが運営するコンタクトセンター等に従事するオペレーターの労務費及び派遣会社への外注費です。また、投資資金需要の主なものは、コンタクトセンターの新設や既存センターの設備更新に伴う設備投資等です。
当社グループは運転資金及び投資資金とも、原則として、営業活動によるキャッシュ・フローと内部留保をベースとした自己資金により賄えるものと判断しておりますが、必要に応じて金融機関からの借入等により対応してまいります。なお、キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載の通りです。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、貸倒債権、退職金、投資等に関する見積り及び判断に対して、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行っております。従いまして、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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