当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要、これらに関する経営者の視点による認識及び分析・検討結果は、次のとおりであります。
(1) 経営成績の状況
① 定性的成果
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が残る中で、各種政策の効果や海外経済の改善などもあり、持ち直しの動きが続いているものの、一部に弱さがみられました。
情報サービス産業においては、半導体不足による供給面に不透明感があるものの、成長分野への対応などを背景としたDX関連への投資の増加とともに、通信キャリアでも5G商用サービス関連の継続的な投資がみられました。
当社グループにおいては、半導体不足に起因する納期遅延等により一部の案件でIT投資の見直しや翌連結会計年度に受注及び売上がスライドするなど影響が出ているものの、業績への影響は軽微であります。
このような状況下、当社グループでは、企業理念であるMission(使命)「明日を変えるITの可能性に挑み、夢のある豊かな社会の実現に貢献する。」を目指す姿とした、中期経営計画(2021年4月から2024年3月までの3か年)「Beyond the Horizons~その先の未来へ~」を掲げています。
基本方針とする
「Accelerate:これからの豊かさを創る」
「Expand:今の豊かさを拡げる」
「Upgrade:実現可能性を高める」
を着実に実行し、2024年3月期の目標達成を目指すとともに、社会課題の解決に貢献してまいります。
セグメントごとの具体的な取り組みは次のとおりであります。
a.エンタープライズ事業
・複数のユーザーが共同で3Dデータの編集やシミュレーションをリアルタイムで実施して、効率的な仮想空間の開発や利用が可能になるリアルタイム・コラボレーションと、現実に忠実なシミュレーションのためのデジタルツインソリューションの販売を開始しました。近年、5GやIoTの進展により、オフィスや工場などの施設を仮想空間に再現して、社員のコミュニケーションの活発化や、デジタルツインによる製造プロセス全体の最適化に取り組む企業が増えています。3Dコンテンツの作成や仮想空間のビジネスでの活用、各種システムとの連携などについて更なる探求を進めて、お客様の生産性の向上やDXの推進に貢献していきます。
《Accelerate》
b.流通事業
・基幹システムに手を加えることなく自社業務に合わせてシステムを最適化するソリューション「Figues(フィグ)」の提供を開始しました。ERPソリューション「SAP S/4HANA® Cloud」を中心とした基幹システムと他のシステムとの連携や効率的な運用管理を実現するサービス群です。今後はFiguesを既にSAP® ERPで利用しているお客様、又は導入を検討しているお客様向けに提供し、Figuesを通じて基幹システムの標準機能を活用いただき、お客様企業の業務の効率化やDXの推進に貢献していきます。
《Accelerate》
c.情報通信事業
・株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)、株式会社MOYAI(以下、MOYAI)と協業し、マーケティング、人流解析、監視などを目的とした、IoTカメラソリューションの提供準備を開始しました。MOYAIのLED一体型高機能ネットワークセンサー※1にドコモの4Gネットワーク回線のSIMカードを組み込み、ネットワークを通して収集した動画のリアルタイムな閲覧やAIによる動画解析を短期間で実現するプラットフォームサービスで、当社グループはデータ保管やデバイスマネジメント、閲覧インターフェイスの開発、サービス運営を担います。3社はIoTセンサー技術を利用した機能の更なる拡充を図り、企業のDXに貢献していきます。
《Accelerate》
※1 LED蛍光灯と高機能カメラが一体となったセンサー。既存の蛍光灯と取り換えるだけで店内や車両内などの様子を撮影することができるため、電気・配線工事のコストが不要で、装飾やレイアウトを崩すことなく簡単に設置可能。
・通信事業者向け仮想無線アクセスネットワーク(vRAN※1)の5Gネットワーク構築支援サービスを開始しました。様々な産業に対する5Gの更なる普及・推進を背景に、ハードウェアとソフトウェアを分離させる「無線アクセス設備の仮想化」が注目されています。本サービスでは、高速・低遅延を実現する規格5GSA(スタンドアロン5G)の無線アクセスネットワークについて、O-RAN Alliance※2の標準に準拠した集約基地局(CU※3)、分散局(DU※3)、無線送受信部(RU※3)で構成した環境を使用し、様々なベンダー製品を組み合わせての動作検証が可能となります。今後も5G関連製品の販売やシステム構築・運用支援を行い、5Gサービスに貢献していきます。
《Expand》
※1 vRAN:virtual Radio Access Network
※2 O-RAN Alliance:無線アクセスネットワークのオープン化とインテリジェント化を目的に設立された標準化団体
※3 CU:Central Unit、DU:Distributed Unit、RU:Radio Unit
・ローカル5Gの技術検証が可能な専用スペースをCTC平和島物流センター(東京都大田区)内に開設しました。導入に必要となる無線システムのコア設備やネットワーク機器、モバイル端末、セキュリティ製品などの通信環境が揃っており、短期間でPoC(Proof of Concept)の環境を構築することが可能です。大容量のデータ通信を利用した新規ビジネス開発やAI、AR(拡張現実)の技術を活用した遠隔作業支援、無人搬送ロボットによる工場内の作業自動化など、ローカル5Gに関連した新たなソリューションやサービスを拡充し、お客様のDXに貢献していきます。
《Expand》
d.金融事業
・障がい者雇用を推進する当社グループの特例子会社CTCひなり株式会社(以下、CTCひなり)と共同で、AIデータ分析の事前準備を専門に行う「データ準備(Data Preparation)」(以下、DP)サービスの提供を開始しました。データの表記揺れや誤記等を整えるDP作業は、精度の高い予測や判断のために必要不可欠です。また、DP作業はAI導入作業のうち8割を占めるとされており、エンジニアの確保などの課題も発生しています。CTCひなりでは、サポートマネージャーと、主に知的障がいがある社員がチームを組み、DP作業を実施します。AIの推進でハードルとなるDPを専門的に請け負うことでお客様のAI活用に貢献し、また、AIを含めたIT分野での障がい者の新たな職域の開拓を図っていきます。
《Upgrade/Accelerate》
e.ITサービス事業
・「OneCUVIC」の強化施策の一環として、Digital Edge (Singapore) Holdings Pte. Ltd.の日本法人であるデジタルエッジ・ジャパン合同会社(以下、デジタルエッジ)、株式会社関電エネルギーソリューション(以下、Kenes)と、データセンター(以下、DC)を主軸としたクラウドサービスの拡充と運用の効率化を目的とした戦略的パートナーシップ契約を締結しました。当社グループは、所有するDC資産をデジタルエッジに譲渡し、デジタルエッジとKenesは、当社のグループ会社でDCの運営を担うCTCファシリティーズ株式会社に出資して、大規模で効率的なDCサービス及びDCを主軸としたハイブリッドクラウドサービスの拡充を目指します。クラウドやDCでのお客様の選択肢を増やし、利便性の向上や課題解決に貢献していきます。
《Upgrade》
・AWSプレミアティアサービスパートナーであるMegazoneグループの一員として日本市場で活動するMEGAZONE株式会社(以下、Megazone)の株式を49%取得しました。これは、当社グループにおけるAWS事業の拡大とともに、国内で期待が高まるハイブリッドクラウドサービスの高度化・多様化に応えることを目的としたものであり、今後AWS事業を含む当社グループのクラウド及びマネージドサービス群「OneCUVIC」の展開により、2025年には年間650億円の売上を目指します。
当社グループは、2019年にJV事業の実効性検証を目的にMegazoneに19%出資しており、目標を大きく上回る効果を確認できたことから、今回の増資引受を決定しました。今後は国内最大級のクラウドマネージドサービス事業者を目指し、さらにはASEAN地域に展開する当社グループと連携して、アジア地区最大規模のクラウドインテグレーション&マネージドサービスプロバイダー連合を形成していきます。
《Expand》
f.その他
・企業のDX推進を支援する「デジタルプラットフォーム構築サービス for Microsoft Azure」の提供を開始しました。本サービスは、マイクロソフトが提供するクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」を基盤として採用したデジタルプラットフォームを構築するサービスで、エッジコンピューティングやIoTシステムにおけるデータ活用基盤として、スマートデバイスやAIカメラなどの様々なデバイスやお客様の既存システムと連携します。具体的なサービスとしては、Idein株式会社が提供するエッジAIプラットフォーム「Actcast」とAIアルゴリズムを組み込んだ汎用デバイス(Raspberry Pi)と連携した物体検知ソリューションや人流分析ソリューションを用意しています。大がかりな設置工事が必要なく、小型デバイスを設置するだけで、荷物や貴重品などの忘れ物の検知、来店者の属性分析や人数カウントによる人流の可視化を行うことができます。
当社グループは今後、スマートグラスやAIカメラなどと連携したソリューションもデジタルプラットフォーム上で展開し、お客様のDXに貢献していきます。
《Accelerate》
g.全社
・中長期的な企業価値向上を目指し、サステナビリティに関する基本的な方針を策定しました。今後も当社グループは、このサステナビリティ方針に沿い、マテリアリティ(重要課題)に関わる取り組みを推進することにより、ビジネスを通じて持続可能な社会の実現に貢献していきます。
<サステナビリティ方針>
「技術と技(わざ)を未来のために」
当社グループは、「明日を変えるITの可能性に挑み、夢のある豊かな社会の実現に貢献する。」という使命を果たし、持続可能な社会の実現を目指します。デジタル技術とそれを活かす技で、多くの人々がその恩恵を受けられる社会づくりに取り組みます。また、ITの可能性をひろげることにより、地球環境と社会における課題の解決に貢献します。
《Upgrade》
・2021年6月に新しい働き方への対応及びニューノーマルを見据えたオフィス変革を目的に本社移転を行いました。また、グループ会社であるCTCテクノロジー株式会社、CTCシステムマネジメント株式会社、CTCエスピー株式会社、CTCビジネスサービス株式会社、CTCビジネスエキスパート株式会社及びCTCひなり株式会社も、同オフィスへの本社機能移転を完了し、更なるグループ連携の強化に努めています。2021年9月には、当社グループ社員の交流・情報収集・共創の場の提供を目的に、カフェラウンジ、ワークラウンジ、ライブラリやイベントスペースをオープンしました。今後も新しい働き方を通じた、業務効率や社員の能力、働きがいの向上を図っていきます。
《Upgrade》
・「環境変化に順応する経営基盤変革」の一環で、2021年10月1日付けで、当社グループ全体での業務プロセスの変革を目的に「業務変革推進室」を社長直轄組織として新設しました。当社グループ全体における業務プロセスの変革について、方針の策定と各グループ組織との連携や取りまとめ、業務プロセスでの「ムダ・ストレス・モッタイナイ」を解消し生産性の向上に取り組みます。同時に、既存のビジネスモデルの変革を起点としたDXも推進していきます。また、企業文化や風土の醸成も視野に、新規ビジネスの創出に一層挑戦できる仕組みも策定していきます。
《Upgrade》
・経済産業省と東京証券取引所が共同で、女性活躍に優れた上場企業を選定する「なでしこ銘柄」に選定されました。当社グループは、新たな価値の創出には、多彩な個性が多様な働き方で力を合わせ、新しいことに挑戦して自己実現できる環境が必要だと考えています。そのため、性別、年齢、性自認や性的指向、国籍、障がいの有無、これまでの経験といった違いを尊重するダイバーシティ&インクルージョンを推進しています。また、多様性の確保や人的資本といったサステナビリティ開示の強化にも取り組み、2021年10月に、統合レポートの別冊「人材戦略詳細編」を公開しました。当社グループでは、「個の成長と適材適所を組み合わせた総合力強化」に向けて、人材戦略の基本コンセプト「新たな価値を創造する人材へ One Version UP!」を策定しており、社員一人ひとりのOne Version UP!に向けて、「人材」「制度」「組織文化・風土」「働き方」の4つの側面から、社員がいきいきと力を発揮できる環境づくりを加速していきます。
《Upgrade》
② 業績の状況
当社グループの当連結会計年度の経営成績は次のとおりであります。
(金額単位は百万円。%表示は、対前期増減率。)
(売上収益)
当連結会計年度の売上収益は、官公庁、通信、製造、自動車、運輸、流通、研究機関、金融、社会インフラ向けなど様々な分野で増加したことに加え、海外事業会社の増収により、前連結会計年度と比べて42,477百万円(前年同期比8.9%)増加し、522,356百万円となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益は、増収に加え、売上総利益率の改善などにより、前連結会計年度と比べて13,212百万円(同10.9%)増加し、134,678百万円となりました。
売上総利益率は、サービスの利益率改善に加え、開発不採算案件の抑制などにより、前連結会計年度の25.3%から0.5ポイント増加の25.8%となりました。
(その他の収益及び費用)
当連結会計年度のその他の収益及び費用は、データセンター資産の譲渡による売却益があったものの、のれんの減損損失や人件費の増加などにより、前連結会計年度に比べて6,355百万円(同8.2%)悪化し、84,196百万円(損失)となりました。
(営業利益)
営業利益は、前連結会計年度と比べて6,857百万円(同15.7%)増加し、50,482百万円となりました。また、売上収益営業利益率は前連結会計年度の9.1%から0.6ポイント増加の9.7%となりました。
(税引前利益)
当連結会計年度の税引前利益は、前連結会計年度と比べて7,923百万円(同18.0%)増加し、51,875百万円となりました。
(当社株主に帰属する当期純利益)
法人所得税は、前連結会計年度に比べて4,300百万円増加し、17,409百万円となり、非支配持分に帰属する当期純利益は前連結会計年度と比べて1,263百万円減少し、906百万円(損失)となりました。
以上の結果、当社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度と比べて4,886百万円(同16.0%)増加し、35,373百万円となりました。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
③ セグメント別業績
セグメント別の財政状態及び経営成績の状況は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分方法を変更しているため、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分方法に基づいております。
(金額単位は百万円。%表示は、対前期増減率。)
a. エンタープライズ事業
顧客経営環境の改善やDXの進展によるデジタルシフト案件の増加により、売上収益は138,392百万円(前年同期比9.4%増)となりました。増収による売上総利益の増加などにより、税引前利益は9,198百万円(同6.2%増)となりました。セグメント資産は、営業債権及びその他の債権の増加などにより、66,967百万円(同11.5%増)となりました。
b. 流通事業
流通向け開発などが増加し、売上収益は53,964百万円(同3.1%増)となりました。増収に加え、売上総利益率の改善による売上総利益の増加などにより、税引前利益は3,619百万円(同145.2%増)となりました。セグメント資産は、棚卸資産の増加などにより、22,403百万円(同5.4%増)となりました。
c. 情報通信事業
通信事業者向けインフラなどが増加し、売上収益は204,828百万円(同9.3%増)となりました。増収による売上総利益の増加などにより、税引前利益は18,833百万円(同2.7%増)となりました。セグメント資産は、現金及び現金同等物の増加などにより、118,849百万円(同17.1%増)となりました。
d. 広域・社会インフラ事業
公益向けインフラなどが増加し、売上収益は70,413百万円(同13.0%増)となりました。増収による売上総利益の増加などにより、税引前利益は4,984百万円(同6.6%増)となりました。セグメント資産は、棚卸資産の減少などにより、29,418百万円(同0.1%減)となりました。
e. 金融事業
メガバンク、インターネット金融、系統金融機関向けインフラなどの増加により、売上収益は28,288百万円(同15.2%増)となりました。増収による売上総利益の増加などにより、税引前利益は2,462百万円(同8.8%増)となりました。セグメント資産は、営業債権及びその他の債権の増加などにより、8,544百万円(同3.1%増)となりました。
f. ITサービス事業
クラウド関連ビジネスの増加により、売上収益は118,589百万円(同2.7%増)となりました。データセンター資産の譲渡による売却益などにより、税引前利益は18,650百万円(同43.1%増)となりました。セグメント資産は、有形固定資産の減少などにより、70,714百万円(同10.3%減)となりました。
g. その他
海外子会社では、コロナ禍で抑制されていた顧客投資の回復などにより、売上収益は45,469百万円(同17.1%増)となりました。のれんの減損損失の認識などにより、税引前損失は3,010百万円(前年同期は1,592百万円の税引前利益)となりました。セグメント資産は、海外子会社における資産の増加などにより、49,014百万円(同9.6%増)となりました。
(注)上記セグメントの売上収益及び税引前利益は、セグメント間の内部売上収益等を含めて表示しております。
中期経営計画の定量目標に対する達成状況は次のとおりであります。
(2) 財政状態の状況
(単位:百万円)
当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べて44,972百万円増加し、507,721百万円となりました。これは、主に海外子会社ののれんの減損損失等によりのれんが3,893百万円減少したものの、現金及び現金同等物が13,133百万円、営業債権及びその他の債権が10,721百万円、有形固定資産が6,983百万円、その他の金融資産(非流動)が18,418百万円、それぞれ増加したことによるものであります。なお、有形固定資産については、データセンター資産の譲渡等による減少があるものの、神谷町オフィスの賃借に係る使用権資産により増加しております。
負債は、前連結会計年度末に比べて19,097百万円増加し、219,237百万円となりました。これは、主に神谷町オフィスの賃借に係るリース負債によりその他の金融負債が1,237百万円、長期金融負債が16,697百万円増加したことによるものであります。
資本は、前連結会計年度末に比べて25,875百万円増加し、288,484百万円となりました。これは、主に剰余金の配当による減少が15,795百万円あったものの、当期純利益による増加が34,466百万円、その他の包括利益による増加が6,475百万円あったことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)は、前連結会計年度末に比べて13,133百万円増加し、94,078百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主な内容は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は36,061百万円となりました。これは、税引前利益51,875百万円、減価償却費及び償却費18,432百万円となったものの、営業債権及びその他の債権が12,198百万円の増加、法人所得税の支払額が16,171百万円の支出となったことによるものであります。
前連結会計年度との比較では、営業活動による収入は1,205百万円減少しております。これは、税引前利益が増加したものの、運転資本の増減による支出の増加がこれを上回ったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、得られた資金は3,462百万円となりました。これは、オフィス移転統合等による有形固定資産の取得による支出が8,832百万円となったものの、データセンター資産の譲渡等による有形固定資産の売却による収入が10,376百万円となったこと、及びオフィス移転統合で解約した賃借物件の敷金及び保証金の回収による収入が4,543百万円となったことによるものであります。
前連結会計年度は使用した資金が10,121百万円でありました。前連結会計年度との比較では、有形固定資産の取得による支出が増加したものの、有形固定資産の売却による収入及び敷金及び保証金の回収による収入が増加しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は27,413百万円となりました。これは、リース負債の返済による支出が13,852百万円となったことに加え、当社株主への配当金の支払額が15,604百万円となったことによるものであります。
前連結会計年度との比較では、財務活動による支出は6,351百万円増加しております。これは、セール・アンド・リースバックによる収入が減少したこと、及びリース負債の返済による支出が増加したこと等によるものであります。
(4) 資本の財源及び資金の流動性に関する情報
① 当社グループにおける財務資本戦略の基本的な考え方
当社グループは、中期経営計画(2021年4月から2024年3月までの3か年)における3つの基本方針(Accelerate、Expand、Upgrade)を着実に実行することで、顧客、社会に対する価値領域を拡大し、収益力と資本効率を更に向上させ、定量目標である「営業利益率10%」、「当社株主に帰属する当期純利益400億円」、「ROE13%以上」の達成を目指しております。この中期経営計画達成に向けた事業活動で得た資金を、重点分野への成長投資、安定的かつ業績に応じた株主還元、及び内部留保に総合的なバランスを勘案して適正配分することで、企業価値の最大化に繋げていくことを財務資本戦略の基本的な考え方としております。
a.成長投資について
当社グループは、ITインフラやクラウドなどの当社グループの強みを発揮し、リカーリングビジネスの拡大を加速するために必要な事業用資産への投資や、新たな地域やビジネス領域の拡張のために海外事業の買収を進め、ITサービスに対するニーズの高度化、多様化、かつ技術の急速な進歩による変化への対応を図ってまいりました。
中期経営計画期間においては、従来から注力しているAI・IoT、アジャイルなど新たなアプリケーションの開発、次世代ネットワークに関する技術の獲得に加え、DXコンサル、デザインコンサルなどの高付加価値サービスの提供を加速させるため、先進技術の獲得や顧客基盤の強化等を目的とした事業開発に関連する新たな分野への投資やM&Aを進めてまいります。これらの投資にあたっては、資本コストを意識し、将来の投資に対するリターンを注意深く見極めながら進めてまいります。また、M&Aにおいては、その投資効果を高めるための投資後の融合作業が重要であり、その点も考慮した慎重な判断を行ってまいります。
b.株主還元について
当社は、株主の皆様への利益還元を重要な経営課題として認識し、安定的な配当に努めるとともに、業績に応じた利益還元を重視し、内部留保金とのバランスを考慮しながら、配当水準を高めることを基本方針としております。なお、連結配当性向は45%程度を目安としております。
② 流動性の確保
当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物(以下「資金」)の残高は、前連結会計年度末と比べて13,133百万円増加し、94,078百万円となりました。主な資金の内訳といたしましては、現金及び預金(預入期間が3か月を超える定期預金を除く)54,834百万円、預入期間が3か月以内の預け金39,244百万円となっております。
当社グループでは、キャッシュマネジメントサービスを導入し、グループ会社間の資金を集中管理することにより、効率的かつ安定的な運用を行っております。また、資金運用に際しては、信用リスクが低く安全性の高い金融資産に限定して運用を行っております。
③ 資金需要の状況
当社グループにおきましては、運転資金及び設備投資等の資金需要に対して、安定した営業キャッシュ・フローに加えて、上述した内部資金を中心に賄っております。
なお、当連結会計年度における設備投資額は44,071百万円(使用権資産を含む)であり、主な投資内容に関しましては、「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載のとおりであります。
(5) 生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)金額は外注費を除くシステム開発にかかる発生原価によっております。
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)金額は仕入価格によっております。
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)金額は販売価格によっております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については、調整額において消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(6) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号)第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。
また、この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
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