当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、経営成績等という)の状況の概要は以下のとおりです。
当社グループは2021年度から2023年度を対象とした中期経営計画を策定し、経営基盤の強化、収益性の向上、ESG経営の進化の3つを柱に、「お客様に寄り添うチカラ」で持続的成長の実現を目指し、計画の達成に向け事業活動を推進しております。
当連結会計年度(2021年4月1日から2022年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの相次ぐ変異株の流行により感染拡大の影響が依然続く中、ワクチン接種の進展により経済活動に回復の兆しが見え始めました。一方、半導体の供給不足と物流網の混乱、世界的な原油価格の高騰、さらにロシア・ウクライナ情勢や、世界的なインフレ圧力のさらなる上昇など、先行きは依然として不透明な状況で推移しています。
当社グループを取り巻く国内ITサービス業界では、「非接触」や「非対面」を実現するデジタル化のニーズが引き続き高く、AIやブロックチェーンなどを活用したビジネスプロセスやビジネスモデルの変革を行うDX(デジタルトランスフォーメーション)を中心に企業の投資意欲は回復基調にあります。その一方で、一部の業種や企業では長引く新型コロナウイルス感染症の影響などにより、IT投資の抑制や先送りの動きが続いており、企業の投資計画の見直しについて注視しております。
営業活動においては、金融機関を中心に、当社の主力である延滞債権管理システムの安定的な受注に加え、個人ローン業務支援システム「SCOPE」と業務の非対面化を実現するローンWeb受付システム「WELCOME」を組み合わせた販売が引き続き好調に推移しており、申込用紙の削減や契約書類の電子化により環境への配慮を実現しつつ、審査に費やす業務の効率化に貢献しております。また、延滞債権督促業務を自動化した「ロボティックコール」の販売が好調で、ノンバンクを中心に新規顧客を獲得しております。その一方で、前期に複数年契約の大型案件の受注があった公共分野向けBPO(業務受託)サービスは、その反動で受注減となったほか、流通・小売業など一部の業種では新型コロナウイルス感染症の影響などにより設備投資が抑えられていることから、受注高は17,548百万円(前年同期は18,459百万円)、受注残は15,055百万円(前年同期は14,528百万円)となりました。
これらの結果、当連結会計年度の業績は、当期の期首より収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という)等を適用したことによる影響があったものの、高水準な前期末の受注残が売上に寄与したことなどにより、売上高は17,021百万円(前年同期は16,289百万円)となりました。また、増収による増益効果に加え、コロナ禍での新しい働き方の推進と業務手順の見直しによる経費の削減などにより、営業利益は3,031百万円(前年同期は2,186百万円)、経常利益3,106百万円(前年同期は2,317百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,112百万円(前年同期は1,683百万円)となり、売上、利益ともに過去最高を更新いたしました。収益認識会計基準等の適用に関する詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。
なお、当期より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
(システム開発・販売)
基幹事業である金融機関向けのソフト開発、インフラ設備の更改、延滞債権督促業務を自動化した「ロボティックコール」の導入など、販売は前年の水準を維持しております。また、非対面業務の取り組みによるキャッシュレス決済の普及などが追い風となり、マルチ決済端末「iRITSpay決済ターミナル」の販売も順調に推移しております。さらに、通話録音システムの大型更改案件の獲得や基幹システムの刷新を図る地方百貨店から新規に受注を獲得するなど、営業活動の成果により受注高は10,962百万円(前年同期は10,886百万円)となりました。
こうした中、高水準な前期末の受注残が売上に寄与したものの、収益認識会計基準等の適用に伴う影響などにより、売上高は9,855百万円(前年同期は10,064百万円)となりました。一方、営業活動費など一部経費の効率化利用により増益とはなりましたが、セグメント利益は1,501百万円(前年同期は1,434百万円)となり前年同期に比べ減収増益となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用に関する詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。
(リカーリング)
安定収益源である保守サービスに加え、公共分野向けBPO(業務受託)サービスにおいて政令市・中核市を中心に、既存契約先からの継続受注に加え、新規契約を獲得するなど引き続き好調に推移しております。
当連結会計年度では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響などによりBPOの入札案件数が少なかったことに加え、前期の複数年案件受注の反動の影響などにより受注高は6,585百万円(前年同期は7,572百万円)と前年同期を下回りました。一方、高水準な前期末の受注残が売上に寄与したこと、増収による増益効果などにより売上高7,166百万円(前年同期は6,225百万円)、セグメント利益は1,529百万円(前年同期は752百万円)と前年同期に比べ大幅な増収増益となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は10,585百万円となり、前連結会計年度末と比べ1,913百万円増加いたしました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動から得られた資金は2,811百万円(前年同期比103.0%)となりました。主な増加要因は税金等調整前当期純利益3,110百万円、棚卸資産の減少額333百万円、減価償却費301百万円、売上債権の減少額155百万円、賞与引当金の増加額112百万円、主な減少要因は法人税等の支払額933百万円、仕入債務の減少額727百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は353百万円(前年同期比82.4%)となりました。主な減少要因は無形固定資産の取得による支出231百万円、有形固定資産の取得による支出131百万円、有価証券の純増減額100百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は544百万円(前年同期比103.5%)となりました。増加要因は自己株式の処分による収入176百万円、主な減少要因は配当金の支払額631百万円です。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
(注) セグメント間取引はありません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度については、当該会計基準等を適用した後の数値となっており、増減率は記載しておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度については、当該会計基準等を適用した後の数値となっており、増減率は記載しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。また、財政状態および経営成績の分析は、連結会計年度末現在で行っており、見積りについては見積りを必要とする事象および見積りに与える要因を把握した上で適切な仮定を設定して評価を行っております。
なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)および(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
a) 売上高
当連結会計年度における売上高は、全事業領域でおおむね計画通り売上高が伸長した結果、17,021百万円(前年同期は16,289百万円)となりました。2022年3月期を含む直近3年間の年平均成長率は、6%となっております。
報告セグメント別では、システム開発・販売セグメントにおいて、高水準な前期末の受注残が寄与したものの、収益認識会計基準等の適用に伴う影響、さらに通信システム事業の一部ハードウェアの入荷遅延の影響などにより、売上高は9,855百万円(前年同期は10,064百万円)となりました。リカーリングセグメントにおいては、システム販売の増加に伴い保守サービスが安定的に増加したことに加え、公共分野向けBPO(業務受託)サービスが政令指定都市・中核市を中心に引き続き堅調に推移した結果、売上高は7,166百万円(前年同期は6,225百万円)となりました。各報告セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、システム開発・販売が57.9%、リカーリングが42.1%となりました。
b) 売上総利益
当連結会計年度における売上総利益は、6,156百万円(前年同期は5,386百万円)となりました。売上総利益率は36.2%となり、前年同期に対し3.1ポイント増加しました。これは、半導体不足による資材価格の高騰や円安による輸入仕入コストの上昇があったものの、外注費のコントロールなどにより原価率が改善したことによるものです。
c) 営業利益
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、社内DX推進および営業活動費など一部経費の未使用に加え、効率的な利用が寄与したことにより、3,125百万円(前年同期は3,199百万円)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は3,031百万円(前年同期は2,186百万円)となりました。
d) 経常利益
当連結会計年度における営業外収益は、投資有価証券売却益の減少などにより106百万円(前年同期145百万円)となりました。営業外費用は、前年度計上のなかった投資有価証券売却損の計上などにより31百万円(前年同期は14百万円)となりました。以上の結果、経常利益は、3,106百万円(前年同期は2,317百万円)となりました。
e) 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度における特別利益は、新株予約権戻入益として3百万円を計上しました。特別損失は、計上しておりません。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、2,112百万円(前年同期は1,683百万円)となりました。
a) 資産
当連結会計年度末の総資産は20,010百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,319百万円増加しました。流動資産は16,264百万円となり、1,569百万円増加しました。これは主に、有価証券が1,399百万円増加したことなどによるものです。固定資産は3,746百万円となり、250百万円減少しました。この主な原因は、投資有価証券が売却や時価評価などにより168百万円減少したことなどによります。
b) 負債
当連結会計年度末の負債合計は4,403百万円となり、前連結会計年度末に比べて186百万円減少しました。流動負債は4,174百万円となり、166百万円減少しました。これは主に、買掛金が734百万円減少したことなどによるものです。固定負債は229百万円となり、19百万円減少しました。
c) 純資産
当連結会計年度末の純資産は15,606百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,505百万円増加しました。この主な原因は、剰余金の配当の支払いにより631百万円減少しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により2,112百万円増加したことなどです。この結果、自己資本比率は、77.9%となり、前連結会計年度末の75.2%から2.7ポイント増加しました。
セグメントごとの財政状況および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態および経営成績の状況」に記載のとおりです。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、 経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」 に記載のとおりです。 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりです。
当社グループの資本の財源および資金の流動性については、運転資金および設備投資資金は基本的に自己資金でまかなうこととしておりますが、不足時の一時的な運転資金を効率的に調達するため、主要取引銀行とコミットメントライン契約を締結しております。
なお、自己資本比率77.9%、流動比率389.6%などの指標が示すように、健全な財務体質や営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力によって、当社グループの事業展開に必要な運転資金および設備投資資金を調達することが可能と考えております。
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