(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
経営成績の状況
今期、Professional Design & Engineering Firmとしての組織を更に改善するため、『既存ビジネスのサステナブルな成長と新規ビジネスの育成発展』と『組織の質の向上』を重要な方針として掲げ、取り組みを進めて参りました。
『既存ビジネスのサステナブルな成長と新規ビジネスの育成発展』として、エンジニアリングコンサルティング事業においては、主に、住宅・建設分野で、過去からの蓄積である対面業界における豊富な経験知を活用することにより、着実な付加価値向上を図っております。
プロダクツサービス事業においても海外パートナー企業との協業や投資により、新規ビジネスの創造・発展の取り組みを行っております。例えば、クラウド管理のスマートロックを取り扱う「RemoteLOCK」事業において、2020年には、株式会社ウエストと共同開発した製品「RemoteLOCK 8j」を発売しており、2021年12月には、「RemoteLOCK」の開発元である米 LockState, Inc.(現:RemoteLock, Inc.)に対して、325万米ドルの追加出資を行うとともに、2022年3月には、総務大臣の支援決定の認可に基づき、株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構が300万米ドルの出資を行っております。これにより、アクセスコントロールという信頼性が重視される事業において更なる信頼感の醸成を図っております。加えて、2022年7月には、株式会社リモートロックジャパンを設立し、日本及びアジア地域でのアクセスコントロールプラットフォームの構築と事業発展を主導しております。
次に、『組織の質の向上』として、品質の確保及び向上を最重要の経営課題として捉え、過去の知見を踏まえた品質管理体制の整備と運用を行うことにより、品質の不良化防止に取り組んでおります。特に、今期、品質に対する所員一人一人の拘りと責任感の醸成を図りつつ、品質保証部門による事業部門密着型のマネジメント及び事業部門長・品質保証担当者との連携を行っております。
また、組織の質の向上の基礎となるのは人才であるとの考えから、人才の採用及び育成、そして人才が活躍できるような場づくりに積極的に取り組んでおります。採用活動においては、中途採用では当社の企業理念にマッチングする人才の採用に力を入れ、新卒採用では日本国内在住の留学生に対して積極的に採用活動を行うことにより、様々な業界から高い専門性を有するキャリア人才と多様な文化的背景や価値観を有する外国籍人才を採用しております。なお、採用市場における競争力向上を目的として、初任給を月額5万円以上引き上げ、それに伴い若手所員の処遇も改善させております。また、人才の育成においては、研修等を通して全社的な視点からマネジメントができる人才の育成や若手・中堅所員を対象に複眼的な視点を学ぶ機会を提供し成長を促しております。さらに、所員が快適・健康的に過ごすことができる環境整備に努めており、当社の本所新館の空調設備等の改修を行うとともに、所員の健康管理を目的として、従来から在籍する産業医に加えて、2022年4月から新たに消化器・免疫・感染症等を専門とする産業医を迎え入れております。
(参考)所員数男女比、管理職男女比、国籍割合、採用割合
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第61期 |
第62期 |
第63期 |
第64期 (当事業年度) |
所員数 |
男性 |
425名 (72.2%) |
436名 (72.5%) |
437名 (72.0%) |
457名 (73.6%) |
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女性 |
164名 (27.8%) |
165名 (27.5%) |
170名 (28.0%) |
164名 (26.4%) |
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合計 |
589名 (100.0%) |
601名 (100.0%) |
607名 (100.0%) |
621名 (100.0%) |
管理職 |
男性 |
77名 (95.1%) |
72名 (93.5%) |
76名 (89.4%) |
82名 (89.1%) |
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女性 |
4名 (4.9%) |
5名 (6.5%) |
9名 (10.6%) |
10名 (10.9%) |
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合計 |
81名 (100.0%) |
77名 (100.0%) |
85名 (100.0%) |
92名 (100.0%) |
国籍 |
日本 |
547名 (92.9%) |
555名 (92.4%) |
568名 (93.6%) |
587名 (94.5%) |
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アジア |
37名 (6.3%) |
41名 (6.8%) |
34名 (5.6%) |
28名 (4.5%) |
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欧州 |
3名 (0.5%) |
3名 (0.5%) |
3名 (0.5%) |
2名 (0.3%) |
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その他 |
2名 (0.3%) |
2名 (0.3%) |
2名 (0.3%) |
4名 (0.7%) |
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合計 |
589名 (100.0%) |
601名 (100.0%) |
607名 (100.0%) |
621名 (100.0%) |
採用数 |
新卒 採用数 |
31名 (75.6%) |
46名 (82.1%) |
22名 (78.6%) |
38名 (69.1%) |
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キャリア 採用数 |
10名 (24.4%) |
10名 (17.9%) |
6名 (21.4%) |
17名 (30.9%) |
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況の分析
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて判断しております。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
当事業年度におきましては、前事業年度から繰り越された豊富な受注残に加え153億60百万円(前事業年度は140億50百万円)の受注獲得により、売上高は147億48百万円(前事業年度は136億31百万円)、営業利益は19億76百万円(前事業年度は17億18百万円)、経常利益は19億47百万円(前事業年度は17億64百万円)となりました。当期純利益は13億59百万円(前事業年度は13億30百万円)となり、いずれも公表済みの業績予想値を超える結果となりました。また、当事業年度末における受注残高は、前事業年度末を上回る68億71百万円(前事業年度末は68億46百万円)を確保しております。
当事業年度の報告セグメント別の状況は、次のとおりであります。
[エンジニアリングコンサルティング]
当事業年度においては、引き続きシステム開発への投資意欲が旺盛な状況を受けて、住宅・建設分野向けのシステム開発業務が当セグメントの業績を牽引しております。また、風力発電関連ビジネスへの需要も底堅く、構造設計コンサルティング業務も順調な状況となっております。情報通信技術コンサルティング業務につきましても、通信業界における研究開発投資等が活発な状況を受けて堅調に推移しております。その結果、売上高は101億41百万円(前事業年度は99億37百万円)、売上総利益は58億93百万円(前事業年度は57億30百万円)となりました。
なお、受注残高につきましては、52億12百万円(前事業年度末は56億24百万円)となっております。
[プロダクツサービス]
当事業年度においては、電波伝搬解析ソフト、設計者向けCAEソフト及び粒子法流体解析ソフトの販売が底堅く推移しております。また、米 Twilio Inc.のクラウドベースメール配信サービスや、独 NavVis GmbHの3次元デジタル化ソリューション、米 LockState, Inc.(現:RemoteLock, Inc.)の入退室管理クラウドサービスが順調に販売を拡大し、業績を牽引いたしました。その結果、売上高は46億7百万円(前事業年度は36億94百万円)、売上総利益は18億29百万円(前事業年度は15億1百万円)となりました。また、受注残高につきましては、16億59百万円(前事業年度末は12億22百万円)となっております。
b.財政状態の分析
(資産)
流動資産は、前事業年度末に比べて11.4%増加し、67億59百万円となりました。これは、主に契約資産が7億12百万円、現金及び預金が4億40百万円増加した一方、仕掛品が5億79百万円減少したことによります。
固定資産は、前事業年度末に比べて10.4%増加し、104億62百万円となりました。これは、主に関係会社株式が7億59百万円、繰延税金資産が2億95百万円増加したことによります。
その結果、総資産は、前事業年度末に比べて10.8%増加し、172億21百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前事業年度末に比べて37.5%増加し、54億34百万円となりました。これは、主に未払費用が6億28百万円、1年内返済予定の長期借入金が2億83百万円、未払金が2億57百万円増加したことによります。
固定負債は、前事業年度末に比べて15.4%減少し、37億56百万円となりました。これは、主に長期借入金が6億37百万円、社債が1億円減少したことによります。
なお、当該長期借入金の減少に伴い、当社の建物、土地を担保とした根抵当権の設定を解除し、消滅登記を完了させております。
その結果、負債合計は、前事業年度末に比べて9.5%増加し、91億91百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前事業年度末に比べて12.2%増加し、80億30百万円となりました。これは、主に当期純利益や配当の変動の影響により繰越利益剰余金が7億1百万円増加した一方、従業員持株会支援信託ESОPによる払い出しや自己株式取得による変動により自己株式(控除項目)が1億41百万円減少したことによります。
c.キャッシュ・フローの分析
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べて4億40百万円増加し、25億60百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
イ.営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は21億5百万円(前事業年度比6億35百万円収入増)となりました。
これは、主に税引前当期純利益18億66百万円、未払費用の増加額6億29百万円、棚卸資産の減少額5億77百万
円を反映したものであります。
ロ.投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は7億0百万円(前事業年度比17百万円支出増)となりました。
これは、主に投資有価証券の取得による支出6億47百万円、有形固定資産の取得による支出3億23百万円を反
映したものであります。
ハ.財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は9億64百万円(前事業年度比2億84百万円支出増)となりました。
これは、主に資金の流出では、長期借入金の返済による支出10億54百万円、自己株式の取得による支出3億42
百万円、配当金の支払額6億58百万円、資金の流入では、自己株式の処分による収入5億1百万円、長期借入
れによる収入7億円を反映したものであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
|
2020年6月期 |
2021年6月期 |
2022年6月期 |
自己資本比率(%) |
42.0 |
46.0 |
46.6 |
時価ベースの自己資本比率(%) |
91.0 |
94.2 |
77.9 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
1.9 |
1.8 |
1.0 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
64.5 |
68.8 |
112.4 |
自己資本比率 : 自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 : 有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ : キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
2.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
3.有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
d.資本の財源及び資金の流動性
当社は、設備投資計画・研究開発計画に基づいて、必要な資金を社債発行及び銀行借入により調達しております。
社債及び借入金は、設備投資・研究開発投資のための資金と短期的な運転資金の調達を目的としたものであります。短期借入金は、年次・月次の資金計画により調達しておりますが、1年以内の短期間で返済しております。また、長期借入金は固定金利で調達し、金利変動リスクに備えております。
なお、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は25億60百万円であり、将来の資金需要に対し適正な水準であると認識しております。
e.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
中長期的な成長を実現していく上で、当社が重視する経営指標は、営業利益に人件費と福利厚生費を加えた総付加価値であります。当社の付加価値の源泉が人才であることから、今後もより良い人才を確保し育成していくことこそが、当社を持続的に発展させていくために必要だと考えております。その方針の下、役員の業績連動型報酬制度については総付加価値を基準に設計を行っております。
なお、当事業年度における業績連動報酬に係る指標の目標は81億円で、実績は87億21百万円でありました。
(3)生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
エンジニアリングコンサルティング |
4,251,080 |
102.9 |
プロダクツサービス |
2,781,813 |
126.9 |
合計 |
7,032,894 |
111.3 |
(注)金額は総製造費用より他勘定振替高を控除した金額によっております。
b.受注実績
当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高 |
受注残高 |
||
金額(千円) |
前年同期比(%) |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
エンジニアリングコンサルティング |
10,315,510 |
100.6 |
5,212,057 |
92.7 |
プロダクツサービス |
5,044,750 |
132.9 |
1,659,886 |
135.8 |
合計 |
15,360,260 |
109.3 |
6,871,944 |
100.4 |
(注)金額は販売価額によっております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
エンジニアリングコンサルティング |
10,141,070 |
102.1 |
プロダクツサービス |
4,607,624 |
124.7 |
合計 |
14,748,695 |
108.2 |
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