有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の変動の外的要因について
当社グループは、サービス・商品の多様化によって安定的な収益基盤の構築を図っておりますが、景気動向や投資信託市場、株式市況、為替、市場金利、金融機関の動向等の外部要因は、常に変動し、当社グループの業績に常に影響を与えています。これらの外部要因は、当社グループでコントロールができず、大きな変動が生じた場合には、当社グループの業績に影響がでる可能性がありますが、その時期や影響を予想することは困難であります。
① 株式市況および株価
当社グループのアセットマネジメント事業の子会社 SBIアセットマネジメント株式会社は、主として公募追加型株式投資信託を運用しており、運用する投資信託の残高の約定割合の信託報酬を得ています。
公募追加型株式投資信託は株式に投資する投資信託であり、そのため、株式市況および投資している株式の株価により、運用する投資信託の残高が変動し、信託報酬が変動します。
当社グループのアセットマネジメント事業は、従来、SBIアセットマネジメント株式会社による公募追加型株式投資信託の運用が中心でしたが、株式市況および株価の変動リスクへの対応を目的の1つとして、2019年2月に、米国において私募の債券型ファンドを中心に運用しているCarret Asset Management LLCを子会社とし、2019年12月に、主として、私募の債券型投資信託を運用するSBIボンド・インベストメント・マネジメント株式会社およびSBI地方創生アセットマネジメント株式会社を子会社といたしました。これらの株価変動による影響が小さい私募の債券型投資信託により、運用する投資信託の種類や範囲を拡大し、グローバル・アセット・アロケーションをおこない、収益の安定を図っております。
② 為替、市場金利
当社グループは、2019年2月に、米国において私募の債券型ファンドを中心に運用しているCarret Asset Management LLCを子会社とし、2019年12月に、主として、私募の債券型投資信託を運用するSBIボンド・インベストメント・マネジメント株式会社およびSBI地方創生アセットマネジメント株式会社を子会社といたしました。これらの子会社は、運用する投資信託・ファンドの残高の約定割合の信託報酬を得ています。
これにより、当社グループのアセットマネジメント事業が運用する投資信託・ファンドの投資対象に、国内および米国を中心とする海外の債券が追加されました。そのため、当社グループの業績は、これまでより国内および米国を中心とする海外の債券市場、国内外の金利、為替の変動の影響を受ける可能性が高くなりました。
当社グループは、金利、為替の予約などや、当社グループや提携先であるモーニングスター・インクのファンドデータを活用して、債券市場、国内外の金利、為替の変動の影響を低減し、顧客である投資家の皆さまに安定的な運用結果を提供し、当社グループの収益の安定を図っております。
③ 金融機関の動向
当社グループのアセットマネジメント事業の子会社SBIアセットマネジメント株式会社が運用する公募追加型株式投資信託は、金融機関に一般投資家への販売を委託しています。
SBIボンド・インベストメント・マネジメント株式会社およびSBI地方創生アセットマネジメント株式会社は、地域金融機関の自己資金を受託して私募の債券型投資信託を運用しています。
また、当社グループのファイナンシャル・サービス事業は、投資信託を中心に各種金融商品のインターネット広告を受注しています。資産運用などのセミナーは、金融機関からのスポンサー収入をもって運営しています。
金融機関の販売員が投資信託を中心とする金融商品の販売説明に利用するタブレットアプリによるファンドデータや金融機関のウェブサイト上のデータを金融機関に提供しています。
このように、当社グループ各社の主要顧客は金融機関であり、金融機関の動向は、当社グループの業績に影響を与えます。
当社グループは、各金融機関と良好な関係を構築しておりますが、金融機関が株式市況および株価、債券市場、為替、市場金利などの変動により業績に影響を受けた場合、金融機関からの当社グループへの広告、セミナーの発注が変動する可能性があります。
一方、当社グループのタブレットアプリによるファンドデータの提供は、2022年3月末には、114,680台となり、金融機関の金融商品販売に不可欠なものとなっており、広告、セミナーの受注が減少した場合でも、安定的な収益の確保を図っています。
また、SBIボンド・インベストメント・マネジメント株式会社およびSBI地方創生アセットマネジメント株式会社は、地域金融機関から受託した資金を運用し、地域金融機関の運用状況改善のポートフォリオ提供と地域金融機関の投信販売サポートを行っていきます。
(2) アセットマネジメント事業で運営するファンドの募集および運営成績について
当社グループのアセットマネジメント事業は、公募追加型株式投資信託や私募の債券型投資信託、投資助言を行っておりますが、新規ファンドの募集が困難となる場合や、当初予定していたとおりにファンドを運用できなくなる可能性があります。また、当社グループの運用するファンドが期待どおりの運用成績を達成出来なかった場合、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
(3) アセットマネジメント事業に影響を与える法的規制について
当社グループのアセットマネジメント事業は、投資信託運用会社として金融商品取引法に基づき投資運用業及び投資助言業の登録を行っております。また、米国において、同国の金融商品取引法に基づき投資運用業及び投資助言業の登録を行っております。今後、日米両国で、これら金融商品取引法及びその関連法令等に関し改正が行われた場合、当該事業の業務遂行に影響を及ぼす可能性があります。また、何らかの理由により法令等への違反をし、これらの登録の取消処分等を受けた場合には、当該事業の業務遂行に支障をきたすと共に当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
(4) 「のれん」の減損の可能性について
当社グループのこれまでの買収等の企業結合の結果、2022年3月31日現在の連結貸借対照表に「のれん」が1,786百万円計上されています。
「のれん」の内訳は以下のとおりです。
「のれん」の発生要因 |
「のれん」が帰属する事業・ |
企業結合年月 |
「のれん」の残高 |
㈱株式新聞社の買収、子会社化、合併 |
株式新聞、株式情報(注)1 |
2008年4月 |
37百万円 |
SBIサーチナ㈱の買収、子会社化 |
中国・アジア金融情報(注)1 |
2012年10月 |
164百万円 |
Carret Holdings Inc.と Carret Asset Management LLC の買収、子会社化 |
米国における私募の債券型ファンドの運用 |
2019年2月 |
843百万円 |
SBIボンド・インベストメント・マネジメント㈱の買収、子会社化 |
私募の債券型投資信託の運用 |
2019年12月 |
666百万円 |
SBI地方創生アセットマネジメント㈱の買収、子会社化 |
私募の債券型投資信託の運用 |
2019年12月 |
75百万円 |
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1,786百万円 |
(注)1 2021年4月1日にモーニングスター株式会社から株式新聞事業、サーチナ事業を会社分割によりイー・アドバイザー株式会社へ承継しております。2022年3月31日現在、イー・アドバイザー株式会社で行っている事業であります。
2 当連結会計年度において、イー・アドバイザー株式会社が計上している「のれん」の一部を当連結会計年度末時点における収益性を反映した金額まで減損処理いたしました。
「のれん」の発生要因 |
「のれん」が帰属する事業・サービス |
企業結合年月 |
「のれん」の 減損損失 |
「のれん」の 残高 |
FIGS Inc. Japan 合同会社の買収、子会社化 |
投資助言(注)2 |
2019年3月 |
50百万円 |
-百万円 |
「固定資産の減損に係る会計基準」および「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」に従い、各「のれん」が帰属する事業・サービスに「営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが継続してマイナス」などの減損の兆候の有無を把握し、減損の兆候がある場合には、減損損失の認識と測定を行います。その結果、「のれん」の減損損失が生じた場合には、当社グループの業績に影響がでます。
当連結会計年度末において、上記の「のれん」が帰属する事業・サービスに減損の兆候はありません。
当連結会計年度において、上記の「のれん」が帰属する事業・サービスの営業活動から生ずる損益はプラスであり、少なくとも今後の2連結会計年度において、「のれん」の減損損失を計上する必要が生じる可能性は小さいものと考えておいります。
(5) コンピュータシステム等のトラブルについて
当社グループは、インターネットを通じて各種評価情報を提供するとともに、ホームページへの広告の掲載や金融情報の配信を行っております。当社グループは、コンピュータシステムの拡充と安定性の確保には多大な努力をしておりますが、システムへの予想を越えるアクセス数の増加による過負荷、機器やソフトウェアの不具合、人為的ミス、回線障害、コンピュータウィルス、ハッカー等の悪意の妨害行為のほか、停電、自然災害によってもシステム障害が起こる可能性があります。
当社グループでは、さまざまなシステム障害対策を講じてはおりますが、何らかの理由により障害が発生した場合、サービス停止による収益機会の喪失、顧客やユーザーからの信頼性低下などにより、当社グループの業績に影響が出る可能性があります。
(6) 個人情報の管理について
当社グループは、事業に必要な個人情報を収集し活用しております。これらの個人情報の流出や外部による不正取得による被害の防止は、当社グループの事業にとってきわめて重要であり、当社グループではこれらの動向に注意し、顧客の利害が侵害されることのないようセキュリティ対策を講じております。過去に顧客情報の漏えいや破壊等が起こったことは認識しておらず、また、情報漏えい等により損害賠償を請求されたこともありません。しかし、今後個人情報の漏えい等があった場合、当社グループに対する信頼性低下の可能性があるほか、法的責任を問われる可能性もあり、その結果として当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。
なお、当社は、一般財団法人日本情報経済社会推進協会より「プライバシーマーク」付与認定を受けております。
(7) 当社グループの公正な中立機関としてのイメージについて
当社グループは、SBIホールディングスグループの日本における総合金融サービスの一翼を担っております。
当社グループの営業基盤は、当社グループの行う各種の比較・評価の客観性と中立性にあると考えております。したがって、ユーザーからの当社グループの事業に対する信頼性が損なわれないように、SBIホールディングスグループとの協力関係は維持しながらも、当社グループの独立性を重視して、客観的かつ公正な比較・評価情報を提供していく所存であります。
しかしながら、ユーザーが当社グループの提供する情報に関して客観性や中立性が欠如していると判断した場合や、当社グループの提供するデータや記事の信頼性が、データの間違いや不適切な引用記事等によって損なわれ、評価機関としてのイメージが低下した場合には、当社グループの業績や株価に悪影響を与える可能性があります。
(8) Morningstar, Inc.との関係について
当社は、Morningstar, Inc.との間でライセンシング・アグリーメントを締結し、Morningstar, Inc.の商標及び評価方法の使用を認められております。Morningstar, Inc.は、当社の議決権の所有割合の22.1%(2022年3月31日現在)に相当する株式を保有しており、同社の役員1名が当社の取締役を兼務しております。
仮にライセンシング・アグリーメントが何らかの理由により解消され、当社が現在使用している「モーニングスター」の商標及び評価方法が使用できなくなった場合、当社の事業運営に重大な影響を与えます。
また、当社は、Morningstar, Inc.から米国の投資信託に関する情報・データを購入・加工し、国内の金融機関等に販売しております。仮にMorningstar,Inc.から、当該情報・データが購入できなくなった場合、当社グループの業績が影響を受けることがあります。
(9) SBIホールディングスグループとの関係について
SBIホールディングス株式会社は、当社の議決権の所有割合の41.5%(2022年3月31日現在)に相当する株式を間接保有しております。連結総売上高においてSBIホールディングスグループに対する売上高が一定の割合で存在しており、SBIホールディングスグループの業績変動によって当社グループの業績に影響が出る可能性があります。また、SBIホールディングスグループの金融サービス事業戦略、当社グループと取引を行っているSBIホールディングスグループの会社の経営方針等によっては、当社グループの事業運営等に影響を与える可能性があり、特に今後相互に重複する事業が出てきた場合、当社グループによる当該事業の着手または推進に障害となる可能性があります。
(10) 新型コロナウイルス感染症による影響について
新型コロナウイルス感染症は、2021年4月に3度目の緊急事態宣言が発令されるなど、感染状況を現時点で予測しがたい状況です。
当社グループの事業・サービスのなかで、ファイナンシャル・サービス事業のセミナー関連のサービスは、新型コロナウイルス感染症による直接的な影響を受けます。
当社グループのファイナンシャル・サービス事業は、資産運用セミナーに2000人から3000人を集客できる集客力がありますが、新型コロナウイルス感染症への対応として、密閉・密集・密接の3密を避けることを求められ、前連結会計年度(2020年4月1日から2021年3月31日まで)は、対面でのセミナーの規模・回数を制限せざるを得ない状況が続き、当社グループのファイナンシャル・サービス事業の売上が減少いたしました。
当連結会計年度(2021年4月1日から2022年3月31日まで)も、対面での資産運用セミナーが開催できない状況が続きましたが、対面セミナーをオンライン中心に切り替えるとともに、対面とオンラインを合わせたハイブリッド型セミナーを開催することで、セミナーの売上とWEB広告の売上も前連結会計年度比で、増加いたしました。
新型コロナウイルス感染症による影響を受ける可能性があるセミナーおよび広告の売上が帰属するファイナンシャル・サービス事業のメディア・ソリューションは、2020年3月期の15.6%から、2021年3月期に8.7%に、2022年3月期に7.5%に減少し、既に、小さいものとなっております。そのため、新型コロナウイルス感染症が当社グループのの通期連結業績へ与える影響に、重要性はなくなってきているものと考えております。
また、 2023年3月期(2022年4月1日から2023年3月31日まで)においては、当連結会計年度より規模・回数の制限がない対面でのセミナーを開催できるのではないかと考えております。
一方、セミナー会場に集客して対面で開催するセミナーの減少による影響をカバーするため開始したインターネット上で集客するオンラインセミナーは年間3万人以上の参加者と集めるようになりました。2023年3月期もオンラインセミナーの集客に努め、メディア・ソリューションの収益基盤を拡大したいと考えております。
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