文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、経営理念として、「我々は情報技術をもって社会に貢献します。公正、創造、論理的思考を重んじて行動します」を制定しています。また、行動指針として、Speed(俊敏性)、Sensibility(感受性)、Flexibility(柔軟性)、Accuracy(精密)、Explore(探究心)を掲げ、お客様並びに社会全体のご期待に応える企業であることを目指しています。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社の経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、売上高総利益率とROE(自己資本利益率)であります。当社では、事業環境・社会情勢の変化を踏まえ、継続的で安定した事業基盤の構築に向け、強みであるストリーミング技術を基に、ネットワークからメディア配信/管理まで一気通貫で技術を提供できるエンジニアリング・サービス(受託開発)を中心とした事業方針への転換を図り、財務体質の健全性を維持しながら安定的な売上高を計上できる事業構造の実現を目指しております。また、収益性を重視し、毎事業年度において売上高総利益率50%を目標とするとともに、ROEの向上にも注力しております。
(3)経営環境
当社が属する情報通信・エレクトロニクス業界においては、5GやDX(デジタルトランスフォーメーション)をはじめとする技術革新が急速なスピードで進行し、様々な産業に影響を与えております。これらのIT技術は全ての産業において高度化のための基盤技術になると考えられており、新たな製品やサービスの創出、飛躍的な利便性向上などが期待されています。
これら5GやDXの進展には、高速・大容量・超低遅延・同時多数接続を実現する情報通信技術が不可欠です。特に通信ミドルウェアをはじめとする要素技術は、ネットワークそのものが単なる伝達手段としてではなく、あらゆるモノを繋げるための情報伝達路としての重要性が益々高まる中、全ての産業における技術革新を支える共通の基盤技術と位置付けられ、ストリーミング技術とネットワーク技術が極めて重要な役割を担うことが想定される経営環境にあります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題として、以下の点を認識しております。
・エンジニアリング・サービスの事業規模拡大について
5GやDX時代における高速・大容量・超低遅延・同時多数接続を可能とするシステム開発には、ストリーミング技術が必要不可欠となります。当社は、ストリーミング・ネットワーク関連プロトコルスタック開発で長年培ったストリーミング技術をコアコンピタンスとして、組込みソフトウェアやシステム開発を、要件定義から設計・実装、各種標準規格提案、アプリケーション開発、検証環境構築まで一気通貫で技術提供が可能であり、一般の受託開発とは一線を画するエンジニアリング・サービス(受託開発)による経営の安定化を進めて参りました。
この事業方針により、お客様の開発計画を実現する付加価値の高いエンジニアリング・サービスの提供に加えて、ストリーミング製品(ソフトウェア製品、システムプラットフォーム製品)を有機的に組み合わせることで、お客様と一体となった開発業務を担うことが可能となります。
さらなる事業規模の拡大実現に向けて、戦略的なターゲットの選定ならびにお客様固有の開発ニーズに即したソリューション提案力強化が、重要な課題であると認識しております。
・人材に関する取組みについて
エンジニアリング・サービスを中心とした持続的な成長のためには、優秀なエンジニアの採用・人材育成が課題となっております。当社では日々進化する情報通信技術やお客様の開発ニーズに的確に対応出来るエンジニアの採用に努めるとともに、外部委託先との連携により多様な知識・経験を自社に取り込むことで、先端技術の習得と新製品・新サービスの企画・開発・品質管理を担うことのできる付加価値の高い人材育成に取り組んでおります。また、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用等の多様性(ダイバーシティ)確保に関して、能力や適性などを総合的に評価して管理職に登用する等の課題にも取り組んでおります。
・財務体質の強化について
当社は、財務面において、収益力向上と営業キャッシュ・フローを重要視した運営管理を徹底することで、繰越損失の早期解消に向けた努力を積み重ねております。また、繰越損失の早期解消実現後を見据えて、純資産をより充実させ、不測の事態が発生した場合でもお客様や株主の皆様にご安心いただけるような強固な財務体質を維持・強化させていくことが重要な課題であると考えております。
・新型コロナウイルス感染症について
新型コロナウイルス感染症の終息には、なお時間を要することが懸念されており、先行き不透明な状況は当面継続していくものと考えております。当社のお客様においても開発プロジェクトの延期や見直しを余儀なくされており、さらに緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の断続的な発出により、展示会等のイベントの中止やお客様訪問の制限なども続いております。当社としては、全従業員を対象としたリモートワークの積極的な利用促進、オンライン会議の積極的な活用による効率的な事業活動を継続しております。今後も引き続き新型コロナウイルス感染症への対策を講じつつ、事業活動への影響を最小化することが課題であると認識しております。
お知らせ