事業等のリスク

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

・顕在化した場合の影響が大きいリスク

(エンジニアリング・サービスのリスク)

当社では、事業環境・社会環境の変化を踏まえ、マクロ環境に影響されにくい企業体質構築を目指して、エンジニアリング・サービスを中心とした事業構造への転換を目指し、積極的な事業活動を展開しておりますが、転換に遅れが生じた場合、またはエンジニアリング・サービスの受注獲得が計画通りに進まない場合、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

また、エンジニアリング・サービスは、請負契約に基づく受託開発業務として、受注時に諸要件を確認し、開発工数及び外注金額等を慎重に精査した後にお客様との契約に至りますが、事業の性格上、その際に精緻な要件・開発工数等の見積りが困難となる事象が発生する場合があります。そのため、開発着手後の諸要件の変更、もしくは開発工数及び外注金額の増加により、受注時に想定した利益水準が変動したり、不採算プロジェクトが発生することで、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

なお、エンジニアリング・サービスにおける受注金額は、景気動向やお客様の業種、同業他社との競争、技術革新のスピードへの対応度合い等に左右されます。自社の強みであるストリーミング技術を提供し、お客様との中長期的な取引関係の維持・拡大を実現すべく努めてまいりますが、競争力のある技術水準を維持できず、お客様の要求水準を満たすことが出来なくなる場合や同業他社との競争が激化した結果、十分な利益水準を維持出来なくなる場合には、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(ストリーミング製品のリスク)

当社のソフトウェア製品は、IPv6対応品をはじめとしてお客様より高いご評価をいただいており、長年培った技術に基づくONVIFなどの通信規格に準拠する製品は、需要先の各業界に幅広くご利用いただいておりますが、新製品開発やバージョンアップ製品の市場投入が遅れた場合、通信規格の普及に際して市場が未成熟な状態が続く場合、またはターゲットとする市場の急激な需要の変化が起きた場合には、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

システムプラットフォーム製品については、保有する通信ミドルウェア技術を応用する映像連携ソリューション・パッケージ製品として、カメラ映像とデータ機器の相互連携プラットフォームである「FA Finder」などを開発・販売しております。しかしながらFA業界向けや食品加工業界向けの販売は需要先の業績や設備投資動向に大きく影響を受ける傾向にあり、長期的な不況や設備投資抑制、または為替変動や素材価格の変動によりこれらの製品の部材価格の上昇が当社の企業努力のみでの吸収が困難となった場合、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(情報通信・エレクトロニクス業界依存による変動リスク)

当社のエンジニアリング・サービスとストリーミング製品の主な需要先は、国内の情報通信・エレクトロニクス業界を中心に、自動車、監視・見守り、産業機器、オフィス機器、医療、交通インフラ等、様々な産業分野に広がっております。当社の事業は同業界における設備投資の動向ならびに商品ライフサイクル等に影響され、また循環的に発生する半導体業界全体の景気変動にも影響を受ける可能性があります。それぞれのお客様の経営状態や事業戦略の変化をタイムリーに把握することで、事業変動リスクを縮小化する努力を続けておりますが、大幅な為替変動、地政学的リスク、新型コロナウイルス感染症等により、産業分野全体に影響を及ぼす可能性があります。

当社ではこれらの変動要因に対処するため、事業構造を強固なものにするための改革を推進しておりますが、予期せぬ突発事象により情報通信・エレクトロニクス業界からの需要動向が急激に変化した場合には、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。しかしながら、当社のエンジニアリング・サービスは、受注・開発・納品・検収までが比較的短期間で完結する開発案件も多く、短期的な景気動向等に左右される可能性は比較的低いと考えております。

 

(品質問題に起因するリスク)

当社のエンジニアリング・サービスでは、お客様の開発要件に基づいてソフトウェアの受託開発を行う際に、納期遅延を無くすように日常のモニタリング業務やプロセス管理による品質管理を徹底しておりますが、当社の責による品質不良から損害賠償が発生し、当社が加入している各種損害賠償保険で損害賠償額を十分にカバー出来ない場合、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

当社自社開発製品については、品質維持・性能向上に向け、日々注力しておりますが、当社の責による品質不良から損害賠償が発生し、当社が加入している各種損害賠償保険で損害賠償額を十分にカバー出来ない場合、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(技術革新への対応に関するリスク)

当社が強みとするストリーミング技術およびストリーミング製品に関しては、技術革新のスピードが極めて速く、最新技術を常に習得し続けるための研究開発活動が重要となります。お客様のニーズを的確に捉えた新製品開発や既存製品のバージョンアップを継続的に実現していくことが安定的な成長に繋がることからも、将来に向けた投資活動として、自社エンジニアに対する技術研究費や研修活動費を戦略的に投入していく予定ではありますが、技術革新のスピードに追い付けない場合、あるいは投資額に見合う収益水準を確保出来ない場合、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

・顕在化した場合の影響が中程度のリスク

(人材の確保に関するリスク)

エンジニアリング・サービスにおいて、お客様のニーズを適時適確に捕捉するためには、関連する技術・知見を有した優秀な人材を常時確保しておく必要があります。IT人材不足が慢性化する中、当社では新卒・中途採用に積極的に取り組むとともに、エンジニアへの技術教育や健康管理の推進等を通じて、離職防止に努めるとともに、高い技術力を保有する協力会社との長期的な取引関係の維持・強化にも努めておりますが、事業拡大に必要な人材を適切に確保・育成ができない場合には、受注機会の逸失につながる等、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(機密情報および個人情報の管理に関するリスク)

当社は、エンジニアリング・サービスを通じて入手したお客様の機密情報や技術情報、自社開発のストリーミング製品など、重要な機密情報を保有しております。また、お客様、株主、従業員等に関する個人情報も多数保有しております。当社はかねてより情報セキュリティを重要責務のひとつと位置付け、社内情報システム整備、機密保持契約、情報セキュリティ基本方針およびガイドライン制定を進めております。更に、情報セキュリティに関する定期的な社内周知と社員教育にも取り組み、適切な情報資産の管理に対する従業員の意識向上にも努めております。しかしながら予期せぬシステム障害、外部からの不正アクセス、その他不測の事態による情報資産の流出等が発生した場合、当社に対する信用の失墜等により、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(繰延税金資産について)

当社は、税効果会計に係る会計基準に基づいて、将来の合理的な期間における課税所得の見積りを行い、繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討した上で繰延税金資産の計上要否を判断しております。

当事業年度末においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が今後も一定期間続くと考えられ、終息が見通せない状況にあること、及びエンジニアリング・サービス主体の事業構造への転換途上であるため、翌事業年度の事業計画の達成可能性に不確実性が存在すること等を踏まえ、中長期的に不確実性が高い状態が続くと想定されることも考慮し、一定のストレスを負荷した課税所得見積額とすることが合理的な算定に寄与すると判断し、繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りを行っております。

また、当該見積り及び仮定について、将来の不確実な経済条件の変動により見直しが必要となった場合は、翌事業年度の財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に影響を与えることとなり、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(ガバナンスの不備に起因するリスク)

当社の事業活動において、法規制の他、事業を推進する上で遵守すべき事項の周知徹底を日常より図っておりますが、コーポレート・ガバナンスの不備に起因した不正行為、コンプライアンス違反が発生した場合、当社が損害を受ける、または損害賠償責任が生じ、当社の業績及び財政状態、さらに社会的信用に影響を与える可能性があります。

 

(訴訟・その他紛争のリスク)

当社の事業活動において、製造物責任、債権債務、労務問題等について訴訟を提起されたり訴訟を起こしたりする場合があり、また訴訟に至らない係争が発生する場合があります。これらの動向によっては当社の業績及び財政状態、さらに社会的信用に影響を与える可能性があります。

 

(自然災害のリスク)

当社の本社および主要開発拠点は横浜市にあり、当地域において大規模災害が発生したことにより事業拠点が被害を受けた場合、エンジニアリング・サービスを円滑に運営できなくなる可能性やストリーミング製品の開発が滞る可能性があります。このような場合は当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(気候変動に伴う環境変化や社会変革への対応リスク)

我が国では、2050年までに温室効果ガスを全体としてゼロにするカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを国際社会に宣言しており、今後ルール変更を伴う社会システムの変化が予測されています。その中でカーボンプライシングが導入された場合、電力価格の上昇や、様々な製品・サービスへの課税措置が採用され、直接的なコスト圧迫要因となり、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(新型コロナウイルス感染症拡大のリスク)

新型コロナウイルス感染症が世界的規模で拡大し続け、経済活動停滞が引き続き長期化した場合、お客様における開発プロジェクトの延期や見直しに繋がり、当社エンジニアリング・サービスやストリーミング製品の商談が滞る可能性があります。また当社役員・従業員への感染拡大により事業所が閉鎖となり、一時的に事業の継続が困難となる可能性があります。当社としても最大限の新型コロナウイルス感染防止策を講じておりますが、このような事態が発生した場合、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

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