業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴う緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置が断続的に実施されるなど、経済活動は制限されたものの、ワクチン接種が進んだことに伴い、徐々に経済活動の正常化に向けた動きがみられました。

 しかしながら、国際的な半導体不足やロシアのウクライナ侵攻に起因する資源価格の高騰、サプライチェーンの混乱など、今後も依然として不透明な状況が続くものと予想されます。

 このような経済状況のもと、当社グループは引き続きテレワークや時差通勤、オンラインでの商談や顧客フォローなどを積極的に推進することで、従業員及び顧客等の安全確保を優先するとともに、主要事業の会員数の増加およびサービス内容の拡充と業務の効率化に取り組んでまいりました。

 

(財政状態)

 収益認識会計基準等を適用したため、前連結会計年度の連結貸借対照表において、「流動資産」に表示していた「受取手形及び売掛金」は、当連結会計年度より「受取手形、売掛金及び契約資産」に含めて表示することとしました。なお、収益認識会計基準第89-2項に定める経過的な取扱いに従って、前連結会計年度について新たな表示方法による組替えを行っておりません。

(ⅰ)資産

当連結会計年度末における流動資産は54億75百万円となり、前連結会計年度末に比べ13億42百万円増加しました。これは主に現金及び預金が7億83百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が4億36百万円、有価証券が1億円増加したことなどによるものです。

固定資産は65億77百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億66百万円増加しました。これは主にソフトウエアが7億61百万円、繰延税金資産が1億29百万円増加したことなどよるものです。

この結果、総資産は120億52百万円となり、前連結会計年度末に比べ23億8百万円増加しました。

(ⅱ)負債

当連結会計年度末における流動負債は27億81百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億33百万円増加しました。これは主に未払法人税等が3億86百万円、賞与引当金が2億64百万円、その他(流動負債)が5億12百万円増加したことなどによるものです。

固定負債は1億30百万円となり、前連結会計年度末に比べ15百万円増加しました。これは主に退職給付に係る負債が15百万円増加したことなどによるものです。

この結果、負債合計は29億12百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億48百万円増加しました。

(ⅲ)純資産

当連結会計年度末における純資産合計は91億40百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億59百万円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益15億48百万円が計上された一方、剰余金の配当4億21百万円が計上されたことなどによるものです。

この結果、自己資本比率は75.8%(前連結会計年度末は81.7%)となりました。

なお、特筆すべき重要な資本的支出の予定及びそれに伴う資金の調達は当面ありません。

 

(経営成績)

 当連結会計年度の経営成績は、売上高108億75百万円(前連結会計年度比33.2%増)、営業利益22億43百万円(同84.0%増)、経常利益22億56百万円(同82.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益15億48百万円(同83.6%増)となりました。

 なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

 セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

(ⅰ)アカウンティングサービス事業

 アカウンティングサービス事業は、生命保険営業職員を中心とする個人事業主及び小規模企業に対する経理代行を中心とした会計サービスになります。同事業では、訪問を伴う営業活動は引き続き一部制限を受けておりますが、許容された地域において積極的な営業活動を行うと共に、各生命保険会社が新入社員向けに随時行っている研修への参加などで営業機会を得ました。その結果、当連結会計年度末(2022年3月31日)の会計サービス会員数は77,509名(前連結会計年度末比4,225名増)となりました。

 この結果、アカウンティングサービス事業における当連結会計年度の売上高は36億63百万円(前連結会計年度比6.3%増)、営業利益は11億13百万円(同9.6%減)となりました。

(ⅱ)コンサルティング事業

 コンサルティング事業は、中堅中小企業の総務経理部門に対して各種情報を提供する「エフアンドエムクラブ」、ISO及びプライバシーマークの認証取得支援、「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」をはじめとした補助金受給申請支援等になります。

 「エフアンドエムクラブ」については、2022年3月末時点で192行庫の地域金融機関と連携契約しております。これを更に推し進めると共に、コロナ融資制度の返済据え置き期間の終了に伴い返済負担が増加する企業や、事業の見直しや新たな事業展開のため、事業計画の作成や補助金活用を検討する経営者に対して、財務面の情報提供や支援に重きを置いた提案を行うことで営業機会の増強に努めました。会員企業向けには、引き続きサービスのオンライン化を進めることで活用の利便性を高め、定期的また自発的に利用できるサービス提供体制の整備を進めました。その結果、当連結会計年度末(2022年3月31日)のエフアンドエムクラブ会員数は7,598社(前連結会計年度末比852社増)となりました。

 ISO及びプライバシーマークの認証取得支援については、食品事業者全般にわたって義務化が進められているHACCPに加え、主に自動車部品メーカーでのISO9001の需要への対応に注力しました。

 「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」をはじめとした補助金受給申請支援については、令和元年度補正予算・令和2年度補正予算「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」として、当連結会計年度では6次、7次、8次、9次締切の申請支援を行いました。その結果、9次締切分までに採択されたのは268件となりました。また、「事業再構築補助金」については5次締切までの申請支援を行いました。その結果、4次締切で採択された141件を合わせ、4次締切までに採択されたのは389件となりました。なお、5次締切の採択結果は発表を待っている状態です(2022年3月31日現在)。

 

補助金名

締切

採択数

ものづくり補助金

6次

75件

7次

50件

8次

83件

9次

60件

事業再構築補助金

1次

 33件

2次

110件

3次

105件

4次

141件

5次

※ 採択結果は発表を待っている状態です(2022年3月31日現在)。

 

 この結果、コンサルティング事業における当連結会計年度の売上高は48億23百万円(前連結会計年度比62.3%増)、営業利益は20億58百万円(同95.3%増)となりました。

(ⅲ)ビジネスソリューション事業

 ビジネスソリューション事業は、士業向けコンサルティング、及び企業・士業向けITソリューションの提供等になります。

 士業向けコンサルティングは、認定支援機関である税理士・公認会計士事務所の対応力向上を支援する「経営革新等支援機関推進協議会」等となります。

 「経営革新等支援機関推進協議会」では、コロナ禍によって強まった中小企業からの優遇税制・財務支援要請への対応ノウハウを必要とする税理士・公認会計士からの継続的なニーズが、営業機会の確保につながりました。会員事務所向けには、会員専用サイトをリニューアルしてコンテンツを拡充させると共に、表彰制度などを取り入れることにより積極的な活用を促進しました。その結果、当連結会計年度末(2022年3月31日)の「経営革新等支援機関推進協議会」の会員数は1,548件(前連結会計年度末比359件増)となりました。

 企業・士業向けITソリューションの提供としては、人事労務クラウドソフト「オフィスステーション」シリーズの販売となります。「オフィスステーション」シリーズは、社会保険労務士や税理士向けの「オフィスステーション Pro」、マイナンバー管理ができる「オフィスステーション マイナンバー」、各種労務関連手続きを電子申請できる「オフィスステーション 労務」、同プロダクトの機能を一部制限し無料で提供している「オフィスステーション 労務ライト」、ペーパーレスで年末調整が完了する「オフィスステーション 年末調整」、各種情報端末からいつでも給与明細を閲覧できる「オフィスステーション 給与明細」、有休の付与・取得・残日数管理を行える「オフィスステーション 有休管理」で構成されています。

 コロナ禍によりテレワークが急速に浸透したものの、これまで対面でのやりとりが中心となっていたことから、日本企業は欧米企業と比較して未だにペーパーレス化が進みにくい状況ではあります。しかしながら、テレワークの浸透に加え、2022年1月に行われた電子帳簿保存法の改正など政府が進めるデジタル化構想により、ペーパーレス化を推進することで本来注力すべき業務に取り組める環境を整備したいとする企業は増加傾向にあります。それを実現させる一つの手段として、「オフィスステーション 労務」は入退社手続きを始めとした労務手続きに関する従業員とのコミュニケーションや、社内のワークフローが全て完結できる点、「オフィスステーション 年末調整」や「オフィスステーション 給与明細」は従業員と企業担当者の双方が享受できるメリットが見えやすい点において、HR領域のペーパーレス化に取り組みやすいプロダクトとなります。また、アラカルト型であることから、企業が利用中のシステム機能と重複せず効率的な運用ができ、またバックオフィスのIT化をスモールスタートで始めたいとする企業のニーズにも対応することができます。こうした背景もあり、最新のデロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社による『HRTechクラウド市場の実態と展望 2021年度版』では、労務管理クラウド出荷社数で2年連続シェアナンバーワンとなりました。その結果、当連結会計年度末(2022年3月31日)の「オフィスステーション」シリーズの利用は、企業が19,381社(前連結会計年度末比6,081社増)、士業が2,168件(同374件増)となりました。

 この結果、ビジネスソリューション事業における当連結会計年度の売上高は20億32百万円(前連結会計年度比40.1%増)、営業損失は12百万円(前連結会計年度は3億38百万円の営業損失)となりました。

(ⅳ)不動産賃貸事業

 不動産賃貸事業は、当社が所有するオフィスビルの賃貸収入で安定した収益を計上しております。当連結会計年度の売上高は1億10百万円(前連結会計年度比0.0%増)、営業利益は34百万円(同4.4%増)となりました。

(ⅴ)その他事業

 その他事業は、連結子会社エフアンドエムネット株式会社のシステム開発事業、パソコン教室の本部運営及びFC指導事業等になります。

 エフアンドエムネットでは、「オフィスステーション」シリーズを中心としたエフアンドエムが販売する商品などのグループ内向け開発が大部分を占めました。

 パソコン教室の本部運営においては、業績不振が続いていた直営店を6月に1店舗閉鎖し、採算店舗での収益力向上に努めました。

 この結果、その他事業における当連結会計年度の売上高は2億45百万円(前連結会計年度比32.8%増)、営業利益は22百万円(同79.9%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当社グループの資本政策は、安定的・継続的な利益還元に努めると共に、収益性向上を図るため、企業価値向上につながる投資を行うことを基本方針としています。

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ7億83百万円増加(前年同期比22.3%増)し、42億89百万円となりました。

 当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、得られた資金は28億81百万円(同68.6%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益22億58百万円、減価償却費7億53百万円、その他の流動負債の増加3億75百万円などがあった一方、売上債権の増加4億41百万円、法人税等の支払4億69百万円などがあったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は17億円(同29.5%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出1億78百万円、無形固定資産の取得による支出14億6百万円、投資有価証券の取得による支出2億13百万円などがあったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、使用した資金は3億97百万円(同5.7%減)となりました。これは主に配当金の支払4億21百万円などがあったことによるものです。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 該当事項はありません。

b.受注実績

 該当事項はありません。

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

アカウンティングサービス事業(千円)

3,663,907

106.3

コンサルティング事業(千円)

4,823,138

162.3

ビジネスソリューション事業(千円)

2,032,567

140.1

不動産賃貸事業(千円)

110,101

100.0

報告セグメント計(千円)

10,629,715

133.2

その他(千円)

245,361

132.8

合計(千円)

10,875,076

133.2

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 主要3セグメントにおいては、いずれも会員制ビジネスであるため、主たる売上は会費収入となります。売上高の伸長は会員数の増加と原則的に比例するため、会員数を安定的に増加させることが、事業の成長には不可欠な要素となります。また、収益力の向上を図ることが優先課題であると認識していることから、売上高営業利益率と売上原価率を注視し、その変動要因の把握に努めております。これらについてのセグメントごとの具体的な取り組みと振り返りは次の通りとなります。

[アカウンティングサービス事業]

 主なマーケットである生命保険営業職員のチャネルで会員数が増加しました。なお、同営業職員数は16.5万人(2020年度月平均実働数 出所:株式会社保険研究所『インシュアランス生命保険統計号(令和3年版)』)であり、今後も拡大の余地は十分に見込めるものと考えております。いずれの生命保険会社においても年間を通して積極的な採用活動を行うことはコロナ禍においても継続しており、随時新入社員向けの研修が実施されています。生命保険営業職員は個人事業主であり、個人で納税の手続きが必要であることについて、研修で詳細の説明を受けることになりますが、当社が確定申告やそのために必要な事柄についての研修を担当することで営業機会の確保に努めております。研修では当社で開発したアプリを活用し、確定申告についての理解を深めていただいた上で、自分で対応するのが難しいと判断された方が、当社サービスをスムーズご利用いただけるよう提案に繋げております。また、契約に関する一連の手続きはオンラインで完結できるようシステム開発を行い、対面に限らない営業手法を確立することで、より効率的な営業活動を実現させました。

 同サービスの解約は生命保険会社を退職することによるものが大部分を占めますが、当連結会計年度においては前期に各生命保険会社において、一定期間給与補償が行われたことで退職による解約が抑制されたことが一服し、解約件数は巡航速度に戻りました。一方で、新入社員向けの研修で営業機会を確保する取り組みを深耕拡大できたことが新規顧客獲得に繋がり、売上高の伸長に貢献しました。

 利益を押し下げた要因としては、コロナ禍の影響で制限を受けていた訪問を伴う活動を再開したことにより営業活動費が増加したこと、また生命保険営業職員の活動量も増加したことで当社が経理代行する帳票が多くなり、処理費の増加につながったことなどが挙げられます。

 また、AIの活用による処理工程の業務効率化を進めました。AI学習には相応の時間を要するため、現時点で劇的な費用圧縮には貢献しておりませんが、今後その効果は着実に現れるものと考えております。またAI処理の精度を向上させることにより、シェアードサービスやアウトソーシングを希望する企業の受け皿として機能し、新たな売上を創出していきます。

[コンサルティング事業]

 ベースとなる収益は、エフアンドエムクラブ等の会費売上によるものです。売上拡大には、会員数の増大が必要であるため、新規会員企業獲得のための営業活動を強化すると共に、長くサービス利用を継続していただくための取り組みが重要であるとして、契約継続率に注目しております。持続化給付金の後継として創設された「事業再構築補助金(中小企業等事業再構築促進事業)」への関心度合いは減速することが無く、引き続き多数の問い合わせがあったことが営業機会の増強に繋がり、新規契約数を順調に伸長することができました。また、下半期においてはコロナ融資を受けた企業を中心に返済負担が増加する企業からの財務面での支援についての引き合いが多くなったことが、提案の新たな切り口となりました。会員企業に向けては引き続きサービスのオンライン化を進めることで活用の利便性を高め、定期的また自発的に利用できるサービス提供体制の構築を進めました。これにより利用継続率を改善したことが会員数の増加に貢献し、売上を押し上げました。

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

期末会員数

増減数

期末会員数

増減数

期末会員数

増減数

エフアンドエムクラブ会員数

6,379

171

6,746

367

7,598

852

 一方で「ものづくり補助金」及び「事業再構築補助金」をはじめとした補助金受給申請支援については、申請数・採択数ともに過去最高を更新し、計画を大きく上回ったことが売上を押し上げました。

 営業機会の増強にはパートナーとなる地域金融機関との連携が重要となりますが、活動実績を高く評価いただいていることから業務提携の締結は順調に進み、業務提携済みの地域金融機関は1年間で29行庫増え、192行庫となりました。今後も開拓を進めると共に、稼働促進のための取り組みを積極的に行うことで営業活動を活性化させていきます。契約継続率については、経営力向上計画の策定支援を行うことで会員企業ごとに改善及び強化すべき課題を明確にしてゴールを共有いたします。またタイムリーに個社の状況を把握する取り組みを仕組み化することにより、伴走型支援を深化させることで継続率の改善が実現するものと見込んでおります。

 エフアンドエムクラブの拡販は地域金融機関との連携によるところが大きいため、それに伴う手数料の支払いが発生しますが、あくまでも変動費であり、営業基盤と販売力強化のためには必要な費用だと認識しております。昨今のウクライナ情勢の緊迫化等による原油価格・物価高騰等は、中小企業にコロナ禍に加え更なる経済環境の悪化をもたらしております。これに対応するため「事業再構築補助金」については1,000億円の追加予算が発表されました。これにより地域金融機関と共に、より多くの申請を行いたい多くの企業の支援が可能となり、営業機会の増強につながります。翌期は更なる「エフアンドエムクラブ」の営業活動強化と、各補助金の申請支援をより数多く行うことが業績に貢献する見通しです。

[ビジネスソリューション事業]

 税理士・公認会計士事務所向けサービスである「経営革新等支援機関推進協議会」の会員獲得は、「経営革新等支援機関」の認定を維持・更新するための実績作りや、コロナ禍によって強まった関与先企業からの優遇税制・財務支援要請への対応ノウハウを必要とする税理士・公認会計士事務所からの継続的なニーズが、営業機会の確保に繋がりました。また、会員事務所向けのサービス提供は、会員専用サイトをリニューアルしてコンテンツを充実させ、表彰制度や認定制度を取り入れることでサービス利用を自走化したことが生産性向上に寄与しました。

 「オフィスステーション」シリーズの拡販については、コロナ禍により急速に浸透したテレワークへの対応や生産性向上の一環としてペーパーレス化を推進する企業が増加傾向にあることが追い風となりました。中でも年末調整業務はIT化することで従業員と企業担当者の双方が享受できるメリットが見えやすく、導入に向けて前向きな企業が多いという背景があります。年末調整は時期が決まっているため、拡販は通年ではなく商談が進みやすい時期に集中的に取り組む体制で臨みましたが、それが充分でなかったことが「オフィスステーション 年末調整」の拡販が期首計画を下回った要因です。一方で、士業事務所向けの「オフィスステーション Pro」は使い勝手が評価され顧問先企業に対する販売が進んだこと、追加した給与計算機能が給与計算から電子申請までの手続きを一気通貫で行いたいという社会保険労務士からの要望にマッチしたものであったことにより、計画を上回って進捗しました。また、広告宣伝活動に関する費用を減額したことにより前期と比べてマイナス幅は縮小したものの、営業損失を継続しております。しかしながら、昨今のHR領域におけるIT化の勢いは類例のないことであり、またとない大きなビジネスチャンスであるため、費用を投下することが今後の事業展開において不可欠であると考えております。翌期は客足が戻った展示会への出展を積極的に行う計画としており広告宣伝費は増額となりますが、有効リードの獲得などの成果を見極めて費用投下を行ってまいります。加えてARRとLTVの最大化に向けて、カスタマーサクセスを強化いたします。また、「オフィスステーション」シリーズは利便性向上のため、機能追加や新しいプロダクトの開発を継続して行うことから、その減価償却費が売上原価率を押し下げる要因となりますが、開発計画については内容を十分精査することでコストコントロールを行います。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループは、強固な財務体質を保持しつつ、企業価値向上に資する成長投資を行うべく、戦略的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としています。強固な財務体質の維持については、自己資本比率を指標としております。当連結会計年度の自己資本比率は75.8%と、リスク耐性及び健全性において問題のないレベルだと認識しておりますが、新型コロナウイルスやウクライナ情勢の影響により社会経済活動や事業環境の先行きは見通しづらい状況が続いているため、キャッシュ・フローの状況を注視しつつ財務規律を堅持してまいります。

 経営資源の配分については、収益力の高い既存事業の強化・成長に貢献する投資と、事業経営の基盤である人材採用及び育成への投資を最優先しながら、生産性向上のためのIT活用及び新規事業育成のための投資も継続して行います。投資については、フリー・キャッシュ・フローを有用な指標と考えております。当社グループではフリー・キャッシュ・フローを、営業活動により獲得されたキャッシュ・フローと投資活動により支出されたキャッシュ・フローの合計として定義しております。この指標は戦略的投資や負債返済に充当可能な資金の純額となると考えており、以下の通りフリー・キャッシュ・フローを算出しております。

(単位:百万円)

 

2021年3月期

2022年3月期

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

1,708

2,881

1,172

投資活動によるキャッシュ・フロー

△1,313

△1,700

△387

フリー・キャッシュ・フロー

395

1,180

784

 当連結会計年度においては、EBITDAの増加がキャッシュ・インを押し上げたものの、「オフィスステーション」シリーズの開発を継続したことでキャッシュ・アウトを増加させました。ビジネスソリューション事業は翌期にはまだ全社業績に大きく収益貢献するには至りませんが、同セグメント単体では営業黒字に転じる計画としております。企業規模を問わずHR領域で急速なIT化が進んでいることは「オフィスステーション」シリーズの拡販にとって追い風であり、成長力・収益力の両面から今後の成長エンジンと考えております。着実な拡販や収益力の強化に万全を期すことで、投資回収をしてまいります。その他のセグメントも含め、利益成長によるキャッシュの創出力を高めながら、資本コストと財務の柔軟性のバランスを考慮した資本構成を維持してまいります。

 資金調達については、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保と財務の健全性・安定性維持を基本方針としております。当社グループのビジネスモデルでは大型の設備投資は発生しないため、そのための資金調達の必要性はありませんが、事業展開に伴う資金需要には機動的に対応するため、充分な現金及び現金同等物を保有しています。現金及び現金同等物の保有額については厳密な目標を設けておりませんが、金融情勢などを考慮しつつ、安全性ならびに流動性の高い短期金融商品を中心に運用しています。

 株主還元については、安定的・継続的な利益還元に努めていくことを原則とし、事業活動を通じて創出した利益を成長分野へ投資することで、長期的なEPSの成長に応じた配当水準の向上に努めてまいります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

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