業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

 

前連結会計年度

(自 2020年1月1日

2020年12月31日)

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

2021年12月31日)

対前年同期比

(増減額)

対前年同期比

(増減率)

連結売上高

15,674百万円

18,489百万円

2,815百万円

18.0%

営業利益

2,270百万円

1,441百万円

△829百万円

△36.5%

経常利益

2,272百万円

1,468百万円

△803百万円

△35.4%

親会社株主に帰属する当期純利益

1,435百万円

551百万円

△884百万円

△61.6%

 

 

2011年11月に提供を開始したクラウドサービス「cybozu.com」は、ご利用いただいている契約社数が48,000社、契約ユーザーライセンス数が210万人を突破し堅調に推移しております。当社グループでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴い、社内外への感染防止と全従業員の安全確保を最優先とすべく、引き続き在宅勤務を中心に業務を行っております。従来からテレワークをはじめ柔軟な働き方に対応した業務環境の整備等を推進していたということもあり、営業活動及び採用活動や、自社製品の開発計画やクラウドサービス基盤の運用・保守体制等についても大きな変更はなく、現時点において新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による事業活動、業績及び会計上の見積り等への重大な影響はないと考えております。

このような状況下において、当連結会計年度の連結業績につきましては、クラウドサービス「cybozu.com」上で提供するサービスの売上が引き続き積み上がり、連結売上高は18,489百万円(前期比18.0%増)となりました。このうち、クラウド関連事業の売上高は15,058百万円(前期比26.1%増)となっております。利益項目につきましては、前連結会計年度に比べ従業員数増加等による人件費の増加や、主に主力製品である「kintone」の認知度向上のため、TVコマーシャル等の積極的な広告宣伝投資を継続しており、広告宣伝費の増加等があったことから、営業利益は1,441百万円(前期比36.5%減)、経常利益は1,468百万円(前期比35.4%減)となりました。また、法人税等計上後の親会社株主に帰属する当期純利益は551百万円(前期比61.6%減)となりました。

なお、当社グループ(当社及び連結子会社)の報告セグメントは「ソフトウェアの開発、販売」のみであり、その他の事業セグメントは開示の重要性が乏しいため、セグメントごとの記載を省略しております。

 

 

①主な製品・サービスの経過及び成果

前期から引き続きクラウドサービスの成長や認知拡大のための投資やエコシステムの拡大・強化に努めてまいりました。特にエコシステムについては、2021年12月末時点でパートナー企業の数は約350社、パートナー企業が提供する連携サービスは約300サービス以上と、エコシステムによるビジネスが堅調に拡大しており、クラウド関連事業の売上高の60%がパートナー経由の売上となり、パートナー販売割合が年々増加しております。さらに、2021年1月には、オフィシャルパートナープログラムを「Cybozu Partner Network」としてリニューアルしました。当社では2002年より「サイボウズオフィシャルパートナープログラム」を設定し、当社製品・サービスの拡販や構築に携わる企業向けの支援を行ってまいりました。この度のプログラムのリニューアルでは、クラウド時代にふさわしいパートナー企業への情報発信や支援内容を強化することで、顧客に対する当社製品の提案・構築をより一層促進することを目的としています。

 

○業務アプリ構築クラウドサービス「kintone」

主力製品である「kintone」は、前期に引き続き認知度向上のためTVコマーシャル等積極的に広告展開を行い、業務改善に役立つクラウドサービスとして認知度を向上してまいりました。2021年末時点の国内契約社数が23,000社となり順調に推移しております。売上高については連結ベースで前期比39.7%増となりました。エンタープライズ領域のDX(デジタルトランスフォーメーション)の手段としてローコードツールの採用が進む中、「kintone」はプログラミングの専門知識がなくても容易にシステムを構築できるという特性から「現場の人が主体の業務改善」を支援するツールとして利用が拡大しています。

このように「kintone」の利用が拡大する中、当期は前期に引き続き自治体への導入が拡大し、2021年12月末時点での自治体導入数は140となりました。東京都では医療従事者等向けの新型コロナワクチン接種の管理業務をはじめ、全庁的に活用していただいており、2021年8月に公表された「シン・トセイ加速化方針」の中でも「kintone」を活用し全庁的な情報共有や業務効率化を実現していく方針が打ち出されております。さらに、神奈川県、広島市などに新型コロナウイルス感染症対応業務で「kintone」を採用していただき、北九州市とは「kintone」を活用した全庁的なDX推進を実現するための連携協定を締結するなど幅広い活用が進んでおります。また、「kintone」を活用した様々な成功事例やノウハウを自治体間でシェアしていただけるように、自治体間をつなげるコミュニティ「GovTech kintone Community」の運営を開始し、200自治体・500名を超える自治体職員に参加していただいております。

さらに、新たな販売パートナーチャネルの拡大として、地方銀行との連携を強化しています。具体的には、銀行内にICTコンサルティング専門部門を設置していただき、当社は当該ICTコンサルティング部門へ向けて「kintone」研修等を実施し、顧客へのコンサルティング提案をサポートしています。現在全国10行の地方銀行と協業しており、実働約4年間で地方銀行によるコンサルティングにより約300社に「kintone」を中心としたサイボウズ製品を導入いただいております。引き続き、IT活用提案を通じて、地方中小企業の生産性向上や働きやすさの実現に向けて活動してまいります。

 

○その他の製品・サービス

各製品ともにクラウドサービスの販売が順調に増加しました。中小企業向けグループウェア「サイボウズ Office」では2021年12月末時点の国内累計導入社数が72,000社となり、売上高の79.3%がクラウドサービスとなりました。中堅・大規模組織向けグループウェア「Garoon」では2021年12月末時点の国内累計導入社数が6,400社、売上高の57.8%がクラウドサービスとなり中堅・大規模な組織でもクラウドサービスの需要が増加していることが伺えます。また、メール共有サービス「Mailwise」では2021年12月末時点の国内累計導入社数が11,800社となり、売上高の88.9%がクラウドサービスとなりました。

 

 

○信頼性強化への取り組み

多くのユーザーの皆様により長く安心してご利用いただくため、当社製品・サービス及び当社グループ自体への信頼を高める取り組みに注力しております。特にクラウドサービス「cybozu.com」の信頼性強化に重点を置いて取り組みを進め、セキュリティ向上に向けた継続的な投資を行っております。

2021年9月には当社が提供しているクラウドサービスが「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(以下:ISMAP、読み:イスマップ)」において、政府が求めるセキュリティ要求を満たしているサービスであると認定され、「ISMAPクラウドサービスリスト」に登録されました。ISMAPは政府が情報システムを調達するための評価基準ですが、その認定を受けることは一定のセキュリティレベルが満たされている証左となるため、今後は様々な公共機関や民間企業においても、セキュリティレベルの高い安心できるクラウドサービスを選択するための有益な指針となることが期待されます。また当社クラウドサービスがISMAPの認定を受けることで対外的な信頼が高まり、当社のパートナー企業の活動がより円滑に進められるのではないかと期待しております。

今後も政府の情報システム要件への対応をはじめ、セキュリティ脅威への対応に継続して取り組み、信頼できる安心で安全なクラウドサービスを提供することで、チームワークあふれる社会づくりに貢献してまいります。

 

○市場からの評価

当社が、『日経コンピュータ』誌(発行:株式会社日経BP)が2021年9月2日号で発表した「顧客満足度2021-2022 クラウド基盤サービス(IaaS/PaaS)部門」において第1位を獲得し、当部門において3年連続第1位獲得となりました。さらに当社が同誌が2022年2月17日号にて発表した「パートナー満足度調査 2022 クラウド情報系サービス部門」においても、2年連続第1位を獲得しております。

また、当社が、『日経BP ガバメントテクノロジー』誌(発行:株式会社日経BP)が2021年秋号で発表した「自治体ITシステム満足度調査 2021-2022 グループウエア/ビジネスチャット部門」において、第1位を獲得しました。

 

②グローバル展開における体制強化

当社サービスのグローバル市場での2021年12月末時点における導入社数は、米国市場では680サブドメイン(前期比30.8%増)、中華圏市場では1,190社(前期比7.2%増)、その他アジア市場では940社(前期比25.3%増)となり堅調に推移しております。当期は米国市場での認知度向上のため、米国市場向けの広告宣伝も積極的に実施しました。aPaaS市場が盛況で競合企業が多い米国市場において、Kintone Corporation(米国子会社)では、顧客の課題や現状業務に寄り添った提案や、中長期的に「kintone」による業務改善のフォローアップを実施するなど伴走型サービスにより顧客満足度を高めております。引き続き、認知度向上や販売体制強化への投資を継続し米国市場での挑戦を続けてまいります。

また、東南アジア市場での売上が堅調に推移していることから、更なる販売強化のため、2022年2月には東南アジア初の営業拠点をマレーシアの首都クアラルンプールに開設いたしました。2020年10月に開設したタイの駐在員事務所と連携を図り、東南アジア全域のユーザー数拡大に努めてまいります。引き続き、グローバル展開を加速してまいります。

 

③チームワークあふれる社会を創るための取り組み

社会の様々なチームのチームワーク向上のため、製品・サービスの普及だけでなく、チームワークに関する当社グループのノウハウを活かした取り組みとして2017年に設立した「チームワーク総研」では、2021年に講演149件、研修・コンサルティング87件を実施しました。テレワーク需要が高まる中で「テレワーク下におけるチームワークノウハウ」をテーマにした講演・研修の依頼が引き続き多くありました。また、「kintone」で被災地を支援する「サイボウズ災害支援プログラム」の活動が広がりを見せています。特に災害発生時に各種復旧活動に関する人的・物的支援が迅速に行えるように、平時から自治体、社会福祉協議会、その他パートナーとの間で防災協定を結び、災害時の準備や連絡体制の整備を行う動きが調布市や長野県、静岡県、広島県、横浜市、茨城県など全国に広がっております。そうした中、当社では「kintone」の現場レベルで業務改善ができる特性を活かし、それぞれの現場において柔軟にシステム構築し、災害時におけるITを活用した包括的な支援活動を行っております。今後もサイボウズ流のチームワークやメソッドを活かし、社会のチームワーク向上や災害支援や防災のために活動してまいります。

 

 

④生産、受注及び販売実績。

 a.生産実績

当社グループ(当社及び連結子会社)の報告セグメントは「ソフトウェアの開発・販売」のみであり、その他の事業セグメントは開示の重要性が乏しいため、記載を省略しております。

 

当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

ソフトウェア事業

46

58.5

 

 (注) 1.金額は、製造原価とソフトウェアのうち自社開発分(資産計上分)の合計により算出しております。

      2.金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 b. 受注状況

当社グループ(当社及び連結子会社)は受注開発を行っておりますが、受注高及び受注残高の金額に重要性はありません。

 

 c. 販売実績

当社グループ(当社及び連結子会社)の報告セグメントは「ソフトウェアの開発・販売」のみであり、その他の事業セグメントは開示の重要性が乏しいため、ソフトウェア事業に含めて記載しております。

 

当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

ソフトウェア事業

18,489

118.0

 

 (注) 1.金額には、消費税等は含まれておりません。

    2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

株式会社大塚商会

1,804

11.5

1,901

10.3

 

 

(2) 財政状態

 

前連結会計年度

(自 2020年1月1日

2020年12月31日)

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

2021年12月31日)

対前年同期比

(増減額)

資産合計

12,235百万円

14,037百万円

1,802百万円

負債合計

5,829百万円

7,665百万円

1,836百万円

純資産合計

6,405百万円

6,371百万円

△34百万円

 

 

資産合計につきましては、主に短期借入の実施により現金及び預金が849百万円増加したことや売上増加により受取手形及び売掛金が424百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ1,802百万円増加し、14,037百万円となりました。

負債合計につきましては、課税所得の減少に伴い未払法人税等が725百万円減少したものの、借入の実施により短期借入金が2,200百万円増加したこと等から前連結会計年度末に比べ1,836百万円増加し、7,665百万円となりました。

また、純資産合計につきましては、当連結会計年度に551百万円の親会社株主に帰属する当期純利益を計上したものの、投資有価証券評価によりその他有価証券評価差額金が減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ34百万円減少6,371百万円となりました。また、当連結会計年度の自己資本比率は45.4%となりました。

なお、当社グループ(当社及び連結子会社)の報告セグメントは「ソフトウェアの開発・販売」のみであり、その他の事業セグメントは開示の重要性が乏しいため、記載を省略しております。

 

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末より849百万円増加し、4,805百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。

 

前連結会計年度

(自 2020年1月1日

2020年12月31日)

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

2021年12月31日)

対前年同期比

(増減額)

営業活動による

キャッシュ・フロー

2,537百万円

472百万円

△2,064百万円

投資活動による
キャッシュ・フロー

△290百万円

△1,492百万円

△1,201百万円

財務活動による

キャッシュ・フロー

△459百万円

1,695百万円

2,154百万円

 

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金収支は、472百万円の収入となりました。これは売上債権の増加等による影響や法人税等の支払いがあったものの、税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金収支は、1,492百万円の支出となりました。これは主に固定資産の取得による支出があったこと等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金収支は、1,695百万円の収入となりました。これは剰余金の配当を実施したものの、短期借入金の純増があったことによるものです。

(資本の財源及び資金の流動性)

当社グループの運転資金及び設備投資等資金は、主として営業活動キャッシュ・フローである自己資金により充当し、必要に応じて金融機関からの借入を実施することを基本方針としております。今後の資金需要のうち、主なものは、運転資金の他、国内外でのクラウドサービス認知度を向上させるための広告宣伝及び国内のクラウドサービス用サーバー機材増設等の設備投資であります。これらの資金についても、基本方針に基づき、自己資金により充当しつつ、必要に応じて金融機関からの借入を実施する等、負債と資本のバランスに配慮しつつ、必要な資金を調達してまいります。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

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