業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウィルスのワクチン接種が進む中、社会全体において経済活動再開の動きが見られるものの、依然として厳しい状況にあり、現時点においても先行きの予想が困難な状況が続いております。

当社グループの主要取引先である薬局業界におきましては、新型コロナウィルス感染症拡大の影響で処方の長期化により、処方箋枚数が減少し、特に中小薬局を取り巻く環境が厳しさを増しております。医療(クリニック)業界におきましては、一部の診療科目で受診抑制による患者数の減少、介護/福祉関係の業界におきましては、通所介護や短期宿泊施設の臨時休業が増加するなど、お客様の経営環境の変化があり、当社グループにも少なからず影響を与えております。このような環境の中、当社グループは感染防止対策をしっかり取りつつ、従来のビジネス活動に加え、Webでの活動にも注力してまいりました。

また、政府は医療などの分野におけるICT化の一環として、医療機関などの窓口でマイナンバーカード又は健康保険証により、オンラインにて資格情報を確認できる仕組みの展開を開始しております。当社グループは予定通り、数多くのお客様よりご注文をいただいており、10月から本格運用が開始されておりますので、オンライン資格確認システムのお客様への設置を順次拡大しております。

この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高14,436百万円、営業利益1,870百万円、経常利益2,607百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益1,829百万円となりました。

 

前連結会計年度は決算期変更(3月31日から12月31日へ変更)に伴い、9ヶ月の変則決算となるため、本文中の記載については、前年同期比の数値を記載しておりません。

 

既存システム販売件数の増加により初期売上高及び課金売上高がともに増加し、さらにオンライン資格確認システムの導入設置拡大で売上高に貢献しております。一方、MAPsシリーズリリース後の資産計上額が減少し、保守維持費用の増加に伴う製造原価が増加しております。

当社グループは大きな変革が求められる中、全てのステークホルダーに対して更なる当社経営理念のご理解と浸透を目的とし、また新たなブランド・アイデンティティの再構築を行い、企業価値を高め、成長していきたいと考え、新ブランド・ロゴ 「#TX Thanks Transformation」を決定いたしました。

 

セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 

(調剤システム事業及びその関連事業)

調剤システム事業及びその関連事業につきましては、オンライン資格確認システムの導入設置拡大及び既存システム販売件数の増加により、初期売上高が増加しております。お客様数の増加に伴う課金売上高も増加しております。

この結果、当連結会計年度の調剤システム事業及びその関連事業は、売上高11,228百万円、営業利益1,852百万円となりました。

また、当社グループは薬局の業務負荷低減、運営支援などをトータルにサポートするため、業務支援BIツール「EM分析サポート」、「MAPs オプションBunseQI」 サービスを10月に開始いたしました。

 

(医科システム事業及びその関連事業)

医科システム事業及びその関連事業につきましては、全国的な販売チャネルの拡充を図るべく、クリニックの市場開拓を従来の手法に加え、Webマーケティングを活用し幅広いアプローチを行っております。

オンライン資格確認システムの本格設置拡大により初期売上の増加に加え、既存システムの販売増加及び、「MAPs for CLINIC」などの導入による課金お客様数の着実な増加により、課金売上高も順調に伸びております。

この結果、当連結会計年度の医科システム事業及びその関連事業は、売上高1,957百万円、営業利益22百万円となりました。

また、当社グループはICT化が求められる医療機関の様々なニーズにお応えできるよう、日本医師会ORCA管理機構株式会社が提供する日医標準レセプトソフト「ORCA」と連動するクラウド型電子カルテ「MAPs for CLINIC with ORCA」を発売いたしました。

 

 

 

 

(介護/福祉システム事業)

介護/福祉システム事業は、大型施設への「すこやかサン」の導入に加え、ライセンス数の増加による課金売上が堅調に推移しております。

一方、介護報酬改定により、新システム開発要員を改定対応に投入したため、「MAPs for NURSING CARE」の新規開発が一時減少し、製造原価が増加しております。

この結果、当連結会計年度の介護/福祉システム事業は、売上高560百万円、営業損失12百万円となりました。

 

(その他の事業)

貸会議室の運営体制の変更に伴い、貸会議室の売上高がその他の事業の売上高及び営業利益の算出対象外になり、売上高と営業利益がともに減少しております。また、キャッシュレス事業の初期展開で販管費が増加しております。

この結果、当連結会計年度のその他の事業は、売上高720百万円、営業損失27百万円となりました。

 

(上記セグメント別の売上高及び営業利益(損失)は、セグメント間の内部取引消去前の金額であります。)

 

当社グループは、これまでは医療・介護/福祉業界における電子化の推進によるCO2削減等、環境負荷低減のための様々な取組を進めてまいりました。この度、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、引き続き事業を通じて地球環境の維持・保全に取り組み、持続可能な社会の継続的発展に貢献してまいります。

また、当社グループは2021年2月26日付で株式会社グッドサイクルシステムと業務提携に向けて検討を開始いたしましたが、これまで以上に求められる薬局業務の高度化ニーズにこたえるべく、業務提携を深化させ、同社の株式を追加取得し、株式会社グッドサイクルシステムを持分法適用関連会社化することを決議いたしました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ306百万円増加し、8,289百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は1,712百万円となりました。これは主に、当連結会計年度の堅調な業績に伴い税金等調整前当期純利益を2,599百万円計上したものの、法人税等の支払額が421百万円あったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は544百万円となりました。これは主に、投資不動産の賃貸による収入が1,024百万円あったものの、投資有価証券の取得による支出が670百万円、ソフトウェア開発に係る無形固定資産の取得による支出が479百万円、貸付による支出が417百万円あったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は693百万円となりました。これは主に、配当金の支払額が714百万円あったことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

 該当事項はありません。

b.商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

前年同期比(%)

調剤システム事業及びその関連事業(百万円)

4,032

-

医科システム事業及びその関連事業(百万円)

712

-

介護/福祉システム事業(百万円)

19

-

その他の事業(百万円)

404

-

合計(百万円)

5,169

-

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.前連結会計年度は決算期変更(3月31日から12月31日へ変更)に伴い、9ヶ月の変則決算となるため、前年同期比の数値を記載しておりません。

 

c.受注状況

 該当事項はありません。

d.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

前年同期比(%)

調剤システム事業及びその関連事業(百万円)

11,228

-

医科システム事業及びその関連事業(百万円)

1,957

-

介護/福祉システム事業(百万円)

 

560

-

その他の事業(百万円)

 

720

-

報告セグメント計(百万円)

14,467

-

調整額(百万円)

 

△30

-

合計(百万円)

14,436

-

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため、記載を省略しております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4.前連結会計年度は決算期変更(3月31日から12月31日へ変更)に伴い、9ヶ月の変則決算となるため、前年同期比の数値を記載しておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は以下のとおりであります。

 

a.経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は14,436百万円となりました。これは主にオンライン資格確認システムの本格運用開始に合わせ、システムの導入設置が加速したことにより、初期売上高が増加したことに加え、「MAPs for PHARMACY」及び「MRN」、「MAPs for CLINIC」のお客様数が着実に増加したことにより課金売上高が順調に推移したことによるものであります。

 

(売上総利益)

当連結会計年度における売上総利益は7,090百万円となりました。また、売上総利益率は49.1%となり、前連結会計年度に比べ1.7ポイント減少いたしました。これは「MAPs for PHARMACY」の維持保守費用が増加したことに加え、想定を上回る介護の法改正により、新システム開発要員を改正対応に投入したため、製造原価が増加したことによるものであります。

 

(営業利益)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は5,219百万円となりました。これは新基幹システムの稼働開始に伴う減価償却費が発生したものの、前連結会計年度に続き、在宅勤務の実施や従来の対面による営業活動をWeb面会に切り替えるなど非対面の営業活動を積極的に展開してきたことによるものです。

この結果、営業利益は1,870百万円となりました。

 

(経常利益)

当連結会計年度における営業外収益は1,219百万円となりました。これは本社ビルのテナント事業が引き続き堅調であった一方、非連結化した完全子会社の事業内容の変更に伴い、累積利益からの配当を行ったことによるものであります。また営業外費用は482百万円となりました。これは貸会議室の改修工事に伴い減価償却費が増加したこと、及び貸会議室の運営体制の変更により、業務委託費が発生したことによるものであります。

この結果、経常利益は2,607百万円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における特別利益は0百万円、特別損失は8百万円となりました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,829百万円となりました。

 

b.財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は12,574百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,383百万円増加いたしました。これは主に、業績が堅調に推移したことに伴い、受取手形及び売掛金が551百万円、商品及び製品が439百万円、現金及び預金が306百万円それぞれ増加したことによるものであります。固定資産は12,234百万円となり、前連結会計年度末に比べ329百万円増加いたしました。これは主に、新規取得により投資有価証券が668百万円増加したこと、「MAPs for NURSING CARE」の本格開発等に伴いソフトウェア仮勘定が176百万円増加した一方、薬局向け業務支援システム「MAPs for PHARMACY」及びクリニック向け診察支援システム「MAPs for CLINIC」の本格稼働に伴う償却によりソフトウェアが139百万円減少したこと、及び減価償却等により投資不動産が205百万円、有形固定資産が108百万円、のれんが97百万円それぞれ減少したことによるものであります。

この結果、総資産は24,809百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,712百万円増加いたしました。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は4,167百万円となり、前連結会計年度末に比べ690百万円増加いたしました。これは主に、業績が堅調に推移したことに伴い未払法人税等が487百万円増加し、その他流動負債が212百万円増加したことによるものであります。固定負債は1,815百万円となり、前連結会計年度末に比べ69百万円減少いたしました。これは主に、保守のメーカー移行化が推進されたことにより、製品保証引当金が36百万円減少したことによるものであります。

この結果、負債合計は5,983百万円となり、前連結会計年度末に比べ620百万円増加いたしました。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は18,826百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,091百万円増加いたしました。これは主に、業績が堅調に推移したことにより利益剰余金が899百万円増加し、自己株式の処分により資本剰余金が63百万円、自己株式が70百万円それぞれ増加したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は75.5%(前連結会計年度末は76.4%)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.資本の財源及び資金の流動性についての分析

 

(資金需要)

当社グループの運転資金需要のうち、主なものは当社グループが保有する販売用ソフトウェアの維持に係る人件費及び外注加工費等、販売活動やお客様のサポートに係る人件費をはじめとする販売費及び一般管理費、並びに商品仕入等であります。

 

(資金調達と流動性マネジメント)

当社グループの運転資金につきましては、主に、内部資金及び金融機関からの借入により調達しております。

 

b.キャッシュ・フロー状況の分析

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

c.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

d.経営方針・経営戦略等

当社グループが定めている経営方針・経営戦略等につきましては、以下のとおりであります。

当連結会計年度において、当社グループは、積極的な変革に挑みつつ、安定した経営を実現していくために高収益企業を目指しており、営業利益の増額と、ROE(株主資本当期純利益率)を重要な経営指標と考えております。なお、営業利益につきましては、2021年2月10日に公表しております決算短信における「2021年12月期の連結業績予想」の営業利益1,508百万円に対して、実績は1,870百万円(予算比124.0%)となりました。また、ROEにつきましては、毎月開催しております取締役会において評価を行っており、順調に推移していることを確認しております。

2022年2月9日公表の新中期経営計画につきましても、新型コロナウイルスの影響等を鑑み、計画策定ができると判断した時点で、変更が必要となれば開示する予定であります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

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