業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績等

①経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、依然として新型コロナウイルス感染症の影響下にあり、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令と解除が繰り返されるなど、厳しい状況で推移いたしました。また、海外ではウクライナ情勢による地政学リスクの高まりもあり、先行きが不透明な状態が続いております。

 

当社グループの事業に関連する、放送、音楽、エンタテインメントの各業界においては、近年、市場環境や消費者ニーズが急速に変容を遂げ、デジタル化やグローバル化の進展に伴い、事業環境は激変しておりました。加えて、新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛の動きに伴い、インターネットによる映像配信・音楽配信など、巣ごもり消費の拡大が見込まれるサービスが伸長する一方、ライブハウスやライブイベントについては厳しいガイドラインに沿った感染症対策が求められるなど、当社グループを取り巻く経営環境に大きな影響が及んでおります。

 

こうした環境の下、当社グループでは、創業以来行ってきた音楽映像コンテンツの企画制作及び有料多チャンネル放送プラットフォームにおける音楽専門チャンネルの運営をベースとしつつ、ライブイベント展開やライブハウスの運営、アーティストマネジメントから、音楽レーベル、音楽ディストリビューションに至る展開まで、当社グループが有するあらゆる機能を複合的に活用しながら、多様なメディア・コンテンツ事業を展開し、音楽エンタテインメント企業へと事業転換を図ってまいりました。また、ファンクラブ事業を展開するコネクトプラス㈱、コンセプトカフェ運営を行うインフィニア㈱、映像制作プロダクションの㈱セップ、音楽配信事業を行う㈱SPACE SHOWER FUGAの連結子会社とともに、新たな分野での成長施策の推進、事業領域の拡大に向けた企業グループ経営を推進しております。

 

当連結会計年度におきましては、当社所属アーティストの中村佳穂が、細田守監督による最新作のアニメーション映画「竜とそばかすの姫」(2021年7月16日公開)に、主人公役の声優として出演するだけでなく、劇中歌を担当し、アーティストとしての新境地を切り開くことができました。また、2021年12月31日の大晦日には、「第72回NHK紅白歌合戦」に出演し、「竜とそばかすの姫」のメインテーマ曲「U」を「millennium parade & Belle(中村佳穂)」として歌唱し、魅力的な歌声を全国に披露することで、さらに幅広い世代からの認知を得ることができました。

また、イベント関連におきましては、2021年8月に予定していた当社主催の夏の野外音楽フェス「SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2021」が、新型コロナウイルス感染拡大の中で止む無く開催中止となった一方、2022年2月5日、福岡に本拠地を構えるプロ野球球団「福岡ソフトバンクホークス」との共催による音楽フェス「FUKUOKA MUSIC FES.」が、政府・開催地自治体および開催会場の対処方針ならびに、業界団体策定による「音楽コンサートにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」に則って開催され、多くのお客様にご来場いただくことができました。

グループ会社関連におきましては、2021年9月1日、当社の連結子会社である㈱SPACE SHOWER FUGAが音楽配信に伴う各種サービスの提供を開始いたしました。また、2022年2月12日、当社の連結子会社、インフィニア㈱の運営するコンセプトカフェ「あっとほぉーむカフェ」が、秋葉原では4年ぶりとなる新店舗をAKIBAカルチャーズZONEにオープンいたしました。

なお、当社の企業価値向上の施策として、2022年2月開催の臨時株主総会において、「資本金の額の減少」について決議し、2022年2月28日に効力が発生したことに加え、2022年3月1日には、自己株式の取得を行いました。これら施策により、株主の皆様への利益還元、資本効率の向上、適切な税制への適用による財務内容の健全性の維持などが可能となりました。

 

こうした状況の中、前連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、政府・地方自治体の要請による休業期間のあったライブハウス事業及びインフィニア㈱のコンセプトカフェ事業において、当連結会計年度は店舗における営業時間や収容人数の規制が緩和されたこと、ライブ開催に向けたガイドラインの緩和により、当社所属アーティストのライブの開催が前連結会計年度に比べ増加したこと、ライブ映像収録等の案件受注が回復傾向にあること、などを背景として、当連結会計年度における連結業績は、売上高は13,864,433千円と前期比2,100,469千円増(同17.9%増)、営業損益は営業損失135千円と前期比453,040千円増(前期は営業損失453,176千円)、経常損益は経常利益551,517千円と前期比753,545千円増(前期は経常損失202,028千円)、親会社株主に帰属する当期純損益は親会社株主に帰属する当期純利益573,604千円と前期比784,419千円増(前期は親会社株主に帰属する当期純損失210,815千円)と、増収増益となりました。

当社グループの最近5連結会計年度に係る主な連結業績は以下のとおりであります。

 

回次

第24期

第25期

第26期

第27期

第28期

決算年月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

売上高(千円)

15,086,020

14,930,347

15,739,944

11,763,964

13,864,433

営業利益又は営業損失(△)(千円)

589,923

258,824

104,920

△453,176

△135

経常利益又は経常損失(△)(千円)

636,367

288,979

166,877

△202,028

551,517

親会社株主に帰属する当期純利益又は

親会社株主に帰属する当期純損失(△)(千円)

333,026

147,041

78,121

△210,815

573,604

売上高経常利益率(%)

4.2

1.9

1.1

△1.7

4.0

 

セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 

A.メディア・コンテンツ セグメント

当セグメントにつきましては、音楽チャンネル運営を中心とするメディア事業、イベント・コンテンツプロデュース事業、アーティストマネジメント事業、新たに音楽配信事業を行う連結子会社㈱SPACE SHOWER FUGAを加えたレーベル・ディストリビューション事業及び「WWW」「WWW X」を運営するライブハウス事業などの事業ユニットを中心に、連結子会社コネクトプラス㈱のファンクラブ事業、インフィニア㈱のコンセプトカフェ事業等を加えて、各事業分野の成長施策の推進にあたっております。

メディア事業においては、有料放送収入が減少したことにより、前期比で減収減益となりました。レーベル・ディストリビューション事業においては、デジタル音楽配信売上が増加したことにより、前期比で増収増益となりました。イベント・コンテンツプロデュース事業においては、ライブイベントにおいて、引き続き新型コロナウイルス感染症による影響を受けたものの、コンテンツの制作受託案件が増加したことにより、前期比で増収増益となりました。アーティストマネジメント事業においては、当社所属アーティストのライブツアーによる売上が増加したことにより、前期比で増収となり、収益が改善いたしました。また、ライブハウス事業及びインフィニア㈱のコンセプトカフェ事業においては、店舗営業の規制が緩和したことなどにより、前期比で増収増益となりました。

なお、メディア・コンテンツセグメント内の各売上区分につきまして、メディア売上にはメディア事業の売上、音楽ディストリビューション売上にはレーベル・ディストリビューション事業の売上、ライブ・エンタテインメント売上にはイベント・コンテンツプロデュース事業、アーティストマネジメント事業、ライブハウス事業、その他事業の売上がそれぞれ含まれております。

 

この結果、当セグメントの売上高は12,164,019千円と前期比1,546,024千円増(同14.6%増)となり、セグメント損益(経常損益)につきましてはセグメント利益(経常利益)392,983千円と前期比595,674千円増(前年同期はセグメント損失(経常損失)202,691千円)となりました。

当セグメントの最近5連結会計年度に係る主な業績は以下のとおりであります。

(単位:千円)

 

回次

第24期

第25期

第26期

第27期

第28期

決算年月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

売上高

 

 

 

 

 

外部顧客への売上高

13,345,900

13,319,646

14,365,154

10,617,994

12,164,019

セグメント間の内部売上高又は振替高

120

13,345,900

13,319,766

14,365,154

10,617,994

12,164,019

セグメント利益又はセグメント損失

(△)

503,686

190,575

131,488

△202,691

392,983

 

B.映像制作 セグメント

当セグメントにつきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、映像制作案件の収録延期が相次いだことなどにより、売上高は1,700,414千円と前期比554,445千円増(同48.4%増)となり、セグメント損益(経常損益)につきましては、経常利益(セグメント利益)135,042千円と前期比113,512千円増(同527.2%増)と、増収増益となりました。

当セグメントの最近5連結会計年度に係る主な業績は以下のとおりであります。

 

(単位:千円)

 

回次

第24期

第25期

第26期

第27期

第28期

決算年月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

売上高

 

 

 

 

 

外部顧客への売上高

1,740,119

1,610,700

1,374,790

1,145,969

1,700,414

セグメント間の内部売上高又は振替高

41,608

66,405

64,010

52,046

41,095

1,781,727

1,677,106

1,438,800

1,198,015

1,741,509

セグメント利益

112,613

124,282

58,972

21,529

135,042

 

②生産、受注及び販売の実績

生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。なお、他のセグメントについては生産に相当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。

(単位:千円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

映像制作 セグメント

1,577,258

137.8

(注)金額は、制作原価で記載しております。

 

受注実績

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと次のとおりであります。なお、他のセグメントについては受注に相当する事項がないため、受注状況に関する記載はしておりません。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

映像制作 セグメント

1,744,776

147.4

81,569

103.8

(注)受注高については、売上金額で記載しております。また、受注残高については、金額が確定していないため、当連結会計年度末までに発生している制作原価で記載しております。

 

 

販売実績

前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対す
る割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

スカパーJSAT㈱

1,378,615

11.7

(注)当連結会計年度については、販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上となる相手先がいないため記載を省略しております。

 

(2)資産、負債及び純資産の状況

当連結会計年度末における総資産は、主に受取手形及び売掛金が910,910千円、建物及び構築物が103,106千円、繰延税金資産が101,068千円増加した一方で、現金及び預金が827,893千円、仕掛品が71,166千円、工具、器具及び備品が56,977千円、投資有価証券が67,940千円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ105,813千円増加し、7,264,907千円となりました。

負債は、主に買掛金が597,211千円、賞与引当金が101,985千円、その他(流動負債)が153,990千円増加した一方で、未払金が96,973千円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ837,394千円増加し、3,903,822千円となりました。

純資産は、無償減資の実行により、資本金が1,820,579千円減少した一方で資本剰余金が同額増加し、また利益剰余金が516,650千円増加したものの、自己株式が1,240,973千円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ731,580千円減少し、3,361,085千円となりました。

当社グループの最近5連結会計年度に係る主な財政状態は以下のとおりであります。

(単位:千円)

 

回次

第24期

第25期

第26期

第27期

第28期

決算年月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

総資産

8,045,653

8,029,158

7,811,162

7,159,093

7,264,907

負債

3,647,235

3,586,636

3,414,628

3,066,427

3,903,822

純資産

4,398,417

4,442,522

4,396,533

4,092,666

3,361,085

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、827,893千円の使用となり、資金の期末残高は1,997,394千円となりました。これは、営業活動により845,814千円獲得した一方で、投資活動により308,979千円、財務活動により1,364,728千円使用したことによるものであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の獲得は、845,814千円(前連結会計年度は347,464千円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益により491,586千円、減価償却費により179,712千円、無形固定資産償却費により103,083千円、棚卸資産の減少により67,953千円、仕入債務の増加により416,191千円、賞与引当金の増加により101,985千円獲得した一方で、売上債権の増加により648,689千円使用したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の使用は、308,979千円(前連結会計年度は19,816千円の獲得)となりました。これは主に、投資有価証券の売却により88,068千円獲得した一方で、有形固定資産の取得により231,043千円、無形固定資産の取得により148,572千円使用したことなどによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の使用は、1,364,728千円(前連結会計年度は107,235千円の使用)となりました。これは主に、自己株式の取得により1,240,973千円、配当金の支払により113,307千円使用したことによるものであります。

当社グループの最近5連結会計年度に係るキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

(単位:千円)

回次

第24期

第25期

第26期

第27期

第28期

決算年月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

営業活動によるキャッシュ・フロー

651,949

404,536

389,916

347,464

845,814

投資活動によるキャッシュ・フロー

△341,815

△512,890

△272,018

19,816

△308,979

財務活動によるキャッシュ・フロー

△135,599

△124,988

△126,678

△107,235

△1,364,728

現金及び現金同等物の期末残高

2,848,500

2,615,159

2,565,242

2,825,288

1,997,394

 

 

キャッシュ・フロー関連指標の推移

回次

第24期

第25期

第26期

第27期

第28期

決算年月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

自己資本比率(%)

54.7

55.2

56.3

56.9

46.2

時価ベースの自己資本比率(%)

118.7

87.8

60.1

71.1

48.7

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

(年)

0.1

0.1

0.1

0.1

0.0

インタレスト・カバレッジ・レシオ

(倍)

583.3

474.5

520.8

623.5

2,028.2

(注) 自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

※ 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。

※ キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、外注費のほか、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は主に、設備投資やシステム投資等によるものであります。また、株主還元につきましては、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。

当社グループは、有料放送事業や音楽デジタルディストリビューション事業をはじめとする既存事業により、事業運営上必要なキャッシュ・フローを安定的に確保し、それを原資として新たなイベント・コンテンツの開発や、新規事業の資金を賄うこと、株主還元を実施することを基本方針としており、経営計画に照らして、必要な資金(銀行借入)を調達するようにしております。なお、当連結会計年度末時点の借入金はありません。

 

(5)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは、前述の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、2022年度から2024年度(2025年3月期)を対象期間とする中期経営計画「Daylight 2024」を策定し、最終年度となる2024年度までに、連結売上高20,000百万円、連結営業利益1,000百万円(営業利益率5%)、ROE 20%の実現を目標としております。当連結会計年度においては、連結売上高13,864百万円、連結営業利益△0百万円、ROE 15.4%でありました。

 

(6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

なお、会計上の見積りを行うに際し、新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりです。新型コロナウイルス感染症の収束時期及び経済活動正常化時期が明確に見通せない現状において、当該仮定は不確実性が極めて高いため、当該仮定と事後の結果が大きく乖離した際には、当社グループの財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

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