当社グループの事業展開において、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると経営者が認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、将来に関する事項につきましては別段の記載のない限り、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであり、当社株式への投資に関連するリスクを全て網羅するものではありません
当社グループでは、事業遂行上のリスクの顕在化防止、リスクが重大な危機に転じた際に、その影響を最小限に留めるため、リスクの状況を適時に把握、対応を検討すべく、「コンプライアンス室」、「リスク管理委員会」など、各種リスクマネジメント体制を整備しております。また、当社グループ「コンプライアンスポリシー」の当社グループ従業員への浸透を目的として、「コンプライアンス・プログラム」を制定しております。
(1)各事業セグメントにおける固有のリスク
① ライブ・コンテンツセグメントに関するリスク
1. 当社グループは、野外フェスイベントの主催、所属アーティストのライブイベント、ライブハウスやコンセプトカフェの運営などを行っておりますが、これらの事業活動は、地震、台風、洪水などの自然災害、事故、テロ、新型コロナウイルスなどの感染症の感染拡大をはじめとした、当社グループがコントロールできない事由によって、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、こうしたリスクに備えて、BCP(事業継続計画)を策定し、各種保険に加入しておりますが、それにより全ての損失を補填できるという保証はありません。
2. 当社グループは、店舗関連事業として、ライブハウス事業やコンセプトカフェ事業を展開しております。店舗の出店に際しては、「食品衛生法」に準拠し、保健所の確認により営業許可を受ける必要がありますが、店舗の営業において食中毒の発生等、食品衛生法に違反する事態が生じた場合、営業停止などの処分を受ける可能性があります。
これに対し、当社グループは法定の食品衛生に加え、衛生管理指導専門スタッフによる定期チェックの実施、食品衛生責任者の設置、従業員の健康状態確認や手洗い励行等により、安全な商品をお客様に提供するための衛生管理を徹底しております。
3. 当社グループは、音楽ソフトに関連する事業として、アーティストマネジメントを中核に据え、レーベル・エージェント、音楽出版、CD/DVDなどの音楽ソフトパッケージ流通、デジタル音楽配信などアーティストの総合支援やプロデュース事業を推進しております。これらの事業におけるヒットの創出は、消費者の趣味、嗜好、流行の変化に大きく影響を受けます。当社グループは、コンテンツホルダーとして、ヒットアーティストやヒットコンテンツの創出・拡大を目指すとともに、有望アーティストの発掘・育成に努めておりますが、アーティストの人気・契約の継続、新人アーティストの発掘・成長等については予測することが困難であり、これらの不確実性により、当社グループの経営戦略が計画通りに進まない可能性があります。
② ソリューションセグメントに関するリスク
1. 音楽デジタル配信事業においては、今後の成長が見込まれることから、現在まで多くの新規参入の音楽デジタル配信プラットフォーム事業者が現れておりますが、デジタル化・ネットワーク化の進展を背景に、世界的規模でいくつかの事業者に発展的に集約される可能性があります。こうした規模を拡大した事業者の価格決定方針などにより、今後、当社グループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
2. 音楽デジタル配信のソリューションを提供する㈱スペースシャワーフーガにおいては、レーベル顧客との契約獲得が重要な戦略でありますが、グローバルメジャーレーベル系列の音楽デジタル配信ソリューション提供会社などとの競合が激しい環境下にあります。競争の激化やその対策のためのコスト負担などにより、当社グループの業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
3. 当社グループの扱うCD/DVDパッケージを販売する小売事業者は、全国へチェーン展開する大規模事業者が中心となります。音楽ソフトパッケージ市場の縮小が続く環境下において、小売事業者が市場から撤退した場合、当社グループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
4. 音楽CD/DVDパッケージについては、小売事業者との取引条件において、一定の範囲で返品が可能になっており、小売事業者の販売状況によって、想定の見積もりを超える返品が生じた場合には、当社グループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
5. 当社グループは、放送や音楽を始めとした様々なコンテンツビジネスと連動し、インターネット上でTシャツやオリジナル商品などの通信販売事業を展開しております。通信販売を行う事業者は「不当景品類及び不当表示防止法」(景品表示法)や「特定商取引に関する法律」(特商法)の規制を受け、虚偽や誇大な商品説明を行わないことに加え、所定の事業者の表示などが細かく規定されております。
当社グループはで、通販事業に伴う商品管理及び物流運用を専門のノウハウを有した第三者に委託しておりますが、当社が法的リスクを負っており、通販事業を展開する上で何らかの瑕疵が生じ関係法令に違反した場合、当社の社会的信用の毀損が生じる可能性があります。
③ メディアセグメントに関するリスク
1. 有料多チャンネル放送業界においては、契約者数が漸減傾向にあり、国内における人口減少が進む中、中長期的に市場縮小の継続が予測され、当社グループの業績・財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
このような市場環境に対応するため、当社グループでは、視聴者に選ばれるコンテンツの制作を強化し、「スペースシャワーTV」ブランドの維持・浸透を図ることで、「スカパー!」「ケーブルテレビ局」「ブロードバンド系サービス」など、有料放送プラットフォーム事業者に対する存在感の向上を目指すとともに、スマートフォンやタブレットなど、新たなウィンドウにおけるマネタイズを目指してまいります。
2. 「番組供給事業者」である当社が番組を供給する「放送事業者」は、放送法上のチャンネル全体の編集権や価格決定などの権利及び義務を有しているため、放送事業者の合従連衡が進み、大手MSO(Multiple System Operator)への収益依存度が高まる環境下において、放送事業者の方針が当社にとって不利益な方向に変更されることや、放送関連の法令改正や新たな法規制が制定されることなどにより、当社グループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
3. 「電気通信事業者」であるスカパーJSAT㈱が所有する衛星に隕石が衝突する等の不可避の事故や人為的なミスによる故障が生じた場合、新たな衛星が計画どおりに調達されなかった場合や何らかの理由により同社が人工衛星局として総務省から与えられている免許が更新されなかった場合など、当社の番組が個人受信者及びケーブルテレビ局に配信できなくなることで、当社グループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)各事業領域共通のリスク
① コンプライアンスに関するリスク
1. 当社グループは、WEBサービス会員の個人情報や、プレゼント応募等で寄せられる個人情報、ファンクラブ会員の個人情報、コンセプトカフェ会員の個人情報など、様々な形でお客様の個人情報を収集しております。これらの個人情報の管理につきましては、厳重なセキュリティ対策を講じ、当該情報は利用目的の範囲においてのみ利用し、その管理には細心の注意を払っております。しかしながら、第三者による不正アクセス等予期せぬ事態により、個人情報が流出した場合、法令による処罰や、訴訟の提起の可能性が生じることに加え、顧客の信用や社会的信用低下を招く可能性があります。
また、2015年10月に施行された「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(マイナンバー法)の下で、当社グループは仕入取引先を中心として、マイナンバー(個人番号)の取得を適時行っておりますが、マイナンバーを含む特定個人情報の取扱いについては、一般の個人情報よりも厳格な安全管理措置が求められております。顧客の特定個人情報の紛失・漏洩・不正利用等が発生した場合、当社グループのレピュテーションリスクが拡大する可能性があります。
当社グループは、リスクマネジメント体制の整備や、コンプライアンス・プログラムを通じた従業員啓発の推進により、従業員の法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めております。
2. 当社グループの事業活動において、第三者から意図せずに、著作権、著作隣接権、商標権等の知的財産権を侵害される可能性や第三者の知的財産権を侵害してしまう可能性があります。このような事態により、当社グループの経営成績等が悪影響を受ける可能性があります。
② ソーシャルネットワーキングサービス(以下「SNS」)による情報拡散リスク
当社グループは、アーティストや番組などの情報を、より多くの方々へ届けするためのツールとして、SNSを活用しております。当社グループでは、当社の発信した情報を見た方々に、誤解を与えるような言動を慎むよう、社員及びアーティスト・クリエイターへの教育の徹底、ならびにガイドラインの設定を実施しております。しかしながらSNS上においては、アーティスト・クリエイターや当社の情報等が、その真意に関わらずネガティブな情報として受け止められ、拡散される可能性を排除できず、当社グループのレピュテーションリスクが拡大する可能性があります。
③ 感染症の拡大等によるリスク
新型コロナウイルス感染症の感染拡大が、国内および海外主要各国において収束に向かわず、拡大が長期間にわたり続いた際、個人消費の冷え込みに繋がる深刻な経済活動の縮小が生じることが予想されます。
④ アライアンス及び企業買収に関するリスク
当社グループは、既存の事業領域の発展拡張を目指すことに加え、デジタルトランスフォーメーションの推進に寄与するとともに、企業価値の向上を期待できるデジタル領域や、今後成長が見込まれるアニメ、アイドル、Vtuber等のポップカルチャー領域における新規事業の展開に努めており、第三者との間で、アライアンスや企業買収を実施することがあります。当社グループでは、これらのアライアンスや企業買収にあたって、投資回収や収益性などの可能性について様々な側面から検討しておりますが、経営戦略などについてアライアンスや企業買収にかかる関係先との不一致が生じた場合、または当該関係先において事業上の問題が生じた場合に、関係を維持できなくなる可能性があります。また、事業環境の急激な変化や、事業開始以前に予測不可能であった問題等により、当初の期待どおりの目的を達成できない可能性があります。
⑤ 人材の確保にかかるリスク
当社グループの事業展開において、アーティスト・クリエイターの価値を高め、広げることのできる優秀な人材を確保することの重要性を認識しております。しかしながら、当社の求める水準にある優秀な人材は限られているため、かかる人材の獲得に向けた競争は熾烈であり、当社グループが期待する優秀な人材を確保できない可能性があります。
⑥ 繰延税金資産に関するリスク
当社グループは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来の課税所得を合理的に見積り、その回収可能性を慎重に検討したうえで繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得の見積りは、中期業績予測を基礎としており、特に新型コロナウイルス感染症の影響及びデジタル音楽配信事業の成長を主要な仮定として織り込んでおります。将来の業績変動により課税所得の見込み額が増減した場合や、税制改正により実効税率が変更された場合には、繰延税金資産の計算の見直しが必要となります。その結果として、繰延税金資産の取崩が必要となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 減損損失に関するリスク
当社グループは、資産又は資産グループのうち減損の兆候があるものについて、これらが生み出す割引前将来営業キャッシュ・フローがこれらの帳簿価額を下回る場合、有形固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。将来キャッシュ・フローは、中期事業予測の数値を基礎としており、新型コロナウイルス感染症の影響及びデジタル音楽配信事業の成長を主要な仮定として織り込んでおります。減損の兆候、割引前将来キャッシュ・フロー、回収可能価額の算定については、事業計画や経営環境等の前提条件に基づき様々な仮定を用いています。そのため、前提条件に変更が生じた結果、減損損失を認識することになった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
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