課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営の基本方針・中長期的な経営戦略

 

・中期経営計画「Daylight 2024」の推進

 

当社グループでは、急激に変化する昨今のビジネス環境下、当社グループの持続的成長と企業価値向上を実現すべく、2022年5月13日、中期経営計画「Daylight 2024」(2022年度から2024年度を対象とする3ヶ年計画)を策定し、公表致しました。

そのなかで創業以来の当社グループのミッションを、以下のようにアップデート致しました。

 

<当社グループのミッション>

当社グループは

■ 新しい価値観や視点を持った良質なコンテンツを生み出し、ユーザーに感動を提供します。

■ 多様なソリューションを提供し、アーティストの自由で独立的な活動を可能にしていきます。

 そして、

■ 事業活動を通して、音楽をはじめとするカルチャーの発展と多様性の実現に貢献し続けます。

 

近年、デジタル化・グローバル化の進展に伴い、DIYアーティストやクリエイターエコノミーに代表されるアーティスト・クリエイターの変化が進むとともに、ユーザー・ファンニーズが多様性を増すなど、当社を取り巻く事業環境が大きく変化しています。

当社グループは、こうした変化に対応し、アーティスト・クリエイターへのソリューション提供、ユーザー・ファンへのコンテンツ・感動提供の実現を通じて、当社グループミッションの実現を図ってまいります。

 

①基本方針

 

中期経営計画「Daylight 2024」において、その基本方針を以下のように掲げております。

 

<定量目標>

2024年度までに以下の定量目標を実現する

 

・連結売上高 200億円

・連結営業利益 10億円(営業利益率 5%)

・ROE 20%

 

<定性目標>

1,セグメントを「メディア」「ライブ・コンテンツ」「ソリューション」へ再編

1)「メディア」の収益を可能な限り守りつつ、依存から脱却

2)「ライブ・コンテンツ」、「ソリューション」を成長の重点領域とする

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2.働き方改革・経営効率改善に取り組むとともに、SDGs・サステナビリティなど、社会的要請への対応を進める

3.M&Aも視野に、デジタル領域のリソースを拡充し、新しく生まれつつあるエンタメテック領域

(WEB3、メタバース、NFT等)での事業開発を進める

②経営戦略

 

中期経営計画「Daylight 2024」の目標実現に向けた、セグメント別の経営戦略及び、社会的要請への対応取り組みは以下のとおりです。

 

1.ライブ・コンテンツセグメント

1) ロイヤリティの高いファンを有する、既存優良コンテンツ「SWEET LOVE SHOWER」、「あっとほぉーむカフェ」等の水平展開と付加価値向上により、事業収益を拡大する

2) グループで培った関係性を素地として、従来のロックフェスとは異なるジャンル、ターゲットのコンテンツを開発し、新たな顧客の獲得を目指す

 

2.ソリューションセグメント

1) JVパートナーであるオランダのテクノロジー企業FUGA社の技術的優位性の活用、データマーケティング力の強化により、当社のネットワークを活用したクライアントアクイジションを推進する

2) M&Aも視野にデジタルソリューション機能の獲得・強化を図る

 

3.メディアセグメント

1) 有料放送事業収益堅守にむけ、顧客のニーズに最適化したコンテンツ制作、番組編成に注力する

2) 映像制作においては、既存事業の柱である音楽映像制作の内、大型LIVE映像収録案件獲得に注力。加えて先進的な映像演出機能の獲得を目指す

 

4.経営効率改善・社会的要請への対応

1) 中期経営計画達成に向け、間接部門のスリム化などにより、経営効率の改善を図る

2) コーポレート・ガバナンスを強化するとともに、環境問題や働きがいの向上など、SDGsの社会的な課題に取り組むことで、サステナビリティなど社会的な要請への対応を進める

 

(2)優先的に対処すべき課題

当社グループの属する音楽業界においては、2021年(1月-12月)の音楽ソフトパッケージ総生産額が 1,936億3千8百万円(前年同期比0.3%減)、デジタル音楽配信売上は895億3千8百万円(前年同期比14.4%増)、合計金額は 2,831億7千6百万円(前年同期比3.8%増)と、音楽ソフトパッケージ市場の縮小以上にデジタル音楽配信市場が成長したことで、音楽流通市場全体として3年ぶりに増加いたしました(出所:一般社団法人日本レコード協会)。また、有料多チャンネル放送業界における、2022年3月の衛星放送契約者数(NHK-BSを除く)は、5,688,670件(前年同月比3.5%減)と、減少傾向が続いております(出所:一般社団法人衛星放送協会)。加えて、未だ収束の見えない新型コロナウイルス禍の影響に伴う、イベントや店舗営業の集客規模縮小や、個人消費や企業活動への影響もあり、当社グループを取り巻く経営環境は、極めて厳しい状況が続いております。

 

このような環境のもと当社グループは、2022年度より2024年度の3ヶ年を対象とする中期経営計画「Daylight 2024」を策定し、2025年3月期に連結売上高200億円、営業利益10億円、経常利益10億円、ROE 20%の達成を目標といたしました。

 

当社グループの既存事業である有料放送市場の縮小、長引く新型コロナウイルス禍影響など、先行きの不透明な環境において、中期経営計画「Daylight 2024」を達成し、持続的・安定的な成長を目指すに際し、主に以下の課題があることを認識しております。

 

① 市場環境の変化への対応

放送市場の減衰が続く一方で、スマートフォンなどの普及により、音楽や映像を楽しむスタイルが多様化したことに加え、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を契機に、音楽ライブの映像配信も一般的となりました。

また、ソーシャルメディアの発展により、コンテンツのマーケティング戦略の複雑さが増しております。さらにはグローバルなプラットフォームの登場によって音楽や映像コンテンツが国境を超えることが容易となりました。国内の音楽ソフトパッケージ市場が低迷し、若年層の人口減少懸念が拡大する一方で、アジアを中心とするグローバル市場におけるニーズの高まりもあり、日本ではまだ無名のアーティストが海外で人気を博すケースも稀ではなくなっております。

これらの変化へ対応するため、グローバル展開力及び、デジタルマーケティング機能のさらなる強化を実現すべく、JVパートナーであるオランダのテクノロジー企業FUGA社との連携を推進することに加え、映像コンテンツ制作機能の高度化、M&Aや他社とのアライアンスも視野に、放送事業を中心とする「メディア」への収益依存度を引き下げ、「ライブ・コンテンツ」「ソリューション」の領域において、新たな収益獲得基盤の構築を目指すことが大きな課題と認識しております。

 

② 多様化する消費者ニーズへの対応

ミレニアル世代やZ世代と呼ばれる消費者世代が存在感を増し、消費者間の世代差が顕著となるなど、消費者ニーズの多様化が進んでおります。

このような環境の下、音楽配信及び、ライブコンテンツにおいて、当社がこれまで取り組んできたJ-ポップやJ-ロックを中心とした音楽ジャンルを超え、HIPHOPやゲーム、アイドルなど多様な音楽ジャンルと向き合い、幅広いユーザーやクライアントの獲得を目指すとともに、放送コンテンツにおいては、高年齢化する有料多チャンネルプラットフォームの視聴者層に対応すべく最適化させて行く必要があります。

また加えて、グループで培った関係性を素地として、新たなジャンル、多様な世代に向けたイベント開発を進め、消費者の支持を拡大させていくことが、重要課題であると認識しております。

 

③ ヒット作品創出に向けた取り組み

当社グループの音楽ソフト関連事業は、アーティストマネジメント、原盤制作、マーケティング・プロモーション、CD/DVDなどの音楽ソフトパッケージ流通、デジタル音楽配信、著作権管理・分配を一気通貫で提供する機能を有しております。当社グループの経営方針である「アーティストへのソリューション提供」、「ユーザーへのコンテンツ・感動の提供」の実現に向け、有望アーティストの発掘・育成を継続的に進めるとともに、当社グループの諸機能を駆使したコンテンツマーケティング施策を通した価値の向上、魅力の拡散により、ヒットの創出を目指すことが、重要課題であると認識しております。

 

④ 独立系・DIYアーティストサポートの拡充

インターネット環境の発展を始めとする技術の進歩により、原盤制作から、SNSを使用したプロモーション、デジタル音楽配信ディストリビューションまでを、個人で行うDIYアーティストが存在感を増しております。当社グループのあらゆる機能を活用し、DIYアーティストのキャリアアップに向けたサポートを拡充することにより、「アーティストとファンが直接結びついていく」という音楽シーンの新しい潮流において、当社の果たす役割を確立することが、大きな課題となっております。

 

⑤ 新規事業領域への展開拡大

当社グループはさらなる成長を目指すべく、音楽エンタテインメント企業としての当社独自の強みやポジションを活かし、日本国内はもとより、海外においても人気獲得が期待され、今後も成長が見込まれる、アニメ、アイドル、キャラクター、ゲーム等、ポップカルチャー領域に対しても、積極的に取り組んで行く必要を認識しております。

また加えて、Web3(ウェブスリー)時代の到来に向け、NFT・DAOや、メタバース、XR映像などの新技術の浸透により、今後の成長が予測される市場に対し、当社グループが提供するコンテンツ・ソリューションを高度化させていく必要があります。

これらの事業領域に向けて、当社の独自性や機能と、他社のノウハウとの融合によるコンテンツ・ソリューション提供を目指すべく、M&Aやアライアンスを積極的に検討し、事業規模の拡大に取り組むことが重要な課題であります。

 

⑥ コーポレート・ガバナンスの推進

持続的な成長と企業価値の向上を実現するにおいては、コーポレート・ガバナンス体制の強化が重要な課題と認識しております。

的確かつ迅速な意思決定および業務執行体制、並びに適正な監督・監視体制の構築を図るとともに、コーポレート・ガバナンスの実効性を一層強化するため、当社グループ全体で、リスク管理、内部統制、コンプライアンスへの取り組みを徹底するとともに、独立社外取締役の活用等を通じ、信頼性の向上と自浄能力の増強に努めてまいります。

加えて、改訂コーポレート・ガバナンス・コードへの対応を適宜進めてまいります。

 

⑦ 人材育成の強化

以上のような様々な課題に対応し、今後一層の事業拡大を目指すにおいて、当社グループの人材の強化が必須です。当社グループの所属する音楽エンタテインメント業界のみならず、激変する市場環境へも適応でき、今後の企業価値向上に必要な人材の確保を行うとともに、優秀な人材を育成していくことが継続的な課題であります。

 

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