課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、「先端の創薬を通じて人々の健康と明日の社会に貢献する」という経営理念の下、「医療用医薬品事業」を中核に「アニマルヘルス事業」、「検査事業」など医療関連ビジネスを通し、社会から信頼される会社として成長・発展していきたいと考えております。

 また健康や生活に対する価値観の多様化やビジネス環境の変化が急速に進む中、当社グループは機動的な意思決定とガバナンス強化を目的として、2021年度からホールディングス体制をスタートしております。当社グループの中核となる国内医療用医薬品事業において産婦人科等のスペシャリティ領域でリーディングカンパニーとして飛躍するとともに、これまでの事業を軸に「予防、検査・診断、治療、予後」のヘルスケア市場全体において、国内外にわたって事業を展開する「トータルヘルスケアカンパニー」を目指していきます。さらに今後も「いのち」に関わる企業として持続的な成長と社会課題の解決を図るとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた活動を推進し、豊かな社会の実現にむけて貢献してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは2021年4月から2026年3月末までの中期経営計画を策定しております。その最終年度である2025年度には、売上高700億円、営業利益率8%、自己資本当期純利益率(ROE)8%を目標としております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略および会社の対処すべき課題

 当社グループでは2021年度からスタートした中期経営計画では、これまで築いてきた基盤をより発展させつつ、当社グループが目指す「スペシャリティファーマを基盤としたトータルヘルスケアカンパニー」の実現にむけ、以下の7つの戦略に取り組んでまいります。

1.スペシャリティ領域の取り組み強化による企業価値向上にむけて、産婦人科製品の継続的な開発・販売を通じ、女性のクオリティオブライフ向上に貢献します。さらに発売から100年となる甲状腺ホルモン剤を中心に、甲状腺領域疾患の啓発活動を推進してまいります。

2.新薬の継続的創出のため、オープンイノベーションの活用や新設したロンドンオフィスとの連携によるグローバルベースなアライアンス活動に取り組みます。

3.海外事業の展開の一環として、アジアを中心に提携先との協力関係を進めていきます。

4.トータルヘルスケア実現に向けた新たな価値提供にむけ、検査事業における低侵襲な検査法のビジネス確立を進めます。また畜水産領域の繁殖・免疫と栄養の強みを伸ばし、コンパニオンアニマルの健康を支える製品の開発・販売を行います。

5.財務基盤の強化のため、IT活用等による業務効率化、コスト削減を推進します。

6.社会からの信頼を得る会社であり続けるために、信頼性を重視する組織風土の醸成とコンプライアンスの徹底により、生命関連企業としての責任を果たしてまいります。

7.成長戦略を実現するための人材活用にむけ、新人事制度による多様なキャリア志向に対応できる組織体制づくりとともに、計画的な教育研修により能力拡大をはかります。

 

 具体的な取り組みとして、開発面においては、杏林製薬株式会社と共同開発中の自社創製品AKP-009(ルダテロン酢酸エステル)について、前立腺肥大症の適応症で臨床試験を進行中であります。また創薬・アライアンス活動においては、東レ株式会社と共同事業化契約を締結しました癒着防止材「TRM-270C(東レ開発コード)」や、武田薬品工業株式会社と日本における子宮筋腫の独占的開発権および独占的販売権を取得するライセンス契約を締結したrelugolix配合剤(TAK-385)といった産婦人科領域における開発段階のステージアップやあすか製薬株式会社を中心とした創薬研究活動により、パイプライン進展、拡充に努めてまいります。

 

 営業活動では、あすか製薬株式会社において産婦人科領域とリフキシマを中心とした情報提供活動を行うため、スペシャリティエリア制を導入し、情報提供の質の向上と効率化に取り組んでおります。特に子宮筋腫に加え、子宮内膜症の適応症を追加したレルミナ錠を中心に、コプロモーション活動を実施しているジェミーナ配合錠、リオナ錠等の情報提供を通じて産婦人科領域でのプレゼンスを向上させていきます。またリフキシマ錠もガイドライン改訂により、肝性脳症治療の標準治療薬として位置づけられたことを受けてさらなる普及を進めていきます。さらに発売100年を迎え、国内シェアが9割を超えるチラーヂンは医療現場において欠かすことのできない薬剤であり、安定供給体制を堅持するとともに、甲状腺疾患治療のリーディングカンパニーとして引き続き甲状腺疾患の啓発活動等に取り組んでまいります。

 またトータルヘルスケアの実現に向け、動物用医薬品・飼料等を販売するあすかアニマルヘルス株式会社においてはアニマルウェルフェアに貢献できる製品の開発・発売を継続して進めてまいります。さらに検査事業を行う(株)あすか製薬メディカルでは、毛髪からステロイドホルモンを測定する技術を用いて、ジヒドロテストステロン(DHT)を測定することにより、男性型脱毛症(AGA)のリスク評価を可能とする毛髪ホルモン量測定キットを開発し販売を開始しました。今後は同技術を応用した事業展開を進めてまいります。

 

上記に加え、当社グループにおいて2021年4月にESG委員会を立ち上げ、持続的な成長とともに社会課題の解決をなし遂げていくための17項目のマテリアリティを特定しました。今後は特定したマテリアリティへの取り組みを通じて、ESG、SDGs(持続可能な開発目標)の解決を推進することで、企業としての社会的責任を果たすとともに持続可能な社会の構築に貢献し、更なる企業価値の向上を目指してまいります。

 

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