業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社の経営成績、財政状態、キャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)及び研究開発活動の概要は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

なお、当社は、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)を当事業年度の期首から適用しておりますが、これによる損益影響はありません。

① 経営成績の概況

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行(パンデミック)とそれに伴う各国政府の「緊急事態宣言」発令等が影響し、世界的な経済活動の停滞と移動制限等により、景気は厳しい状況となっております。年度後半にかけては、世界的に新型コロナウイルスの感染が再度拡大し、国内外の経済を下振れさせるリスクが意識されております。

医薬品業界におきましては、患者の受診抑制、顧客への訪問自粛等で販売営業活動に支障が出たほか、移動制限等に伴う、国内出張の自粛、海外渡航の実質的禁止、臨床試験施設の閉鎖により、事業開発活動が遅滞する例が散見されました。このような業界の動向は、創薬研究事業を営む当社が行っているRS8001PMS / PMDD やRS8001自閉症に係る医師主導治験の進捗や販売(ライセンス)活動におきましても治験等の進捗が遅れるなど、少なからず影響を与えております。

このような環境下において、当社は、医療現場の課題を解決するための多様なモダリティ(医薬品、医療機器、人工知能(AI)ソリューション等)を、医師と共に医療現場で研究開発し、医療イノベーション創出に貢献し続けるべく事業活動を行っております。

当事業年度における事業収益は、RSAI02慢性透析システム支援における契約一時金の受領、RS9001ディスポーザブル極細内視鏡におけるマイルストーン収入の計上、RSAI01呼吸機能検査診断システムにおけるマイルストーン収入の計上、RS5614COVID-19に係る受託研究収入の計上及びRS5614メラノーマに係る受託研究収入の計上などにより139,333千円(前事業年度は209,802千円)となりました。また、営業損失は、RS8001PMS/PMDDやRS5614COVID-19などの研究開発費82,713千円を含む事業費用291,810千円を計上したことなどにより210,839千円(前事業年度は86,125千円の損失)、経常損失は、上場に伴う株式交付費を25,532千円計上したことなどにより241,769千円(前事業年度は90,728千円の損失)、当期純損失はRS8001統合失調症に係る特許権の減損損失を11,318千円計上したことなどにより254,292千円(前事業年度は100,054千円の損失)となりました。

なお、当社の事業は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

② 財政状態の概況

(資産)

当事業年度末の流動資産は、前事業年度末の1,042,644千円と比べて1,385,503千円増加し、2,428,148千円となりました。これは主として、2021年9月に東証マザーズに上場したことに伴う株式発行などにより、現金及び預金が1,360,872千円増加したことなどによるものです。

また、当事業年度末の固定資産は、前事業年度末の23,988千円と比べて14,108千円減少し、9,880千円となりました。これは主としてRS8001統合失調症に係る特許権の減損損失11,318千円の計上などによるものです。

この結果、資産合計は、前事業年度末の1,066,632千円と比べて1,371,395千円増加し、2,438,028千円となりました。

 

(負債)

当事業年度末の流動負債は、前事業年度末の29,449千円と比べて8,493千円増加し、37,942千円となりました。これは主として、未払法人税等が14,325千円増加したことなどによるものです。

また、当事業年度末の固定負債は、前事業年度末の475,650千円と比べて276,421千円減少し、199,228千円となりました。これは、上場により調達した資金の一部を用いて、RS8001PMS/PMDDに係るCiCLE事業の担保用資金として金融機関から借入れていた長期借入金380,000千円を返済した一方で、RS8001PMS/PMDDに係るCiCLE事業による研究開発資金の受入れにより、長期借入金が103,578千円増加したことによるものです。

この結果、負債合計は、前事業年度末の505,099千円と比べて267,927千円減少し、237,171千円となりました。

 

(純資産)

当事業年度末の純資産は、前事業年度末の561,533千円と比べて1,639,323千円増加し、2,200,857千円となりました。これは主として、2021年9月に東証マザーズに上場したことに伴う株式発行などにより、資本金及び資本準備金がそれぞれ946,808千円増加したことなどによるものです。

 

③ キャッシュ・フローの概況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末の644,944千円に比べ1,360,872千円増加し、2,005,816千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況と主な変動要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度の営業活動資金の支出額は230,492千円(前事業年度は89,255千円の支出)となりました。これは主として、税引前当期純損失253,088千円の計上、株式交付費25,532千円の計上、前払費用の増加額24,462千円の計上などによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度の投資活動資金の支出額は296千円(前事業年度は1,719千円の支出)となりました。これは、差入保証金の回収による収入867千円を計上した一方で、有形固定資産の取得による支出1,164千円を計上したことなどによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度の財務活動資金の収入額は1,591,662千円(前事業年度は135,650千円の収入)となりました。これは、株式の発行による収入1,868,083千円及び長期借入れによる収入103,578千円を計上した一方で、長期借入金の返済による支出380,000千円を計上したことによるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社は研究開発を主体としており生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

当社は研究開発を主体としており受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

c.販売実績

当社の事業セグメントは医薬品等の開発・販売等事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績の記載はしておりません。前事業年度及び当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。

 

金額(千円)

前年同期比(%)

事業収益

139,333

66.4

 

(注)1.最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

当事業年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

売上高(千円)

割合(%)

売上高(千円)

割合(%)

Baxter Healthcare Corporation

107,530

51.3

あすか製薬株式会社

50,000

23.8

国立大学法人東北大学

27,272

13.0

73,272

52.5

ニプロ株式会社

30,000

21.5

チェスト株式会社

25,000

17.9

 

2.売上高割合が10%未満の相手先については、記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。

財務諸表の作成にあたっては、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、これらについては、過去の実績や現在の状況等を勘案し、合理的と考えられる見積り及び判断を行っております。ただし、これらには見積り特有の不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

なお、当社が財務諸表を作成するにあたり採用した重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状況

財政状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の概況」に記載のとおりです。

 

b.経営成績

(事業収益)

当事業年度の事業収益は、 139,333千円 (前事業年度 209,802千円 )となりました。前事業年度は、S9001ディスポーザブル極細内視鏡に係るアップフロント収入、RS8001PMS/PMDD及びRS5614COVID-19に係るオプション料の受取りなどによる収益を計上した一方、当事業年度は、RSAI02慢性透析システム支援における契約一時金、RSAI03糖尿病治療支援システムにおける契約一時金、RS9001ディスポーザブル極細内視鏡及びRSAI01呼吸機能検査診断システムに係るマイルストーン収入、RS5614COVID-19及びRS5614メラノーマに係る受託研究収入などを計上したことによるものです。

(事業原価、売上総利益)

当事業年度の事業原価は、58,363千円(前事業年度29,977千円)となりました。前事業年度は、RS9001ディスポーザブル極細内視鏡の契約一時金に係るレベニューシェア支払い等を計上した一方、当事業年度は、RS5614COVID-19及びRS5614メラノーマの受託研究に係る外注費を計上したことなどによるものです。

この結果、当事業年度の売上総利益は、80,970千円(前事業年度179,825千円)となりました。

(事業費用、営業損失)

当事業年度の事業費用は、291,810千円(前事業年度265,950千円)となりました。主な要因は、上場関連費用などの計上により、業務委託費が前事業年度に比べて17,145千円増加したこと、及び、前事業年度では未計上であった事業税資本割の計上などにより、租税公課が前事業年度に比べて12,989千円増加したことなどによるものです。

この結果、当事業年度の営業損失は210,839千円(前事業年度86,125千円)となりました。

(営業外収益、営業外費用、経常損失)

当事業年度の営業外収益は、63千円(前事業年度2,901千円)となりました。主な要因は、受取利息20千円、及び、雑収入42千円を計上したことによるものです。

当事業年度の営業外費用は、30,993千円(前事業年度7,504千円)となりました。主な要因は、上場に伴う株式交付費25,532千円、及び、長期借入金に係る支払利息5,366千円を計上したことなどによるものです。

この結果、当事業年度の経常損失は241,769千円(前事業年度90,728千円)となりました。

(特別利益、特別損失、当期純損失)

当事業年度の特別利益はありません。

当事業年度の特別損失は、11,318千円(前事業年度9,028千円)となりました。主な要因は、RS8001統合失調症の特許権に係る減損損失11,318千円を計上したことによるものです。

これらの結果を受け、当事業年度の当期純損失は、254,292千円(前事業年度100,054千円)となりました。

 

c.キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの概況」に記載のとおりです。

 

d.資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社は、創薬等のコンセプトやシーズの研究費及びパイプラインの製品化に向けた開発費並びに係る販売費及び一般管理費等の事業用費用について資金需要を有しております。当社は、主に公的機関の研究開発助成金や第三者割当増資により調達を行った手許資金により事業用費用に充当してまいりましたが、現下では、金融機関の当座貸越枠を確保するなどしており流動性に支障はないものと考えております。中長期眼では、次世代の医療ソリューション開発を掲げ一層の事業拡大や係る投資を想定しており、新規上場に伴う第三者割当増資などによる財務基盤の増強が必要であると認識しております。

なお、現状の現金水準については、2021年9月の株式上場による資金調達や上記当座貸越枠も確保していることから、当面の事業には問題のない水準です。

 

e.経営成績等の状況に関する認識

経営成績に重要な影響を及ぼす要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

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