当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
a. 当期(2021年1月1日~2021年12月31日)の経営成績
<全体概況>
当期のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、企業収益に回復の動きが見られましたが、雇用情勢や個人消費の低迷が続くなど、全体としては依然厳しい状況で推移しました。
当社グループが主に事業を展開する国内一般用消費財業界においては、販売単価の上昇が続いたものの、衛生関連品等で前期の需要拡大の反動もあり、市場全体は縮小しました。
このような環境の中、当社グループは、中長期経営戦略フレーム「Vision(ビジョン)2030」を策定し、サステナビリティ重要課題への取組みを推進するとともに、3つの成長戦略である、「4つの提供価値領域における成長加速」、「成長に向けた事業基盤への変革」、「変革を実現するダイナミズムの創出」にもとづく施策を推進しました。また、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、当社グループは感染拡大の防止と従業員の安全確保に最大限努めるとともに、衛生習慣の定着に向けた活動にも注力しました。
国内事業では、ハミガキ、デンタルリンス、衛生関連品、柔軟剤、台所用洗剤、住居用洗剤、解熱鎮痛薬等において高付加価値品を中心とする新製品を導入し、効率的なマーケティング施策等により育成を図りました。
海外事業では、オーラルケア、ビューティケア等のパーソナルケア分野の拡大施策を推進するとともに、洗濯用洗剤等のホームケア分野の競争力強化と収益性向上に取り組みました。
以上の結果、当期の連結業績は、売上高3,662億3千4百万円(前期比3.1%増、為替変動の影響を除いた実質前期比1.9%増)、事業利益309億2千3百万円(前期比14.0%減)、営業利益311億7千8百万円(同29.3%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益237億5千9百万円(同20.5%減)となりました。
<連結業績の概況> (単位:百万円)
(注)事業利益は、売上総利益から販売費及び一般管理費を控除したもので、恒常的な事業の業績を測る当社の利益指標です。
<セグメント別の業績> (単位:百万円)
(注)売上高構成比は、各部門の売上高から部門間の内部売上高・振替高を控除した外部顧客への売上高にもとづき算出しております。
<セグメント別概況>
1) 一般用消費財事業
当事業は、「オーラルケア分野」、「ビューティケア分野」、「ファブリックケア分野」、「リビングケア分野」、「薬品分野」、「その他の分野」に分かれており、全体の売上高は、前期比0.6%の増加となりました。セグメント利益は、原材料価格の上昇や競争費用の増加等により前期比22.8%の減少となりました。
(注)以降、グラフの単位は億円
[売上高の分野別状況]
(オーラルケア分野)
ハミガキは、「システマEX(イーエックス) ハミガキ」が前期を下回りましたが、「クリニカアドバンテージ ハミガキ」が好調に推移するとともに、歯の表面にできるミクロなキズに残る着色汚れまで徹底除去する美白ハミガキの新製品「Lightee(ライティー) ハミガキ」がお客様のご好評をいただき、全体の売上は前期を上回りました。
ハブラシは、「クリニカアドバンテージ ハブラシ」が好調に推移するとともに、「システマハブラシ」が順調に推移し、全体の売上は前期を上回りました。
デンタルリンスは、「NONIO(ノニオ) プラスホワイトニングデンタルリンス」が好調に推移するとともに、歯ぐきを活性化し歯周病(歯肉炎・歯周炎)を防ぐとともに、8つの機能がはたらく独自のプレミアム処方の新製品「システマ ハグキプラス プレミアム デンタルリンス」も加わり、全体の売上は前期を上回りました。
(ビューティケア分野)
ハンドソープは、前期の需要拡大の反動で「キレイキレイ薬用泡ハンドソープ」が前期を下回り、全体の売上は前期を下回りました。
ボディソープは、「hadakara(ハダカラ) ボディソープ」が順調に推移し、全体の売上は前期を上回りました。
制汗剤は、「Ban(バン) 汗ブロックロールオン」シリーズが前期を下回り、全体の売上は前期を下回りました。
(ファブリックケア分野)
柔軟剤は、「ソフラン アロマリッチ」や「ソフラン プレミアム消臭」が順調に推移し、全体の売上は前期を上回りました。
洗濯用洗剤は、液体高濃度洗剤「トップ スーパーNANOX(ナノックス) ニオイ専用」が好調に推移しましたが、液体洗剤「トップ クリアリキッド」が前期を下回り、全体の売上は前期比微減となりました。
(リビングケア分野)
台所用洗剤は、「CHARMY(チャーミー) Magica(マジカ)」が堅調に推移するとともに、食器洗い機専用洗剤「CHARMY(チャーミー) クリスタ」が好調に推移し、全体の売上は前期を上回りました。
住居用洗剤は、浴室用洗剤「ルックプラス バスタブクレンジング」や浴室用カビ防止剤「ルックプラス おふろの防カビくん煙剤」が好調に推移するとともに、洗いにくい便器のフチ裏まで簡単に掃除できる新方式のトイレ用洗剤「ルックプラス 泡ピタ トイレ洗浄スプレー」がお客様のご好評をいただき、全体の売上は前期を大幅に上回りました。
調理関連品は、「リード クッキングペーパー」が前期を下回り、全体の売上は前期を下回りました。
(薬品分野)
解熱鎮痛薬は、つらい頭痛に効き目と速さを追求した新製品「バファリン プレミアムDX(ディーエックス)」を発売した「バファリン」シリーズが前期を大幅に上回り、全体の売上は前期を大幅に上回りました。
点眼剤は、「スマイル40EX(イーエックス)」シリーズが前期を下回りましたが、「スマイル40 メディクリアDX(ディーエックス)」が好調に推移し、全体の売上は前期を上回りました。
(その他の分野)
通信販売商品は、「ナイスリムエッセンス ラクトフェリン」が前期を下回り、全体の売上は前期を下回りました。
ペット用品は、猫用トイレの砂「ニオイをとる砂」が順調に推移するとともに、オーラルケア用品が好調に推移し、全体の売上は前期を上回りました。
2) 産業用品事業
当事業は、タイヤの防着剤等を取り扱う「モビリティ分野」、2次電池用導電性カーボン等の「エレクトロニクス分野」、施設・厨房向け洗浄剤等の「業務用洗浄剤分野」等で構成されており、全体の売上高は、前期比11.3%の増加となりました。セグメント利益は、前期比22.0%の増加となりました。
モビリティ分野では、タイヤの防着剤やゴム離型剤が好調に推移し、全体の売上は前期を大幅に上回りました。
エレクトロニクス分野では、車載電池向けカーボンが好調に推移し、全体の売上は前期を大幅に上回りました。
業務用洗浄剤分野では、ハンドソープが好調に推移し、全体の売上は前期を上回りました。
3) 海外事業
海外は、タイ、マレーシア等の東南アジア、韓国、中国等の北東アジアにおいて事業を展開しております。全体の売上高は、前期比7.5%の増加(為替変動の影響を除いた実質前期比3.1%の増加)となりました。セグメント利益は、原材料価格の上昇などにより前期比15.9%の減少となりました。
[地域別売上状況]
(地域別の状況)
東南アジア全体の売上高は、前期比3.5%の増加となりました。
タイでは、台所用洗剤が前期を下回りましたが、洗濯用洗剤が堅調に推移し、円貨換算後の全体の売上は前期を上回りました。
また、マレーシアでは洗濯用洗剤「トップ」が順調に推移し、円貨換算後の全体の売上は前期を上回りました。
北東アジア全体の売上高は、前期比15.1%の増加となりました。
韓国では、ハンドソープが前期を下回りましたが、為替変動の影響により円貨換算後の全体の売上は前期を上回りました。
また、中国では、「システマ」ハブラシに加え、日本からの輸入品の販売が前期を大幅に上回り、円貨換算後の全体の売上は前期を大幅に上回りました。
4) その他
その他では、全体の売上高は、278億8千1百万円(前期比19.9%減)となりました。セグメント利益は、21億4千5百万円(前期比7.3%減)となりました。
b. 次期(2022年1月1日~2022年12月31日)の業績見通し
<連結>
(注)事業利益は、売上総利益から販売費及び一般管理費を控除したもので、恒常的な事業の業績を測る当社の利益指標です。
次期のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況からの持ち直しが期待されるものの、依然として先行き不透明な状況で推移するものと予想されます。
当社グループが主に事業を展開する国内一般用消費財業界においては、堅調な需要が見込まれるものの激しい競争が続くものと想定されます。
このような中、当社グループは中長期経営戦略フレームにもとづく新中期経営計画「Vision(ビジョン)2030 1st(ファースト) STAGE(ステージ)」をスタートさせ、サステナブルな社会への貢献と事業成長の加速を目指してまいります。
次期の連結業績見通しは、売上高3,750億円(前期比2.4%増)、事業利益230億円(同25.6%減)、営業利益275億円(同11.8%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益200億円(同15.8%減)を予想しております。
a.財政の状況
(連結財政状態)
(注1) 親会社所有者帰属持分比率は、(資本合計-非支配持分)/資産合計で計算しております。
(注2) 1株当たり親会社所有者帰属持分は、非支配持分を含まずに計算しております。
資産合計は、現金及び現金同等物の減少等により、前期末と比較して74億7千5百万円減少し、4,280億2千5百万円となりました。資本合計は、201億5千8百万円増加し、2,650億1千4百万円となり、親会社所有者帰属持分比率は58.8%となりました。
(連結キャッシュ・フロー) (単位:百万円)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益等により、192億9千6百万円の資金の増加(前期は407億2千9百万円の資金の増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、341億7千7百万円の資金の減少(前期は198億6千8百万円の資金の減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額等により、102億2千5百万円の資金の減少(前期は91億4千万円の資金の減少)となりました。
以上の結果、当期の現金及び現金同等物の期末残高は、前期末に比べ242億8千3百万円減少し(前期は111億2千7百万円の資金の増加)、972億5千万円となりました。
(キャッシュ・フロー関連指標の推移)
(注) 親会社所有者帰属持分比率 :親会社の所有者に帰属する持分/資産合計
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率 : 株式時価総額/資産合計
債務償還年数 : 有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ : 営業キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
c. 次期のキャッシュ・フローの見通し
営業活動によるキャッシュ・フローのうち、税引前当期利益は280億円程度と予想しております。減価償却費及び償却費は180億円程度となる見込みです。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、設備投資による支出は290億円程度を予定しております。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、配当の支払いなどにより、100億円程度の資金の減少を予想しております。
以上により、次期の現金及び現金同等物の期末残高は、当期末に比べて70億円程度の増加と予想しております。
d. 利益配分に関する基本方針
「第4 提出会社の状況 3配当政策」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は生産者販売価格で算出しており、消費税等は含んでおりません。
受注生産は行っておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の内部取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
3 金額は消費税等を含んでおりません。
① 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号。以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定により、国際財務報告基準(以下「IFRS」という。)に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり採用した会計方針およびその適用方法ならびに見積りの評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しているため省略しております。
② 経営方針、経営戦略等または目標とする経営指標に照らした分析、検討内容
当社グループの経営方針、経営戦略等又は目標とする経営指標は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。経営成績等の状況に関する認識・分析は以下のとおりです。
a. 売上の状況
当連結会計年度の売上高は、3,662億3千4百万円(前期比3.1%増、為替変動の影響を除いた実質前期比1.9%増)となりました。売上高は、一般用消費財はハンドソープ等でコロナ影響による需要拡大の反動減があったものの前年並みを確保、海外では中国の好調、産業用品では化学品の市況回復によりそれぞれ増収となりました。
b. 損益の状況
当連結会計年度の損益は、事業利益309億2千3百万円(前期比14.0%減)、営業利益311億7千8百万円(同29.3%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益237億5千9百万円(同20.5%減)となりました。事業利益は、トータルコストダウンを推進するも、原材料価格の上昇や競争費用の増加等により減益となりました。営業利益および親会社の所有者に帰属する当期利益は、事業利益の減に加えて、前連結会計年度に固定資産(本社土地)譲渡益等があったことから減益となりました。
以上の結果、当連結会計年度のROEは9.8%となりました。
a. 基本的な考え方
当社グループは、「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign)」というパーパスを起点とし、2030年に向けた経営ビジョン「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ」を掲げ、その実現への企業活動を進めております。
資金については、中長期的な成長を継続させるための投資資金の確実な確保と、財務健全性の維持を基本方針とし、成長投資や運転資金の需要に合わせて、機動的に対応することとしています。また、投資や事業成長から創出した資金を、更なる成長に向けて再投資するとともに、マルチステークホルダーへの還元を強化することで、企業価値拡大スパイラルの実現を目指します。
b. 資金の需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品および製品製造のための原材料の購入、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは販売促進費、広告宣伝費および人件費等です。また、当社グループの投資資金需要のうち主なものは、主力の製造拠点である国内工場の設備維持更新に加え、生産能力増強および生産効率向上のための設備投資です。将来の成長に向けた戦略的な資金需要に対しては、財務基盤の安定と資本効率の向上を図りながら対応してまいります。
剰余金の配当等の決定に関する方針は、継続的かつ安定的な利益還元を行うことを経営の最重要課題と考え、配当は連結配当性向30%を目安として継続的かつ安定的に実施し、自己株式の取得は中長期的な成長のための内部留保を総合的に判断して実施を検討してまいります。内部留保は、企業成長力の強化、永続的な事業基盤の整備を行うことを目的として、研究開発、生産設備等への投資や外部資源獲得に充当してまいります。
c. 資金調達
当社グループの運転資金および設備投資資金は、主として営業活動で得られた資金により充当し、必要に応じて金融機関からの借入や社債等による資金調達を行う方針であります。当社は国内格付機関である格付投資情報センター(R&I)から格付を取得しており、本報告書提出日時点における長期発行体格付はA(安定的)となっております。また、当社は複数の銀行との間で借入枠を有しており、緊急時の流動性を確保しております。これらにより、当社グループの事業運営に必要な運転資金や将来の成長に向けた投資資金は適切に調達することが可能であると考えております。
なお、当社グループでは、国内連結子会社にキャッシュ・マネジメント・システムを導入しており、グループ資金を当社に集中するとともに、各社の必要資金を当社が貸し付けることで、資金効率の向上と支払利息の低減を図っております。
「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
お知らせ