業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(2021年3月1日~2022年2月28日)におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大(第4波、第5波、第6波)、長期化に伴い、主要都市を対象とした緊急事態宣言やまん延防止措置が発出され、ワクチン接種が進展したものの、引き続き新型コロナウイルス感染症が国内外の経済活動に大きな影響を与えています。足元ではオミクロン株の感染が続いている中で3度目のワクチン接種等によって収束を目指していますが、今後も新たな変異株の発生・拡大や緊急事態宣言等の行動制限の発出というリスクに晒されており、先行き不透明な状況が継続しています。海外各国でもワクチン接種の進展度合いなどに応じて地域や国による跛行性が見られ、一部の国ではウィズ・コロナの生活様式としてマスク着用を解消する動きも出ていますが、オミクロン株やその他変異株の動向も含めて依然として先行き不透明な状況が続いております。また、ロシアによるウクライナ侵攻という新たな不確定要因も加わり、世界的な物流遅延や物価上昇等の経済活動への影響も懸念されております。

化粧品業界におきましても、メイクアップ製品を中心に、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けております。国内では、マスク着用の常態化や外出・外食自粛により個人消費が低迷、さらに、わが国への入国規制強化の継続でインバウンド需要も回復せず、化粧品需要はメイクアップ製品を中心に大きく減少したまま推移しています。海外においても、世界規模でまん延が続く新型コロナウイルス感染症の影響等により化粧品需要は低迷しております。ワクチン接種の進んだ地域や国では各種の感染症対策が緩められる事によって経済活動の再開や消費の回復が見られますが、一方でオミクロン株の様な新たな変異株が発生するなど、化粧品需要の回復においては地域や国による跛行性が見られ、依然として先行き不透明な状況が続いております。

当社グループにおきましては、2017年度からスタートした「中期事業戦略ビジョン(2017-2021)」のもと、「生産能力の増強」ならびに「グローバリゼーションの加速化」の実現に取り組んでまいりましたが、想定外の新型コロナウイルス感染症発生・拡大と影響の長期化により、厳しい環境の中で事業活動を強いられております。国内・海外化粧品メーカーからの受注の低迷や、従業員の新型コロナウイルス感染症への罹患などによる工場稼働への影響などを受け、「生産能力の増強」施策として取り組んだつくば工場第3期拡張や海外子会社における設備投資によって実現した生産能力を活用しきれない状況が続いており、2021年8月には吹田工場の閉鎖を余儀なくされております。

今後、ワクチン接種の継続によって新規感染が抑制され、罹患者に対する治療薬も開発・導入されていくことが期待されますが、新型コロナウイルス感染症の収束のタイミングや国内化粧品市場の回復スピードは依然として不透明な状況です。まずは営業赤字からの早期脱却、新型コロナウイルス感染症拡大以前の業績水準への早期回復に向けて、事業基盤の再構築を最優先の課題に掲げ、新たに当社創業100周年(2030年)に目指すべき姿に向けた「中期事業戦略ビジョン(2022-2026)」を策定しました。当面は、新型コロナウイルス感染症下における化粧動向を反映した処方や生産技術の開発でお客様の要請に応え、中長期的には化粧品へのクリーン・ビューティー、SDGsなどの要請に対応するなど、新しい環境での強みを伸ばして業績の速やかな回復を図るべく更なる努力を重ねてまいります。

 

 以上の結果、当連結会計年度における財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。

 

a.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、売上高8,702百万円(前連結会計年度比4.8%減)、営業損失267百万円(前連結会計年度は営業損失831百万円)、経常損失171百万円(前連結会計年度は経常損失588百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失122百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失848百万円)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

(日本)

 日本は、売上高6,563百万円(前連結会計年度比4.1%減)、営業損失285百万円(前連結会計年度は営業損失964百万円)となりました。

(仏国)

 仏国は、売上高2,201百万円(前連結会計年度比7.2%減)、営業利益17百万円(同85.7%減)となりました。

 

 

b.財政状態

(資産)

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ196百万円減少し、15,353百万円となりました。

(負債)

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ56百万円減少し、12,403百万円となりました。

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ140百万円減少し、2,950百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は1,222百万円となり、前連結会計年度末に比べ263百万円増加いたしました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果増加した資金は、781百万円(前連結会計年度は405百万円の増加)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果減少した資金は、187百万円(前連結会計年度は2,077百万円の減少)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果減少した資金は、338百万円(前連結会計年度は1,872百万円の増加)となりました。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

前年同期比(%)

日本(千円)

6,412,075

94.1

仏国(千円)

2,223,068

96.5

合計(千円)

8,635,144

94.7

 (注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

日本

7,540,256

132.4

3,536,681

141.6

仏国

2,327,802

118.6

864,414

124.8

合計

9,868,059

128.8

4,401,096

138.0

 (注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

前年同期比(%)

日本(千円)

6,501,063

96.0

仏国(千円)

2,200,965

92.8

合計(千円)

8,702,029

95.2

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2020年3月1日

至  2021年2月28日)

当連結会計年度

(自  2021年3月1日

至  2022年2月28日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

㈱井田ラボラトリーズ

1,011,528

11.1

1,107,883

12.7

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等の分析等

1)経営成績

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、国内で①新型コロナウイルス感染症対策としてのマスク着用の定着化や外出自粛によるメイクアップ化粧品の消費需要の低迷、②訪日外国人旅行者によるインバウンド需要の蒸発、ならびに③世界的な新型コロナウイルス感染症拡大による海外向け製品受注の低迷、と総じて受注が低迷する中で、④デルタ株による座間工場でのクラスター感染の発生やオミクロン株による従業員の感染や自宅待機の発生による工場稼働の低下、⑤物流遅延による資材到着の遅れや出荷の遅れといった生産・物流面の影響もあり、加えて⑥フランス連結子会社も新型コロナウイルス感染症の影響で減収となったことから、前連結会計年度より441百万円(4.8%)減少して8,702百万円となりました。

(売上総利益)

 当連結会計年度の売上総利益は、売上高低迷とつくば工場第3期拡張による諸費用増の影響はあるものの、各種コスト圧縮努力もあって、前連結会計年度より401百万円(99.8%)増加して804百万円となりました。売上高に対する比率は、前連結会計年度より4.8ポイント上回って9.2%となりました。

(販売費及び一般管理費、営業損失)

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度より162百万円(13.1%)減少して1,072百万円となりました。売上高に対する比率は、前連結会計年度より1.2ポイント下回って12.3%となりました。

 以上の結果、当連結会計年度の営業損失は、前連結会計年度の営業損失より563百万円改善して267百万円となりました。

(営業外損益、経常損失)

 当連結会計年度の営業外収益は、補助金収入166百万円等の計上はあったものの前連結会計年度より128百万円(37.7%)減少して212百万円、営業外費用は前連結会計年度より17百万円(17.8%)増加して115百万円となりました。

 以上の結果、当連結会計年度の経常損失は、前連結会計年度の経常損失より417百万円改善して171百万円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純損失)

 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、閉鎖した吹田工場の固定資産売却による特別利益83百万円の計上等により、前連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失より726百万円改善して122百万円となりました。1株当たり当期純損失は、前連結会計年度の1株当たり当期純損失より346円70銭改善して58円23銭となりました。

2)財政状態

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産の残高は、5,011百万円(前連結会計年度末は4,719百万円)となり、前連結会計年度末に比べ291百万円増加いたしました。これは主に、新型コロナウイルス感染症の影響が長引く中での手元資金積み増しや期末に向けた売上高の回復に伴う売上債権の増加等によるものですが、科目別では現金及び預金が244百万円、受取手形及び売掛金が134百万円、電子記録債権が69百万円増加し、商品及び製品が64百万円、原材料及び貯蔵品が123百万円減少したことによるものであります。

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産の残高は、10,342百万円(前連結会計年度末は10,831百万円)となり、前連結会計年度末に比べ488百万円減少いたしました。これは主に、既存固定資産の減価償却等によるものですが、建物及び構築物が208百万円、機械装置及び運搬具が163百万円、工具、器具及び備品が48百万円、無形固定資産が41百万円、投資有価証券が74百万円減少し、投資その他の資産のその他が74百万円増加したことによるものであります。

 

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債の残高は、4,111百万円(前連結会計年度末は3,547百万円)となり、前連結会計年度末に比べ563百万円増加いたしました。これは主に、仕入れの増加に伴う買入債務の増加等によるものですが、科目別では支払手形及び買掛金が153百万円、電子記録債務が108百万円、短期借入金が313百万円増加したことによるものであります。

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債の残高は、8,291百万円(前連結会計年度末は8,912百万円)となり、前連結会計年度末に比べ620百万円減少いたしました。これは主に、既存の長期借入金やリース債務の約定弁済等によるものですが、長期借入金が535百万円、リース債務が83百万円減少したことによるものであります。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産の残高は、2,950百万円(前連結会計年度末は3,090百万円)となり、前連結会計年度末に比べ140百万円減少いたしました。これは主に、株主資本が、親会社株主に帰属する当期純損失により122百万円減少し、その他の包括利益累計額が18百万円減少したことによるものであります。

 この結果、自己資本比率は19.2%(前連結会計年度末は19.9%)となりました。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループの経営に重要な影響を与える可能性のある要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。これらのリスクの回避に努めるとともに発生した場合の対応に万全を期してまいります。

 

c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、売上高営業利益率及び自己資本比率の向上を重要な経営指標としております。

 当連結会計年度の売上高営業利益率は、新型コロナウイルス感染症の影響長期化で売上高が低迷、マイナスとなりましたが、各種コスト圧縮努力を行ったことから、前連結会計年度より6.0ポイント改善して△3.1%となりました。自己資本比率は前連結会計年度より0.7ポイント下回って19.2%となりました。

 また、連結売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響で前連結会計年度より4億円減少したことから、「中期事業戦略ビジョン(2017-2021)」の最終年度である2021年度の目標として掲げた150億円に対して、87億円となりました。

 

d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度における所在地別セグメントの業績の概況は、次のとおりです。

(日本)

新型コロナウイルス感染症の影響継続によって国内外の化粧品需要が低迷した結果、国内・海外化粧品メーカー各社からの受注が減少、生産・物流面にも影響したことから、売上高は前連結会計年度比4.1%減の6,563百万円となりました。利益面では、売上高の減少の中で各種コスト圧縮努力を行いましたが、つくば工場第3期拡張による諸費用増もあって、営業損失285百万円(前連結会計年度は営業損失964百万円)となりました。セグメント資産は、既存固定資産の減価償却等もあり、前連結会計年度比3.5%減の13,422百万円となりました。

(仏国)

 子会社テプニエ社の所在する欧州は、当連結会計年度(1~12月)において、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で景気が低迷するなかで、テプニエ社も医薬品事業、化粧品事業共に影響を受け、売上高は前連結会計年度比7.2%減の2,201百万円となりました。利益面では、売上高の減少と設備投資に伴う諸費用の増加等により、営業利益は前連結会計年度比85.7%減の17百万円となりました。セグメント資産は、期末に向けた売上高の回復に伴う売上債権の増加等もあり、前連結会計年度比9.3%増の2,785百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フロー

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果増加した資金は、781百万円(前連結会計年度は405百万円の増加)となりました。これは主に、減価償却費785百万円、たな卸資産の減少額167百万円、仕入債務の増加額258百万円等による増加と、税金等調整前当期純損失111百万円、売上債権の増加額191百万円、未払消費税の減少額52百万円等による減少によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果減少した資金は、187百万円(前連結会計年度は2,077百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出239百万円、長期貸付けによる支出78百万円等による減少と、閉鎖した吹田工場を含む有形固定資産の売却による収入103百万円等による増加によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果減少した資金は、338百万円(前連結会計年度は1,872百万円の増加)となりました。これは主に、短期借入金の増加額129百万円、長期借入れによる収入1,461百万円と長期借入金の返済による支出1,834百万円、リース債務の返済による支出95百万円等によるものであります。

(現金及び現金同等物の期末残高)

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、上記の要因により、1,222百万円となり、前連結会計年度末に比べ263百万円増加いたしました。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

1)資金需要

 当社グループの資金需要は、主に運転資金需要と設備資金需要の2つがあります。

 運転資金需要の主なものは、当社グループ製品の製造のための原材料の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等によるものであります。また、設備資金需要としては経常的な機械設備等の買い換え取得等によるものであります。

 

2)財務政策

 当社グループは、メイン銀行をはじめ取引金融機関と円滑な取引関係を維持しつつ、健全な財務体質の維持に注力しております。経常的な設備等の買い換え取得や運転資金については、内部資金を活用すると共に金融機関からの短期借入金及び長期借入金により資金調達を実施しております。特に、大口の設備資金需要に関しては長期の安定資金を金融機関から調達しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。その作成には、決算日における資産・負債の報告金額および偶発的資産・負債の開示、ならびに報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与える見積りおよび仮定が必要となりますが、この判断および見積りには決算日までに入手可能なすべての情報と過去の実績を勘案して、合理的な根拠に基づいて継続的に評価しております。

 従って、連結財務諸表作成時点で実施した見積りおよび将来の予測が、予測不可能な事象の発生によって実際の結果が著しく異なることも考えられます。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報) (1)新型コロナウイルス感染症の感染拡大における会計上の見積りに関する追加情報」に記載しております。

 

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