事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当企業集団が判断したものであります。

 

当企業集団では、「危機管理規程」を制定するとともに、「内部統制部会(財務・IT統制)」、「企業倫理部会」、「情報セキュリティ部会」および「品質管理部会」を設置しております。各部会は、内部・外部環境の状況を把握し、重点リスクの分析とその対応を行います。各部会が行ったリスク分析とその対応は、当社代表取締役社長執行役員を委員長とする「グループリスク・コンプライアンス委員会」に報告されます。「グループリスク・コンプライアンス委員会」は報告内容を踏まえ、リスク対応方針を各部会に提示し、分析されたリスクおよびリスク対応方針を当社取締役会に報告し、取締役会において、全社のリスク管理の取組状況を監督しております。また、突発的に生じたリスクについては、「危機管理規程」に基づき定められた総括責任者である代表取締役社長執行役員および担当執行役員が、すみやかに対応責任者を決め、対策委員会を設置し、迅速な対応を行い、損害の拡大防止に努めております。

 

<外的リスク>

主要なリスク内容

主な取り組み

消費者行動の変化

 当企業集団は、美と健康を事業領域として展開しております。近年は敏感肌の女性の増加や健康志向の高まりから、敏感肌用化粧品や栄養補助食品の市場への新規参入が増加する傾向にあります。

 消費者の美と健康に関する価値観やニーズ、購買行動の変化などへの対応が不十分で、競合企業の新製品の登場などにより当社製品の競争力が相対的に低下するような場合には、当企業集団の成長力と収益性が低下する可能性があります。

 

 当企業集団は、創業以来、「『不』のつく事柄を解消する仕組みづくり」を経営の基本方針とし、無添加化粧品、栄養補助食品、発芽米および青汁事業などを展開しております。製品開発においても、商品企画開発を担当する部門がこの経営方針に基づき、お客様のニーズや市場調査などを基にして製品の企画開発を進めております。

 世の中やお客様の『不』が何かを追求する姿勢を堅持し、より発展していくことが、消費者行動の変化に迅速に対応し競争力を維持することにつながっております。

 

自然災害

 大地震や気候変動に伴う風水害の発生など、自然災害の発生頻度が昨今高まりつつあります。

 当企業集団の本社、工場、物流センターにおいて、自然災害に罹災することにより業務遂行に困難をきたした場合には、当企業集団の経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 また、発芽米および青汁につきましては、原料である米やケールの収穫量は天候に左右される性格のものであり、天候不順により原料の不足、価格の高騰があった場合には、当企業集団の業績に影響を与える可能性があります。

 

 当企業集団では、大地震などの自然災害だけでなく、オールハザード型の事業継続計画を定めており、計画に基づいた対応を進めております。

 本社機能は、事業継続に必要な中核システムのサーバーの免震化など災害対策を進めるとともに、従業員が在宅勤務できる体制を整備しております。

 調達は、主要製品の原料・資材について製造・在庫場所を把握し、仕入先の分散や希少原料の在庫保管などによりリスクの低減を図っております。また、天候に左右される米やケールについては、生産地の分散化や原料の備蓄に努めております。

 製造は、当企業集団では化粧品、栄養補助食品および発芽米の製造を国内6ヶ所の直営工場などで行い、青汁の製造は関連会社などに委託しております。外部委託を含め、複数ヶ所での生産体制を構築することにより、リスクの低減を図っております。

 物流は、物流センターを東西に設置し、リスクの分散を図っております。

 

 

 

主要なリスク内容

主な取り組み

地政学リスク

 当企業集団は、中国をはじめとするアジア市場を海外事業の重要地域として事業展開を行っております。

 特に米中間の貿易摩擦や日中関係などの地政学的な問題が発生した場合には、海外事業に大きな影響が発生し、当企業集団の業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

 当企業集団は、地政学的な問題が発生した場合にも当企業集団の製品を選択していただけるブランド価値の確立を目指しております。

 また、当連結会計年度の時点では中国が主な海外市場となっておりますが、今後グローバル化を推進する中で、中国以外のアジア、欧米での展開を強化し、各地域の売上バランスを最適化することで、地政学リスクの低減を図ります。

 

感染症の流行

 感染症の流行が急速に拡大し、パンデミックが発生した場合、当企業集団の事業所の操業停止や直営店舗の休業発生の可能性があり、当企業集団の業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

 当企業集団は、事業継続計画に基づき、複数の製造・物流・電話窓口拠点を有しており、特定の事業所において感染症が発生した場合にも事業継続が可能な体制を構築しております。

 また、本社部門においては在宅勤務が可能な環境を整備しており、感染症流行時に本社に出社しなくても業務遂行が可能となっております。

 直営店舗の休業に対しては、当企業集団が持つマルチチャネルの強みを発揮し、通信販売への誘導を図るなど、当企業集団全体で影響を軽減できる体制を構築しております。

 

為替変動

 当企業集団は、在外連結子会社3社を通して海外で事業を展開しており、外国通貨建ての取引において為替変動の影響を受けます。

 また、連結決算において在外連結子会社の財務諸表を円換算する際にも為替変動の影響を受けます。

 為替変動が想定を上回った場合には、当企業集団の財政状態や経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 当企業集団は、取引に使用している主要通貨の為替変動を監視し、例えば適切な為替予約等を付すことなど、迅速に為替変動に対応できる体制を整備しております。

原材料の調達

 当企業集団は、化粧品、栄養補助食品、発芽米および青汁事業において、外部企業から原材料を調達し、直営工場・外部委託工場で製造しております。

 外的要因により不測の事態が発生した場合、予定した量の調達が行えないことや、原材料の価格高騰など、当企業集団の業績に影響を与える可能性があります。

 

 

 原材料の調達は、購買を担当する部門が統括管理を行い、販売部門と連携を図りながら仕入先を分散し、リスクの低減を図っております。

 

 

 

<内的リスク>

主要なリスク内容

主な取り組み

製造・品質管理

 当企業集団の化粧品および栄養補助食品などを塗布・摂取することによりお客様の肌や体調に対し悪影響が発生する可能性があり、当企業集団の製品の品質に問題があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 当企業集団では、化粧品、栄養補助食品、発芽米および青汁について、それぞれ一般の基準よりも厳しい独自の品質基準を設けて評価しております。

 製造においては、ISOの仕組みとともにGMP(Good Manufacturing Practice)の仕組みも取り入れ、①人為的なミスの防止、②菌汚染、異物混入の防止、③一定の品質のものが安定して作られる工程の確立、を目的とした厳格な品質管理および製造管理の実施と、適切な製造設備の構築と維持管理により、製品の品質と安全性の確保を図っております。

 また、製品の品質向上のために、品質保証を担当する部門が品質会議を行って関係各部門と品質管理状況の確認を行うとともに、工場への立ち入り検査などを実施し、品質の維持に努めております。

 

情報管理・セキュリティ

 近年、サイバー攻撃や内部犯行による情報漏洩が増加しており、当企業集団においても情報セキュリティの強化が求められております。

 特に当企業集団は、通信販売(インターネット通信販売を含む)および直営店舗販売を主要な販売チャネルとしていることから、多数の個人情報を保有しており、万一個人情報が外部に漏洩するような事態が発生した場合、お客様の信用失墜による売上の減少やお客様に対する損害賠償による損失が発生する可能性があります。

 

 当企業集団では、情報システム部門を中心として情報セキュリティ部会を設置し、ITセキュリティ対策の強化などを実施しております。

 サイバー攻撃に対しては、第三者機関による定期的な診断を受け、アンチウイルス機能やフィルタリング、ファイヤーウォールの強化などのシステム的な対応を進めるとともに、従業員教育を行っております。

 内部犯行に対しては、不要なWEBサイトへのアクセス制限やデータの暗号化などの対策を講じております。

 特に個人情報管理については、公益社団法人日本通信販売協会が定める「個人情報保護ガイドライン」および社内規程を遵守するとともに、情報セキュリティ部会の下、情報管理体制の強化と社員教育の徹底に取り組んでおります。

 

法的規制

 化粧品関連事業において「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」の規制、栄養補助食品関連事業において「食品衛生法」「栄養改善法」などの規制を受けております。さらには、通信販売などで「特定商取引に関する法律」「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」などの規制を受けております。

 このほか、事業活動を行う上で、労務、会計および取引管理など様々な法規制の適用を受けております。

 万一、これらの法規制に抵触することがあった場合には、当企業集団の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 当企業集団の従業員がグループの一員として守るべきルールを明らかにし、従業員が共通認識を持ちながら働くために「ファンケルグループ・コンプライアンス基準」を制定しております。

 また、従業員に対し、入社以降、定期的にコンプライアンス全般に関する教育を実施しております。

 当企業集団内の組織横断的なコンプライアンス体制の構築を目的として、法務を担当する部門・品質保証を担当する部門・その他から成る「グループリスク・コンプライアンス委員会」を設置、運営しております。特に事業運営に影響が大きい「薬機法」「景品表示法」については、「グループリスク・コンプライアンス委員会」の下に「品質管理部会」を設け、定期的に検討・確認を行っております。

 

 

 

主要なリスク内容

主な取り組み

環境対応

 温室効果ガスや海洋プラスチックごみ問題など、環境問題に対する社会的関心は高く、エシカル消費やサステナビリティが企業・商品選択の重要な要因となりつつあります。

 このような社会的課題に関する意識・ニーズの変化に対し、当企業集団の製品やサービスが十分に対応できない場合、競争力が相対的に低下し業績に影響を与える可能性があります。

 

 

 当企業集団は「ファンケルグループ 『サステナブル宣言』」において、「環境への対応」を優先的に取り組む重点テーマの1つとしております。

 脱プラスチック容器の採用や、認証原料への切り替え、ファンケル独自のプラスチック容器回収モデルなどの取り組みにより、企業価値の向上を目指しております。

 

人材の確保

 日本においては少子高齢化により、今後、労働人口はますます減少することが想定されます。同時にIT技術の進展やグローバル化、働き方改革などにより雇用環境も大きく変わりつつあります。

 当企業集団は「VISION2030」の実現に向け、各分野で活躍できる多様で優秀な人材の確保が必要となります。採用環境の変化により人材の確保が計画的に進まない場合や、確保した人材の育成が不十分な場合など、人材が不足する場合には事業活動が停滞する可能性があり、当企業集団の経営成績に影響を与える可能性があります。

 

 当企業集団では、「多様な働き方に対応した人事制度の拡充」と「労働環境の改善」等に積極的に取り組み、従業員が働きやすい環境の整備を進めております。

 また、従業員教育を専門的に行う部門を設置し、体系的な人材育成を行うことにより、将来の事業展開の拡大に応じた人材の確保に努めております。

 さらに当企業集団では、2017年4月に定年年齢の定めがない「アクティブシニア社員」という新しい雇用区分を新設しております。優秀な人材を雇用し続けることにより労働力の確保につながるほか、企業理念やスキルの継承、後進の育成により、人材力の向上に寄与することを目的としております。

 

訴訟

 当企業集団は、化粧品、栄養補助食品などの異なる領域、日本、アジアおよびアメリカなどの複数の国において事業を展開しており、それぞれの領域において訴訟が提起される可能性があります。

 当連結会計年度において、当企業集団に重要な影響を及ぼす訴訟等は提起されておりませんが、万一訴訟が提起され、当企業集団に不利な判断がなされた場合には、当企業集団の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 当企業集団では、法務部門を中心に各種法令の遵守、適正な契約の締結、知的財産権の適切な取得・管理など、紛争の発生を未然に防ぐように努めております。

 万一、訴訟が提起された場合には、すみやかに法務部門に情報を集約し、弁護士事務所等と連携し、訴訟等に対応する体制を整備しております。

 

 

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