(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度より当社及び3月決算であった連結対象会社は決算日を3月31日から12月31日に変更いたしました。この変更に伴い、当社とすべての連結対象会社の決算日が統一され、当連結会計年度においては、当社及び3月決算であった連結対象会社は4月1日から12月31日までの9ヶ月間、12月決算である連結対象会社は1月1日から12月31日までの12ヶ月間を連結対象期間としております。
①財政状態及び経営成績の状況
セグメントの名称 |
2021年3月期 |
(調整後) 2020年12月期 |
2021年12月期 |
(調整後) 前期比較 |
||||
金額 (百万円) |
構成比 (%) |
金額 (百万円) |
構成比 (%) |
金額 (百万円) |
構成比 (%) |
増減額 (百万円) |
増減率 (%) |
|
化粧品事業 |
218,482 |
78.2 |
176,334 |
82.1 |
189,082 |
84.0 |
12,747 |
7.2 |
コスメタリー事業 |
58,434 |
20.9 |
36,454 |
17.0 |
34,351 |
15.3 |
△2,102 |
△5.8 |
その他 |
2,472 |
0.9 |
1,957 |
0.9 |
1,549 |
0.7 |
△408 |
△20.9 |
売上高計 |
279,389 |
100.0 |
214,745 |
100.0 |
224,983 |
100.0 |
10,237 |
4.8 |
区分 |
2021年3月期 |
(調整後) 2020年12月期 |
2021年12月期 |
(調整後) 前期比較 |
||||
金額 (百万円) |
売上比 (%) |
金額 (百万円) |
売上比 (%) |
金額 (百万円) |
売上比 (%) |
増減額 (百万円) |
増減率 (%) |
|
営業利益 |
13,294 |
4.8 |
16,524 |
7.7 |
18,852 |
8.4 |
2,328 |
14.1 |
経常利益 |
18,745 |
6.7 |
19,061 |
8.9 |
22,371 |
9.9 |
3,309 |
17.4 |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
11,986 |
4.3 |
13,961 |
6.5 |
13,341 |
5.9 |
△620 |
△4.4 |
※前期比較(調整後増減)は、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を遡及適用したと仮定して前年同一期間(2020年4月1日から2020年12月31日)と比較した増減であります。
当連結会計年度(2021年4月1日から2021年12月31日まで)における日本経済は、9月30日に緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が解除となり、経済活動が再開されるとともに厳しい状況が徐々に緩和され、持ち直しの動きがみられました。
当社グループが主に事業展開しているアジア・米国経済(2021年1月1日から2021年12月31日まで)においては、中国の景気は回復のテンポは鈍化しているものの緩やかに回復しており、韓国、台湾でも回復や持ち直しの動きがみられます。米国では、着実な持ち直しが継続しております。
日本化粧品市場においては、外出自粛による消費意識の低下はあるものの、年末に向けて緩やかな回復傾向にあります。
アジア・米国の化粧品市場においては、中国でも新型コロナウイルス感染症拡大により、渡航制限や外出規制による影響を受けましたが、総じて見ればEコマースやトラベルリテール事業を中心に成長いたしました。それ以外のアジアについては、新型コロナウイルス感染症拡大により引き続き厳しい状況にありますが、下げ止まりとなっております。米国では、一部サプライチェーン混乱による影響はあるものの、着実に回復しております。
このような市場環境の中、当社グループにおいては、過去の苦しい局面においてピンチをチャンスに変えてきた経験・ノウハウを有しており、今後もグローバル・ボーダレスに事業を拡大していくためにリスクに強い企業に進化すべく、課題に取り組み、改革を進めております。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ11,632百万円増加し320,018百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,335百万円減少し、65,751百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ12,968百万円増加し、254,267百万円となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度における当社グループの業績については中国及び欧米での販売は好調に推移いたしましたが、それ以外の各国で新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受け、売上高は調整後前期比4.8%増の224,983百万円(為替の影響を除くと2.4%増)となりました。なお、連結売上高に占める欧米亜売上高の割合は49.3%となりました。
利益については、全社的なコストコントロールの実施により、営業利益は18,852百万円(調整後前期比14.1%増)となりました。経常利益は為替差益の発生により22,371百万円(同17.4%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、構造改革関連費用の発生や税金調整により、13,341百万円(同4.4%減)となりました。
1)化粧品事業
化粧品事業につきましては、ハイプレステージブランドの「コスメデコルテ」が中国・日本で好調に推移し、「アルビオン」やメイクアップブランドの「アディクション」や「ジルスチュアート」も日本での売上が拡大いたしました。また、「タルト」も北米・欧州で好調に推移いたしましたが、それ以外の主要なブランドが苦戦したことにより、売上高は189,082百万円(調整後前期比7.2%増)、営業利益は22,724百万円(同2.7%減)となりました。
2)コスメタリー事業
コスメタリー事業につきましては、ヘアケアブランドの「スティーブンノル ニューヨーク」、コーセーコスメポート㈱の「サンカット」「ソフティモ」「クリアターン」が好調を維持し、ヘアケアブランドも期間限定施策などにより回復いたしました。しかしながら、10月以降回復傾向にあるものの、年間を通してはメイクアップブランドが苦戦したことなどにより、売上高は34,351百万円(調整後前期比5.8%減)、営業損失は752百万円(調整後前期は2,407百万円の営業損失)となりました。
3)その他
その他の事業につきましては、OEM生産の受注が減少したため、売上高は1,549百万円(調整後前期比20.9%減)、営業利益は808百万円(同86.7%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物は、前期末より1,825百万円増加し81,876百万円(前期比2.3%増)となりました。当期末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、17,799百万円の収入(同23.5%減)となりました。主な要因は税金等調整前当期純利益21,335百万円、非資金費用である減価償却費7,827百万円、棚卸資産の増加4,542百万円、売上債権の増加4,013百万円、返金負債の増加3,131百万円、仕入債務の増加2,866百万円及び法人税等の支払い8,362百万円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、4,722百万円の支出(同19.3%減)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出2,944百万円及び無形固定資産の取得による支出1,642百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、14,303百万円の支出(同94.2%増)となりました。主な要因は短期借入金の純増減額7,000百万円及び配当金の支払い6,845百万円等であります。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2021年12月31日) |
|
金額(百万円) |
調整後前年同期比(%) |
|
化粧品事業 |
146,589 |
115.6 |
コスメタリー事業 |
28,138 |
102.7 |
その他 |
923 |
65.0 |
合計 |
175,650 |
112.9 |
(注)1.金額は製造会社販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.「調整後前年同期比」は、前連結会計年度の実績を当連結会計年度と同一の期間に組み替えた「前期同一期間」との比較であります。
b. 受注実績
重要な受注生産を行っておりませんので記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2021年12月31日) |
|
金額(百万円) |
調整後前年同期比(%) |
|
化粧品事業 |
189,082 |
107.2 |
コスメタリー事業 |
34,351 |
94.2 |
その他 |
1,549 |
79.1 |
合計 |
224,983 |
104.8 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.「調整後前年同期比」は、前連結会計年度の実績を当連結会計年度と同一の期間に組み替えた「前期同一期間」との比較であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は下記のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。なお、本表作成に際しては経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告に影響を与える見積りが必要ですが、この判断及び見積りには過去の実績を勘案するなど、可能な限り合理的な根拠を有した基準を設定した上で実施しております。しかしながら、事前に予測不能な事象の発生等により実際の結果が現時点の見積りと異なる場合も考えられます。
当社グループの連結財務諸表で採用した重要な会計上の見積り及び見積りに用いた重要な仮定は、第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表]の[注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表]の[注記事項](重要な会計上の見積り)に記載しております。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等
1)財政状態
当期末の流動比率は367.5%、当座比率は252.8%であり、前期末に比べそれぞれ34.7ポイントの増加、21.0ポイントの増加となりました。主な理由は下記のとおりであります。
資産は、前期末に比べ11,632百万円の増加となりました。現金及び預金の増加1,890百万円、受取手形及び売掛金の増加4,790百万円等により当座資産が6,681百万円増加し、棚卸資産の増加6,405百万円等によりその他の流動資産が5,611百万円増加いたしました。有形固定資産の減少3,338百万円、無形固定資産の増加113百万円、投資その他の資産の増加2,565百万円により固定資産は660百万円減少いたしました。
負債は、前期末に比べ1,335百万円の減少となりました。支払手形及び買掛金の増加716百万円、電子記録債務の増加2,856百万円、短期借入金の減少7,000百万円、未払法人税等の減少2,509百万円、未払金の増加1,193百万円等により流動負債が2,471百万円減少いたしました。固定負債は、繰延税金負債の増加1,193百万円等により1,136百万円の増加となりました。
なお、有利子負債残高は1,711百万円、デット・エクイティ・レシオは0.01倍となりました。
2)経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、224,983百万円(調整後前期比4.8%増、10,237百万円増)となりました。
これをセグメントごとに分析すると、当社グループの主力事業である化粧品事業及びコスメタリー事業の売上高がそれぞれ189,082百万円(同7.2%増、12,747百万円増)、34,351百万円(同5.8%減、2,102百万円減)となりました。その他の事業の売上高は1,549百万円(同20.9%減、408百万円減)となりました。
(営業費用)
当連結会計年度の売上原価は、68,078百万円(調整後前期比4.7%増、3,084百万円増)となりました。
販売費及び一般管理費は、138,052百万円(同3.6%増、4,824百万円増)となりました。販売費及び一般管理費の売上高比率は0.7ポイント減少いたしました。
(営業外損益)
当連結会計年度の営業外損益は、3,518百万円の利益(調整後前期比38.7%増、980百万円増)となりました。当連結会計年度は為替差益1,341百万円(調整後前期は為替差損1,630百万円)を計上しております。
(特別損益)
当連結会計年度の特別損益は、1,036百万円の損失(調整後前期は749百万円の利益)となりました。日本事業の構造改革を図るため、割増退職金534百万円を特別損失に計上しております。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より1,825百万円増加し81,876百万円(前年同期比2.3%増)となりました。当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因につきましては第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況に記載のとおりであります。
当社グループは「VISION 2026」実現に向け、生産設備の新設及び更新、新規市場進出のための投資、デジタルトランスフォーメーション推進への投資などを実施してまいります。それぞれの投資のタイミングにつきましては、資金残高及び資金調達のバランスを検証し、優先順位をつけて実施してまいります。
自己資金による事業運営、設備投資、株式投資、配当などを行っておりますが、金融機関とは28,000百万円のコミットメントラインを締結しており、事業運営上必要な投資などへの資金につきましては、外部調達も可能となっております。
当社グループの財務状況、安定した業績については、金融機関及び金融市場からの評価は高く、自己資金が不足した場合においても外部調達は可能と判断しております。
利益配分につきましては安定配当を基本としておりますが、今後の事業拡大のための内部資金の確保に配慮しつつ、財政状態、業績、配当性向などを勘案し、配当金額を決定しております。
b. 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
化粧品市場においては、国内外におけるEコマース売上規模の拡大、交通インフラの発展や、経済成長に伴う所得水準の上昇により、中国をはじめトラベルリテール事業の売上も好調に推移いたしました。
今後につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による消費マインドや、雇用・所得環境の悪化の改善、経済回復時期も不透明なため、市場変化に対するタイムリーな対応の成否が、当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼすことが想定されます。
c. 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金調達の状況につきましては、事業継続に必要と考える資金は確保していると認識しております。
今後の資金使途につきましては、内部留保により財務体質の強化を図る一方、設備投資やM&Aに取り組むことで将来のキャッシュ・フローの創出につなげ、資本効率の向上を図ってまいります。また、一時的な余剰資金の運用につきましても、安全性を第一に考慮し運用商品の選定を行ってまいります。
d. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上高営業利益率、総資産事業利益率(ROA)及び自己資本当期純利益率(ROE)の向上を重要な経営指標としております。総資産事業利益率(ROA)及び自己資本当期純利益率(ROE)の前連結会計年度、当連結会計年度推移と「VISION 2026」でのそれぞれの目標に対する進捗については、以下のとおりです。
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
「VISION 2026」 |
総資産事業利益率(ROA) |
4.5% |
6.1% |
18%以上 |
自己資本当期純利益率(ROE) |
5.3% |
5.8% |
15%以上 |
売上高営業利益率 |
4.8% |
8.4% |
16%以上 |
当連結会計年度の数値は、全て前連結会計年度を上回りました。その要因は、経営成績が前連結会計年度を上回ったことによります。当連結会計年度における各重要な経営指標につきましては、第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況で述べたとおりであります。
(注) 総資産事業利益率=(営業利益+受取利息・配当金)/総資産(期首期末平均)×100
自己資本当期純利益率=親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(期首期末平均)×100
e. セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)財政状態
(化粧品事業)
セグメント資産は、現金及び預金の増加10,358百万円、売掛金及び受取手形の増加3,978百万円、棚卸資産の増加8,054百万円、有形固定資産の減少1,923百万円、無形固定資産の減少65百万円等により、前連結会計年度末に比べ25,005百万円増加の216,548百万円となりました。
(コスメタリー事業)
セグメント資産は、現金及び預金の減少379百万円、棚卸資産の減少1,478百万円、有形固定資産の減少1,096百万円等により、前連結会計年度末に比べ3,132百万円減少の43,140百万円となりました。
(その他)
セグメント資産は、現金及び預金の増加694百万円、売掛金及び受取手形の増加151百万円等により、前連結会計年度末に比べ749百万円増加の4,519百万円となりました。
2)経営成績
当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績につきましては、第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b. 経営成績で述べたとおりであります。
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