課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。当社グループの将来に関する見通し及び計画に基づいた将来予測には、リスクや不確定な要素などの要因が含まれており、実際の成果や業績などは、記載の見通しとは異なる可能性があります。

 

(1) 会社の経営の基本方針・中期的な会社の経営戦略

当社グループは、「女性の染色体XXを美の象徴と位置づけ、アジア(ASIA⇒AZIA)の美を日本から世界へ発信する総合ビューティーソリューションカンパニーを目指す」という信念のもと経営に取り組んでまいりました。当社グループは業界における位置づけを「ニッチャー」と認識しております。当社グループが強みを活かせるセグメントを発見し、そこに経営資源をつぎ込む「製品・市場特定化戦略」を基本戦略方針とし、局所的ナンバーワンとなることで競争優位を創出しております。

昨今、消費市場としてのアジアが注目される中、当社グループは、化粧人口の拡大と消費の高度化で高成長が期待される中国市場に事業機会を見出し、中国本土での販売力強化に努めてまいりました。

当社グループは、今後もこれらの財産を有効に活用し、「中国市場で唯一無二の強みを持つ化粧品会社」を目指すとともに、次なる事業機会を見出し、グローバルな事業展開を目指してまいります。

なお、中期的な見通しにつきましては、経営環境の変化に柔軟に対応し、より迅速な意思決定を行うために、毎年、直前事業年度の業績等を踏まえて次年度以降3ヵ年の中期事業計画の見直し策定を行っております。

当社グループは、現在、成長段階にあることや、株主の皆様の成長期待に応えるために、特に売上高成長と売上高営業利益率を意識した経営に取り組んでおります。

高い収益性を維持しつつ長期的な成長・発展を実現するために、以下の基本戦略をロードマップとして掲げております。

 

① 当社グループの中枢・中核となる強みを活かした事業展開

当社グループの競争力の源泉は「日中各々の優位性を活かした事業展開」であると認識しております。

当社グループでは、日本市場向けに投入した製品を中国市場に展開するのではなく、中国現地での市場調査を基に、中国での消費者ニーズが高いと想定される製品を4P設計(注:4P=product、price、place、promotion)を用いて、企画、開発しております。また、NMPA認可成分・処方を重視した商品設計を行っており、スムーズにNMPA認可を進められる体制を構築しております。日系企業の化粧品は高品質と信頼感でアジアでの人気が高く、また、スキンケア、美白など東アジア人共通の美意識への対応力があることから、中国をはじめとする東アジア市場では優位性があると認識しております。当社グループでは中国市場において、現地エステサロンや各種EC等、多様なチャネルを通じて幅広い顧客層への販売を行っておりますが、それら既に構築している販売チャネルに対して、上市前の製品開発段階でテストマーケティングを行うこと等により、より中国市場で支持される製品の開発に取り組んでおります。さらに、当社グループでは顧客ロイヤルティ向上のためにアフターサポート体制を重視しており、例えばTaobaoでは、Taobaoオーナーを対象として製品教育をはじめ、当社製品の詳細情報及び製品コンテンツの提供を実施しているほか、Tmall Global旗艦店では日系化粧品企業の中で上位ランクのTmall Global Partner(出店者の旗艦店の設計・運営・メンテナンス・カスタマーサービス等を請け負うTmall Global指定の運営業者。Tmall Globalを運営するAlibabaが出店者とTmall Global Partnerをそれぞれランク付けし、ランクに応じて両者が推薦される。)との連携によりアフターサポート体制の充実に取り組んでおります。

以上のような中国でのマーケティング力、中国でのブランド認知度、中国人の生活・習慣・嗜好を熟知した中国人向け製品開発力、充実したアフターサポート体制等の強みを活かし、積極的に中国需要を取り込み事業の成長に繋げてまいります。

 

② 組織の機動力を活かした製品開発スピードの速さ

当社グループでは当連結会計年度において12品目の新製品を上市しておりますが、当社グループの強みは、組織の機動力を活かした製品開発スピードの速さであります。

当社グループの事業領域であるアンチエイジング分野で、機動力を活かし毎年10品目を目標として新製品を創出し、特定市場内での局所的ナンバーワンを目指します。また、製品上市後もユーザーの声を踏まえた製品改良に継続的に取り組んでおり、既存の主力製品のライフサイクルの長期化を図っております。

また、2022年4月には化粧品・医薬部外品の製造工場を持つ株式会社ユイット・ラボラトリーズの全株式を取得しており、連結子会社化しております。これにより、少量多品種は自前で、量産品は委託先で製造することでさらなる製品開発サイクルの短縮に努めてまいるとともに、同社との事業シナジーの早期創出のため取り組んでまいります。

 

③ 「内外美容」をコンセプトとした製品ラインアップの拡充

当社グループでは、化粧品と健康補助食品との相乗効果により美肌を引き出す「内外美容」を推奨しております。基幹ブランドには、各々のブランドコンセプトを一にする化粧品と健康補助食品を取り揃えることで、ブランドを差別化し、存在感を向上させております。

当社グループでは、引き続き、「内外美容」をコンセプトとして製品開発を進めブランドの存在感を向

上してまいります。

 

④ 中国ネット流通大手との戦略的提携の強化

当社グループの中国国内の販売チャネルの一つに、中国ネット流通大手のモールに開設した旗艦店があります。当社グループでは、Tmall Global旗艦店の開設やTmall Globalとの戦略的提携を進めており、Tmall Globalとの連携によりTmall Globalのビッグデータを分析し、効果的なプロモーションや製品開発が可能となっております。今後も中国ネット流通大手との関係強化に努め、Eコマースでの販売力をより一層強化してまいります。

 

⑤ 戦略的広告先行投資の強化

化粧品のブランド力形成と販売において、メディアを用いた広告宣伝、インターネット上でのイベント、これらのタイアップなどマーケティング活動は非常に大きな効果を持ちます。当社グループは、中国本土を中心に更にブランド認知度やブランドイメージを向上させるべく、Tmall Global旗艦店で有名人女優などを起用したマス広告を展開し、その他のチャネルへの波及を図るトップダウンアプローチと、ユーザーと直接の繋がりをもつTaobaoオーナーへのマーケティングや口コミサイトとしての特性を活かすためのRED、Douyin、Kuaishouでのマーケティング(ライブ配信やKOLマーケティング等)といったCRMでTaobaoオーナー等を囲い込むボトムアップアプローチの両面から、販売促進や広告宣伝活動に継続的な投資を行ってまいります。特にボトムアップアプローチについて、REDの費用は当社負担で売上に対する割合は相対的に小さく、またTaobaoはオーナーの費用負担であることから、全体的に当社の負担は少ないという特徴があります。

当社は中国現地での知見と多くの時間をかけてTaobaoオーナーと関係を構築してきたことから、Taobaoオーナー等を囲い込み、エンドユーザーの声を拾うボトムアップアプローチを可能としており、当社のブランド興味喚起やロイヤリティ向上に繋げております。

 

(2) 経営環境

当連結会計年度におけるわが国の経済は、ワクチン接種拡大や行動制限の緩和により緩やかな回復はみられたものの、円安傾向は続き原材料価格の高騰やウクライナ情勢の緊迫した状況等から国際社会の混乱による経済の下振れ懸念を抱えており、依然として先行き不透明な状態となっております。

国内化粧品市場においては、円安や原材料の高騰による各種の値上げにより、消費マインドの回復も遅れており厳しい市場環境となりました。

海外化粧品市場においても、新型コロナウイルス感染症によるロックダウン(都市封鎖)の影響を受け中国においては先行き不透明な状況が続き、中国市場の景気が減速しましたが、Eコマース市場では緩やかな回復傾向が続いております。

このような市場環境のもと、当社グループでは、中国本土で広告投資を強化し、販売力の強化を図るとともに、次世代の成長製品を創出すべく取り組みを進めてまいりました。

中国においては、中国ECチャンネルの拡大・深耕のため、中国子会社(Xiaozi Cosmetic (Shanghai)

Inc.)において動画プラットフォームTikTokの中国本土版抖音(Douyin)」、Eコマースプラットフ

ォームJD.com(京東)に旗艦店を出店するとともに越境ECでは動画プラットフォーム「Kuaishou

(快手)に旗艦店を出店しておりますまた中国本土におけるSEO対策としてBaidu(百度)を活用し

ブランド力・認知度の強化にも努めるなど広告投資や販売力の一層の強化を図るとともに次世代の成

長製品を創出すべく取り組みを進めてまいりました特に中国市場を主なターゲットとして製品開発を行

い、中・高価格帯の製品もEコマースで販売できるという中国の特性を活かし、更なるブランド力の向上

を目指し、知名度を上げていく取り組みを進めております。

日本国内においては、2022年4月1日に化粧品・医薬部外品の製造工場を持つ株式会社ユイット・ラボラトリーズの全株式を取得し連結子会社化しており、製品開発のスピードアップや小ロットでの生産が可能となる地盤を整え、翌連結会計年度以降のシナジー創出に向け取り組んでまいりました。

 

Euromonitorによると、中国化粧品市場の多くを占めるスキンケア市場の市場規模は2021年には世界第1位の5兆2億円(*)に達しております。

 

更に今後5年、2021年から2026年の成長率は年率平均7.3%(*)の成長が続くと予想されております。

当社グループの主要製品であるプレミアムセグメント(注)につきましては更に伸び率が高く、2021年か

ら2026年までの成長率は年率平均13.3%(*)と予想されており、当社グループが中長期的に事業を拡大す

る余地は大きいと考えております。(*出典:Euromonitor International Limited, Beauty and

Personal Care 2021 edition, retail value RSP, fixed 2021 exchange rates, current prices, data

extracted on 23 August 2022)

(注)プレミアムセグメントとは、高価格帯の化粧品やハイブランド商品のことです。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、連結売上高増加率、連結売上高営業利益率の向上を重要な経営指標としております。足元の推移は以下のとおりです。

 

前連結会計年度

(自 2020年8月1日

  至 2021年7月31日)

当連結会計年度

(自 2021年8月1日

  至 2022年7月31日)

連結売上高増加率

34.9%

42.0%

連結売上高営業利益率

23.9%

19.9%

(注)連結売上高増加率=(当期連結売上高-前期連結売上高)/前期連結売上高×100

なお、広告宣伝費や支払手数料率の維持も重要な経営指標としており、広告宣伝費は対売上高比率

20%前後を維持し、主に越境EC旗艦店売上高に応じて発生する支払手数料と合わせても35%前後にコ

ントロールすることで、増収効果によりその他販管費の対売上比率低減を継続させ、利益率を改善さ

せることを目指しております。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループの経営方針及び経営戦略を実行していくうえで、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。

 

① ブランド認知度拡大

当社グループが事業領域とする化粧品業界ではブランドの知名度向上が重要な課題であると認識してお

ります。ブランド差別化のため、当社では成分、容器・資材の全てを自社企画し、自社工場生産レベルで

の高い品質管理基準を実践することで安心・安全なプレステージ化粧品を目指しております。ブランド力

の維持のために、セキュリティ検証システムや社内担当者の目視による確認、トレーサビリティの強化を

実施し、滞留在庫や横流し、偽ブランド品流通防止対策に注力しております。加えて、包装・出荷・在庫

管理についても全て内製化することで供給過多とならないよう配慮しております。また、Tmall Global、

RED及びTikTokでのプロモーションに中国で著名なインフルエンサーを起用することで波及効果の拡大を

狙っており、ブランド知名度は一定程度高まってはいるものの、持続的な事業成長のためには、更なる知

名度の向上が不可欠と考えております。

 

② 顧客ニーズを踏まえた独自性のある製品開発とニッチ市場開拓

経営方針として、中国の消費者ニーズを踏まえた中国に特化した製品開発を進めております。独自の中国での市場調査を基に、中国女性からのニーズが高いと想定される製品を企画、開発することで「オンリーワン製品」の開発を目指してまいります。今後も市場要求や顧客ニーズを的確に捉えたタイムリー且つ一層迅速な製品開発を推進してまいります。

また、当社は、「AGドリンク」を中心とした「エイジングケア」製品、ビューティーアイズ エッセンスシートを中心とした「目元ケア」製品など、特定のテーマ性を持ったニッチ市場の開拓に注力しております。特定のニッチ市場で主力製品が生まれることで、認知度が高まり、その特定のテーマでのシリーズ展開により収益基盤の拡大を図る戦略をとっております。

 

③ 製品開発サイクルの短縮化

現状は、試作品製造、量産化ともに委託先にて製造しており、数ヶ月先の生産ラインを抑える必要があるため、スピードアップを図る上でのボトルネックになっておりました。この課題解決のため、2022年4月に化粧品・医薬部外品の製造工場を持つ株式会社ユイット・ラボラトリーズを取得し連結子会社化しております。少量多品種は自前で、量産品は委託先で製造することで製品開発サイクルの短縮に努めてまいるとともに、同社との事業シナジーの早期創出のため取り組んでまいります。

 

④ 国内直営店舗の開設

当社グループは、ブランドや企業としての世界観を発信でき、かつ、直接お客様と触れ合うことでお客様の声を吸い上げ、製品に反映させていくためには、直営店が不可欠であると考えております。現在の国内市場は新型コロナウイルス感染拡大の影響により厳しい環境となっておりますが、将来のインバウンドの戻りへの備えとして、また、販売のみならず当社の製品を実際にご体験いただくことで、当社のEコマースにつながる導線として活用してまいります。

 

⑤ 優秀な人材の確保と組織体制の強化

当社グループは、今後の更なる事業拡大のために、優秀で今後のデジタルな環境変化に適応できる人材の確保や当社の成長フェーズに応じた組織体制の強化が不可欠であると認識しております。人材の確保においては、当社の企業風土にあった国内・海外の人材の採用・登用に努め、あわせて従業員の入社年数等の段階にあわせた教育プログラムを体系的に実施することによって、各人のスキル向上を図ってまいります。組織体制につきましては、国内及び海外にて事業拡大に応じた内部体制の更なる強化を図り、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでまいります。

 

 

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