課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、創業以来一貫して創業者の精神である「我が信条」に謳われている経営理念、すなわち

第1; 我々の責任は、我々の商品とサービスを利用する全てのお客様に対するものである。

第2; 我々の責任は、我々の事業に参画している全ての社員に対するものである。

第3; 我々の責任は、我々が事業を営む地域社会、ひいては社会全体に対するものである。

第4; 我々の責任は、株主に対するものである。

を経営の基本方針としております。

「我が信条」のもと成長戦略を着実に遂行し、得られた利益を継続的な研究開発投資に充てるための内部留保、
社員及び株主に三分割する考え方も経営方針としております。

 

(2)当社グループの現状の認識について

 現在の当社グループを取り巻く経済環境は、世界的な人口増加や食料需要の拡大から、グローバルな農薬市場は拡大傾向にあります。一方、日本国内では農業従事者の高齢化、後継者・労働力不足、耕地面積の減少等生産基盤の脆弱化・地域コミュニティの衰退、営農指導サービス、新型コロナを契機とした生産・消費の変化が発生しています。また、昨年農林水産省より「みどりの食料システム戦略」が発表されました。その結果として将来的に農薬の使用量の低減、農薬価格の引き下げや営農指導サービスの低下等が懸念されております。

 このような認識のもと、当社グループは今後一層食料の安全で安定供給に貢献するため、より環境・生産者・消費者に負荷の少ない製品の開発ならびに生産現場での有用な営農指導サービスの提供を重視し持続的な活動をおこないます。当社の特徴である現場主義を前面に出し、今まで築き上げてきた農家、会員店・JA・販売店、当社グループが密に連携する「トライアングル作戦」に加え、土壌診断サービス、グローバルGAP認証取得支援サービス、カネショウファーム活動等生産者へのサービスを質・量的に拡充していく所存であります。

 なお、当社グループは、2011年3月11日の東京電力福島第一原子力発電所の事故により、国内における主な生産拠点である福島工場が操業停止となり、これにより発生した営業損害について、東京電力ホールディングス株式会社に対して損害賠償訴訟を提起しており、現在も係属中です。

 

(3)当面の対処すべき課題

 ① 研究開発

既存剤については、主要剤の国内再評価制度に対応すること、海外の登録制度に対応し登録維持と拡大を図ること、また、継続的な品質改善により競争力を維持することを課題としております。

 新規剤については、組織力の増強と研究レベルの向上を図り、研究分野の選択と集中を行うことにより、コスト意識の向上を図るとともに、海外展開も視野にいれた研究開発体制を強化させることを課題としております。また、欧州の「Farm to fork」や日本の「みどりの食料システム戦略」に適合するバイオスティミュラントや生物資材分野等の事業環境の変化に対応した製品の開発を目指します。

 ② 生産

東京電力福島第一原子力発電所の事故により操業停止となった福島工場に代わり、西の物流拠点としての機能を備えた山口工場を2018年11月に建設し、2021年2月にはISO9001の認証を取得しました。茨城工場・直江津工場と併せた自社生産体制の向上による製品の安定供給とコスト削減に取り組むとともに、品質の更なる向上と、山口工場を加えた新たな物流体制の強化を課題としております。

 ③ 営業・技術普及

製品の安全・適正な使用のために一層充実した技術普及活動を展開するとともに農業生産者への新しい付加価値サービスとしての土壌診断サービス、グローバルGAP認証取得支援サービス、カネショウファーム活動の拡大と品質向上に努めます。

 

 ④ 海外事業

海外農薬市場においては、当社の独自商品を中心に各国で登録を取得し、積極的に海外展開を図っています。今後も新たな国や地域での登録取得を進め、積極的な拡販を行うことを当面の課題としております。

 

(4)中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、100年企業を目指すため、2016年に「Lead The Way 2025」をスローガンとする長期事業計画とともに2016年からの3か年計画を策定し、その後、2019年からの3か年計画を策定し、成長のための経営基盤づくりに取り組んでまいりました。2022年からは、2025年を最終年度とする新たな中期事業計画(2022年-2025年)を策定し、創業以来の経営理念を堅持しつつ、持続的成長と企業価値向上を目指します。

 

 (イ)中期事業計画策定の趣旨

前中期事業計画では、収益計画は未達ではありましたが、「Lead The Way 2025」で掲げた2025年における売上高300億円の達成に向け、これまでの中期事業計画で達成した成果を活かしつつ、現中期計画(2022年-2025年)の新たな施策を着実に実行してまいります。

 

 (ロ)中期事業計画の骨子

① 経営理念

創業以来の経営理念である「我が信条」のもと、お客様、社員、社会、株主などステークホルダーのために、「どこまでも農家とともに」をモットーに、今後も事業拡大に取り組みます。

② サステナビリティ経営

「持続可能な農業の推進」、「プロダクト・スチュワードシップ活動の推進」、「人材育成、ダイバーシティの推進」の3つを重要課題として取り組みます。

③ 総合的サービス提供型企業

土壌分析・診断サービス、グローバルGAP認証取得支援サービス、カネショウファーム等農家支援サービスを質・量的に拡充するとともに、それらの有機的な結合により関連する農業生産者の組織化と効率的な新たな情報提供サービスに取り組みます。また、農薬安全使用推進活動を強化し、社内プロダクト・スチュワードシップの確立を目指します。

④ 研究開発の充実と新たな取り組み

安全・安心な新規探索化合物の創出、新製剤・新混合剤の開発に加え、製品の導入・買収や海外新市場開拓にも積極的に取り組み、ポートフォリオの拡充を行います。

⑤ 安全安心と生産性向上

生産効率の向上と人員確保により、自社生産比率を高め、利益率向上を目指します。また、安全対策・品質管理・計画生産実行の徹底した運用を行います。

 

   (ハ)主要経営数値目標                      (単位:百万円)

 

 2020年12月期
 実績

2021年12月期
実績

2022年12月期
業績予想

売 上 高

15,203

15,105

15,248

営業利益

1,038

1,233

990

親会社株主に帰属する当期純利益

489

365

516

 

 

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