課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 経営方針

 当社グループは社是に「技術立社」を掲げ、研究・技術開発力の向上を図り、高品質・高付加価値製品を生み出すことを常に最優先の課題としております。

 また、厳しい経済環境のもと、香料業界における国際競争は激化し、多様化・高度化する顧客の要望への即応が求められる中、当社は以下の事項を経営の基本方針としております。

 

①企業価値の向上と株主利益の増大を目標とし、安定的で適正な利益還元を実施する。

②コンプライアンス(法令遵守)を徹底し、企業の社会的責任を全うする。

③従業員の働きやすい環境を整備する。

④社会的課題の解決に取り組み、サステナブルな社会の構築に貢献する。

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、持続的・安定的な発展を通じて中長期的な企業価値の向上を実現していくために、必要かつ可能な範囲を意識して、連結売上高伸長率5.0%以上、2025年9月期に連結売上高営業利益率13.0%、連結売上高経常利益率14.0%を目標としております。

 当連結会計年度におきましては、連結売上高伸長率11.9%、連結売上高営業利益率12.9%、連結売上高経常利益率14.5%となりました。

 

(3) 経営環境、経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 2022年9月15日に当社深谷事業所板倉工場において当社社員1名が死亡し、2名が負傷する重大な事故が発生しました。このような事故が発生したことは、誠に遺憾であり、亡くなられた社員のご冥福を心よりお祈りいたします。また、株主の皆様、お客様、関係当局をはじめとする多くの方々に多大なるご迷惑、ご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。

 本事故の発生を受け、当社は事故調査委員会を設置し、事故原因の究明及び再発防止対策の策定を行いました。事故調査委員会における事故原因の調査内容及び再発防止対策の提言につきましては、2022年11月11日に「当社社員死亡事故について(事故原因、再発防止対策及び稼働状況)」として公表いたしました。

 当社は、人的被害を発生させた本事故を真摯に受け止め、このような事故を二度と起こさないように、事故調査委員会が提言した再発防止対策を確実に実施するとともに、実効性のある管理体制の構築に向けて、着実な活動を進めてまいります。

 

 今後のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の収束時期が見通せない中、ウクライナ情勢の長期化、原材料価格や資源価格の高騰、急速な円安の進行や物価の上昇等の影響が懸念され、先行きが不透明な状況が続くことが見込まれます。

 香料業界におきましても、各社のシェア獲得競争の一層の激化、品質保証に関する要求増加など厳しい状況が続くことが予想されます。

 このような状況の中で、当社グループは、「技術立社」の社是のもと、研究・技術開発力の一層の向上により、特長のある差別化された製品開発を行うとともに、生産性の向上や業務全般の効率化によるコスト削減に努めてまいります。

 また、経営環境の変化や不測の事態に柔軟に対応し、今後の当社グループの成長を追求するためには、少子高齢化に伴う成熟化が進行する国内市場でのシェア拡大に努める一方で、グローバル展開を更に強化していくことが不可欠です。当社が重点地域と位置付ける米国、並びに中国、東南アジアを中心としたアジア地域に経営資源を効率的に投入し、市場の成長性や消費者の嗜好等を的確に捉え、経営環境の変化に応じた事業戦略を立案・推進してまいります。また、将来にわたる持続的成長の実現に向けた投資を行い、海外市場での業績拡大を目指してまいります。

 国内におきましては、営業、研究及びマーケティングを統括するビジネスソリューション本部のもと、研究面では、戦略的な研究開発を推進するため、重点分野を明確化した上で既存技術のブラッシュアップ、新規技術の開発等に注力し、当社グループの持続的な成長に貢献する技術開発力の向上を目指してまいります。また、営業、マーケティングとの連携を活かし市場感覚と競争意識を高め、当社独自の特長のある製品の開発により競合他社との差別化を図ってまいります。さらに、香料事業で培った技術を活かして社会が抱える課題の解決に貢献できるよう努めてまいります。

 食品部門では、安全・安心の確保を第一に、引き続き健康志向に根ざした低糖・低塩・低脂肪の食品に美味しさをもたらす香料、及び安定性・持続性に優れた香料の開発に取り組みます。また、食資源不足をはじめとする社会的課題の解決に向け、食品原料を代替する香料の開発等に注力いたします。

 フレグランス部門では、基礎研究を徹底し、安全性・安定性に優れた新しい香り創りにより、国内での更なるシェア拡大に注力いたします。海外におきましても市場調査及び嗜好性調査の結果を踏まえて現地の消費者に好まれる香り創りに努めてまいります。

 営業面におきましては、研究及びマーケティングと連携し、マーケット調査・分析等の活用により顧客の潜在的欲求の把握に努め、提案力強化に注力してまいります。また、当社の総合力を活かした的確なソリューションを提供することで、顧客に信頼されるパートナーとしての地位確立、カスタマーサクセスへの貢献を通じた売上拡大及び販売シェアアップを目指してまいります。

 生産面におきましては、安全対策を徹底し、生産設備の老朽化に対して予防保全を強化するとともに計画的な設備更新を推進してまいります。また、工場周辺への臭気の拡散防止による地域住民との共生、長期的な温室効果ガス削減に向けた体制整備を進めてまいります。さらに、製造方法の改良、物流体制の見直し、廃棄ロスの削減などの取り組みも継続して実施し、製造原価低減に努めてまいります。

 海外におきましては、経営資源を効率的に投入し、着実なグローバル展開を図る戦略のもと、米国では、T. HASEGAWA U.S.A., INC.と2020年12月に連結子会社としたMISSION FLAVORS & FRAGRANCES, INC. の強みを最大限に発揮し、シナジー効果の更なる実現を目指すとともに、引き続き現地顧客向けの積極的な営業活動を推進し、米国市場での業績拡大を図ってまいります。また、米国での新たな生産体制構築に向け、カリフォルニア州ランチョ・クカモンガにおいて第2工場建設計画を推進してまいりました。2022年6月に第1期工事が完了し、第2工場が稼働を開始いたしました。第2工場の稼働により米国の生産能力の増強及び生産効率化を推進してまいります。

 中国では、マーケティング機能を活用した戦略的な営業活動により、新規顧客開拓・既存顧客深耕に注力するとともに、利益管理を徹底し、売上、利益の両面から業績拡大を目指してまいります。また、研究機能の強化、業務の効率化を目的に、新研究棟建設プロジェクトを推進してまいります。

 東南アジアでは、同地域全体の営業戦略のもと、マレーシア、タイ、インドネシアの各拠点及び周辺地域の営業員との連携、アプリケーションラボラトリーの活用により営業活動を強化し、今後も拡大が見込まれる香料需要を取り込み、業績拡大を目指してまいります。

 

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