業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における経済情勢は、新型コロナウイルス感染症が供給面・需要面に与えるマイナスの影響から消費や投資が急速に縮小し、危機の連鎖を生み、世界経済は異次元の危機に直面しました。後半においては、国内外におけるワクチン接種の広がりとともに、景況感の回復が見られたものの、新型コロナウイルスの変異種による再拡大の懸念などから、依然として個人向けサービス業などを中心に予断を許さない状況が続いております。

いくつもの事業分野に製品を提供させていただいている当社グループにおきましても、繊維、製紙・印刷、化粧品関係などにおいて新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けました 人と人の接触に制限がある中ではありますが、『人そして地球を豊かにする「もの」を提供していく』という目的を実現すべく、現場の状況を理解したスペシャリストが細かく対応しながら、取引先とともに製品を創り上げていく従来のスタイルを継続してきました。また、さらなる高付加価値製品を生み出すために、新たな分野への取り組みを各取引先との連携をより密にしながら挑戦し続けてまいりました。そして一方では、製造経費や販売費及び一般管理費の削減努力を引き続き行ってきました。

その結果、当連結会計年度の売上高は6,360百万円(前年同期比10.6%減)、営業利益は473百万円(同10.6%増)、経常利益は494百万円(同4.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は227百万円(同28.0%減)の減収減益となりました。

 

セグメント別の業績は次のとおりであります。

 

(反応系製品)

反応系製品の中で繊維関係は、国内外とも新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受け、国内市場においては衣料分野、産業分野とも市況が低迷し北陸市場への発注が前年同期を大きく下回りました。海外市場においても中国市場は回復の兆しが少し見えるものの当社グループがターゲットとする高級衣料分野が低迷し前年同期を下回り、全体では前年同期を大きく下回る結果となりました。

製紙・印刷関係は、紙加工分野の出版物やパッケージが減少し、またダイレクトメール用圧着ニスの市場縮小傾向も続いており、さらに新型コロナウイルス感染症の影響から市場全体が縮小し、GoToキャンペーンの影響で回復の兆しが一時的にあるものの、全体として前年同期を大きく下回る結果となりました。

化粧品関係は、国内外市場とも新型コロナウイルス感染症の影響を受け、テレワーク等働き方の変化および外出自粛等の影響でヘアセット用樹脂は大きく低迷し、洗浄剤用樹脂は洗浄系商品の国内消費が堅調で好調を維持しましたがヘアセット用樹脂の低迷をカバーするまでには至らず、全体として前年同期を大きく下回る結果となりました。

その他工業用分野は、水溶性ポリエステル樹脂では国内外とも繊維関係は低迷するものの主要分野であるフィルム関係は全体的に好調を維持し、国内フィルム市場では新規の高機能フィルムが堅調に推移、海外フィルム市場では新規ユーザーでの採用および使用もあり堅調に推移し、全体として前年同期を上回る結果となりました。

転写関係の国内リフォーム市場は堅調に推移しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響によるイベント類の減少から景品関連が激減し、全体としては低調に推移しました。

メッキ関係は、新型コロナウイルス感染症の影響で自動車工場が一時稼働停止したことなどにより、前半期は厳しかったものの後半期に巻き返し、年間を通じては若干のマイナスで推移しました。

その結果、当セグメントの売上高は5,463百万円(前年同期比11.0%減)、営業利益1,047百万円(同1.1%増)となりました。

 

(混合系製品)

国内市場における電子部品関連製品は、レジストインク関係では新型コロナウイルス感染症の影響によりアミューズメント及び車載関連が低調となりましたが、5G通信分野は順調に推移しました。またエネルギー関連製品はさらなる効率アップを目標に、顧客との共同開発を進めました。

海外市場においても5G通信分野とパソコン分野は順調に推移しましたが、レジストインク関係では新型コロナウイルス感染症の影響で、前半期は一般家電用途や車載関連が大幅に減少、後半期は回復基調となりましたが、前半期の減少を埋めるには至らず、混合系製品全体としても前年同期を下回る結果となりました。

その結果、当セグメントの売上高は897百万円(前年同期比8.1%減)、営業損失20百万円(前年同期は損失22百万円)となりました。

 

なお、当連結会計年度より、2020年4月1日付の組織変更に伴い報告セグメントごとの業績をより適正に反映させるため、報告セグメント間の経費の配賦方法を見直し、報告セグメントの利益又は損失の 算定方法の変更 を行っております。

このため、前連結会計年度の各セグメントの営業利益又は損失については変更後の算定方法により組替えて比較を行っております。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末から992百万円増加し、当連結会計年度末には2,651百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営 業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の増加は912百万円(前年同期比10.5%減)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益366百万円(同18.2%減)に対し、仕入債務の減少額80百万円(同27.7%減)、未払消費税等の減少額133百万円(同増加額212百万円)、法人税等の支払額140百万円(前年同期は還付額20百万円)などがあったものの、減価償却費344百万円(前年同期比5.2%減)、減損損失126百万円(前年同期は-)、売上債権の減少額186百万円(前年同期比160.7%増)、リース債務の増加額223百万円(前年同期は-)、未払費用の増加額22百万円(前年同期は減少額3百万円)などがあったこと等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の増加は351百万円(前年同期は減少383百万円)となりました。これは主として、定期預金の預入による支出3,670百万円(前年同期比26.2%減)、投資有価証券の取得による支出109百万円(同65.0%減)、有形固定資産の取得による支出836百万円(同316.5%増)などがあったものの、定期預金の払戻による収入4,970百万円(同4.0%増)があったこと等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の減少は253百万円(前年同期比14.7%増)となりました。これは配当金の支払額221百万円(同0.1%減)、自己株式の取得による支出31百万円(前年同期は-)があったこと等によるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

反応系製品(千円)

5,199,198

86.9

混合系製品(千円)

933,999

101.9

合計(千円)

6,133,197

88.9

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

反応系製品(千円)

5,463,178

89.0

混合系製品(千円)

897,301

91.9

合計(千円)

6,360,479

89.4

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

(自  2019年4月1日

至  2020年3月31日)

当連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

センショウ化成株式会社

685,327

10.8

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4.前連結会計年度のセンショウ化成株式会社に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。この連結財務諸表作成にあたって、見積りが必要となる事項については合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が経営成績等に重要な影響を及ぼすと考えております。

なお、当社グループの売上高は全般的に新型コロナウイルス感染症の影響を受けますが、国内外におけるワクチン接種の広がりとともに徐々に沈静化し、その収束時期は2021年後半になると見込み、それを前提に会計上の見積りを行っております。

(繰延税金資産)

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

(固定資産の減損処理)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上いたします。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は前連結会計年度末に比べ609百万円減少し9,452百万円となりました。これは、現金及び預金が307百万円、受取手形及び売掛金が145百万円、電子記録債権が41百万円、商品及び製品が87百万円、原材料及び貯蔵品が7百万円、その他に含まれております未収法人税等が11百万円とそれぞれ減少したこと等によるものです。

固定資産は前連結会計年度末に比べ709百万円増加し6,856百万円となりました。これは、有形固定資産が459百万円、投資その他の資産が249百万円増加したこと等によるものです。

この結果、総資産は16,309百万円と前連結会計年度末に比べ、99百万円増加しました。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は前連結会計年度末に比べ178百万円減少し1,500百万円となりました。これは、未払金が40百万円増加しましたが、その他に含まれております未払消費税等が132百万円、支払手形及び買掛金が35百万円、電子記録債務が47百万円とそれぞれ減少したこと等によるものです。

固定負債は前連結会計年度末に比べ193百万円増加し715百万円となりました。これは、退職給付に係る負債が22百万円減少しましたが、リース債務が207百万円増加したことによるものです。

この結果、負債合計は2,216百万円と前連結会計年度末に比べ、15百万円増加しました。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は前連結会計年度末に比べ84百万円増加し14,093百万円となりました。これは、自己株式の取得により31百万円、為替換算調整勘定が32百万円減少しましたが、その他有価証券評価差額金が143百万円増加したこと等によるものです。

この結果、自己資本比率は86.2%(前連結会計年度は86.2%)となりました。

 

2)経営成績

当連結会計年度の売上高は6,360百万円(前年同期比10.6%減)、営業利益は473百万円(同10.6%増)、経常利益は494百万円(同4.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は227百万円(同28.0%減)となりました。

営業利益、経常利益が増加しておりますのは、販売費及び一般管理費が209百万円減少(同10.2%減)したことによるものです。親会社株主に帰属する当期純利益が減少しておりますのは、減損損失が126百万円増加(前年同期は-)したことによるものです。

 

 

3)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度は、新たな3か年中期計画の初年度でありましたが、全般的に新型コロナウイルス感染症によるマイナスの影響を受け、売上高は販売計画及び前年同期比で大きなマイナスとなりました。当社グループはいくつもの事業分野に製品を提供しており、売上高の増減は同じ分野の中でもテーマにより違いますが、当連結会計年度においては繊維関係、製紙・印刷関係、化粧品関係で前年同期を大きく下回りました。これらは、新型コロナ感染症下における外出自粛などの影響を強く受けた結果でもありました。電子産業関係についても、新型コロナウイルス感染症の影響から、レジストインク関連やアミューズメント関連が特に前半期で低調な推移となりましたが、5G通信分野は国内外ともに順調に推移しました。当社グループの主力製品のひとつである水溶性ポリエステル樹脂では主要分野であるフィルム関係が全体的に好調を維持し、前年同期を上回りました。

 利益面について、売上高が大幅減少したにも拘らず営業利益及び経常利益で前年同期比増益となったのは、原材料単価の低下や仕入数量の減少による原材料費の減少や製造経費の削減に加え、売上高の構成比変化などにより売上総利益率が上昇したこと、また、旅費及び交通費や消耗補修費などの抑制から販売費及び一般管理費が大幅に減少したことによります。 当連結会計年度は、混合系製品セグメントにおいて収益性の低下から減損の兆候が認められましたので、固定資産の減損損失126百万円を計上した結果、親会社に帰属する当期純利益は前年同期比減益となりました。

当連結会計年度の売上高は6,360百万円(前年同期比10.6%減)、営業利益は473百万円(同10.6%増)、経常利益は494百万円(同4.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は227百万円(同28.0%減)となりました。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

当社グループでは、運転資金、研究開発及び生産設備投資を自己資金にてまかなうこととしております。

キャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローにおいては、税金等調整前当期純利益366百万円に対し、未払消費税等の減少額133百万円、法人税等の支払額140百万円があったものの、減損損失126百万円、売上債権の減少額186百万円、リース債務の増加額223百万円などにより、営業活動から得られた資金は912百万円となりました。

なお、自己資本比率86.2%、流動比率629.9%、固定比率48.7%などの指標が示すように、健全な財務体質や営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力によって、当社グループの事業展開に必要な資金を確保することが可能と考えております。

 

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