業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績

当連結会計年度における経済情勢は、新型コロナウイルスのワクチン接種の進展や経済対策による景気回復が進む一方で、原油価格の高騰や部材不足の深刻化、物流網の混乱などが下押し要因となり、さらには、変異株による感染再拡大や地政学的リスクの顕在化の影響が懸念されるなど、先行き不透明かつ厳しい状況が続きました。

このような状況のもと、当社グループは、原材料の調達難や価格高騰に対処し、安定的な製品供給の継続と適正利益の確保に最善を尽くすとともに、持続的成長に向けて、中長期的な需要を見据えた生産・供給能力の増強、技術革新が進む自動車・情報電子分野など成長領域での製品開発・販売体制の強化、社会課題の解決を志向した医療ヘルスケア・エネルギー分野などでの新規事業開発に取り組んでまいりました。

当連結会計年度の業績につきましては、液晶ディスプレイ関連の需要拡大が進む中国市場を中心にケミカルズの販売が伸長したことや、装置システムの工事完成高が増加したことに加え、人民元高に伴い中国子会社の売上高の為替換算額が増加したこともあり、売上高は386億38百万円(前連結会計年度比22.7%増)となりました。

一方、利益面につきましては、増販効果はありましたが、原油価格の高騰や需給逼迫に伴う原材料価格の上昇に歯止めが掛からず、コスト削減や価格転嫁に努めたものの、急激なコスト上昇を吸収するまでには至らず、営業利益は22億29百万円(前連結会計年度比34.4%減)、経常利益は27億44百万円(前連結会計年度比23.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は20億40百万円(前連結会計年度比25.1%減)となりました。

セグメントの状況は、以下のとおりです。

<ケミカルズ>

ケミカルズについては、売上高342億15百万円(前連結会計年度比20.9%増)となりました。製品別の状況は、以下のとおりです。

粘着剤関連製品は、中国市場を中心に需要拡大が続く液晶ディスプレイ関連用途向けの販売が伸びたことや、建材・自動車分野など一般用途向けの販売も回復傾向で推移したことなどにより、売上高は218億35百万円(前連結会計年度比24.9%増)となりました。

微粉体製品は、中国市場での光拡散用途向けの販売数量が第4四半期に顧客の在庫調整の影響を受けて前年度並みに留まったものの、人民元高の影響により、売上高は30億21百万円(前連結会計年度比6.9%増)となりました。

特殊機能材製品は、中国市場での電子材料用途向けの販売が堅調に推移したことなどにより、売上高は35億21百万円(前連結会計年度比16.0%増)となりました。

加工製品は、中国市場での機能性粘着テープの販売が自動車内装部材・電子情報機器用途向けで増加したことなどにより、売上高は58億37百万円(前連結会計年度比17.8%増)となりました。

<装置システム>

装置システムについては、資材価格の高騰や調達難など厳しい受注環境にありましたが、大型設備工事案件の工事完成高の増加などにより、売上高は44億22百万円(前連結会計年度比38.3%増)となりました。

 

 

  製品の種類別売上高は、下表のとおりであります。

 

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

(百万円)

ケミカルズ

 

 

粘着剤

17,477

21,835

微粉体

2,825

3,021

特殊機能材

3,036

3,521

加工製品

4,955

5,837

小計

28,295

34,215

装置システム

 

 

装置システム

3,198

4,422

小計

3,198

4,422

合計

31,493

38,638

 

 

② 財政状態

当連結会計年度末(以下「当期末」という。)の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」という。)に比べて51億78百万円増加し、455億82百万円となりました。

流動資産は、現金及び預金、有価証券、棚卸資産が増加したことなどにより、前期末に比べ32億73百万円増加し、278億73百万円となりました。

固定資産は、投資有価証券が減少したものの、有形固定資産が増加したことなどにより、前期末に比べ19億5百万円増加し、177億8百万円となりました。

一方、負債については契約負債等その他流動負債が減少したものの、支払手形及び買掛金、長期借入金が増加したことなどにより、前期末に比べ24億21百万円増加し、172億34百万円となりました。

当期末における純資産は、利益剰余金が増加したことなどにより、前期末に比べ27億57百万円増加し、283億48百万円となりました。

この結果、自己資本比率は前期末63.3%から1.1ポイント減少し62.2%となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ16億3百万円増加し、112億3百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果増加した資金は、39億73百万円(前年同期は53億26百万円の増加)となりました。

これは、主に税金等調整前当期純利益27億73百万円、減価償却費19億3百万円、仕入債務の増加24億33百万円などによる増加と、契約負債等その他の減少13億69百万円、棚卸資産の増加13億69百万円などに伴う減少によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果減少した資金は、34億42百万円(前年同期は17億68百万円の減少)となりました。

これは、主に有形固定資産の取得36億83百万円などによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果増加した資金は、7億83百万円(前年同期は6億93百万円の減少)となりました。

これは、主に長期借入金の借入れ15億30百万円による増加と、長期借入金の返済1億20百万円、配当金の支払額6億17百万円などに伴う減少によるものであります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

ケミカルズ

35,352,114

124.9

装置システム

4,672,362

143.1

合計

40,024,477

126.8

 

(注) 金額は、販売価格によっております。

 

b. 受注実績

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

ケミカルズ

34,302,721

120.5

880,271

111.0

装置システム

3,390,700

123.2

1,744,287

62.8

合計

37,693,421

120.7

2,624,559

73.5

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

c. 販売実績

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

ケミカルズ

34,215,555

120.9

装置システム

4,422,502

138.3

合計

38,638,057

122.7

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度(以下「当期」という。)の売上高は、前連結会計年度(以下「前期」という。)に比べて22.7%増の386億38百万円となりました。セグメント別の概況につきましては「第2[事業の状況]3[経営者による 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に記載のとおりであります。

売上原価は、前期に比べ35.7%増の283億76百万円となりました。売上総利益は、販売数量の増加に伴う増産効果があったものの原材料価格の急騰に価格転嫁が追い付かず、前期に比べ3.1%減の102億61百万円となり、売上高総利益率は7.1ポイント減の26.6%となりました。

販売費及び一般管理費は、販売増に伴う物流費用の増加などにより、前期に比べ11.7%増の80億32百万円となり、売上高販管費比率は前期に比べ2.0ポイント減の20.8%となりました。

これらにより、営業利益は前期に比べ34.4%減の22億29百万円となり、売上高営業利益率は5.0ポイント減の5.8%となりました。

営業外損益は、円安の進行により為替差益が2億14百万円増加したことなどにより、前期に比べ189.4%増の5億15百万円となりました。経常利益は前期に比べ23.2%減の27億44百万円となり、売上高経常利益率は4.3ポイント減の7.1%となりました。

特別損益では、政策保有株式の売却損益57百万円を計上し、税金等調整前当期純利益は、前期に比べ25.3%減の27億73百万円となりました。

法人税等を7億79百万円計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べ25.1%減の20億40百万円となり、売上高当期純利益率は3.4ポイント減の5.3%となりました。

 

当社グループは、2022年度を最終年度とする3ヵ年の中期経営計画「New Value 2022」において、「既存事業の収益基盤の強化」と「次世代の柱となる新たな事業領域の創出」を基本方針として掲げております。

同中期経営計画2年目の当期は、売上は中国の液晶ディスプレイ関連分野の市場拡大を取りこんだ粘着剤の売上高の大幅な増加や装置システムにおける大型案件の完成、大幅に円安が進んだことによる中国子会社の円換算額が増加したことなどにより、同中期経営計画最終年度の目標を1年前倒しで達成することができました。

営業利益は、急激な原材料価格の上昇に対し、価格転嫁やコスト削減などを進めたものの、収益性の悪化を避けることはできず、また販売増、事業活動正常化に伴う物流、活動経費等の増加もあり、同中期経営計画最終年度の営業利益目標の63.7%となりました。原材料価格の変動の影響を受けやすい損益状況は変わっておらず、中期経営計画最終年度に向け売上の増加だけでなく、環境変化に耐えうる経営基盤の強化に取り組んでまいります。

 

 

 中期経営計画
 2023年3月期 数値目標

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

連結売上高

370億円

386億円

連結営業利益

35億円

22億円

(売上高営業利益率)

(9.5%)

(5.8%)

総資産経常利益率(ROA)

8%以上

6.4%

自己資本当期純利益率(ROE)

9%以上

7.6%

 

 

 

キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの主な資金需要は、事業活動に要する運転資金、生産及び研究開発に要する設備投資や配当金支払等であります。これらの資金の源泉は、手元資金と営業キャッシュ・フローであり、必要に応じて金融機関からの短期・長期借入金等により必要資金を調達しております。なお、「第2 [事業の状況] 1 [経営方針、経営環境及び対処すべき課題等](4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の中国事業拠点における生産能力増強や研究開発機能の拡充、新規事業開発などの成長投資資金については、手元資金に加えて金融機関からの借入により調達する予定であります。

また、海外子会社を含めたグループ内資金を有効活用するために、グループ資金管理体制の整備・強化、資金効率の向上に努めております。

なお、不測の事態に備えて取引銀行と当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しており、安定的な資金調達手段を確保することにより資金の流動性を補完しております。

 

重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となります。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果については、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。新型コロナウイルスの感染拡大の影響については、「第5 [経理の状況] 1 [連結財務諸表等] (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたって用いた見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

a. 固定資産の減損

固定資産の減損会計の適用に際して用いた会計上の見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

b. 繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っております。しかし、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合は繰延税金資産を取り崩して法人税調整額を計上する可能性があります。

 

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