課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「食糧増産技術(アグリテクノロジー)と真心で、世界の人々に貢献します。」という企業理念のもと、農薬や肥料、あるいは独自の栽培システムなどを開発・製造・販売する過程で、作物の増収に寄与する総合的かつ包括的な技術の開発と体系化に取り組んでおります。この技術・ノウハウの蓄積を基礎に「新たな食糧増産技術」を開発していくことで、増え続ける世界人口を支えるための食糧問題を解決し、株主の皆さまやお客さまから高い信頼と評価を得られるよう、企業価値の最大化を図ることを経営の基本方針としています。

 当社グループの持つ技術や製品の機能を広く提案し、積極的な展開を行うことにより持続的な企業価値の向上を図ってまいります。またESG(環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance))の観点も積極的に経営に取り入れてまいります。当社グループの企業活動は、持続可能な未来を社会と共に築くものであり、SDGs活動そのものであると考えております。

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループの主力をなす農薬事業は、食料の増産や安定供給に対する有効な手段であり世界的には拡大傾向にあります。一方、資源の循環型活用などを中心とした栽培技術や農作物も注目され、農作物の生産に求められる技術や消費者の嗜好も多様化しております。

 しかし、資源、エネルギーの高騰や原料調達コスト上昇による利益率の低下、また原料確保が困難になることによる販売機会の喪失など様々な課題が山積している状況になってきております。

 販売における環境は、国内販売におきましては、国内人口の減少などにともない縮小傾向にあり、事業環境としては引き続き厳しい状況が続くものと予想しております。一方、海外販売におきましては、食料の安定供給や作物生産技術の高度化や高品質化など、中長期的に拡大傾向で推移するものと予想しております。

 このような状況の下で、当連結会計年度においては、新中期経営計画に基づいて企業活動を行った結果、大幅な販売拡大と成長軌道を見出すことができました。今後も持続的な成長拡大を実現するために、中期経営計画(新中期経営計画 2022-2024年)を刷新いたしました。この新中期経営計画は、販売国の増加、新製品のマイルストーンなどを盛り込んだ計画となっており、活動方針及び具体的な取り組みは以下のとおりとなります。

 

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成長ドライバーへの取り組み

 新中期経営計画でも挙げられている課題をより具体化するために、成長ドライバーへの取り組みとして「人と環境にやさしいグリーンプロダクツ」「バイオスティミュラント事業」「施設園芸分野での潜在需要の掘り起こし」「グローバル製品展開」をキーワードに、より注力してまいります。

 

グローバルでのシナジー効果の追求

 農業バリューチェーンにおける当社グループの関わりにおいて、現状までは、Pre-Harvest分野とPost-Harvest分野においてグループ各社が個別の対応になっていましたが、農業バリューチェーンにおける各パートの情報共有及び連携において利益の最大化追求を試み、研究拠点のサテライト化における研究スピード向上の追求、バイオスティミュラント製品の新製品開発の効率化、製品展開のスピード向上の追求など、グループ各社と協力して取り組んでまいります。

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企業文化の構築と新規ビジネスへの挑戦

 当社の強みである「栽培」に着目し、「栽培の楽しさ・難しさを自ら体験し、世界に発信する」ことを企業文化としてまいります。「栽培」にフォーカスしたこの企業文化は、全社員が共有する価値観であり、行動規範となります。また、コロナ禍において、家庭での滞在時間が増えた消費者に対して、家庭園芸をより簡単に楽しめるノウハウをSNSから発信するとともに、当社のECサイトにて必要な資材を揃えることで、「栽培」を簡単に楽しめる方法を提案いたします。家庭園芸を楽しみたい消費者と双方向のやり取りをすることにより、新たなビジネスモデルに挑戦し、巣ごもり需要を開拓することを目指します。

 

研究開発体制について

 新規農薬製品の開発費用及び国内外の農薬登録評価制度に対応した登録維持費用の増大を見込んでおります。これらは、当面の営業利益に対する影響は小さくありませんが、将来的な当社の発展には欠かせないものであります。コスト意識をもって確実に取り組むことと、競争力を維持することを課題として取り組んでまいります。

 また、インドのOAT&IIL India Laboratories Private Limited社との連携した研究により早期の製品開発を目指します。

 

生産性の向上

 昨今の原油、原料価格の上昇、海上輸送経費の増加などに対応するため、グローバルなネットワークを活用し、グループ各社で最適かつ最良な原材料調達の情報を共有してまいります。またそれらを製造部門にとどまらず各部門において、SDGsの取り組みを念頭に置きつつ、コスト意識の向上や付加価値の高い業務へのシフトなど生産性の向上をすすめてまいります。

 

財務体質の強化

 グループ全体の資産及び負債を総合的に見直すと同時に、為替変動の影響や不要なコストを抑えるなどキャッシュ・フローをベースとした財務体質の強化に努め、新規事業及び研究開発への投資や、株主の皆様への配当金等の還元策への備えを図ります。

 

 当社グループは、これらを具体化するための全社的な取り組みとして、拡大する海外市場を見据えたグローバルな人材育成に継続して取り組んでまいります。また、法令を遵守することはもちろん、企業グループとして社会的な責任を果たし、広く社会に貢献してまいります。

 

(3)目標とする経営指標

 当社グループが目標とする経営指標としましては、特に安定的な収益確保及び収益力の強化を目指すため、営業利益の拡大と売上高営業利益率の向上、及び株主資本の有効活用を図るためROE(自己資本当期純利益率)を経営指標に据え、更にはフリー・キャッシュ・フローの確保も重視しながら企業価値の向上に努めております。

 「新中期経営計画 2022-2024年」において、経営指標を以下のとおり設定しております。

売上高営業利益率

10.0%以上

連結ROE

15.0%以上

 

(4)経営者の問題意識と今後の方針について

 当社グループは、保有する農薬原体の海外展開、国内外の販売網を生かした市場分析、新規薬剤の開発及び肥料・バイオスティミュラントの底上げを中長期成長戦略の柱とし、当社がこれらの分野を重点的にサポートしていくことにより、グループ全体として将来につながる利益構造基盤を築いてまいります。また、ESG(環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance))の観点も積極的に経営に取り入れてまいります。多様性を尊重する企業風土を推進するとともに、コンプライアンスの推進、内部統制システムの強化等、企業の社会的責任の遂行及び業務の効率性向上にも積極的に取り組んでまいります。当社グループの企業活動は、持続可能な未来を社会とともに築くものであり、SDGs活動そのものであると考えております。

 

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