業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。そのため、前連結会計年度比は基準の異なる算定方法に基づいた比率を使用しております。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)に記載のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度(2021年4月1日から2022年3月31日まで)における世界経済は、主要各国・地域において経済活動の持ち直しの動きがみられていましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新たな変異株による急速な感染拡大の影響に加えて、資源価格の上昇などにより、再度の景気停滞が懸念されています。また、半導体不足やサプライチェーンの混乱、為替の変動、米中対立やロシア・ウクライナ情勢などの地政学的リスクの上昇など、先行きの不透明度はさらに増しています。

 当社の製品が関わる主要業界では、コンシューマーIT製品市場において、スマートフォンおよびノートPCのハイエンド製品が拡大いたしました。

 このような経営環境のなか、当社は社員、顧客をはじめとする国内外の関係者の健康と安全確保を最優先としてCOVID-19の感染拡大防止と事業継続に努めながら、年間を通じて顧客の供給要請への対応を継続しました。そのうえで、当期は2021年5月10日に公表した中期経営計画リフレッシュ(アップデート)の実現に向けて、新規領域では自動車事業における製品の拡販に努めるとともに、既存領域の質的転換のために事業ポートフォリオの見直しを継続的に行い、事業の強化や生産拠点の見直しなどの効率化を進めました。また、技術トレンドを先回りした製品の開発・提案に取り組み、高付加価値製品の販売が拡大しました。

 この結果、差異化技術製品である光学フィルムおよび異方性導電膜(ACF)、精密接合用樹脂の好調に加え、表面実装型ヒューズの販売が拡大したことなどにより増益となりました。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は95,712百万円(前連結会計年度比45.4%増)となり、営業利益は26,642百万円(前連結会計年度比135.0%増)となりました。

 経常利益は、為替差損の増加などにより、25,023百万円(前連結会計年度比130.8%増)となりました。

 税金等調整前当期純利益は、主に、特別損失として固定資産除却損を計上したことなどにより、23,777百万円(前連結会計年度比208.9%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、16,669百万円(前連結会計年度比212.8%増)となりました。

 

 各セグメントの業績、ならびに製品カテゴリー別の売上状況は以下のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。

 

(光学材料部品事業)

          (単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減率

売上高

28,572

49,159

72.1%

営業利益

5,522

13,127

137.7%

             (注)売上高にはセグメント間取引が含まれています。

 

 ・ 売上高は49,159百万円(前連結会計年度比72.1%増)、営業利益は13,127百万円(前連結会計年度比137.7%増)となりました。

 ・ 光学フィルムでは、反射防止フィルムにおいてノートPC用ディスプレイ向けおよび車載ディスプレイ向け製品ともに数量が増加したことに加えて、第1四半期から本格的に貢献が始まった新製品の蛍光体フィルムが寄与したことにより、増収増益となりました。

 ・ 光学樹脂材料では、光学弾性樹脂におけるタブレット向けおよび車載向け製品が増加し、精密接合用樹脂における大手顧客スマートフォン向け製品の数量増加などにより増収増益となりました。

 ・ 光学ソリューションでは、当社製品を用いた車載ディスプレイ向けの事業は既存案件の生産終了、および一部商流の変更により減収となりました。

(電子材料部品事業)

          (単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減率

売上高

37,395

47,195

26.2%

営業利益

7,614

15,304

101.0%

             (注)売上高にはセグメント間取引が含まれています。

 

 ・ 売上高は47,195百万円(前連結会計年度比26.2%増)、営業利益は15,304百万円(前連結会計年度比101.0%増)となりました。

 ・ 接合関連材料では、車載およびノートPC向けの汎用品において数量増加があったことにより増収増益となりました。

 ・ 異方性導電膜では、主にスマートフォンのハイエンドモデルにおいてディスプレイ向け粒子整列型ACFが拡大したほか、カメラ等の各種センサーモジュール向けの新製品や粒子整列型の新規採用により、増収増益となりました。

 ・ 表面実装型ヒューズでは、電動工具、電動バイクやコードレスの電動クリーナーなど、大電流向け製品の数量が増加したことにより増収増益となりました。

 ・ マイクロデバイスでは、プロジェクター需要の回復に加えて新規顧客からの案件獲得で無機デバイスの数量が増加したことにより増収となり、固定費削減効果もあり損益が改善しました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ8,832百万円増加し、当連結会計年度末には29,363百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は25,804百万円(前連結会計年度比12,616百万円増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益23,777百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は12,434百万円(前連結会計年度比9,963百万円増)となりました。これは主に連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出7,074百万円と有形固定資産の取得による支出4,742百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は5,783百万円(前連結会計年度比1,524百万円増)となりました。これは主に短期借入れによる収入6,500百万円の一方で、長期借入金の返済による支出4,677百万円と自己株式の取得による支出4,000百万円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

金額(百万円)

光学材料部品

52,365

188.5

電子材料部品

51,633

149.5

合計

103,999

166.9

(注)1.金額は売価換算値によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.当連結会計年度において、人事及び機構改革を行った結果、報告セグメントの区分に一部変更があります。

前年同期比は、当該変更を反映した前連結会計年度の数値に基づき算出しております。

 

b.受注実績

 当社グループ(当社及び当社の子会社、以下同じ。)は主として見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

金額(百万円)

光学材料部品

49,049

171.8

電子材料部品

46,662

125.2

合計

95,712

145.4

(注)1.金額はセグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.当連結会計年度において、人事及び機構改革を行った結果、報告セグメントの区分に一部変更があります。

前年同期比は、当該変更を反映した前連結会計年度の数値に基づき算出しております。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであ

ります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

日東電工株式会社

12,484

19.0

14,737

15.4

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

   ①財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

1)財政状態

(資産の部)

 当連結会計年度末の資産合計は127,410百万円となり、前連結会計年度末に比べ32,209百万円の増加となりました。
 流動資産は65,086百万円となり、前連結会計年度末に比べ21,827百万円の増加となりました。その主な要因は、現金及び預金が8,832百万円、受取手形及び売掛金が6,500百万円、原材料及び貯蔵品が2,073百万円、商品及び製品が1,123百万円、それぞれ増加したことであります。
 固定資産は62,324百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,382百万円の増加となりました。その主な要因は、のれんが4,909百万円、建設仮勘定が1,974百万円、繰延税金資産が862百万円、建物及び構築物(純額)が857百万円、それぞれ増加したことであります。


(負債の部)
 当連結会計年度末の負債合計は63,270百万円となり、前連結会計年度末に比べ21,373百万円の増加となりました。
 流動負債は49,803百万円となり、前連結会計年度末に比べ24,251百万円の増加となりました。その主な要因は、短期借入金が6,500百万円、未払法人税等が5,008百万円、支払手形及び買掛金が4,654百万円、その他が4,169百万円、それぞれ増加したことであります。
 固定負債は13,466百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,877百万円の減少となりました。その主な要因は、長期借入金が2,341百万円、その他が621百万円、それぞれ減少したことであります。


(純資産の部)
 当連結会計年度末の純資産合計は64,140百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,835百万円の増加となりました。その主な要因は、利益剰余金が13,016百万円、自己株式が3,953百万円、為替換算調整勘定が883百万円、非支配株主持分が404百万円、それぞれ増加したことであります。

 

2)経営成績

 当連結会計年度の売上高は95,712百万円(前連結会計年度比45.4%増)、営業利益は26,642百万円(前連結会計年度比135.0%増)、経常利益は25,023百万円(前連結会計年度比130.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は16,669百万円(前連結会計年度比212.8%増)となりました。

 

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。

 

(営業利益)

売上原価は50,525百万円と、前連結会計年度と比べ13,050百万円増加し、売上原価率は52.8%と、前連結会計年度と比べ4.1%改善しました。

販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ1,527百万円増加し、18,543百万円となりました。その主な要因は、荷造運賃と研究開発費が増加したことであります。

以上により、当連結会計年度の営業利益は26,642百万円と前連結会計年度に比べ135.0%の増益となりました。

(経常利益)

営業外収益につきましては、285百万円と前連結会計年度と比べ88百万円の増加となりました。その主な要因は、その他が増加したことであります。

営業外費用につきましては、1,904百万円と前連結会計年度と比べ1,213百万円の増加となりました。その主な要因は、為替差損が増加したことであります。

以上により、当連結会計年度の経常利益は25,023百万円と前連結会計年度に比べ130.8%の増益となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

特別利益につきましては、子会社清算益が242百万円、固定資産売却益が51百万円となりました。

特別損失につきましては、固定資産除却損が825百万円、損害賠償金が349百万円となりました。

以上により、税金等調整前当期純利益は23,777百万円と前連結会計年度に比べ208.9%の増益となりました。

法人税等については、法人税、住民税及び事業税が7,918百万円、繰延税金資産の計上等により、法人税等調整額が△809百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は税金等を差し引き、16,669百万円と前連結会計年度に比べ212.8%の増益となりました。

 

3)経営成績に重要な影響を与える要因について

 当連結会計年度においては、コンシューマーIT製品市場において、半導体供給制限の影響でスマートフォンおよびノートPCのハイエンド製品が拡大いたしました。

 米中貿易摩擦やロシア・ウクライナ情勢の影響および世界的なインフレ圧力の高まり、国内外における感染症の再拡大、中国当局の「ゼロコロナ政策」の長期化による経済活動の停滞も懸念され、景気の先行き不透明感が今後一層強まっていくものと考えております。

 このような状況の下、当社は、ハイエンド製品の比率が拡大するスマートフォン向けの異方性導電膜や精密接合用樹脂のさらなる販売拡大に注力いたします。また、表面実装型ヒューズでは生産能力の増強で電動バイクや電動工具など大電流向けの需要拡大に対応し、自動車向けでも反射防止フィルムや光学弾性樹脂の販売拡大に努め、下期の景気減速リスクを加味しても増収増益の達成を目指します。次期の前提為替レートは、当期実績112.4円/米ドルに対し、118.0円/米ドルとしております。

 なお、ロシア・ウクライナ情勢による2023年3月期の連結業績への影響は現時点では軽微と考えますが、今後の情勢変化に伴い、当社の業績に大きな影響が見込まれる場合は速やかにお知らせいたします。

 経営成績に重要な影響を与えるその他の要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

    ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は29,363百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,832百万円の増加となりました。当社グループでは、フリー・キャッシュ・フローを営業活動により獲得されたキャッシュ・フローと投資活動により支出されたキャッシュ・フローの合計として定義しており、当連結会計年度末の残高は以下のとおりであります。

 

項目

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

13,187百万円

25,804百万円

12,616百万円

投資活動によるキャッシュ・フロー

△2,471百万円

△12,434百万円

△9,963百万円

フリー・キャッシュ・フロー

10,715百万円

13,369百万円

2,653百万円

 

 当社グループの主な短期的な資金の需要としては、営業活動上の運転資金に加えて、設備投資及び研究開発のための資金、配当金の支払等を見込んでおります。なお、当社の短期的な資金調達の源泉は、主に営業活動によって獲得した現金であります。資金調達は金融機関からの借入れにより調達を行っておりますが、当連結会計年度末の有利子負債残高は19,561百万円であり、総資産に対して15.4%と低い依存度となっております。

 当社グループでは、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保と財務の健全性・安定性を維持することを資金調達の基本としており、国内の主要金融機関との良好な関係に基づき、長期借入れを中心として必要資金を低いコストで調達しております。また、流動性資金の確保の面では、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行と当座貸越契約及び貸出コミットメントライン契約を締結しており、当連結会計年度末における総額は、15,588百万円(うち借入未実行残高は15,588百万円)であります。

 

 連結子会社が保有する資金は、当連結会計年度末において14,910百万円でありますが、グループ資金は当社での有効活用を前提に、可能な限り配当を実施することを基本方針としており、各連結子会社の配当可能利益をベースに、各社の手元必要流動性資金を考慮の上、当社への資金還流を今後も積極的に進めていく予定であります。

 

 資本政策につきましては、株主還元を充実させていくことを心掛け、従来どおり総還元性向として調整後親会社株主に帰属する当期純利益の40%を目処に、健全な財務基盤を確保しつつ、フリー・キャッシュ・フローの見通し、自己株式の取得を含む総還元性向、安定配当の重要性などを総合的に勘案した上で利益還元を行う方針であります。

 

   ③経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、持続的な企業価値向上に関わる指標としてROE(株主資本利益率)を位置づけています。具体的には、事

業拡大のための投資や将来の成長の源泉となる研究開発活動、そして株主還元などに対するバランスのとれた資金配

分を通じて、中長期的な目標としてROE10%を目指します。また、企業価値向上の指標として株主資本コストを8%

と仮定したエクイティ・スプレッド(ES)を導入し、中長期的にポジティブなESの維持を目指していきます。

(注)ROE=親会社株主に帰属する当期純利益÷純資産×100

エクイティ・スプレッド=ROE-株主資本コスト(8%と仮定)

 

 中期経営計画(2019年4月~2024年3月)の3年目である2021年度の達成・進捗状況は下記のとおりであります。

 

指標

2021年度(計画)

2021年度(実績)

2021年度(計画比)

売上高

72,500百万円

95,712百万円

23,212百万円 ( 32.0%増)

営業利益

11,900百万円

26,642百万円

14,742百万円 (123.9%増)

親会社株主に帰属する当期純利益

7,000百万円

16,669百万円

9,669百万円 (138.1%増)

ROE(自己資本利益率)

12.7%

28.5%

15.8ポイント増

(注)2021年度(計画)は2021年5月10日公表値

 

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「3 経営者による財政状

態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状

況」に記載のとおりであります。

 

   ④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

     連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについて

   は、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のと

   おりであります。

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