当社グループの研究開発は、安全・衛生・健康を優先しつつ、地球環境保全等のサステナビリティ、お客様への価値提供、課題解決を意識した粘着テープや樹脂シートをベースとする新製品開発、新規機能材料開発、新規製造方法開発、外部アライアンスによる新規技術導入、品質向上、製品の安定生産性向上等、短期および中長期両視点での活動を柱としております。特にこの数年は環境フレンドリー製品ならびに関連する技術開発、自動車の自動運転システムの浸透や動力システムのEVシフトに対応する製品の付加価値向上に向けた取組みに注力しております。
市場は進化を続けています。ESG経営の社会的な要請、SDGsの浸透、気候変動を発端とするCO2排出量削減やカーボンニュートラル、脱炭素社会実現に向けたグローバルなトレンド、自動車産業と通信産業とのリンケージによる新しい自動車のコンセプトであるCASE、5Gによる通信速度や通信容量の増大、Beyond5G/6Gと呼ばれる新たな情報通信インフラの社会実装検討、AIやDXによる産業構造や働き方の変化等、市場に劇的な変革をもたらしています。さらに2020年初頭に始まった新型コロナウイルス感染症拡大による医療体制、サービス、人流、生産活動、個人消費のトレンド等の変化、ウィズコロナ・ポストコロナにおける社会的、個人的価値観の変化と経済・産業構造への影響、ウクライナ情勢、欧州やアジア太平洋地域における安全保障体制の変化、世界的な半導体不足、急速な円安がこの変革に拍車をかけております。
これに応じ、当社グループのお客様の要求も多様化かつ高度化してきています。特にお客様におけるカーボンニュートラルの訴求への対応、自動車動力システムのEV化、自動運転の高度化ならびに普及、5G情報通信インフラの社会実装、新型コロナウイルス感染症拡大を契機とした、ウイルス感染のリスク対応は当社グループにとっても重要な位置付けとなります。カーボンニュートラルは原材料や製造方法の見直しが必要であり、従来のものづくりの概念を大きく変えるため、社会的なインパクトが極めて大きい方向性です。さらにウイルス感染リスクは人体への影響や脅威に留まらず、感染防止措置に伴う生産活動やサービスの鈍化等による経済へのインパクトも極めて大きいことは周知の事実です。EV化、自動運転、5Gも社会的、経済的にインパクトが大きいトレンドです。このような当社を取り巻く環境変化においても、市場に対し安定して製品や提供価値、ソリューションを提供するとともに、これらのベースとなる要素技術開発を推進する研究開発体制が極めて重要と判断しています。
これらのトレンドに対しても当社グループは従来技術のレベルアップに加え、新規技術の開発や設備投資にも取り組むことで、お客様に満足して頂ける安定かつ高品質の製品のご提供、既存製品や新規製品によるソリューションのご提供、お客様への提供価値の創造、お客様との価値の協創、高付加価値製品のご提案、安定した製品・サービスの供給の確保を継続していきたいと考えております。
当連結会計年度における新たな成果は、新製品開発においては高シール性防水/気密両面テープ、EV部材用テープ、環境フレンドリーな自動車部材/絶縁/仮固定用テープ、高接着易剥離自動車部品/電子部品用マスキングテープ、コスト競争力を付与した各種部品製造工程用/絶縁用耐熱テープ、同じく新規梱包用/養生用テープなどが挙げられます。また中長期での市場投入を想定した新技術開発では、新規粘着剤素材開発ならびにパイロットスケール重合プロセス技術開発、新規機能性樹脂シート開発、抗菌・抗ウイルス技術開発、多孔体シート技術開発、新規離型剤開発、無溶剤化や石油代替材料開発、ハロゲンフリーといった環境技術開発等が進行しております。さらに設備投資は特に無溶剤型粘着テープ/シート製造設備にフォーカスしました。環境ソリューションを継続的に提供していく体制構築を重点的に進めております。
また第3次中期経営計画に基づき、中長期研究開発ビジョンを構築しました。研究開発ビジョンとして、新製品比率の向上、環境フレンドリー製品の市場投入推進、素材に着目した新規事業開発および業務提携、M&Aも視野に入れた外部連携をコミットしています。このビジョンに基づき当期方針を策定し、研究開発活動を推進していきます。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、
また、単一セグメントのためセグメントごとの記載を省略しております。
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