文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「社会貢献」「環境」「技術」を経営のキーワードとし、全ての人々の幸せのため、食糧の安定供給に寄与する安全で安心な農薬製品および産業活動を幅広く支えるファインケミカル製品を社会に提供していくことを企業理念としています。
この企業理念のもと、立案した事業計画を着実に実行することにより、持続的かつ安定的な成長を実現し、国内外の産業の発展と豊かな社会づくりに貢献します。また、取締役会を中心とした経営の自己規律のもと、企業価値の向上を図るとともに、社会に信頼される企業であり続けます。
(2)経営計画
当社グループは、2021年度を初年度とする経営計画「HOKKO Value Up Plan 2030」(2021/11期~2030/11期)を策定しました。最初の5年間を1st Stage for Creation(2021/11期~2025/11期)とし、業務改革の推進により基盤強化を図り、次の5年間の 2nd Stage for Advance で、あるべき姿に到達することを目指してまいります。
また、当社グループの持続的な成長とサステナブルな社会の実現への寄与のため、SDGsの達成に取り組みます。
〔長期経営計画〕
①長期業績目標
売上高 |
500+α 億円 |
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経常利益 |
50+α 億円 |
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②スローガン
未来は創造できる ~強く、豊かなHOKKO~
〔中期経営計画 「HOKKO Value Up Plan 2030 1st Stage for Creation」〕
①基本方針
企業価値向上と社会課題の解決に向け、ムリ、ムダ、ムラを排除し、筋肉質で骨太な企業体質を造り上げ、強く、豊かなHOKKOを実現します。
そのために、『収益構造改革』、『造り方改革』、『働き方改革』の三つの改革を柱とし、それぞれにKPIを設定し、進捗を管理します。
『収益構造改革』においては、「成長・財務基盤」を実現することで、安定的な売上高と収益額を確保していきます。
『造り方改革』においては、「高効率化・省力化・環境対策」を強化し、高品質・高付加価値な製品を市場に提供していきます。
『働き方改革』においては、「業務効率化・人材育成」に重視して取り組み、全ての従業員が個性と能力を十分に発揮できる環境を整備していきます。
②経営目標
次の経営指標を2025年度までに達成すること、または計画期間中維持することを目標といたします。
業績目標 |
目標値 |
売上高 |
465億円 |
経常利益 |
44億円 |
KPI |
目標値 |
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収益構造改革 |
収益性 |
売上高経常利益率 |
9%以上 |
ROE |
8%以上 |
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財務健全性 |
自己資本比率 |
60%以上を維持 |
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造り方改革 |
農薬事業 |
製造原価 (2020年度実績物量基準) |
2021~2025年 累計8億円削減 |
ファインケミカル事業 |
製造能力 (2020年度実績出来高基準) |
2025年度に20%向上 |
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働き方改革 |
売上高販管費比率 (委託研究費を除く) |
17%以下 |
〔SDGsへの取り組み〕
取り組み方針 |
Social KPI |
2025年度 |
2030年度 |
SDGs |
全ての人々が幸福である社会の実現に貢献する。 |
健康経営優良法人の認定取得(経済産業省の顕彰制度) |
2025年度までに取得 |
維持 |
8.8 |
製品の開発から廃棄に至る全ライフサイクルにわたり環境負荷を最小限に抑える。 |
エネルギー原単位(2020年度比) |
5%以上削減 |
10%以上削減 |
7.3 |
農薬製品の提供を通じて、持続可能な農業を支援する。 |
高拡散性粒剤の水稲作付面積割合 |
5%以上 |
10%以上 |
2.4 8.2 |
ファインケミカル製品の提供を通じて、産業の技術革新に貢献する。 |
新製品の上市数 |
2025年度までに累計60製品以上 |
2030年度までに累計130製品以上 |
8.2 9.5 |
繊維資材の提供を通じて、産業の発展と豊かな社会づくりに 貢献する。 |
リサイクル繊維の使用率 |
10%以上 |
30%以上 |
12.5 |
SDGsの達成に向けた当社グループの取り組みを、総合的かつ効果的に推進するため、「SDGs委員会」を設置し、取り組みへの提言と進捗管理、評価を実施しております。
(3)事業環境
〔農薬事業〕
国内販売におきましては、国内農薬市場の縮小傾向が続くため販売競争の激化がさらに進んでいくものと予想され、依然として厳しい状況が続くものと考えられます。海外販売におきましては、中長期的には拡大傾向で推移することが予想される農薬市場でのシェア拡大を目指してまいります。
〔ファインケミカル事業〕
品質と価格の両面において顧客の要望が高度化する医薬・農薬分野や、本格的に始動した次世代高速通信(5G)や電気自動車向けの電子材料分野においては、生き残りをかけた開発競争や価格競争が激しさを増しています。また化学品に対する世界的な規制の強化が進められるなどファインケミカル事業を取り巻く環境は、大きな変化が予想されます。
〔繊維資材事業〕
新規顧客、新商品開発による販路拡大を目指すとともに、当社グループ企業との営業面および内部体制面でのシナジー効果発揮にも注力してまいります。
(4)対処すべき課題
〔農薬事業〕
①農業の明日を見据えた製品開発とラインナップの強化
・省力化志向に対し、新たに投入する高拡散性粒剤の普及拡大に努めてまいります。
・新規園芸剤の普及により、園芸剤シェアの向上を目指してまいります。
②付加価値の高い製品の拡大
・スマート農業(防除AI、ドローン散布等)に対応する新規製剤を開発し、その普及拡大に努めてまいります。
・環境負荷低減のため、少量・高濃度・低投薬量散布に対応する製剤技術を確立し、その製品化を実現してまいります。
③環境変化に対応できる人材育成
・進化する農業技術を習得し、実務に活用してまいります。
・専門知識の向上に努め、その共有化を図ってまいります。
・海外展開を支える人材を育成してまいります。
④海外市場への取り組み強化
・東南アジアへ普及拠点を拡大してまいります。
・イプフェンカルバゾンの登録国を拡大し、その普及推進に努めてまいります。
⑤グローバル化に対応した新規原体の創製
・海外におけるマーケットや農薬規制に関する情報を収集してまいります。
・研究開発活動の効率化を進め、海外市場への展開を目指した新規原体の創製に注力してまいります。
⑥設備の充実による原価低減
・新除草粒剤工場を建設し安定稼働に努めてまいります(造り方改革推進プロジェクト)。
・新規製剤の製造技術を習得し、その向上に努めてまいります。
⑦「みどりの食料システム戦略」への対応
・政府が策定した持続可能な食料システムの実現を目指す「みどりの食料システム戦略」への対応を進めてまいります。
〔ファインケミカル事業〕
①付加価値の高い製品の拡大
・提案型受託業務を強化してまいります。
・カップリング反応における触媒配位子(リガンド)を充実してまいります。
・電子材料分野での製品成長期に合わせて、計画的な増産体制を構築してまいります。
・高機能設備を導入し、顧客ニーズへ対応してまいります。
・高度な分析機器を導入し、製品の品質を高めてまいります。
②設備の充実による原価低減
・合成第9工場の自動化設備のノウハウを他工場へ展開してまいります。
・岡山工場のスマート化を推進してまいります。
・新工場の建設やスクラップ&ビルドにより、製造設備を効果的に配置してまいります。
③コア技術の深化と独自新製品の開発
・グリニャール反応工程の能力と品質の向上を目指してまいります。
・さまざまな金属種を利用した反応を開拓してまいります。
・自社製品(リン化合物)を活かした新しいコア技術を開発してまいります。
④海外市場への取り組み強化
・ホスフィン触媒配位子の需要を発掘し、シェア拡大に努めてまいります。
・海外展示会、学会等を利用し、製品と技術をPRしてまいります。
・海外営業拠点を充実してまいります。
・海外展開を支える人材を育成してまいります。
⑤アライアンス等による新規ビジネスの創出
・生産、販売の効率化を目的とした他社との業務提携を目指してまいります。
・アライアンス等も視野に入れた新規分野でのビジネス拡大に注力してまいります。
⑥カーボンニュートラルへの取り組み
・カーボンニュートラルに向けて、より一層の省エネルギーの推進、使用燃料の低炭素化(燃料転換)に努めてまいります。
〔繊維資材事業〕
①調達・供給構造の再構築
・中国市場に日本製高付加価値製品を供給してまいります。
・輸入品の比率を増やし、売上・利益率の向上に努めてまいります。
・新規委託生産拠点の構築に注力してまいります。
・新規販売先を開拓してまいります。
②製品開発力・収益力の強化
・環境に配慮した商品を開発し、販売を強化してまいります。
・介護・防災関連商品を開発し、販売を強化してまいります。
・企業向け完成製品の受注販売に注力してまいります。
・新基幹システムの稼働に伴う、在庫管理の強化による収益力の向上に努めてまいります。
③各事業グループとのシナジー効果の拡大
・農業従事者向けブランドの開発に努めてまいります。
・繊維資材の専門知識を活かし、作業着、防保護具を供給することで収益の拡大に努めてまいります。
・繊維資材のサプライチェーンに防カビ剤の使用を提案してまいります。
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