課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針、経営戦略等

 当社グループは、「誠魂長才※」を社是とし、「ひとの命を守る。ひとの暮らしを守る。ひとを育む環境を守る。わたしたちは、世界中の人々がいつまでも安心して快適に暮らすことのできる社会づくりに貢献していきます。」という経営理念のもとで、製品のクオリティを高めることはもとより、社会・文化活動、環境問題、資源問題等企業活動のすべてに対して、クオリティのアップを目指しています。

 当社グループは、これからも株主の皆様をはじめとして、取引先、地域社会の方々等あらゆるステークホルダーの皆様のご期待に応えるべく、経済的価値の向上とともに、企業の社会的責任を含めて「クオリティ主義」に徹した企業活動を推進してまいります。

※「誠魂長才」=何事に対しても誠心誠意、真心をもって事に当り、常に努力して才能を伸ばし、知識を広め、社会・国家に貢献します。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、事業の成長性と収益性を重視する観点から、売上高、経常利益及び新製品寄与率を経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として位置付けております。当連結会計年度における連結売上高は527億29百万円となり、2021年5月12日に開示いたしました連結売上高目標493億円に比べ、34億29百万円(7.0%増)の増収となりました。連結経常利益は25億41百万円となり、連結経常利益目標32億50百万円に比べ、7億8百万円(21.8%減)の減益となりました。当社が国内市場において毎期発売する新製品につきましては、初年度新製品売上寄与率15%以上を経営目標の一つとしておりますが、当事業年度につきましては、15.8%となっております。引き続き、当該指標の改善に邁進していく所存です。

 また、株主重視の視点から、株主資本利益率(ROE)を重視し、企業価値の向上を目指してまいります。

 

(3)経営環境

 当連結会計年度(2021年4月1日から2022年3月31日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症についてオミクロン株の影響により再び感染が急拡大し感染者数は高止まりで推移いたしましたが、ワクチン接種の普及などもあり、景気回復の動きが見られました一方で、原油高による原材料価格の高騰、ウクライナ情勢の終息が見えないこと、中国を始めとした新型コロナウイルス感染症の拡大懸念などもあり先行きが不透明な状況が続いております。

 このような状況の中で、当社は主力の殺虫剤事業において、2014年に国内で発生したデング熱を契機に、2015年を感染症対策元年として位置づけ、蚊やマダニが媒介する感染症の脅威や外来種等の危険害虫の問題が深刻化していることへの啓発活動や、今までにない高効力を実現した「効きめプレミアシリーズ」を始めとするワンランク上の製品の開発を進めてまいりました。

 また、家庭用品においても、ウイルス・細菌・アレルゲンなど暮らしの周りに潜む見えないリスクへの対策等消費者の生活シーンに安心安全を提供する製品として「アルコール除菌剤」や「ウイルス・細菌・アレルギー対策商品」等の開発を進めてまいりました。

 今後、日本において人・モノがますますグローバルに行きかう中で、こうした感染症に対するリスクは年々高まっていくと考えられることから、お客様の虫よけ商品や害虫駆除への意識の変化やコロナ禍への不安を背景として、殺虫剤や虫よけ剤、除菌剤の市場は堅調に推移していくと見ております。

 また、海外におきましても、東南アジアを中心に、蚊が媒介する感染症による被害が拡大しており、殺虫剤の需要はますます高まっていくものと予想しております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 今後の国内外の景気につきましては、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行が続いており、厳しい経営環境が続くと予想しております。このような状況の中、当社グループは、「ひとの命を守る。ひとの暮らしを守る。ひとを育む環境を守る。わたしたちは、世界中の人々がいつまでも安心して快適に暮らすことのできる社会づくりに貢献していきます。」という経営理念のもと、激変するグローバル環境に対応しながら、国内外市場での継続的な事業の拡大と堅固な収益基盤を確立するために、以下のような経営課題に取り組んでまいります。

 

(日本のフマキラーグループの課題)

 当社グループは、殺虫剤、家庭用品、園芸用品をコア事業と位置づけ、人々の命・暮らし・環境を守る商品を提供しております。これまでに培ってきた技術とノウハウを結集した画期的で魅力的な新商品の開発、高品質で効率的な生産、販売力の強化、流通チャネルの拡大などによって、お客様が必要なときに十分な量をできるだけ早く手に取っていただけるように開発・生産・販売体制を整備し、事業の拡大に取り組んでまいります。

 その一環として、研究開発体制及び生産体制の強化を実現するため、当社広島工場内に研究開発棟及び生産設備から構成されるブレーンズ・パーク広島の建設・拡充を進めております。2021年春には新しい研究開発棟が完成し、稼働を開始いたしました。新研究開発棟は中長期的に新たな価値を創り出す拠点としてフマキラーグループの未来を担います。

 販売体制については、2021年4月にシンジェンタジャパン株式会社のフラワー事業を、当社が新たに設立した子会社「FSブルーム株式会社」で譲り受け、フマキラーグループにとって新たな事業をスタートいたしました。

 また、ウイルス・細菌・アレルゲンなど暮らしの周りに潜む見えないリスクへの対策等消費者の生活シーンに安心安全を提供する製品の提案を推進し、さらなる企業価値の向上に努めてまいります。

 

(海外のフマキラーグループの課題)

 世界では害虫が媒介する感染症によって健康が損なわれ多くの命が奪われています。当社グループは持てる経営資源を投入し、一人でも多くの人々を感染症の被害から守っていきます。海外では現在、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム、ミャンマー、インド、メキシコの子会社で製造販売または販売を行っています。また、中南米・アフリカ・中近東等の3ヶ国で技術指導による現地生産を行っており、世界約70ヶ国に及ぶ海外ネットワークを構築しております。

 当期は、ヨーロッパにおける事業拡大のための投資を行いました。ひとつは欧州市場で日用品事業を展開するために子会社「FUMAKILLA EUROPE S.R.L」を2021年7月、イタリアに設立いたしました。

 また、2022年2月には、欧州市場で殺虫剤等の製造販売事業を手掛け、イタリアの園芸小売店での販売力に強みを持つイタリアの会社「Zapi Industrie Chimiche S.p.A.」の株式を取得し、子会社化いたしました。

 これらの投資を推進力として当社の欧州市場における事業基盤を強化してまいります。

 海外商品の研究開発は、日本以外にインドネシア、マレーシアの開発拠点で行っておりますが、インドネシアで建築を進めていた新研究開発棟(ブレーンズ・パーク インドネシア)が完成し、2021年6月より稼働を開始しています。この新しい施設を活用し、海外での研究開発をさらに強化していきます。

 また、「FUMAKILLA EUROPE S.R.L」設立と「Zapi Industrie Chimiche S.p.A.」の株式取得により、ヨーロッパにも開発拠点ができました。

 今後は、国内と海外子会社間の連携強化とグループ・シナジー効果を高めて海外事業の拡大と収益力の強化を図り、グローバルな競争力を持つ企業を目指してまいります。

 

(収益力と財務状況の改善)

 当社グループの収益性を改善するために、国内外の開発、生産、営業の各部門において、商品アイテムの見直し、製造原価の低減、在庫の適正化、製品価値に基づいた適正価格での販売、広告宣伝費や販売推進費等のマーケティング費用を含めた販管費の効率的・効果的運用等の課題により一層取り組んでまいります。

 

(エステー株式会社との協業の推進)

 当社はエステー株式会社と資本業務提携しております。営業・開発・生産・海外の各分野でそれぞれ課題を取り上げ、一定の成果を上げつつあります。引き続き業務提携の取り組みを通じて、業容拡大並びに企業価値及び株主共同利益の向上に努めてまいります。

 

(5)次期(2023年3月期)の業績見通し

2023年3月期の業績見通しにつきましては売上高648億円、経常利益29億30百万円を予定しております。

 

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