(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2021年1月1日~2021年12月31日)の世界経済は、新型コロナウイルス感染症との共生に舵を切り力強い景気回復を示し始めた米国と、国威をかけたコロナ制圧・五輪開催に邁進する中国の2大経済大国に牽引され、総じて回復基調となりました。他方、急速な産業活動再開と需要回復に、生産、港湾、輸送能力が追いつかないという需給バランスの歪みがあらゆる素材価格の歴史的高騰と世界的コンテナ物流逼迫という形で顕在化し、わが国企業業績回復の足枷となりました。
当社業績に大きく影響する原油価格は、年初のUS$50/bbl台前半から年度末にはUS$80/bbl付近まで高騰しました。
このような環境下、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ、2,786百万円増加し、33,572百万円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ、2,322百万円増加し、25,827百万円となりました。当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ、464百万円増加し、7,744百万円となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高27,918百万円(前年同期比25.6%増)、営業利益587百万円(前年同期は営業損失2,079百万円)、経常利益467百万円(前年同期は経常損失2,852百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益444百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失2,878百万円)となりました。
なお、当社グループは、石油精製及び石油製品の製造販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比較して203百万円増加し1,605百万円となりました。
当連結会計年度末における区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、666百万円(前年同期は2,367百万円の支出)となりました。これは主として税金等調整前当期純利益473百万円、減価償却費986百万円、売上債権の増加額734百万円、たな卸資産の増加額2,218百万円、仕入債務の増加額1,911百万円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、680百万円(前年同期比551百万円の支出減)となりました。これは有形及び無形固定資産の取得による支出695百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、198百万円(前年同期比2,897百万円の収入減)となりました。これは主として短期借入金の純増額571百万円、長期借入れによる収入800百万円、長期借入金の返済による支出1,001百万円等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績については、事業部門ごとに表示することに合理性がないため、主な製品ごとに表示しております。
区分 |
数量 |
前年同期比(%) |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
ワックス (パラフィン・マイクロクリスタリン) |
76,224トン |
5.0 |
17,933 |
15.5 |
重油 |
173,019kl |
4.3 |
9,464 |
46.2 |
合計 |
|
- |
27,397 |
24.5 |
(注)1 金額は、販売価格をもって算出しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当社グループの生産においては、そのほとんどを見込生産で行っておりますので、受注実績は記載しておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績については、事業部門ごとに表示することに合理性がないため、主な製品ごとに表示しております。
区分 |
数量 |
前年同期比(%) |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
ワックス (パラフィン・マイクロクリスタリン) |
77,644トン |
5.2 |
18,301 |
15.5 |
重油 |
172,335kl |
8.2 |
9,426 |
51.6 |
その他仕入商品 |
|
|
190 |
12.8 |
合計 |
|
|
27,918 |
25.6 |
(注)1 ワックスには輸入ワックスの仕入販売を含んでおります。
2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
三菱商事エネルギー株式会社 |
- |
- |
4,520 |
16.2 |
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
4 前連結会計年度における主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める顧客がないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等
1) 財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における資産合計は前連結会計年度末に比べて2,786百万円増加の33,572百万円となりました。これは主として受取手形及び売掛金の増加額737百万円、たな卸資産の増加額2,224百万円等によるものです。
(負債合計)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比較して2,322百万円増加の25,827百万円となりました。これは主として支払手形及び買掛金の増加額1,910百万円、短期借入金の増加額601百万円等によるものです。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比較して464百万円増加の7,744百万円となりました。これは主として利益剰余金の増加額447百万円等によるものです。
2) 経営成績
(ワックス販売数量)
国内は前連結会計年度と比べ1,963トン増の32,204トン、輸出は同比1,877トン増の45,439トン、合計は同比3,840トン増の77,644トンとなりコロナ禍以前の2019年度実績を上回りました。
(重油販売数量)
前連結会計年度と比べ13,020キロリットル増の172,335キロリットルとなりました。
(売上高)
国内ワックスは前連結会計年度と比べ865百万円増の10,452百万円、輸出ワックスは同比1,587百万円増の7,849百万円、重油は同比3,208百万円増の9,426百万円、その他商品を含めた総売上高は同比5,683百万円増の27,918百万円となり販売数量と同じく2019年度実績を上回りました。
(注)その他仕入商品は除きます。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、前連結会計年度に比べ、2,479百万円増の24,354百万円となりました。また、販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ、537百万円増の2,976百万円となりました。
(営業利益)
原油価格の上昇に伴い製品市況が改善したことによる売上高増、前連結会計年度におけるデリバティブ損失および、たな卸資産評価損の計上が解消されたため、営業損益は前連結会計年度に比べ2,666百万円増の営業利益587百万円となりました。
(営業外損益)
営業外損益は、前連結会計年度に比べ652百万円改善し、119百万円の損失となりました。これは、為替差益37百万円(前連結会計年度は為替差損93百万円)、デリバティブ損失減555百万円等によるものです。
この結果、経常損益は、前連結会計年度に比べ3,319百万円増の経常利益467百万円となりました。
(税金等調整前当期純利益)
特別損益は、固定資産売却益が12百万円減少、補助金収入が16百万円減少する一方、固定資産除却損が12百万円減少したことにより、前連結会計年度に比べ16百万円減の6百万円の利益となりました。この結果、税金等調整前当期純損益は、前連結会計年度に比べ3,303百万円増の税金等調整前当期純利益473百万円となりました。
(法人税等)
法人税、住民税及び事業税は、前連結会計年度に比べ22百万円増の41百万円となりました。また、法人税等調整額は、前連結会計年度に比べ42百万円減の△11百万円となりました。この結果、当連結会計年度の税金費用負担額は、前連結会計年度に比べ20百万円減の29百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度に比べ3,323百万円増の親会社株主に帰属する当期純利益444百万円となりました。
b. 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社は2021年度を初年度とする「中期計画21-24」に基づき、黒字体質への転換に向けて着実な第一歩を踏み出しました。
(中期計画21-24の骨子)
1) “高機能・高品質製品”と“成長市場”の追求
・開発・営業部にて、旧開発研究員と旧営業部員が一体となった“開発営業”を展開しました。お客様の技術的な課題に的確、迅速にお応えする、ワックス専業メーカーならではの新しい営業部隊を創り上げております。
・タイヤ向けワックスは、タイ子会社および当社グループとしての販売数量目標を達成しました。
・高機能・高品質プリンタトナー向けワックスは、コロナ禍による事業計画に対する進捗遅れはありますが、一部新機種搭載トナーへの採用が決まるなど、当社ワックスに対するお客様からの信頼は揺るぎないものと確信しております。
・ライスワックス製品開発に注力いたしました。サンプル品営業や脱炭素社会実現に向けた素材総合展「サステナブルマテリアル展」への出展などを通じ、各方面からのお客様の関心と市場の潜在性に手応えを感じており、2022年度の事業展開に活かしてまいります。
2) “経営管理”の高度化・適正化
・“商品・為替バランス管理”の導入
過去、当社業績に多大な影響を及ぼしてきた原油価格、為替相場の乱高下に伴う損益変動リスクを一定の範囲内に制御する管理ルールを構築し、監査部による履行状況モニタリングを週次にて行うことにより、市況急変による“不測の損失”の再発防止を徹底いたしました。
・新たな経営管理指標導入と経営管理人材の招聘
経営企画部主導により、中期計画の進捗状況の見える化推進と全社員の意識レベルの底上げを図っております。
また、経営企画部に加え全管理部門(総務、監査、経理)を所管する執行役員を外部より招聘(2022年1月就任)いたしました。
・人事評価制度の刷新
各々の役割と成果に応じた処遇、脱年功序列、働き甲斐向上による人材確保等を目的とした人事評価制度刷新プロジェクトを総務部中心に企画・推進し、2022年度から新制度を導入いたします。
3) 持続可能な開発目標(SDGs)・長期的な事業の発展に向けた“脱重油”への移行準備
・2年連続運転の国家認定取得
過去長きにわたり毎年実施していた徳山工場定期修理の見直しを行い、2年連続運転の国家認定を取得いたしました。これにより定修コスト削減、稼働率向上による原価率低減、在庫削減による資金効率改善等が期待できます。
・“リスクベースメンテナンス”の導入
慣習的に毎年行ってきた修繕・部品交換等をゼロベースで見直し、個々のリスク度合い測定に基づき綿密に積み上げた年度修繕計画を策定、執行することにより、大幅な修繕費削減を果たしました。
・“脱重油”に向けた準備加速
“脱重油”に向けて、蒸留原料構成の見直しによる重油収率低減、並びに非蒸留処方による製品の再設計、実機試作・物性検証作業を期初計画通りに実施いたしました。
c. セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、石油精製及び石油製品の製造販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループは、運転資金及び設備資金を内部留保及び借入により調達することを基本としております。運転資金及び設備資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金償還時期等を考慮の上、適宜判断して調達していくこととしております。
また、当社グループは金融機関との長期にわたる良好な取引関係の維持により、当社グループの事業活動に必要な運転資金及び設備資金の調達に関しては今後とも問題なく実施可能と考えております。
新型コロナウイルス感染症による資金繰りに与える影響は軽微と見ており、当初の資金計画に基づいた資金調達を行う予定であります。なお、今後新型コロナウイルス感染症が更に拡大し、当社グループの事業に大きな影響を与える場合には、別途資金調達を行う可能性があります。
③重要な会計上の見積り方針及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表を作成するのに当たっては、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載した基準に従っております。これらを含め、当社グループは、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて連結財務諸表を作成しております。
なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
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