当事業年度におけるわが国経済は、デルタ変異株等による新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、度重なる緊急事態宣言等の発出・延長もあり、企業や個人の活動に制約が生じました。ワクチン接種の進展等を背景に、秋口には経済活動は正常化に向かいましたが、足元では新種変異株の拡大等、依然として新型コロナウイルス感染症の収束までの見通しは立っておらず、先行きは不透明な状況が続いております。
海外経済につきましても、新型コロナウイルスの影響を大きく受け、回復の状況は国や地域によって差が見られました。感染症による内外経済への影響や金融資本市場の動向を注視する必要があり、予断を許さない状態が続いております。
原材料価格に大きな影響を与える原油価格の動向については、新型コロナウイルスの感染拡大による経済停滞への警戒感の一方、エネルギー需要には底堅さが示され、さらにOPECプラスの協調減産が続いたことで需給タイト感が強く意識され、前年平均と比べ7割上昇となるなど厳しい経営環境は続いております。
自動車業界におきましては、小型・ハイブリッドの低燃費車並びに軽自動車が引き続き消費者からの根強い支持を集めております。新車販売台数に関しましては、世界的な半導体不足の影響により10月の国内新車販売台数は前年同月比で3割の減少となり、1968年の統計開始以来過去最低となりました。通年でも対前年比1割の減少となった2020年度からさらに3%の減少となっています。
このような市場環境の下、自動車潤滑油ビジネスにおいては、主力ブランドをさらに強化するため、最新の省燃費車に向けた超低粘度オイルの導入、需要期におけるプロモーションの実施やeコマースの拡販に加え、bpグループが提唱する2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする“カーボンニュートラル”のコンセプトを訴求し環境問題にも取り組んでまいりました。
また、潤滑油以外でも、エンジン内部を手軽に洗浄できる「エンジンシャンプー」や、カーケア製品「カストロールプロシリーズ」へ年間を通して積極的な投資を行い、購入者の拡大を促進いたしました。
一方、ニューノーマルを踏まえた対応として、中長期的に持続可能かつ競争力ある事業を行うための組織改革後の、デジタルトランスフォーメーションを含む業務効率化をさらに推進いたしました。
成熟した市場環境にありながらも、高付加価値ブランドの拡大と新しい需要の創出を促進することで、市場の再活性化及び当社ビジネスの継続的な成長を目指してまいります。
これらの結果、当事業年度における当社の売上高は11,091百万円(前年同期比2.4%増)、営業利益は2,231百万円(前年同期比6.9%減)、経常利益は2,274百万円(前年同期比7.1%減)、当期純利益は1,547百万円(前年同期比0.7%減)となりました。
なお、当社の事業は、潤滑油の販売並びにこれらに付帯する事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,010百万円となり前事業年度末より493百万円減少いたしました。当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度末において営業活動の結果得られた資金は、1,202百万円(前年同期比623百万円の減少)となりました。これは、主に税引前当期純利益が2,274百万円及び減価償却費の計上109百万円により資金が増加した一方、売上債権の増加240百万円、特別退職金の支払額150百万円及び法人税等の支払額749百万円により資金が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、114百万円(前年同期比2百万円の増加)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出110百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、1,581百万円(前年同期比23百万円の減少)となりました。これは、主に配当金の支払い1,581百万円によるものであります。
当社は潤滑油の販売並びにこれらに付帯する事業のみの単一セグメントであり、当事業年度における商品仕入実績は次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(受注実績は販売実績とほぼ同様であります。)
当社は潤滑油の販売並びにこれらに付帯する事業のみの単一セグメントであり、当事業年度における販売実績は次のとおりであります。
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(注) 相手先別に売上割戻を集計することが困難なため、売上割戻金控除前の金額及び割合を使用しております。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、その作成に当たっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。
当社の財務諸表の作成に当たり採用した重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりであります。
また、引当金の計上や資産の評価等、当社の財務諸表の作成に当たり必要となる見積りについて、経営者は過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。
当事業年度の売上高は、自動車用潤滑油市場に新たな需要の押し上げ要因の見当たらない厳しい経営環境の中において、最新の省燃費車に向けた超低粘度オイルの導入、需要期におけるプロモーションの実施、eコマースの拡販、bpグループが提唱する2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする“カーボンニュートラル”コンセプトの訴求等を通して、当社旗艦製品である「カストロールエッジ」、さらに「カストロールマグナテック」「カルトロールトランスマックス」ブランドを中心としたエンジンオイル、トランスミッションオイル、並びにエンジン内部を手軽に洗浄できる「エンジンシャンプー」や、カーケア製品「カストロールプロシリーズ」などの関連製品の積極的な拡販により、11,091百万円(前事業年度比262百万円の増加)となりました。
売上総利益は、新型コロナウイルスの感染拡大による経済停滞への警戒感の一方、エネルギー需要の底堅さやOPECプラスの協調減産の継続を背景とした原油価格上昇等に伴う原材料・資材価格上昇により、5,795百万円(前事業年度比185百万円の減少)となりました。
販売費及び一般管理費は、3,563百万円となり、前事業年度比19百万円の減少となりました。主な要因は、組織改革後のデジタルトランスフォーメーションを含む業務効率化に伴う人件費、営業活動費の削減であり、その結果、営業利益は2,231百万円(前事業年度比166百万円の減少)となりました。
上記の要因により経常利益は2,274百万円(前事業年度比174百万円の減少)となり、また当事業年度は前事業年度に組織改革に伴う特別退職金として計上した特別損失がないことから、当期純利益は1,547百万円(前事業年度比10百万円の減少)となりました。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、売上高及び経常利益を重要な経営指標として位置付けており、上記の通りの結果となっております。
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は、12,530百万円(前事業年度末は12,854百万円)となり、324百万円減少いたしました。これは、主に売掛金(258百万円の増加)、及び短期貸付金(572百万円の減少)によるものです。(なお、貸付金の内容は、bpグループのインハウス・バンクを運営しているビーピー・インターナショナル・リミテッドに対するものであります。)
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は、1,039百万円(前事業年度末は1,002百万円)となり、36百万円増加いたしました。これは、主に前払年金費用(124百万円の増加)、繰延税金資産(59百万円の減少)及びその他(19百万円の減少)によるものです。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は、2,586百万円(前事業年度末は2,859百万円)となり、272百万円減少いたしました。これは、主に未払金(197百万円の減少)、未払法人税等(121百万円の減少)及び賞与引当金(67百万円の増加)によるものです。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は、50百万円(前事業年度末は28百万円)となり、22百万円増加いたしました。これは、主に繰延税金負債(35百万円の増加)及びその他(13百万円の減少)によるものです
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は、10,932百万円(前事業年度末は10,969百万円)となり、36百万円減少いたしました。これは、主に利益剰余金が当期純利益により1,547百万円増加し、剰余金の配当により1,584百万円減少したことによるものです。
当社における運転資金需要の内、主なものは仕入や販売費及び一般管理費等の営業費用であり、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
これらの資金需要は営業活動で生み出した自己資金で賄うこととしておりますが、必要に応じて資金調達を実施いたします。
当社は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、国内の経済情勢や市場環境、景気動向等、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社では自動車業界や国内外の経済動向、消費者動向に留意しつつ、顧客のニーズを的確に捉え最適な商品を提供してまいります。また内部管理体制の強化及び優秀な人材を確保育成することにより、様々なリスクに対し適切に対応を行ってまいります。
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