業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態および経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、度重なる緊急事態宣言の発出による消費低迷と部品や原材料の供給制約により、一進一退の状況で推移しました。足元では、活動制限の緩和を背景に経済は回復の基調にあるものの、先行きは依然不透明な状況です。世界経済においては、全体的には経済活動が正常化に向けて進みつつあった状況の中で、ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻により状況は再び混迷を深め、原油等の大幅な価格高騰が製造業の収益を圧迫する要因となっております。

このような状況のもと、当連結会計年度の財政状態および経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて1,301百万円増加し、29,008百万円となりました。これは主に、たな卸資産の増加等により流動資産が1,303百万円、出資金の増加等により投資その他の資産が372百万円それぞれ増加した一方で、有形および無形固定資産が374百万円減少したことによるものです。

負債は、前連結会計年度末に比べて1,088百万円減少し、8,457百万円となりました。これは主に、短期借入金が1,984百万円、長期借入金が425百万円それぞれ減少した一方で、支払手形及び買掛金が333百万円、未払法人税等が318百万円それぞれ増加したこと等によるものです。

純資産は、前連結会計年度末に比べて2,389百万円増加し、20,551百万円となりました。これは主に、利益剰余金が1,386百万円、為替換算調整勘定が622百万円それぞれ増加したこと等によるものです。

 

b.経営成績

当連結会計年度の売上高は、各国での自動車生産台数の回復や製品販売価格の上昇等により、27,300百万円(前期比11.5%増)となりました。増収による売上総利益の増加および販管費の抑制により、営業利益は1,434百万円(前期比70.3%増)となりました。さらには為替が差益に転じたこともあり、経常利益は2,011百万円(前期比95.3%増)となりました。また、賃貸用不動産の売却益を特別利益に計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は1,808百万円(前期比249.1%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

日本

(特殊潤滑油)

半導体の部品供給不足等の供給制約が足かせとなり、国内自動車生産台数は8月以降に鈍化し、通年では前期を下回りましたが、顧客における在庫積み増しの影響等により、潤滑油製品全般で売上は増加しました。その中でも、顧客での生産性向上と環境負荷軽減に資する少量塗布型ダイカスト離型剤や新規拡販に注力している切削油剤の売上が順調に推移しました。

(合成潤滑油)

国内での需要回復と旺盛な中国需要を背景に、グリース基油用途での高温用潤滑油が増収となりました。一方、ハードディスク表面潤滑剤については、中期的にはデータセンター用途でのHDD(ハードディスクドライブ)需要の増加が見込まれるものの、足元ではパーソナルコンピュータ分野でのSSD(ソリッドステートドライブ)への置換の影響を受け減収となりました。

(素材)

流動パラフィンは、ポリスチレン可塑剤および化粧品用途が増収となった一方で、採算性を踏まえて一部取引の見直しを行ったことにより減収となりました。スルホネートは、金属加工油添加剤用途での出荷の回復により増収となりました。

(ホットメルト接着剤)

フィルター用途が増収となった一方で、主力の衛生材用途が前期比微減で推移したことにより、ホットメルト接着剤の売上は前期並みの実績となりました。

(エネルギーデバイス材料)

有機EL用封止材の輸出とガス・水蒸気透過度測定装置の販売および受託分析が好調に推移したことにより増収となりました。

 

以上の結果、当セグメントの売上高は19,790百万円(前期比8.5%増)となり、セグメント利益は805百万円(前期比83.9%増)となりました。

 

中国

自動車生産台数は一昨年の実績並みの水準にまで回復した状況の中、潤滑油製品全般で売上は増加しました。その中でも、注力製品である少量塗布型ダイカスト離型剤、切削油剤、熱間鍛造潤滑剤は前期比大幅増収となりました。一方、ホットメルト接着剤は、フィルター用途で前期好調の反動減となったことや粘着用途での減収等により売上は前期を下回りました。

この結果、当セグメントの売上高は4,008百万円(前期比21.1%増)となり、セグメント利益は432百万円(前期比23.4%増)となりました。

東南/南アジア

他の地域に比べ経済回復に遅れがみられた当地域についても自動車生産台数が増加したことにより、ダイカスト用油剤等特殊潤滑油は増収となりました。また、インド子会社では、衛生材メーカーへホットメルト接着剤の本格納入を開始しております。

この結果、当セグメントの売上高は4,770百万円(前期比28.3%増)となり、セグメント利益は86百万円(前期は6百万円のセグメント利益)となりました。

 

北米

他の地域と同様に自動車生産台数が増加したことによりダイカスト用油剤等特殊潤滑油は増収となりました。注力製品である少量塗布型ダイカスト離型剤の拡販も順調に推移しました。

この結果、当セグメントの売上高は813百万円(前期比27.3%増)となり、セグメント利益は107百万円(前期比151.5%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて21百万円減少し、3,654百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

営業活動によるキャッシュ・フローは2,333百万円の収入(前期は2,088百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益等によるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは603百万円の収入(前期は660百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入等によるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは2,937百万円の支出(前期は1,019百万円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の減少および長期借入金の返済による支出等によるものです。

 

③ 生産、受注および販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

前年同期比(%)

日 本(百万円)

16,903

110.0

中 国(百万円)

3,047

108.7

東南/南アジア(百万円)

5,780

130.9

北 米(百万円)

221

127.0

合計(百万円)

25,951

114.0

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

当社グループの化学品事業は、主として見込み生産を行っているため、受注実績は記載しておりません。

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

前年同期比(%)

日 本(百万円)

19,790

108.5%

中 国(百万円)

4,008

121.1%

東南/南アジア(百万円)

4,770

128.3%

北 米(百万円)

813

127.3%

調整額(百万円)

△2,081

合計(百万円)

27,300

111.5%

(注)1.調整額は、セグメント間の内部売上高または振替高の消去金額であります。

2.前連結会計年度および当連結会計年度における主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年3月1日

至 2021年2月28日)

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

松村石油株式会社

4,139

16.9

4,354

15.9

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度における経営成績につきましては、売上高は27,300百万円(前期比11.5%増)となりました。各国での自動車生産台数の回復等による特殊潤滑油、高温用潤滑油の増収、インド市場でのホットメルト接着剤の本格販売開始、製品販売価格の上昇等がその主な理由です。利益面については、増収による売上総利益の増加および販管費の抑制により、営業利益は1,434百万円(前期比70.3%増)となりました。さらには為替が差益に転じたこともあり、経常利益は2,011百万円(前期比95.3%増)となりました。また、賃貸用不動産の売却益を特別利益に計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は1,808百万円(前期比249.1%増)となりました。

財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態および経営成績の状況 a.財政状態」に記載のとおりです。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源および資金の流動性に係る情報

当連結会計年度においては、営業活動で得られた収入および賃貸用不動産の売却により得られた収入を主な財源として、有形固定資産の取得による支出および短期借入金の返済等の財務活動への支出を行いました。詳細は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

当社グループの資本の財源および資金の流動性については、必要資金は自己資金のほか金融機関からの借入等で確保しております。自己資金に関しては、営業活動によるキャッシュ・フローにより、継続的、安定的な資金の獲得を行っておりますことに加え、グループ各社の資金集約化により、資金の効率的な運用に努めております。また、金融機関からの借入に関しては、主要取引金融機関と当座貸越契約を締結し、資金の流動性を確保しております。

 

③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)に記載しております。

 

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当連結会計年度は第9次中期経営計画(2021年度~2023年度)の1年目でありました。当連結会計年度の目標数値の達成状況は次のとおりであります。

 

目標

実績

達成率(%)

売上高(百万円)

25,830

27,300

105.7

営業利益(百万円)

1,170

1,434

122.6

経常利益(百万円)

1,470

2,011

136.8

親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)

1,200

1,808

150.7

経常利益率(%)

5.7

7.4

また、2022年度から2023年度の目標数値は「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであり、その達成のための対処すべき課題は「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営環境、経営戦略および優先的に対処すべき事業上および財務上の課題」に記載のとおりであります。

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