文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、経営理念である「ユーザーのための研究開発」をモットーに、境界領域(モノとモノとの接点における摩擦や磨耗など)におけるニーズに応えることによって、社会に貢献できる企業を目指してまいりました。現中期経営計画(2021~2023年度)においては、次の5項目を中期経営方針に掲げております。
① 当社グループの経営資源を最大限活用し、持続可能社会の実現に貢献する。
② 営業と開発の強みを相互に活かし、事業の付加価値向上と新事業分野へのチャレンジを加速する。
③ 継続的な技術革新によりものづくりの競争力を強化し、製造原価の低減と品質の向上を図る。
④ 管理部門の抜本的な改革により業務効率の改善を図り、MORESCO流働き方改革を推進する。
⑤ コンプライアンス・リスクに対して高い意識をもち、ステークホルダーの信頼を高める。
(2) 経営環境、経営戦略および優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
我が国経済は、2021年に収まりを見せた新型コロナウイルス感染者数が2022年の年初から再び増加傾向に転じ、感染収束による経済活動の回復は楽観できない状況となっています。世界経済についても、ロシアによるウクライナ侵攻の影響を受け、1バレル80ドル程度であった原油価格が3月には一時的ながら130ドルまで高騰する等、地政学的リスクが経済にも影響を及ぼし、政治・経済の不透明さが顕著になっています。
このような情勢の中、世界が持続可能社会の実現に向けて大きく舵を切りつつあり、当社としてもサステナビリティ経営の推進、さらには事業構造変革への取り組みを進めています。サステナビリティ課題を検討するにあたり「MORESCOグループサステナビリティ基本方針」を制定、当社グループが大切にするべき価値と目指す目標を公表いたしました。同時に、これらの取り組みを実現する上での目的や考え方を明確にするため、今般、以下のとおり、新経営ビジョンを制定いたしました。
地球にやさしいオンリーワンを世界に届けるMORESCOグループ
未来のために もっと化学 もっと輝く
本経営ビジョンとサステナビリティ基本方針のもと、「持続可能社会の実現」と「中長期的な企業価値の向上」の両立を達成するべく活動してまいります。具体的には、気候変動リスクへの対応策として脱炭素への取り組みを進めるほか、新製品の開発等、地球環境への貢献につながる活動に注力いたします。また、環境関連分野、エネルギーデバイス分野に加え、ライフサイエンス分野等、今後の成長が期待できる新事業分野への取り組みも促進します。
環境関連分野では、サーキュラーエコノミー(循環型経済)推進の一環として、リアルタイムモニターを活用した切削油および作動油の即時分析による設備トラブルの低減・製品寿命の延長に貢献しています。また、バイオマスマーク商品として認定された植物由来樹脂配合のホットメルト接着剤、環境負荷低減に寄与する低VOC型ホットメルト接着剤等の開発により持続可能社会の実現に貢献しています。
エネルギーデバイス分野では、複数のサンプル測定に適したマルチチャンバータイプのガス・水蒸気透過度測定装置を新たに開発、今後、水素透過度測定へも展開し、水素社会実現に向けた研究開発への貢献を目指していきます。
ライフサイエンス分野では、当社の強みである有機合成技術を生かし、産学連携によって創薬研究を推進するとともに、機能成分の吸収効率を高めるナノエマルジョン技術の応用により、化粧品分野、医薬品分野へのビジネス展開を図ってまいります。
また、技術革新による生産効率向上、原価低減および品質向上に取り組むとともに、デジタル化、IoT化を推進し、間接部門の効率化による働き方改革を実現していきます。
原材料の高騰に対しては販売価格の是正を進めていき、収益への影響を最小限に留める努力を図ってまいりますが、ウクライナ問題の長期化により原油価格の動向はより不透明感が深まっており、製品値上げとともに、材料代替やサプライチェーンの強化等、収益への影響軽減に一層の注力が必要と認識しております。
このような一連の取り組みを通して、当社グループのグローバルな競争力を強化し、企業価値の向上に努めてまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
第9次中期経営計画(2021年度~2023年度)においては、目標を下記のとおり定めております。
|
2021年度 (実績) |
2022年度 (計画) |
2023年度 (計画) |
売上高(百万円) |
27,300 |
30,500 |
32,500 |
営業利益(百万円) |
1,434 |
1,850 |
2,300 |
経常利益(百万円) |
2,011 |
2,200 |
2,650 |
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) |
1,808 |
1,300 |
1,650 |
経常利益率(%) |
7.4% |
7.2% |
8.2% |
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