業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①経営成績の状況

当事業年度における我が国の景気動向は、持ち直しの動きが続いているものの、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい状況が残る中で、一部に弱さが見られております。当社の顧客が属する不動産業界におきましては、金融緩和政策の継続による不動産価格の高止まりや感染拡大防止のためのテレワークの推進に伴う新たな住宅需要の創出等を背景として、住宅建設はおおむね横ばいとなっております。

当社が事業展開している三大都市圏においては新築マンションの平均価格が年々上昇を続けており、新築マンション業界においては底堅い推移となっております。このような事業環境の下、不動産情報提供サービスを行う当社はサービスの拡大を積極的に推進しております。成長事業と位置付けている不動産仲介事業者向けのサービスであるデータダウンロードサービスにおいて、2021年3月に利用促進のための専門部署を設置するなどして営業体制を強化するとともに、前期にリリースしたSaaS型マンションサマリのリプレイス営業による収益増加を図って参りました。

この結果、当事業年度の売上高は1,372,800千円(前事業年度比9.4%増)、営業利益は203,425千円(同222.5%増)、経常利益は194,022千円(同210.4%増)及び当期純利益は131,068千円(同199.7%増)となりました。

なお、当社は不動産マーケティングソリューション事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載は省略しております。

 

②財政状態の状況

(資産)

当事業年度末の流動資産は845,595千円となり、前事業年度末に比べ402,293千円増加しました。これは主に新株式の発行により現金及び預金が397,028千円増加したこと及び売上高の伸長に伴い売掛金が15,138千円増加したものの、未収入金が11,407千円減少したこと等によるものです。
 当事業年度末の固定資産は194,400千円となり、前事業年度末に比べ30,171千円増加しております。これは主に経営セーフティ共済の解約により保険積立金が8,000千円減少した一方、ソフトウエアが47,045千円及びソフトウエア仮勘定が346千円それぞれ増加したこと等によるものです。ソフトウエア及びソフトウエア仮勘定の増加は、前事業年度に引き続きマンションサマリをSaaS型サービスへ移行するためのシステム開発を進めたことによるものであります。
 以上の結果、当事業年度末の資産合計は1,039,995千円となり、前事業年度末に比べ432,465千円増加しました。 

 

(負債)

当事業年度末の流動負債は306,267千円となり、前事業年度末に比べ12,802千円増加しました。これは主に1年内返済予定の長期借入金が55,796千円及び未払費用が20,130千円減少した一方、未払法人税等が34,307千円、短期借入金が25,100千円及び未払消費税が20,680千円増加したこと等によるものです。

当事業年度末の固定負債は28,485千円となり、前事業年度末に比べ102,861千円減少しました。これは主に長期借入金の返済により101,234千円減少したこと等によるものです。

以上の結果、負債合計は334,752千円となり、前事業年度末に比べ90,059千円の減少となりました。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産は705,242千円となり、前事業年度末に比べ522,524千円増加いたしました。これは、新株式の発行による資本金及び資本準備金の増加391,414千円及び当期純利益の計上による利益剰余金の増加131,068千円等によるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ406,632千円増加し、当事業年度末には631,377千円となりました。

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は221,788千円(前事業年度は97,976千円の獲得)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が194,022千円、減価償却費が30,453千円ありましたが、売上高の伸長に伴う売上債権の増加額が15,138千円あったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は63,351千円(前事業年度は59,934千円の使用)となりました。当事業年度においては、前事業年度に引き続きサマリネットのSaaS型サービスへのリプレイスのためのシステム開発投資に資金を使用いたしました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得した資金は248,194千円(前事業年度は39,178千円の使用)となりました。これは主に当社株式のマザーズ市場への上場に伴う増資による収入391,414千円があった一方、長期借入金の返済による支出157,030千円があったこと等によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

当事業年度における販売実績は次のとおりであります。なお、当社は不動産マーケティングソリューション事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載を行っておりません。

セグメントの名称

第31期事業年度

(自 2021年3月1日

2022年2月28日

前年

同期比
(%)

不動産マーケティングソリューション事業(千円)

1,372,800

+9.4

合計(千円)

1,372,800

+9.4

 

 (注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため、記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

①重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成に当たり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 当社の財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 当社の財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

なお、新型コロナウイルス感染症に関する仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

 当社は、繰延税金資産について、将来の事業計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更により、将来の課税所得が減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。

 

(固定資産の減損)

 当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産について、当該資産から得られる将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定は慎重に検討しておりますが、将来の事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定の変更により、回収可能価額が減少した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.  財政状態の分析

「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

b.  経営成績の分析

(売上高)

当事業年度における売上高は、1,372,800千円(前事業年度比9.4%増)となりました。事業別にはプラットフォーム事業884,717千円、デジタルマーケティング事業343,019千円及びその他145,063千円でありました。

プラットフォーム事業においては、コロナ禍におけるテレワーク需要を捉えたクライアントサーバ型システムからSaaS型システムへのリプレイスが順調に進んだほか、データダウンロードサービスも増収となったことを受けて、前事業年度比8.8%増の売上増加となりました。新築マンション領域においては、リプレイスに伴う解約が発生したことを受け当事業年度の解約率は0.7%となり僅かに増加したものの、一時的なものと認識しております。中古マンション領域におけるデータダウンロードサービスの増収要因は、大手仲介事業者の大型受注があったこと及び顧客数、顧客単価ともに順調に増加したことによるものです。

デジタルマーケティング事業では、既存顧客の深耕により受注件数が増加したこと及び広告運用の内製化により粗利率が改善した結果、前事業年度比10.3%増の売上高増加となりました。

その他事業は、前事業年度比10.9%増となりましたが、その主な要因はシステム開発事業において順調に受注があったことによるものです。

 

(売上原価、売上総利益)

当事業年度における売上原価は、売上が順調に増加したことに伴い、658,008千円(前事業年度比14.9%増)となりました。

この結果、売上総利益は714,792千円(前事業年度比4.8%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当事業年度における販売費及び一般管理費は、511,366千円(前事業年度比17.4%減)となりました。主な要因は、上場準備にかかる業務委託手数料等が43,886千円減少したこと及び本社移転に伴い地代家賃が20,317千円、減価償却費が16,451千円それぞれ減少したことによるものであります。

この結果、営業利益は203,425千円(前事業年度比222.5%増)となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

当事業年度における営業外収益は、8,683千円(前事業年度比44.3%減)、営業外費用は18,087千円(前事業年度比11.8%増)となりました。営業外収益の主な内訳は、助成金収入6,871千円であります。営業外費用の主な内訳は、上場関連費用15,705千円であります。

この結果、経常利益は194,022千円(前事業年度比210.4%増)となりました。

 

(特別損益、当期純利益)

当事業年度における法人税等(法人税等調整額を含む)は62,953千円となりました。

この結果、当事業年度の当期純利益は131,068千円(前事業年度比199.7%増)となりました。

 

目標とする経営指標等の達成状況について

当社は、全社的に重視する指標として売上高及び営業利益を設定しております。

また、サービス毎には、主に新築マンション事業者向けに提供している月額課金制サービス(サマリネット及びリアナビ)における平均顧客単価(サマリネット)、平均顧客数(サマリネット)、ARR(サマリネット・リアナビ)及び解約率(サマリネット・リアナビ)を、不動産仲介事業者(中古領域)向けのデータダウンロードサービスにおいては平均顧客単価及び平均顧客数を事業運営上重視する経営指標としております。

 

それぞれの指標の推移は下表のとおりであります。

 

 

 

第30期事業年度

(自 2020年3月1日

2021年2月28日

第31期事業年度

(自 2021年3月1日

2022年2月28日

売上高

(千円)

1,254,860

1,372,800

営業利益

(千円)

63,083

203,425

サマリネット・リアナビ

平均顧客単価

(千円)

179

203

平均顧客数

(社)

277

267

ARR

(千円)

621,081

670,814

解約率

(%)

0.1

0.7

データダウン

ロードサービス

平均顧客単価

(円)

4,044

4,468

平均顧客数

(社)

1,506

1,947

 

 

サマリネット・リアナビについては平均顧客数が減少し解約率が上昇しておりますが、これは第31期事業年度において本格化しているSaaS型サービスへのリプレイスにより一部サービスの解約が生じたことによるものです。その一方で、リプレイスにより平均顧客単価が上昇しており、ARRは順調に増加しております。顧客におけるテレワーク等のニーズの高まりを背景として、SaaS型サービスが顧客に一定の評価を受けているものと考えております。

データダウンロードサービスについては、大手仲介事業者のサービス利用開始に伴い平均顧客単価及び平均顧客数とも着実な増加を辿っております。しかしながら、大手仲介事業者等の一部の顧客に利用が偏っている状況も確認できており、今後の成長のためにはサービスの利用促進に向けた顧客への働きかけの強化に加えて新規サービスの提供を継続していく必要があると認識しております。

 

④キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社の資本の財源及び資金の流動性については、資金の手許流動性や財務健全性を考慮したうえで、原則として自己資金を財源とする方針に基づき事業運営、設備投資を実施しております。なお、当事業年度におけるキャッシュ・フローに関して重要な資本的支出はありませんが、引き続き上記方針に基づき実施してまいります。

 

⑤資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社の財政状態及び経営成績の分析については、前記「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」及び「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

⑥経営成績に重要な影響を与える要因について

当社の経営成績に重要な影響を与える要因としては、新規住宅及び既存住宅の流通動向や不動産会社の販売促進動向があります。また、「2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業内容や外部環境、事業体制等、様々なリスク要因が当社の経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 

⑦経営者の問題意識と今後の方針

当社が今後更なる成長を遂げるために、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載している課題に対処することが重要であると認識しております。そのため、当社の経営成績等に重要な影響を与える要因に対応すべく、当社では新規住宅及び既存住宅を含めた不動産全体の流通市場の動向を鑑みて、顧客のニーズに合わせたサービスを開発・提供していく方針であります。

 

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