課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社は、「データから、新たな価値を。」を経営理念とし、「機械学習(ディープラーニング含む)を用いて、ワンストップでアナリティクス・AIの開発・導入・活用・運用サービスを提供すること」、「AIベンダーでもビジネスコンサルでもない『アナリティクスを活用したビジネス価値創造企業』として、事業パートナーとの協業のもと先進的なアナリティクス・サービスを確立させ、その実績やノウハウを用いて、外部顧客に最適な形のアナリティクス・AIサービスを提供すること」を事業展開方針としております。

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、安定的な成長を図るため、成長性、収益性及び効率性を重視した経営が必要と認識しております。このため当社では、売上高、営業利益、従業員数を重要な指標と位置づけて各種経営課題に取り組んでおります。

 

(3) 経営環境及び戦略

① 全社戦略

当社は、アナリティクスコンサルティング事業を源泉とし、事業パートナーとのシナジーを生み出し、AIプロダクト事業の拡大を図ります。ビジネスコンサルティング、AIベンダーそれぞれの専業企業は多数存在していますが、当社はその双方の両立を目指す立ち位置で、アナリティクス・AI技術の開発とその技術を活用したビジネス価値の創出を追求し、社会や企業の課題解決をすることを基本戦略としています。これら専業企業と当社の立ち位置について、イメージ図で表すと以下のとおりです。

 


 

当社は、上記基本戦略のもとでアカデミアとの密な連携により、知見となるプロジェクトライブラリの獲得を図り、それらをいち早く実用化し、ビジネス化を実現することでテクノロジーアドバンテージ確保の構造確立に取り組んでいます。この取り組みによって、アカデミア領域からの先進技術の基礎研究、データサイエンス人材の育成、社会実装のための知見を得るとともに、ビジネス領域からのデータ分析コンサルティング、機械学習モデルの構築支援、AIシステムの導入、AIプロダクトの開発・展開の実現を図っています。

(基礎研究から社会実装までの各Phaseでの取り組み)

基礎研究・技術開発 Phase

   大学・研究機関との共同研究

   技術顧問からの先進技術/知見の共有

実用化・検証 Phase

   新アルゴリズム/技術を用いた実証実験

   技術顧問らもアドバイザリや協議会メンバとして参画

ビジネス化 Phase

   実際のビジネスシーンで新技術を用いた課題解決(アナリティクスコンサルティング)

   技術顧問を交えたレビュー会

汎用化・拡販 Phase

   実践に裏付けられた技術を汎用化して拡販(新AIプロダクト)

プロジェクトライブラリ

・ 当社で蓄積しているデータ解析のためのプログラム群やテンプレート

 

 

② 今後の事業戦略
(a) AIプロダクト事業

付加価値の最大化を追求し、ストック売上の強化を推進していきます。特に、個社別のカスタマイズのニーズが少ない中小企業をターゲットに、SaaS型プロダクトの販売拡大に注力していきます。

セールスの強化策としては、BI(ビジネスインテリジェンス)やCDP(カスタマーデータプラットフォーム)、マーケティング、HR(Human Resources)、セールス系のSaaS、クラウドサービス事業者と連携し、セット売りを促進していきます。また、協業会社との営業協力により、販売の拡大を推進していきます。さらに、PoC支援が実施可能な営業メンバーを育成していくことで、開発メンバーがPoCに割かれる時間を軽減し、より開発に注力できるようにします。

マーケティングの強化策としては、SEO対策のほか、オンラインセミナーを開催することでプロダクトの認知度及び導入向上を図ります。オンラインセミナーの集客のために、広告宣伝費を使用します。また、モデル数の制限やデータ容量の制限など一定の条件を満たすまでは無料で使用できる「フリーミアムシステム」を導入することで、よりハードルが低く製品に慣れ親しめるようにいたします。

プロダクトの強化策としては、モデル提供プラットフォームとして画像解析・言語解析等の機能を拡充していきます。また、特定の領域の業務に関するサービスに特化したプロダクト開発を行います。

 

(b) アナリティクスコンサルティング事業

アナリティクスコンサルティング事業においても、ストック売上に該当する解析モデルの利用ライセンス収入の拡大を推進いたします。カスタマイズのニーズが高い大企業を主なターゲットとして取組んでいきます。

現在主力である金融業界向けのテーブルデータ解析を起点に、画像・動画・映像や言語など解析範囲の拡大を推進していきます。より高いニーズに対応する高価格製品によるアップセルを図り、分析全般の非構造化データへと支援範囲を拡大します。同時に、金融業界や流通・製造など非金融業界において培われた技術、ノウハウを、相互に横展開することでクロスセルを促進し、サービス提供領域の全方位的な拡大を図っていきます。

 


 

 

(c) アナリティクスコンサルティング事業からAIプロダクト事業へ

当社の事業構造はアナリティクスコンサルティング事業、AIプロダクト事業ともに導入フェーズではコンサルティングやモデルの構築・導入、システムの構築・導入などのフロー売上が生じ、運用フェーズに入ると継続的な保守や運用などのストック売上に移行します。この流れはアナリティクスコンサルティング事業とAIプロダクト事業の間でも存在し、アナリティクスコンサルティング事業で作成したモデルを高速で安定したシステムで運用したいというニーズにより、アナリティクスコンサルティング事業の案件からAIプロダクト事業の案件に発展することが多々あります。このようにそれぞれの事業のフロー売上からストック売上へ、という流れのみならずアナリティクスコンサルティング事業からAIプロダクト事業へという流れを強化し、ストック売上の向上を目指します。

 

(用語の説明)

用語

説明

BI(ビジネスインテリジェンス)

一般にデータの可視化に優れ、データ分析やデータマイニングを行うことで意思決定を支援すること、またはその為のツールやサービスを指す

CDP(カスタマーデータプラットフォーム)

顧客データの統合データベース。マーケティング分析を支援し、CRMやMAと連携することで、分析結果をマーケティングに活用する

HR(ヒューマンリソース)

人材、または採用や育成など人材管理に係る業務の総称

CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)

顧客を管理するためのシステム

MA(マーケティングオートメーション)

顧客の管理から、主にデジタルチャネルを通じたマーケティング活動を自動化するためのツールやサービス

PoC(プルーフオブコンセプト)

概念実証。新たな技術やコンセプトが実現可能か、効果があるか簡易なモデルを作って検証すること

SEO(サーチエンジンオプティマイゼーション)

検索エンジン最適化のことで、特定のウェブサイトを検索エンジンの特性に合わせて上位に表示させる手法

フリーミアム

フリーとプレミアムを合成した造語。特定の製品の限定された機能を無料で一般に利用してもらうことで認知と利用を促進し、より高機能なプレミアムプランを有料にすることで収益化を図るビジネスモデル

アップセル

顧客が購入した製品と関連のある、より高機能な製品または高価格の製品の購入を促す施策

クロスセル

顧客が購入しようとする製品と関連のある製品を購入するように促す施策

 

 

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① データサイエンティスト及びAIエンジニアの確保・強化

安定的かつ継続的な事業拡大を図るためには、アナリティクスコンサルティング案件数やAIプロダクト利用顧客数が増加した場合においても、高い収益率の維持及び質の高いサービスを提供し続けることが重要であり、特に優秀なデータサイエンティスト及びAIエンジニアの確保・強化が重要であると認識しております。

積極的なセミナー等参加による知名度の向上、インターンや紹介制度の導入・促進、優秀な人材が報われる給与・賞与制度、社内教育制度の充実、「ウィズコロナ/アフターコロナ」を見据えたテレワークの推進等、従業員にとって魅力ある就業環境を整備し、同業他社の中から当社を選択して貰えるよう、重点的に取り組んでまいります。

 

② 事業パートナーとの提携戦略の強化

当社の技術力強化と顧客基盤の拡大には事業パートナーとの協業が不可欠です。協業により磨かれた技術を事業パートナーのビジネス拡大に活用し、共に成長できるような関係構築に努めてまいります。

 

③ ストックビジネスの強化

当社が持続的な事業成長をするためには、収益の基盤となるストックビジネスを強化することが重要であると認識しております。

AIプロダクトの営業体制を強化することにより、顧客のニーズを素早く取り入れ、AIプロダクトの機能強化・品質向上を行い、既存顧客の維持と新規顧客の獲得に取り組んでまいります。

 

④ システムの安定性の確保

当社はインターネット上でクライアントにサービスを提供することが多く、システムの安定稼働は必須となっております。そのための設備投資やBCPの継続的な見直しなど、今後も引き続きシステムの安定性確保に向けて取り組んでまいります。

 

⑤ 情報管理体制の強化

当社はサービスの提供過程において、機密情報や個人情報を取り扱う可能性があり、その情報管理を強化していくことが重要であると考えております。現在、ISMS及び各種関連規程等に基づき管理を徹底しておりますが、今後も社内教育・研修の実施やシステムの整備などを継続して行ってまいります。

 

⑥ 内部管理体制の強化

当社は成長段階にあり、事業の拡大・成長に応じた業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。

バックオフィス業務の整備を推進し、経営の公正性・透明性の確保のためにコーポレート・ガバナンスを強化し、適切な内部統制システムの構築に取り組んでまいります。

 

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