課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社は、Mission(企業理念)として「優れたテクノロジーを、親しみやすく」を掲げ、またVision(目指す姿)として「社会のデジタル変革をリードするNo.1クラウドインテグレーター」を掲げているほか、5つのValue(行動指針)を定めております。


Mission(企業理念)

「優れたテクノロジーを、親しみやすく」

世の中は技術革新によって目まぐるしい進歩を続けます。

企業・社会が持続的な成長を為すには、先進技術をいち早く取り入れる必要がある一方、

正しい使い方を見極めて徹底活用しなければ望んだ成果は得られません。

 

私たちJBS(当社、「日本ビジネスシステムズ㈱」を指します)は、お客さまに寄り添い、お客さまにとって必要な技術を最適な形で届け続けることで、

技術革新がもたらす企業・社会の持続的成長に貢献してまいります。
 

Vision(目指す姿)

「社会のデジタル変革をリードするNo.1クラウドインテグレーター」

働き方の変化やダイバーシティ等の加速により、世界中の社会・経済の在り方が大きく変わろうとしています。

すべてのプレイヤーが社会課題の解決に必要なビジネスモデルの確立や構造改革に取り組むべき時代です。

このチャレンジをスピーディに遂行するためには、お客さま自身がテクノロジーを理解し、自らデジタル変革

を起こしていく必要があります。

 

私たちJBSはクラウド活用のプロフェッショナル集団です。

お客さま自身のクラウド活用力を高めデジタル変革を起こす体制・仕組み作りに貢献できる存在として、一番にお声がけいただけるパートナーを目指してまいります。

 

Value(行動指針)

Customer First「お客さまの期待を超える」

お客さまの視点に立ち、主体性を持ってスピーディに行動することで、

お客さまの成功につながる最良の解決策を提供します。

Diversity & Inclusion「一人ひとりの個性を大切に」

お客さま、ビジネスパートナー、社員・家族など、関わるすべての人々の個性を尊重します。

Integrity「誠実かつ、ひたむきに」

信頼関係を築くことを大切にし、あらゆる活動に真摯に向き合います。

Passion for Technology「情熱を持ってテクノロジーを追求」

テクノロジーに触れたときの感動を忘れずに、 無限の可能性を追い続けます。

Commitment to Growth「挑戦と成長」

常に挑戦し、学び、成長し続けます。

 

(2)経営戦略

  企業のDXシフトを背景に、クラウド需要が引き続き堅調に拡大していく中、当社は引き続きマイクロソフトクラウドを中核に足元の成長スピードを維持しながら、クラウド領域における付加価値化を図っていきます。

クラウドインテグレーション事業においては需要の増えているクラウドセキュリティやアプリケーション開発領域での収益力強化、クラウドサービス事業においては常駐型の保守運用からマネージドサービスへの転換を進めてまいります。また、ライセンス&プロダクツ事業においてはAzure Expert MSP認定の維持によるマイクロソフトライセンスの仕入れ額の改善やソリューションに紐づく物販促進により利益改善を図ります。

 

   ① ID×APRUによるクラウド促進を継続

当社は、M365のID数を増加させるとともに、顧客一人当たりの単価であるクラウドARPU(Average Revenue Per User)の拡大が、基本戦略となっております。

ID数の増加においては、企業のクラウド導入の入り口となるM365ライセンス契約をエンタープライズ中心にさらにシェアを高めていきます。

ARPU拡大においては、クラウド導入の入り口であるモダンワークプレイスの領域で、堅調に拡大するM365需要を獲得し、その後、クラウドセキュリティやM365と繋がる各種システムデータの連携により、オフィスワーク環境のData&AI領域へと広げていく方針です。また、当社の独自ソリューションブランドであるJBS Cloud Suiteにより、クラウドインフラにおけるAzureへのLift&Shift(注)需要への対応、内製化支援とアプリケーション開発に必要なインフラ構築といった、クラウドの導入計画から保守運用までをワンストップでの支援が実現でき、導入、運用保守、さらなる導入といったサイクルを連動させ、ARPUを拡大していきます。

 

(注)Lift&Shiftとは、既存のオンプレミスシステムをそのままクラウド環境へ持ち込み(Lift)、その後、クラウドへ持ち込んだ業務システムを徐々にクラウド環境に最適化していく(Shift)という2つのステップを踏むことで、移行にかかる手間を最小限に抑えることができるクラウド移行の手法をいいます。

 

   ② 人材獲得・育成強化(人的資本経営)

  当社は新卒採用を中心に据えた人材獲得及び人員拡大を図っております。新卒採用については、今後も継続的に年間200名程度の採用を継続する一方で、中途採用については、現在の年間70~80名程度の採用数から今後は100名程度まで採用数を拡大させていく方針です。新卒採用・中途採用ともに、上場企業としての信頼感を背景として採用力を強化し、今後は首都圏だけでなく、首都圏外からの採用にも注力していきます。

技術力の強化については、当社エンジニアで最も多い母集団であるM365技術集団に、顧客ニーズの高い領域(セキュリティ、上流設計、アプリケーション開発等)のケイパビリティを養っていきます。また、Data&AI等の技術者の獲得競争が厳しい領域においては、パートナー連携を積極的に行う中で、パートナー企業との技術連携を担うブリッジエンジニアの育成につなげていきます。当社ではクラウド時代に合った再教育を進めており、エンジニアのスキルポートフォリオを可視化、分析を行い、分析に基づいた戦略的な育成に取り組みます。

合わせて、ダイバーシティの強化については、特に女性管理職の登用に関して、今後、具体的な計画を策定していく中で、目標を設定し、取り組んでいく方針です。

 また、上流設計やData&AIといった領域については、積極的にアライアンスを通じてエンジニアの確保を進めていきます。社内の人材強化・仕組み構築においても自前にこだわらず、パートナー連携等を通じて、最も優れた技術や仕組みを取り入れることで、顧客への価値転換を最優先に取り組んでいきます。

上記の施策による、地域での事業拡大や社員増加を見越して、社宅の整備など働きやすい職場環境作りにも取り組んでおります。最新の設備や環境への配慮だけでなく、当社オフィスの特徴であるLucys Cafe & DININGのような顧客や社員同士が自然と集まりコラボレーションできる施設を設けていくことで、ハイブリッドワーク時代における新しい働き方を体験する環境づくりを率先して整備しております。

 

   ③ 標準化×内製化支援

世の中のシステム環境はクラウドによって変革期を迎えております。今日では、標準的な機能は自社で作るより、世界中のベストプラクティスを集約して日夜アップデートされるクラウドサービスをできる限りそのまま活用する方が最適な状況となってきております。当社は、それらの優れたテクノロジーを顧客向けに最適、かつ親しみやすい方法論・パッケージで届けています。当社の JBS Cloud Suite を通じて、顧客自身にベストプラクティスをベースとした方法論を理解してもらうことで、顧客自身がクラウドを最適に使うことができ、スピード感を持った導入と導入効果において価値を認めてもらえるよう取り組んでいきます。

 

   ④ 資本業務提携企業とのグループシナジーの創出

当社は㈱三菱総合研究所及びその子会社である三菱総研DCS㈱から20%の出資を受けております。三菱総研グループ(㈱三菱総合研究所、その子会社及び関連会社を指します)内においてはマイクロソフト社のクラウド製品の実装に関わる案件での協業強化を模索しており、特に公共分野でのAzure採択の可能性において、同社グループと共同での顧客開拓を図っていきます。また、同グループが金融機関等との取引で培ったData&AIの知見などを活かした共同提案の強化を図っていきます。

また、当社が20%出資している日本テレビ放送網㈱のIT戦略子会社である㈱日テレWandsに関しても戦略的提携を深めていきます。同社を通じて、インフラ領域でのクラウド内製化支援に加え、アプリケーション領域での新たなクラウドアプリケーション及びプラットフォーム事業の開発支援を行っていきます。本協業を強化していくとともに、メディア業界への更なる事業拡大を目指していきます。

 

⑤ 新事業へのチャレンジ

既存ビジネスにとらわれることなく、新たな事業の創出による更なる成長を図ってまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 

2023年9月期計画

2024年9月期計画

2025年9月期計画

売上高

990億円

1,090億円

1,200億円

営業利益

48億円

65億円

85億円

  また、上記を達成するために、M365のID数、ARPU、ビジネスパートナー活用比率の向上を関連指標として設定し、達成状況を確認していく予定です。

 

(4)経営環境

新型コロナウイルス感染症の影響で企業のクラウドシフトや働き方改革が加速する中、顧客においてはクラウドサービスへのノウハウ獲得やITベンダーに依存したシステム設計・開発の見直しといったニーズが増加しています。当社は国内外のクラウド製品に精通し豊富な導入・運用実績を持つだけでなく、世界中のクラウド活用ナレッジが集約されたCAFに準拠したコンサルティング、クラウドサービスライセンスの提供、導入・保守運用サポートの実装、それらを包括したマネージドサービスに早期から取り組んでおり、マルチベンダーとしてスピーディかつ最新のクラウド利活用をご提供できる体制を整えております。また、クラウドを活用して大きな経営効果を生み出した先行事例のベストプラクティスを集約した方法論を適用しながら、グローバル標準のクラウドマネージドサービスを提供できる実績・ノウハウを保有している企業として、当社は、2022年4月には、Microsoft Azureの最上位パートナープログラムであるAzure Expert MSP認定を取得しております。なお、本資格の認定における審査内容は2021年に更新があり、CAFのフレームワークに沿ったマネージドサービスの提供における仕組み・プロセスの整備や導入実績が取得要件に加わった中で、当社は2022年4月時点で同審査基準を満たした日本で唯一の企業となっております。さらに、当社は、本資格を有するクラウドマネージドサービスプロバイダーとして、同認定で評価された当社の実績・ノウハウを集約した自社クラウドマネージドサービスであるJBS Cloud Suiteの提供を開始しました。本サービスは、クラウドを用いたDXデザインから導入・保守運用、利活用までの一貫した支援と、数多くあるクラウドサービスを購入から一元管理、コスト最適化までを実現する管理ツールで構成されており、当社のクラウドプロフェッショナル集団が顧客の経営環境に即した形でお届けするものです。今後も効率的かつ多様なソリューションを提供するクラウドマネージドサービスプロバイダーとしてさらなる成長を目指してまいります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題

当社は、顧客企業のオンプレミスからクラウドへの事業転換を加速し、クラウド市場成長に合わせた事業成長を実現し、上記の経営戦略を実現していくため、下記の事業上及び財務上の課題に対処してまいります。

 

① JBS Cloud Suiteの事業展開強化

    顧客あたりのARPUを拡大していくにあたっては、マネージドサービスによる顧客あたりのクラウド利用の拡大が重要であり、当社は、JBS Cloud Suite内におけるマネージドサービスの充実を図ることで、付加価値向上に努めてまいります。部門組織横断での本ブランド推進体制を整え、開発から販売までの一貫した体制により、推進を図ってまいります。

 

② 人材戦略の強化

    国内IT業界においては、エンジニア不足が深刻化しており、人材獲得競争が激化しております。そのような環境において、当社では人材の採用・育成・定着の好循環による専門性の高い人材の確保に努めております。

    採用においては、特に新卒採用に力を入れており、上場企業としての信頼感醸成により、さらに多くの優秀な人材の確保につなげてまいります。合わせて、顧客ニーズの高い領域での中途採用の強化に努めてまいります。

育成においては、豊富なプロジェクトによる業務経験を通じたOJT(On the Job Training)を中心に、当社独自の研修プログラム及びEラーニング等による様々な自己学習の機会を有機的に統合した育成プログラムを確立しております。また、マイクロソフト社をはじめとした各社のトレーニングプログラム等も有効活用しながら、各社員のキャリアプランや育成計画を継続することによって改善を図ってまいります。

定着においては、充実した育成プログラムに加え、各社員のワークスタイルに合わせた多様な労働環境の提供、及び社内コミュニケーションの活性化に取り組んでおり、流動性の高いIT業界において当社の離職率は、2022年9月期の実績で7.7%にとどまっており、引き続き社員が最大限に力を発揮できる働き甲斐のある企業として、改善を図ってまいります。また、ダイバーシティの推進に積極的に取り組んでおり、女性の活躍推進に関する取組の実施状況が優良な企業として「えるぼし」の3つ星認定を受けております。また、障がい者雇用や男性の育児休業取得を積極的に推進しているほか、仕事と介護を両立できる職場環境の整備促進に取り組んでおり「トモニン」マークを活用しております。

 

   ③ 事業生産性の向上

    必要な人材の確保に努めるとともに、ビジネスパートナー活用拡大による生産性の向上に努めてまいります。JBS Cloud Suiteを始めとした標準化されたノウハウの蓄積により、コアパートナー制度(注)を用いて品質を担保しながらさらなるビジネスパートナーの活用促進を図ることで、生産性の向上につなげてまいります。また、営業活動や社内システムにおいても効率化、仕組み化を図り、より効率的な事業運営につなげてまいります。

 

   (注)コアパートナー制度とは、当社が扱うソリューション提供を支援できるスキルの高いパートナーと継続的な協業体制を構築し、エンジニアリソースの安定した確保につなげていく取り組みです。

 

④ 事業ポートフォリオの拡大

    変化の速いIT業界において継続的に事業拡大を図っていくためには、既存のビジネスのみにとらわれず、最新の業界動向をいち早く察知し、顧客への提供価値のある技術を取り込み、顧客に最適な形で提供することが求められております。当社は、パートナー企業との協業も深めながら、新たな事業の創出に努めてまいります。

 

⑤ 当社の流通株式比率及び企業価値の向上

    当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の観点から、経営戦略の着実な遂行やIR活動の促進・強化を図るとともに、必要に応じて当社株式を保有している取引先や主要株主へ一部売出しに向けて協議を進めるなど流動性の確保に努めてまいります。

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