業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は、以下のとおりであります。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当事業年度の期首から適用しております。この結果、収益認識会計基準等の適用による当事業年度の損益計算書に与える影響はありません。また、利益剰余金の当期首残高への影響もありません。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度(2021年4月1日~2022年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中、新たな変異株の出現による感染再拡大への懸念が生じているなど、極めて厳しい状況にあり、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。

国内におけるオフィスビル賃貸市場においては、東京ビジネス地区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)で新築ビルが一部で募集面積を残して竣工したほか、既存ビルでは大型解約等の影響があり、2022年3月時点の平均空室率は6.37%(2021年3月時点5.42%)と増加いたしました(出所:三鬼商事株式会社「オフィスマーケットデータ」)。一方で、テレワークの増加に伴い働き方に対する関心の高まりやオフィスのあり方に対する意識の変化が継続してみられ、サテライトオフィス(※1)やシェアオフィス(※2)の活用を検討するなど、働き方やオフィス環境を本格的に見直す企業が増えたことで、引き合いはコロナ禍以前の水準まで回復しております。

このような経済環境のもと、当社におきましては、成長企業や働き方の見直しに積極的な企業を中心に営業活動を行うとともに、デザインやレイアウトによって業務効率や従業員満足度が高められるデザイナーズオフィスを提供することで、働き方への関心の高まりやオフィスのあり方の変化に対応したオフィスづくりに貢献してまいりました。

以上の結果、当事業年度における経営成績は、売上高10,727百万円(前年同期比32.8%増)、営業利益1,008百万円(同93.2%増)、経常利益1,012百万円(同98.4%増)、当期純利益687百万円(同107.5%増)となりました。

また、当事業年度末における財政状態は、総資産6,927百万円(同31.4%増)、負債2,647百万円(同63.0%増)、純資産4,280百万円(同17.4%増)となりました。

 

各セグメントの経営成績の状況は、次のとおりであります。

イ デザイナーズオフィス事業

デザイナーズオフィス事業では、WEBマーケティングによる新規顧客の獲得及び既存顧客へのフォローを継続して成長企業を中心に受注獲得を行ってまいりました。また、働き方やオフィスのあり方の変化に対応すべく、マーケティング・ICTの強化や先行人員増等、中長期的な事業成長に向けた先行投資により販管費が増加いたしました。

以上の結果、当事業年度における売上高は10,597百万円(前年同期比31.6%増)、セグメント利益(営業利益)は1,094百万円(同80.0%増)となりました。

 

ロ VISビル事業

VISビル事業では、入居テナント等も決定し、既存ビルのバリューアップ等の提案を行うため、不動産収益とは別にはたらき方データの収集とその活用をこのVISビル「The Place」にて行っております。

以上の結果、当事業年度における売上高は129百万円(前年同期比529.0%増)、セグメント損失(営業損失)は1百万円(前年同期は57百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。

 

 

〔用語の注釈〕

(※1) サテライトオフィス(Satellite Office)

企業の本社・本拠地から離れた場所に設置されたオフィススペースのこと。自宅で仕事をするための設備・環境が整っていない人が通勤の混雑を避けつつ働くことができる。

 

(※2) シェアオフィス(Shared Office)

必要な設備が一式揃った個室のオフィス空間に様々なソフトサービスを統合したサブスクリプション型のプライベートオフィスのこと。什器・備品は備え付けで自前で設備を整える必要がなく、初期コストを低く抑えることができる。

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前事業年度末と比較して1,257百万円増加し、3,471百万円となりました。

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、1,394百万円(前年同期比227.5%増)となりました。これは主に税引前当期純利益1,012百万円、減価償却費55百万円、仕入債務の増加431百万円、前受金の増加178百万円、未払法人税等の増加8百万円、未払消費税等の増加167百万円があった一方で、売上債権の増加380百万円、法人税等の支払額146百万円により減少したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は、82百万円(前年同期比87.2%減)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出35百万円、敷金及び保証金の差入による支出32百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は、54百万円(前年同期比59.4%減)となりました。これは主に新株予約権の行使による株式の発行による収入11百万円があった一方で、配当金の支払額65百万円により減少したことによるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

イ 生産実績

当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

ロ 受注実績

当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

デザイナーズオフィス事業

11,223,634

134.7

1,937,613

147.7

VISビル事業

65,900

379.4

合計

11,289,534

135.2

1,937,613

147.7

 

(注) 上記の金額には、賃貸収入等の受注を伴わないものは含めておりません。

 

ハ 販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

デザイナーズオフィス事業

10,597,847

131.6

VISビル事業

129,610

629.0

合計

10,727,457

132.8

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

① 経営成績の分析

(売上高)

当事業年度における売上高は、前年同期と比較して2,652百万円増加し、10,727百万円となりました。これは主にWEBマーケティングによる新規顧客の獲得及び既存顧客へのフォローを継続して成長企業を中心に受注獲得を行った結果、受注高が30百万円以上である大規模・中規模案件の受注が増加したことによるものであります。

 

(売上総利益)

当事業年度における売上原価は、前年同期と比較して1,943百万円増加し、7,875百万円となりました。これは主に売上高の増加に伴う外注費の増加によるものであります。

この結果、当事業年度における売上総利益は、前年同期と比較して709百万円増加し、2,851百万円となりました。

 

(営業利益)

当事業年度における販売費及び一般管理費は、前年同期と比較して222百万円増加し、1,843百万円となりました。これは主に人員増加に伴う人件費の増加によるものであります。

この結果、当事業年度における営業利益は、前年同期と比較して486百万円増加し、1,008百万円となりました。

これにより、当社が重視する経営指標である売上高営業利益率については、前年同期比で2.9ポイント改善し9.4%となりました。

 

(経常利益)

当事業年度における営業外収益は、前年同期と比較して2百万円増加し、5百万円となりました。これは主に当社オフィスを用いたメディア撮影の増加に伴う受取手数料の増加2百万円によるものであります。

当事業年度における営業外費用は、前年同期と比較して13百万円減少し、1百万円となりました。これは主に前事業年度において発生した株式公開費用13百万円によるものであります。

この結果、当事業年度における経常利益は、前年同期と比較して502百万円増加し、1,012百万円となりました。

 

(当期純利益)

当事業年度における特別損益は計上しておりません。

当事業年度における法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額は、前年同期と比較して146百万円増加し、325百万円となりました。

この結果、当事業年度における当期純利益は、前年同期と比較して356百万円増加し、687百万円となりました。

 

 

② 財政状態の分析

(資産)

当事業年度末における総資産は、前事業年度末と比較して1,656百万円増加し、6,927百万円となりました。

流動資産は1,611百万円増加し、4,686百万円となりました。これは主に現金及び預金で1,257百万円、売掛金で380百万円増加した一方で、未収消費税等で39百万円減少したことによるものであります。

固定資産は44百万円増加し、2,241百万円となりました。これは主に敷金及び保証金で26百万円、繰延税金資産で19百万円増加した一方で、建物で13百万円減少したことによるものであります。

 

(負債)

当事業年度末における負債は、前事業年度末と比較して1,023百万円増加し、2,647百万円となりました。

流動負債は1,001百万円増加し、2,615百万円となりました。これは主に買掛金で431百万円、未払法人税等で207百万円、未払消費税等で167百万円、前受金で178百万円増加した一方で、預り金で17百万円減少したことによるものであります。

固定負債は21百万円増加し、31百万円となりました。これはその他に計上している長期預り保証金で21百万円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産は、前事業年度末と比較して633百万円増加し、4,280百万円となりました。これは主に当期純利益687百万円を計上した一方で、配当金65百万円を支払ったことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社の運転資金需要のうち主なものは、外注費のほか、人件費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資やVISビル事業を展開するための不動産の取得等によるものであります。

当社は、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金を基本としておりますが、新規事業計画及びこれに付帯する不動産購入、設備投資計画に基づく中長期の資金需要が生じた場合には、銀行借入により必要資金を調達することとしております。

なお、当事業年度末における借入金の残高はありません。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は3,471百万円であり、当社の事業を推進していくうえで十分な流動性を確保していると考えております。

 

⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表を作成するにあたって、その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社の財務諸表を作成するにあたって採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針) 」に記載のとおりであります。

また、当社の財務諸表を作成するにあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り) 」に記載のとおりであります。

 

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