文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループでは、以下を経営方針とし、基本理念である「心と技術をこめたモノづくりにより幸せと豊かさに貢献します」の実現を目指しております。
・技術の先端に挑戦し、新しい価値を創り出す
・独自の領域を切り拓き、事業の広がりを追求する
・人を大切にし、人を磨き、人が活躍する場をつくる
・社会に対する公正さと、環境との調和を大切にする
(2) 目標とする経営指標
当社グループでは、2023年度までの中期経営計画において以下の財務目標の達成に向けて取り組んで参ります。
(3) 経営環境及び経営戦略・対処すべき課題
当社グループは、2021年から2023年までの3カ年計画として、中期経営計画「Yokohama Transformation 2023(YX2023)」の取り組みを2021年度より開始しております。
既存事業における強みの「深化」と、大変革時代のニーズに応える新しい価値の「探索」を同時に推進し、次世代の成長に向けた「変革」を図ることを、Yokohama Transformation 2023の位置づけとしております。
各分野での戦略と取り組み内容は、次の通りです。
■タイヤ消費財事業
高付加価値商品の主力であるグローバルフラッグシップタイヤブランド「ADVAN(アドバン)」、SUV・ピックアップトラック用タイヤブランド「GEOLANDAR(ジオランダー)」、そして「ウィンタータイヤ」の販売比率の最大化をテーマに掲げ、①ADVANと GEOLANDARの新車装着の拡大、②補修市場でのリターン販売強化とウィンタータイヤを含む商品のサイズラインアップ拡充、③各地域の市場動向に沿った商品の販売を強化する「商品・地域事業戦略」に取り組んでおります。
2021年度は、ADVANがメルセデスAMG、BMWといったプレステージカーに採用、GEOLANDARがトヨタランドクルーザー海外仕様車に装着され、さらに、BluEarthが「Lexus NX」や三菱自動車のエクリプスクロスPHEVに装着されました。また、補修市場においては、2021年度を「ヨコハマ冬の陣」と位置付け、乗用車用、VAN用、トラック・バス用のウィンタータイヤを、国内・欧州を中心に投入し、ADVAN、GEOLANDAR、ウィンタータイヤの販売比率を引き上げました。
■タイヤ生産財事業
CASE、MaaSなど大きな市場変化の取り込みとして新たな提供価値を「探索」し、4つのテーマに取り組んでいます。またOHT(オフハイウェイタイヤ)事業、TBR(トラック・バス用タイヤ)事業の強化に取り組んでいます。
①コスト:
市場の変化に伴うコスト低減への要求の高まりを見越し、インドの乗用車用タイヤ工場を「横浜ゴムグループで最も安くタイヤを作る工場」と位置づけ低コストモデルの確立を目指します。また、タイのTBR工場においても低コストモデルでの増産を検討します。
②サービス:
車両保有の法人化の進展を見越し、タイヤ単体ではなくサービスのセット提供を推進するため、全国の販売・物流ネットワークを活用しサービスカーの導入を拡大することによりサービス体制の強化を進めております。
③DX:
先進タイヤセンサー開発を加速化し、機能の追加に従い段階的にサービスや顧客を拡大していくことで、新たな付加価値サービスを創出するため、かねてよりT.M.S(タイヤマネジメントシステム)による輸送ビジネスのサポートと、乗用車向けTPRSの実証実験によるビジネスモデルの検証を進めてまいりました。
④商品ラインアップ:
運輸・物流業界では車両の電動化・無人運転に伴い、運行距離や使用状況に応じて多様な品種のタイヤが求められることが予想されます。この物流の変革に向け、当社の強みである幅広い商品ラインアップをさらに拡充し、市場での優位性を確立します。
OHT事業:「さらなる成長ドライバー」として強化
横浜ゴム、ATG、愛知タイヤ工業を合わせたマルチブランドによる市場展開と顧客対応力を強みに事業の強化を進めるため、2021年度は、横浜ゴムのOHT事業部、ATG、愛知タイヤ工業は「Yokohama Off-Highway Tires」の名のもと、グローバルでの事業統合を行いました。また、インド・ヴィシャカパトナム新工場の生産能力増強を進めております。
TBR事業:成長に向けた事業基盤の強化
引き続き米国ミシシッピ工場の安定供給の確保に努めるとともに、旺盛な需要に応えるために増産投資を計画し生産体制を強化していきます。
■MB事業
MB事業では「成長性・安定性の高いポートフォリオへの変革」をテーマに掲げ、強みであるホース配管事業と工業資材事業にリソースを集中してMB事業の成長を牽引し、安定収益を確保できる体制を構築すべく、ホース配管事業では、中国工場の生産能力を増強する設備投資を進め、工業資材事業では、マリンホースの生産拠点を神奈川県平塚市・インドネシアに集約し、リソース集中による強化・拡大を図りました。一方、ハマタイト事業については、11月にSika AGへ事業譲渡し、事業の再構築も着実に進めました。
■経営基盤
「人事戦略」は人事制度の変革による経営・管理職層のレベル強化や環境変化に迅速に対応できる強い組織作り、従業員の働き方改革などを推進しております。「ESG経営」はCSRスローガン「未来への思いやり」の下、今後も環境に配慮した製品の提供に努めるとともに、カーボンニュートラルを達成する取り組みや地域社会に根差した支援活動を推進します。カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、更にはこれらを下支えする自然との共生を活動の3本柱とし、カーボンニュートラルについては、2030年に対2013年度比38%削減、2050年にはネットゼロとすること、サーキュラーエコノミーについては、2030年に再生可能/リサイクル原料使用率30%以上を目標として設定いたしました。
また、引き続きコーポレートガバナンスのさらなる強化と安心・安全で働きやすい職場作りを目指します。
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