業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社の米国子会社であるBRIDGESTONE AMERICAS, INC.は、2021年1月6日(現地時間)に、同社の子会社であり米州セグメントに属するFSBPを、スイスの建設資材メーカーであるLafargeHolcim Ltdの米国子会社であるHolcim Participations (US) Inc.に売却することについて、同社と合意し、2021年3月31日に売却が完了いたしました。

当社は、2021年12月10日に、当社の防振ゴム事業を、吸収分割により当社が新たに設立する完全子会社に対して承継させ、当該完全子会社に当社グループの防振ゴム事業を集約した後、当該完全子会社の株式の全てを、AZ社に譲渡することを決定いたしました。

当社は、2021年12月10日に、当社の化成品ソリューション事業を、吸収分割により当社が新たに設立する完全子会社に対して承継させ、当該完全子会社に当社グループの化成品ソリューション事業を集約した後、当該完全子会社の株式の全てを、EU社が組成・管理・運営するEU投資組合に譲渡することを決定いたしました。

これらにより、当連結会計年度より、米国建築資材事業、防振ゴム事業、化成品ソリューション事業を非継続事業に分類するとともに、前期についても、組み替えて表示しております。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.事業セグメント」に記載のとおりであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

 当期における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 第1四半期連結会計期間から、セグメント区分を変更しております。また、前期の数値について新たなセグメント区分に組み替えたうえで、前期比の数値を計算しております。

 

a.業績全般

 

当期

前期

増減

金額

比率

 

億円

億円

億円

売上収益

32,461

26,952

+5,508

+20

調整後営業利益

3,943

2,074

+1,869

+90

営業利益

3,768

625

+3,143

+503

税引前当期利益

3,776

274

+3,502

親会社の所有者に帰属する当期利益

又は損失(△)

3,940

△233

+4,173

 

 当社グループは、企業理念の「使命」として掲げる「最高の品質で社会に貢献」の下、「2050年 サステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社へ」というビジョンの実現に向け、2021年2月に「中期事業計画(2021-2023)」を発表し、実行しております。

 当期の当社グループを取り巻く環境は、世界各国でCOVID-19への感染対策と経済活動の両立が進むとともに、ワクチン接種が大きく進展したことで、世界経済の回復が進みました。グローバルのタイヤ需要に関しては、第3四半期以降に新車用タイヤにおいて半導体不足による車両減産の影響を受けたものの、市販用タイヤにおいては、各国での経済活動回復に加え、新車不足に伴う中古車市場の活況もあり、需要が堅調に推移しました。また、コスト面では、2020年からの世界経済の持ち直しと連動する形で天然ゴム・原油が高値圏で推移するとともに、海上運賃単価やエネルギーコスト、労務費などの高騰が続き、当社グループの収益性を圧迫する要因となりました。さらに、北米では、堅調な市販用タイヤ需要に対し、市場全体で労働力不足に伴うタイヤ供給の逼迫が発生し、供給対策が課題となりました。

 そのような環境下、当社グループは、「稼ぐ力の再構築」に向け、「経費・コスト構造改革」、「プレミアムビジネス戦略強化」を柱とした収益性向上への取組みをスピード感を持って推進するとともに、当社グループの強みであるグローバル生産体制を基盤としたフレキシブルな供給マネジメントにより市販用タイヤ需要の増加に機動的に対応し、販売拡大に繋げました。

 それらの結果、当社グループの当期の売上収益は32,461億円(前期比20%増)、調整後営業利益は3,943億円(前期比90%増)、営業利益は3,768億円(前期比503%増)、税引前当期利益は3,776億円(前期は274億円の利益)、親会社の所有者に帰属する当期利益は3,940億円(前期は233億円の損失)となりました。

 また、当社グループは「稼ぐ力の再構築」の一環として「事業・生産拠点再編」を推進しており、当期においては、1月の米国建築資材事業の売却発表をはじめ、タイヤ・多角化・内製の全ての事業において中長期的な視点で再編を進めました。

 

b.セグメント別業績

 

 

当期

前期

増減

金額

比率

 

日本

 

億円

億円

億円

売上収益

8,730

7,763

+967

+12

調整後営業利益

1,170

910

+259

+29

米州

売上収益

14,546

11,639

+2,908

+25

調整後営業利益

1,906

1,096

+811

+74

欧州・ロシア・中近東・インド・アフリカ

売上収益

6,939

5,504

+1,435

+26

調整後営業利益又は

損失(△)

421

△209

+630

中国・アジア・大洋州

売上収益

3,869

3,236

+632

+20

調整後営業利益

420

249

+171

+68

その他

売上収益

664

515

+150

+29

調整後営業利益

51

+46

+981

連結 合計

売上収益

32,461

26,952

+5,508

+20

調整後営業利益

3,943

2,074

+1,869

+90

 

 当期の各セグメントにおける業績は、新車用タイヤにおいて半導体不足による車両減産のマイナス影響を受けた一方、市販用タイヤでは、各国の経済活動回復や中古車市場の活況により需要が堅調に推移した結果、以下のとおりとなりました。

[日本]

 乗用車及び小型トラック用タイヤの販売本数は前年を上回り順調に推移し、トラック・バス用タイヤの販売本数は前年を大幅に上回りました。この結果、売上収益は8,730億円(前期比12%増)となり、調整後営業利益は1,170億円(前期比29%増)となりました。

[米州]

 北米タイヤ事業において、乗用車及び小型トラック用タイヤの販売本数は前年を上回り好調に推移し、トラック・バス用タイヤの販売本数は前年を大幅に上回りました。この結果、売上収益は14,546億円(前期比25%増)となり、調整後営業利益は1,906億円(前期比74%増)となりました。

[欧州・ロシア・中近東・インド・アフリカ]

 欧州では、乗用車及び小型トラック用タイヤの販売本数は前年を上回り堅調に推移し、トラック・バス用タイヤの販売本数は前年を大幅に上回りました。この結果、売上収益は6,939億円(前期比26%増)となり、調整後営業利益は421億円(前期は209億円の損失)となりました。

[中国・アジア・大洋州]

 乗用車及び小型トラック用タイヤの販売本数は前年を上回り順調に推移し、並びにトラック・バス用タイヤの販売本数は前年を大幅に上回りました。この結果、売上収益は3,869億円(前期比20%増)となり、調整後営業利益は420億円(前期比68%増)となりました。

 

(注) セグメント別の金額はセグメント間の取引を含んでおり、連結合計の金額はそれらを消去した後の数値であります。

 

c.財政状態

(流動資産)

 流動資産は、現金及び現金同等物が230億円減少したものの、営業債権及びその他の債権が739億円、棚卸資産が1,389億円増加したことなどから、前期末比2,383億円増加(同12%増)し、22,929億円となりました。

(非流動資産)

 非流動資産は、有形固定資産が358億円、のれんが277億円、繰延税金資産が274億円増加したことなどから、前期末比1,472億円増加(同7%増)し、22,820億円となりました。

(流動負債)

 流動負債は、営業債務及びその他の債務が969億円、売却目的で保有する資産に直接関連する負債が345億円増加したものの、社債及び借入金が1,440億円減少したことなどから、前期末比183億円減少(同2%減)し、10,234億円となりました。

(非流動負債)

 非流動負債は、繰延税金負債が153億円増加したものの、社債及び借入金が554億円、退職給付に係る負債が197億円減少したことなどから、前期末比762億円減少(同8%減)し、8,761億円となりました。

 なお、流動負債及び非流動負債に計上された有利子負債(注)の合計は、前期末比1,951億円減少(同19%減)し、8,111億円となりました。

(注) 有利子負債には社債及び借入金、リース負債を含んでおります。

(資本)

 資本合計は、配当金(親会社の所有者)により1,021億円減少したものの、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により3,940億円増加したことなどから、前期末比4,801億円増加(同22%増)し、26,754億円となりました。

 

 これらの結果、当期末の資産合計は、前期末に比べて3,856億円増加(同9%増)し、45,749億円となりました。また、当期の親会社所有者帰属持分比率は57.5%となり、前期末比6.2ポイントの上昇となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 

当期

前期

増減

金額

 

億円

億円

億円

営業活動によるキャッシュ・フロー

2,815

5,269

△2,454

投資活動によるキャッシュ・フロー

1,317

△1,554

+2,871

財務活動によるキャッシュ・フロー

△3,793

181

△3,974

現金及び現金同等物に係る換算差額

484

△120

+604

現金及び現金同等物の増減額

823

3,776

△2,954

現金及び現金同等物の期首残高

8,105

4,329

+3,776

売却目的で保有する資産に含まれる現金及び現金同等物

△1,053

△1,053

現金及び現金同等物の期末残高

7,875

8,105

△230

 

 当期における当社グループの現金及び現金同等物(以下「資金」)は、全体で230億円減少(前期は3,776億円の増加)し、当期末には7,875億円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金収支は、2,815億円の収入(前期比2,454億円の収入減)となりました。これは、営業債権及びその他の債権の増加額699億円(前期は営業債権及びその他の債権の減少額569億円)や、棚卸資産の増加額1,402億円(前期は棚卸資産の減少額1,288億円)、法人所得税の支払額1,477億円(前期は717億円)などがあったものの、税引前当期利益3,776億円(前期は274億円)や、減価償却費及び償却費2,504億円(前期は2,675億円)などがあったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金収支は、1,317億円の収入(前期は1,554億円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出1,610億円(前期は2,007億円)や、無形資産の取得による支出240億円(前期は174億円)などがあったものの、非継続事業の売却による収入3,638億円(前期は収入なし)などによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金収支は3,793億円の支出(前期は181億円の収入)となりました。これは、短期借入れによる収入947億円(前期は3,094億円)などがあったものの、短期借入金の返済による支出2,203億円(前期は2,484億円)や、長期借入金の返済による支出1,091億円(前期は34億円)、リース負債の返済による支出597億円(前期は571億円)、配当金の支払額(親会社の所有者)1,021億円(前期は915億円)などによるものです。

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当期における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

659,448

+15.6

米州

1,185,037

+41.2

欧州・ロシア・中近東・インド・アフリカ

610,490

+43.3

中国・アジア・大洋州

311,842

+27.6

合計

2,766,817

+33.0

  (注) 1 金額は、販売価格によっております。

2 金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

 当社グループは、少数の特殊製品(特殊ホース等)について受注生産を行うほかは、すべて見込生産であります。

 

c.販売実績

 当期における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

767,138

+10.2

米州

1,443,758

+24.7

欧州・ロシア・中近東・インド・アフリカ

686,140

+25.5

中国・アジア・大洋州

328,817

+16.4

その他

20,175

+67.8

全社又は消去

28

△10.3

合計

3,246,057

+20.4

  (注) 金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年3月23日)現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下、「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりであります。

 

② 当期の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当期の経営成績等は、次のとおりであります。

 なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因や当該事項への対応については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

 (売上収益、調整後営業利益及び営業利益)

 売上収益は、世界各国での経済活動回復によるタイヤ需要増の影響などで前期比5,508億円増加(同20%増)し、32,461億円となりました。

 調整後営業利益は、世界各国での経済活動回復によるタイヤ需要増の影響などで前期比1,869億円増加(同90%増)し、3,943億円となりました。また、営業利益は、上記に加え減損損失が733億円、事業・工場再編費用が291億円減少したなどにより前期比3,143億円増加(同503%増)し、3,768億円となりました。

 この結果、調整後営業利益率は12.1%となり、前期比4.5ポイントの上昇となりました。

 なお、セグメント別の状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 (親会社の所有者に帰属する当期損益)

 親会社の所有者に帰属する当期損益は、3,940億円の利益(前期は233億円の損失)となりました。これは、営業利益が3,143億円の増益となったことなどによるものです。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

 現金及び現金同等物は、前期末比230億円減少し、7,875億円となりました。なお、活動区分ごとのキャッシュ・フローについては、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 資金調達にあたっては、金融機関からの借入れに加え、引き続き、国内普通社債やコマーシャル・ペーパーなどの直接金融手段や、売上債権の証券化、リースの活用など、リスク分散や金利コストの抑制に向けその多様化を図ってまいります。

 資金使途につきましては、主にコア事業における稼ぐ力の再構築、成長事業であるソリューション事業拡大のための戦略的成長投資、探索事業への戦略的成長投資などに活用しつつ、適正な財務体質の維持と株主還元に活用してまいります。

 

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、中期事業計画(2021-2023)の経営指標として、2023年に、売上収益33,000億円レベル、調整後営業利益4,500億円レベル、調整後営業利益率13%レベル、ROIC10%レベル、ROE12%レベルを計画しています。

 当期においては、売上収益32,461億円(前期比5,508億円増加)、調整後営業利益3,943億円(前期比1,869億円増加)、調整後営業利益率12.1%(前期比4.5ポイント上昇)、ROIC9.0%(前期比3.9ポイント上昇)、ROE12.9%(前期は△0.9%)でした。

(注) ROEにつきましては、親会社の所有者に帰属する当期利益のうち継続事業に係る金額に基づいて算出しております。

 

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