課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループを取り巻く事業環境は、国際関係・政治・経済・環境問題・技術革新といったあらゆる面で、変化のスピードが加速しています。特に、2020年から続くCOVID-19感染拡大は、グローバルで経済や生活に大きな影響を与え続けています。また、気候変動対策へも、グローバルで注目が高まっております。それらはモビリティ業界において、EV化の加速など、CASE、MaaSの動きへもつながっています。モビリティ業界のプレーヤーが多様化し、業界構造の変化が起こると共に、タイヤ業界においても構造変化が進み、業界全体の利益額が減少傾向にありました。2021年は回復基調となったものの、事業環境の変化はますます加速しています。変化に対応し、強くなければ生き残れません。

こうした中、当社グループは、中期事業計画(2021-2023)に沿って、環境変化に対応できる、強いブリヂストンへの変革を推し進めています。収益の低下傾向にあった2015年から2019年を振り返り、「過去の課題に正面から向き合い、先送りしない」、事業環境の変化に素早く対応し、「足元をしっかり、実行と結果に拘る」、2030年をマイルストンとして「将来への布石を打つ」という3つの軸で取り組んでおります。また、これらの変革の推進のため、ROIC(投下資本利益率)を経営の最重要指標に設定し、ポートフォリオ経営も強化しております。中期事業計画(2021-2023)の経営指標として、2023年に、売上収益33,000億円レベル、調整後営業利益4,500億円レベル、調整後営業利益率13%レベル、ROIC10%レベル、ROE12%レベルを計画しています。

過去の課題については、当社グループの収益低下に向き合い、稼ぐ力の再構築を推進しております。中長期的なスパンでタイヤ事業、化工品・多角化事業、内製事業など全ての事業領域において、生産拠点再編・事業再編を着実に行い、固定費の削減など経費・コスト構造改革を推進しております。

足元の課題については、グローバルですばやく事業環境・タイヤ需要の変化に対応し供給・販売機会を最大化するサプライチェーンマネジメントを「フレキシブル・アジャイルマネジメント」として推進してまいりました。また、高インチ乗用車用タイヤ、新たなプレミアム商品として環境性能と運動性能を両立する革新的なタイヤ基盤技術「ENLITEN(エンライトン)」を搭載するタイヤ、鉱山車両用タイヤの「Bridgestone MASTERCORE(ブリヂストン マスターコア)」など高付加価値商品の拡販を推進し、プレミアムビジネス戦略の強化とビジネスの質の向上を徹底的に進めてまいりました。

そして、中長期的な成長を見据え戦略的成長投資を実行し、将来への布石を打ってまいります。コア事業においては中長期的な生産拠点・供給体制の再構築や、「ENLITEN」の拡大へ取り組んでまいります。「ENLITEN」は、EVへの装着に最適な革新的タイヤ基盤技術として開発を強化していますが、今後は、ENLITENビジネス戦略として、商品、ビジネスモデルに価値を拡大してまいります。環境負荷を低減すると共にビジネス成長を実現、お客様一人ひとりに合わせたタイヤ性能のカスタマイズと、生産から販売といったバリューチェーン全体の効率化による生産性の向上、コスト最適化など、二律背反の価値を同時に創出する、EV時代の新たなプレミアム戦略として構築してまいります。成長事業においては、ソリューションのグローバル展開に向けて戦略的成長投資を各地域で継続して実行してまいります。М&Aによるモビリティソリューションの拡充、当社グループのグローバル小売ネットワークを基盤とした小売サービス事業の強化など、ソリューション事業の拡大に向けて取り組んでまいります。

これらの施策や投資の全体最適を担保するために、個々の投資活動に対する投下資本とリターンを厳しく評価しながら迅速な意思決定をサポートすると共に、意思決定後の進捗も厳格にモニタリングし状況に応じてフレキシブルに改善を提案するグローバルコントローラー機能の強化など、財務戦略基盤を整えました。

加えて、当社グループの強み・コアコンピタンスの活きる領域において探索事業を開始しました。リサイクル、ソフトロボティクス、グアユール事業における探索を開始し、ヒト・モノの移動と動きを支え続けるため、共創をベースとして、事業化に向けて技術、ビジネスモデルの探索を続けてまいります。

これら中期事業計画の実行を支える人事・組織体制として、ブリヂストン流のHRX(Human Resource Transformation)も継続して推進しております。リーンな組織体制を徹底しつつ、多様な人財の最適な配置、活躍を可能にするため、ジョブ型や、個人がスキル・経験を登録し、それを活かせるポジションに配置するジョブマッチング制度の導入などの施策を強化しております。

経営の中核であるサステナビリティについては、ブリヂストンらしい8つの価値を、ブリヂストンらしい目的と手段で創出していくことにコミットする「Bridgestone E8 Commitment(ブリヂストン イーエイト コミットメント)」を未来からの信任を得ながら経営を進める軸として、取り組みを進めます。カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーの実現のための取り組みとビジネスモデルを連動する当社グループ独自のサステナビリティビジネスモデルの実現を目指してまいります。これまで、2050年を見据えた環境長期目標を2012年に策定し、これを達成するために、2030年を目標とした環境中期目標「マイルストン2030」を設定しました。CO2排出量削減について、2030年にCO2の総量(Scope 1、2)(注)を2011年対比50%削減、2050年に向けてカーボンニュートラルへ、という明確なターゲットを掲げております。2021年のCO2排出量(Scope1、2)は、再生可能エネルギーの導入など更なる削減を図っており、ターゲットの達成に向け順調に進捗しております。バリューチェーン全体のCO2排出量(Scope3)(注)の削減については、2030年までにソリューションの提供により、商品・サービスのライフサイクルを通じて、Scope1、2の排出量の5倍以上のCO2削減に貢献(基準年:2020年)することを目標とし、活動を進めてまいります。また、サーキュラーエコノミーへの貢献を促進していくために、使用する原材料に占める再生資源又は再生可能資源の割合を、2030年までに40%に向上することを目指してまいります。

当社グループは、今後も、サステナビリティを経営の中核に据え、社会価値と顧客価値の創造を両立させ、競争優位を獲得することで、社会・パートナー・お客様と共に持続可能な社会の実現に取り組んでまいります。

 

(注)Scope1は企業が直接排出するCO2(自社工場のボイラーなどからの排出)、Scope2はエネルギー起源間接排出(電力など他社から供給され、自社で消費したエネルギーに伴うCO2排出)、Scope3はライフサイクルにおける原材料調達、流通、顧客の使用と廃棄・リサイクル段階のCO2排出量等を指します。

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