業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、会計方針の変更として、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細については、「注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

 また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1)経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

 当連結会計年度の業績は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けた前期に比べ、工業用ゴム事業の売上が前年を上回り、連結売上高は70億2千4百万円(前期比8.3%増)となりました。利益面においても売上増加を受け、連結営業利益は2億9千1百万円(前期は営業損失9千2百万円)となりました。連結経常利益は3億1千3百万円(前期比1,614.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2億3千8百万円(前期比109.6%増)となりました。

 セグメント別の業績は、次のとおりです。

 工業用ゴム事業

 工業用ゴム事業では、半導体をはじめとした部品不足の長期化の影響を受けたものの、自動車向け製品や卓球ラケット用ラバーなどの売上高が回復したことから前期比増加いたしました。しかしRFIDタグ用ゴム製品は、経済環境や生産調整の影響を受けて売上高が減少しております。

 この結果、工業用ゴム事業の連結売上高は58億3千万円(前期比9.3%増)となりました。またセグメント利益は5億2千9百万円(前期比337.2%増)となりました。

 医療・衛生用ゴム事業

 医療・衛生用ゴム事業では、プレフィルドシリンジガスケット製品や採血用・薬液混注用ゴム栓において、新型コロナウイルス感染症の影響による生産調整から回復傾向となり、売上高は増加いたしました。

 この結果、医療・衛生用ゴム事業の連結売上高は11億9千3百万円(前期比3.6%増)となりました。原材料等の価格高騰影響などから、セグメント利益は9千8百万円(前期比12.4%減)となりました。

② 財政状態の状況

(資産の状況)

 当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べて6億2千1百万円減少し、97億2千万円となりました。この主な減少要因は、商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品が増加したものの、現金及び預金、受取手形及び売掛金、建物及び構築物、機械装置及び運搬具が減少したものであります。

(負債の状況)

 当連結会計年度末の負債は前連結会計年度末に比べて8億6千6百万円減少し、50億4千3百万円となりました。この主な減少要因は、支払手形及び買掛金、電子記録債務、1年内返済予定の長期借入金、長期借入金が減少したものであります。

(純資産の状況)

 当連結会計年度末の純資産は前連結会計年度末に比べて2億4千5百万円増加し、46億7千6百万円となりました。この主な増加要因は、当連結会計年度の利益計上に伴う利益剰余金、為替換算調整勘定が増加したものであります。

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度に比べ5億円減少の9億5千6百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、4億3千5百万円の収入(前期は7億1千9百万円の収入)となりまし

た。

 これは主に、棚卸資産の増加2億7千7百万円(前期は1億7千5百万円の減少)、仕入債務の減少額1億9千9百万円(前期は1億5百万円の減少)等があったものの、税金等調整前当期純利益3億4百万円(前期は1億5千4百万円の利益)、減価償却費4億5千5百万円(前期は5億7百万円)、売上債権の減少1億5千1百万円(前期は7千7百万円の減少)によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、2億1千4百万円の支出(前期は5千4百万円の支出)となりました。

 これは主に、定期預金の払戻による収入15億4千5百万円(前期は29億7千9百万円の収入)があったものの、定期預金の預入による支出15億7千万円(前期は30億1千3百万円の支出)、有形固定資産の取得による支出1億8千1百万円(前期は3億8千1百万円の支出)によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、7億6千1百万円の支出(前期は4千9百万円の支出)となりました。

 これは主に、長期借入れによる収入5億円(前期は13億円の収入)があったものの、長期借入金の返済による支出11億6千4百万円(前期は12億2千5百万円の支出)、配当金の支払額9千万円(前期は9千1百万円の支払)によるものであります。

④生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

工業用ゴム事業(千円)

5,932,320

12.6

医療・衛生用ゴム事業(千円)

1,163,634

3.9

合計(千円)

7,095,954

11.1

 (注)金額は販売価格によっております。

b 受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

工業用ゴム事業

5,884,996

6.0

934,605

6.2

医療・衛生用ゴム事業

1,134,321

△0.6

110,997

△34.8

合計

7,019,318

4.9

1,045,602

△0.5

 (注)金額は販売価格によっております。

c 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

工業用ゴム事業(千円)

5,830,729

9.3

医療・衛生用ゴム事業(千円)

1,193,530

3.6

合計(千円)

7,024,259

8.3

 (注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

 日亜化学工業株式会社

1,408,856

21.7

1,366,868

19.5

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループでは「私たちは人を豊かにしてグローバル社会貢献度が高い技術会社になる」ことを未来に通ずる姿とし、2030年を見据えたビジョンを「AR-2030 VISION」として定めております。この「AR-2030 VISION」の実現に向けて、2020年4月から第13次三ヵ年中期経営計画をスタートし、中期経営方針として「誠実で機敏な対応力で岩盤を築き質的に成長する」を掲げ、「お客様の期待」に素早く応えて「多くの信頼」が得られる行動や、「ステークホルダーとの絆」を強くする行動を活発に実践し、経験と実績を繰り返し積み上げながら質を高めて、グローバルな経済環境のもとで持続的な成長を果たしてまいります。

 当社グループの重点事業分野を「光学事業」、「医療・ライフサイエンス事業」、「機能事業」、「通信事業」の4つとし、事業展開を進めるうえで、独自の競争力の源泉となるコア技術である「色と光のコントロール技術」「素材変性技術」「表面改質およびマイクロ加工技術」に、それぞれの事業分野に成長のキーワードとなる視点を加えて、ゴムが有する無限の可能性をさらに進化をさせる活動を進めました。特に研究開発として、光学事業では感性認知支援照明への応用、医療・ライフサイエンス事業の理化学機器分野では再生医療用材料の研究、機能事業の再生可能エネルギー分野では研究機関との連携による仮想実験の拡充や風力発電機を用いた実証実験など、それぞれの事業計画通りに成果を得ることが出来ました。

 当連結会計年度における事業環境は、新型コロナウイルスのワクチン接種が進んだことにより経済活動が緩やかな回復傾向となりました。一方、景気回復に伴い原材料の高騰や調達リスクが高まるなど、世界経済は再び不透明感が増してきました。さらに中国やアセアン地域における厳格な感染拡大防止対策は事業活動に様々な影響を与えました。この中で当社グループは、当期経営方針に「みんなにうれしさをお届けしよう」を掲げ、お客様に密着しながら事業の魅力を高めて貢献する機会を増やす活動、そして出口を掴む活動に資源を集中し、各重点事業分野への施策遂行を積極的に進めてまいりました。

 

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 工業用ゴム事業

 世界経済が不確実性を高めながら戻りつつある中、調達や生産活動は機会を逃さぬようサプライチェーンを強化してまいりました。また材料価格高騰などの経営リスクは、適宜にお客様との交渉を行う体制を構築しました。そして、各事業が望む次世代に適合する新しい価値を提案し続けるため、新素材の開発や提案力の強化を行い御客様との信頼や期待に応え続けました。自動車分野では自動化や電動化が一層進む中で、デザイン性が高いインテリア空間を奏でる照明や走行時の安全性を求めたエクステリア照明、機構部品の操作性を高める性能などが求められ、多くの提案活動の中から課題を解決する糸口を見出いしました。スポーツ分野はオリンピックが開催されたことや経済活動の戻りが後押しになり、徐々に活況を呈し始めました。これからも工業用ゴム事業全般の体制を新たなカタチに進化させながら岩盤を強化する活動を展開してまいります。

 医療・衛生用ゴム事業

 診断・治療分野でディスポーザブル医療機器に使用されるプレフィルドシリンジガスケット製品、採血用・薬液混注用ゴム製品は、前連結会計年度に続き製品用途によって医療診断の変化等による在庫調整の影響を受けましたが、受注傾向を鑑みると少しずつ改善する方向にあると推察いたします。また新規受注活動におきましても、自社開発製品を中心に集客力が高まりつつあります。これを契機に白河第二工場では、医療機器の品質管理システム構築のための国際標準規格であるISO13485を取得する準備を進めており、海外市場も視野に入れた活動を展開してまいります。

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループでは各事業の受注状況に基づき、生産能力を検討し設備投資を実施、また新たな事業分野への研究開発投資を積極的に実施しております。その必要資金については財政状態の良化を鑑みながら、主に売上代金及び金融機関からの長期借入金による調達を基本としております。金融機関からの借入金は主として固定金利で調達しております。また、資金調達の機動性確保及び資金効率の改善等を目的に、主要取引金融機関と10億円のコミットメントライン契約を締結しております。これらの契約に基づく当連結会計年度末の借入未実行残高は10億円であります。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は24億3千2百万円となっております。

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

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