研究開発活動

5【研究開発活動】

 当社グループは「私たちは人を豊かにしてグローバル社会貢献度が高い技術会社になる」ことを未来に通ずる姿とし、第13次中期経営方針として「誠実で機敏な対応力で岩盤を築き質的に成長する」を掲げております。研究開発活動はコア技術価値を高めて未来を支える行動を実践し、「常に社会の課題を解決するコア技術に磨き鍛えて継続的に事業価値を高め続ける源泉になる」ことを目的として、重点事業分野の顧客価値が高まるゴム素材・ゴム製品を追求しております。

 研究開発活動は、当社工場の技術グループ・開発部および子会社である株式会社朝日FR研究所(ASAHI FR R&DCo., Ltd.)により行われ、工業用ゴム事業、医療・衛生用ゴム事業の研究開発を推進し、独自の競争力の源泉となるコア技術である「色と光のコントロール技術」「素材変性技術」「表面改質およびマイクロ加工技術」に、それぞれの事業分野に成長のキーワードとなる視点を加えて、ゴムが有する無限の可能性をさらに進化をさせる活動を進めてまいりました。また顧客ニーズにマッチするコア技術を鍛えるためにも、国や県のプロジェクトに対して積極的に参画し、外部頭脳とのネットワーク形成や新技術獲得に向け引き続き推進してまいりました。

 子会社である株式会社朝日FR研究所の研究員は14名、これは全従業員の2.8%であります。当連結会計年度におけるセグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果および研究開発費は次のとおりであります。

 当連結会計年度の研究開発費の総額は209,140千円であります。なお、研究開発活動については、特定のセグメントに関連付けられないため、セグメント別の記載はおこなっておりません。

1.工業用ゴム事業

 第13次中期計画の重点事業である光学事業、機能事業、通信事業に対して、独自の競争力の源泉となるコア技術を活かした価値で貢献いたしました。当連結会計年度の主な研究成果並びに開発状況は次のとおりです。

(1) ASA COLOR LED

 ASA COLOR LEDの調色・色調管理技術は、自動車用の電装・カーオーディオ・スイッチなどのバックライト照明に広く使われております。IATF16949(自動車産業向け品質マネジメントシステム)の取得に伴い、グローバル品質に応える製造方法の確立や発光色を狭小に管理する技術開発を行いました。また「感性・共感」をキーワードに埼玉大学と共同で進めている「色と光の感性認知支援」研究では、新たに勉強用光源や睡眠導入光源などを生み出すなど、機能性を有する光のバリエーションを増やしました。これからも、自動車の内装照明市場から外装照明、またアンビエント照明に向けた技術開発と提案を進めてまいります。

(2) 白色シリコーンインキ

 主にLED照明器具用として、電子部品の基板に塗布して光を高反射する白色インキの開発を進めております。「照明器具用白色シリコーンインキ塗膜」の標準化の取り組みにより、令和3年度産業標準化事業表彰(経済産業大臣賞)を受賞することが出来ました。当社の白色シリコーンインキは、高い光反射率と高い信頼性により長期間白色度を保持する塗膜を形成し、また、樹脂基板など塗工部材の光劣化を抑えることから、LED照明器具の明るさ向上、省エネルギー化、長寿命に貢献します。新たに紫外線反射塗膜を開発し、紫外線殺菌機器の反射材への応用展開を進めております。

(3) ASA COLOR LENS

 シリコーン素材技術に光学設計技術を応用したASA COLOR LENSは、自動車エクステリア分野への拡販を継続しております。また深紫外線(波長が280nm以下の光)に対応する素材を開発し、殺菌・浄水、空気清浄などの新市場開拓を開始しました。

 お客様のニーズに対応しながら、当社の光学設計の技術的ノウハウを高めていくために、光学設計受託ビジネスも引き続き進めております。設計段階からレンズ製品開発に携わることで、提案力と競争力の向上、そして素早くお客様のニーズに応えてまいります。

(4) 再生可能エネルギー分野製品

 再生可能エネルギー分野は、脱炭素社会の実現に向けた風力発電機の設置拡大に伴い、令和3年度福島県産総研連携再生可能エネルギー等研究開発補助事業に採択されるなど、産学官連携支援のもと、引き続き重要な実証データを取得することが出来ました。風力発電機の性能向上や保守保全への貢献を目指して量産化に向けた取組みを強化してまいります。

(5) RFIDタグ用ゴム製品

 「表面改質技術」の一つである分子接着・接合技術を用いたRFIDタグ用ゴム製品は、ゴムの柔軟性と接着剤では達成できない防水性で、ICチップやアンテナの保護に活用されています。従来より小型化した新製品の市場投入を行いながら、引き続きお客様の要望に応えてまいります。

(6) F-TEM

 柔軟性があるシリコーンゴムとペルチェ素子との複合製品であるF-TEMは、ECサイトで標準モデルを販売する活動を加えることで、新たな開発活動につながり出しました。これからもフレキシブルで実用性の高い製品開発を進めながら競争優位を維持してまいります。

 

(7) 卓球ラケット用ラバー

 お客様が満足する生産技術と材料開発(素材変性技術)を行い、次世代モデルへの応用を提案し続けております。

 

2.医療・衛生用ゴム事業

 第13次中期計画の重点事業である医療・ライフサイエンス事業において、診断・治療分野、理化学機器分野、介護・予防分野に向けて制御技術と感性技術を磨き、医療現場と患者のQOL向上に貢献いたしました。当連結会計年度の主な研究成果並びに開発状況は次のとおりです。

(1) ディスポーザブル医療製品

 プレフィルドシリンジガスケットには独自の表面改質技術による低摺動コーティング技術が用いられております。新素材の実用化に向けて、表面改質技術を生かせる生産技術力の向上に注力しました。回路製品である薬液混注用ゴム栓は、マイクロ加工技術を応用することよってお客様から高い信頼を頂いております。

(2) 診断及び理化学機器製品

 シリコーンゴムの特徴を活かした分子接着・接合技術をライフサイエンス分野に応用展開しております。マイクロ流体デバイスチップは、検査・診断分野のお客様と実用化に向けた研究開発を強く進めました。また超薄膜シリコーンゴムシートを応用した理化学機器向け製品は、大学との共同研究活動で多くのエビデンスデータを取得することが出来ました。学会や展示会などの機会を活かしながら専門メーカーへの提案活動が始まりました。

(3) シリコーンゴム技術開発(超親水性処理技術)

 独自の素材変性技術と表面改質及びマイクロ加工技術を活かすことで、親水性に優れた表面改質処理を施す技術を進化させました。この超親水性処理技術をマイクロ流体デバイスに応用することで、マイクロ流路内の送液性を格段に向上させることが可能になります。ライフサイエンス分野を中心に、シリコーンゴムの付加価値を高め、様々な用途への展開を進めてまいります。

(4) 医療用シミュレーター

 臓器モデルなど医療用シミュレーター製品を開発しております。医療従事者にとって訓練性が高い装置の開発を行うことで、医療現場の安心・安全をさらに高めてまいります。

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