当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概況並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積もりに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中、ワクチン接種の普及に伴う経済活動の進展等から、緩やかな景気回復が見られました。一方で、世界経済の先行きは、部品供給制約の長期化や新型コロナウイルス感染症の変異株拡大に加えて、ロシアのウクライナ侵攻による国際情勢の不安定化などにより、不透明な状況にあります。
当社グループに関連する業界については、経済活動の段階的な再開により需要の持ち直しが見られたものの、新型コロナウイルス感染症の拡大やサプライチェーンの混乱による顧客の減産、さらに原材料価格や物流費高騰の影響を受けるなど、厳しい状況が続きました。
このような中、当社グループでは、外部環境の変化に柔軟に対応し、利益を安定的に確保できる筋肉質な経営体質を目指して、引き続き拠点の統廃合・集約などによる生産体制の最適化や、より一層の原価低減活動等を通じた収益力の強化に努めています。
当連結会計年度における連結業績については、売上高は445,985百万円(前期比12.1%増)、事業利益は6,467百万円(前期比17.7%減)、また、事業環境変化に伴う収益性の低下により、海外子会社の固定資産の減損損失などを計上したため、営業利益は1,110百万円(前期比389.2%増)、税引前当期利益は387百万円(前期は608百万円の税引前当期損失)、親会社の所有者に帰属する当期損失は6,357百万円(前期は4,957百万円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。
※事業利益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除し、持分法による投資損益を含めて算出しております。
各セグメントの業績は、次のとおりです。
<自動車用品>
外部顧客への売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大の長期化やサプライチェーンの混乱による自動車の減産影響がありましたが、多くの地域で前期と比べて主要顧客の生産台数が増加したことや円安の進行による為替換算の影響により、386,843百万円(前期比12.4%増)となりました。
事業利益は、売上が増加したものの、主に北米、中国等で原材料価格や物流費高騰などの影響を受け、2,014百万円(前期比59.5%減)となりました。
<一般産業用品>
外部顧客への売上高は、59,142百万円(前期比10.1%増)となりました。
プリンター向け機能部品は、ペーパーレス化や労働環境の変化などを背景に、一定量の需要減少傾向が見られますが、前年同期と比べて需要が増加したため、増収となりました。
高圧ホースは、各国の経済活動の回復により住宅投資やインフラ投資などが活発となったため、日本は新興国、欧米向けを中心に需要が増加しました。また中国では、中国国内の建機需要の減少により、前期と比べて減収となったものの、事業全体では増収となりました。
事業利益は、主として売上増加により、4,453百万円(前期比54.4%増)となりました。
事業セグメント別実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注の状況については、セグメントの業績に関連付けて示しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引17,042百万円については相殺消去しております。
2.主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
<資産>
資産合計は、408,280百万円(前連結会計年度末比28,778百万円増)となりました。
流動資産は、212,457百万円(前連結会計年度末比24,783百万円増)となりました。これは、棚卸資産が20,240百万円増加したことなどによるものです。
非流動資産は、195,823百万円(前連結会計年度末比3,995百万円増)となりました。これは、有形固定資産が1,056百万円増加したことなどによるものです。
<負債>
負債合計は、229,250百万円(前連結会計年度末比21,219百万円増)となりました。これは社債及び借入金が14,830百万円増加したことなどによるものです。
<資本>
資本合計は、179,030百万円(前連結会計年度末比7,559百万円増)となりました。これは円安の進行により、その他の資本の構成要素に含まれる在外営業活動体の為替換算差額が11,457百万円増加したことなどによるものです。親会社所有者帰属持分比率は38.7%(前連結会計年度末は40.2%)となりました。
① キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況について、現金及び現金同等物は、営業活動により14,149百万円の増加、投資活動により24,956百万円の減少、財務活動により6,937百万円の増加、現金及び現金同等物に係る換算差額により1,265百万円の増加の結果、当連結会計年度末には28,475百万円となり、前連結会計年度末(31,080百万円)に比べ2,605百万円(8.4%)の減少となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、前連結会計年度(29,830百万円)に比べ15,681百万円減少し、14,149百万円となりました。これは、棚卸資産の増減額が14,881百万円減少したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、前連結会計年度(26,126百万円)に比べ1,170百万円減少し、24,956百万円となりました。これは、前連結会計年度において、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出が1,833百万円あったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得られた資金は、6,937百万円となりました。(前連結会計年度は6,032百万円の支出)
これは、長期借入金及び社債の発行による収入が14,048百万円増加したことなどによるものです。
② 資本の財源及び資金の流動性
(財務政策)
当社グループは、「2022年 住友理工グループVision」で設定したROA、ROE等の目標達成のため、成長投資管理の強化に加え、運転資金を継続的に効率運用することにより資産回転率の向上を目指します。また、所有者帰属持分比率50%以上を中長期的に維持することを財務規律のガイドラインとしています。これにより、営業キャッシュ・フロー増加のため成長投資を推進する局面でも財務安定性を確保しています。なお、当連結会計年度末において、㈱日本格付研究所より「A(長期)、J-1(短期)」の信用格付を取得しております。
(資金需要)
当社グループの資金需要のうち主なものは、事業運営に必要な設備資金や運転資金です。また、企業価値向上の源泉となる営業活動によるキャッシュ・フローの増加を支える成長投資管理は、住友理工グループ投資採算基準と、投資後の事業環境変化への迅速な対応の仕組み及び財務規律ガイドラインにより実施しています。
(資金調達)
当社グループの必要資金については、自己資金の充当及び金融機関からの借入や社債発行等により、調達しております。なお、突発的な資金需要の発生や市場の流動性が著しく低下したときなどの緊急的な事態に備えてコミットメントラインを設定しております。
なお、新型コロナウイルス感染症影響の長期化リスクを踏まえ、コマーシャル・ペーパー調達枠を確保して必要資金の調達を行っております。
(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因や当該事項への対応については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(6) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「売上高」、「事業利益」、「営業利益」、「営業利益率」、「ROA(総資産営業利益率)」、「ROE(親会社所有者帰属持分利益率)」を重要な指標として位置付けております。2018年5月24日公表の中期経営ビジョン「2022年 住友理工グループVision」においては、2022年度の目標として、売上高530,000百万円、事業利益25,000百万円、営業利益25,000百万円、営業利益率5%、ROA6%、ROE7%をそれぞれ掲げております。
当連結会計年度は、経済活動の回復があったものの、資材価格の高騰、輸送費高騰の影響を受けたことから、売上高445,985百万円、事業利益6,467百万円、営業利益1,110百万円となりました。
中期経営ビジョンにおける目標達成に向けて、「第2 事業の状況1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針・経営戦略等」に記載の施策に取り組んでいきます。
お知らせ