当期におけるわが国経済は、半導体不足等の部品調達の停滞や原油・原材料価格の高騰等が見られたものの、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種等が進み厳しい規制が緩和される中で緩やかに回復しました。しかしながら、足元の新型コロナウイルス感染動向、大幅な円安、原油・原材料価格の上昇やウクライナ情勢への懸念等により、景気の先行きについては不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻く事業環境におきましては、当期のコンクリートパイル全国需要は前期比横ばいで推移しました。コンクリートポール全国出荷量も同じく前期比横ばいで推移し、携帯電話基地局向けのポール需要は前期に続き旺盛であったものの期の後半では減速しました。また、次世代通信規格5G向け携帯電話基地局の増設や、防災・減災、社会インフラの維持、災害復旧等に資するコンクリート製品および法面補強工事の需要も引き続き高く、加えて当社開発のCO 2 固定化およびその利活用(CCUS)の環境関連技術やグリーン製品(低炭素型コンクリート)への注目も高まっております。
このような環境のもと、当社グループは、私たちの経営理念である「コンクリートを通して、安心・安全で豊かな社会づくりに貢献する」のもと、昨年8月策定の「2021年中期経営計画」において、中長期の方向性を「未来の社会生活基盤と地球環境を護る」とし、基本方針を「グループ経営の推進による競争力強化と事業拡大で、国土強靭化と地球環境に貢献する」と定め、2023年度の計画値である売上高640億円、経常利益42億円等を目指し、計画に掲げた諸施策に鋭意取り組みました。また、昨年7月に東北ポール株式会社を子会社化し、グループ経営基盤の強化にも取り組みました。
事業の成果につきましては、ポール関連事業において携帯電話基地局向けポールを順調に出荷し、土木製品事業においては法面補強工事を主力事業とするフリー工業株式会社が好調であり、リニア中央新幹線向けRCセグメントの生産を開始し売上に貢献しました。しかしながら、基礎事業において下期に土木案件の受注があり回復傾向にあるものの、期を通しては競争の激化による大型案件の失注により工場稼働率が低下しました。加えて各事業において原材料・エネルギーコスト高騰の影響もあり、期初の収益計画に未達となりました。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態の分析
当社グループは、売掛債権回収の早期化・製品在庫の適正化・効率的な設備投資戦略等により、総資産の圧縮を
図り、ROAの向上を目指すこと及び、グループにおける資金・資産の効率化を図り、有利子負債を圧縮することを、財務方針としております。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比(以下「前期末比」といいます。)1億78百万円増の750億3百万円となりました。
流動資産は、前期末比1億4百万円増の319億69百万円、固定資産は、前期末比73百万円増の430億33百万円となりました。
流動資産増加の主な要因は、商品及び製品の増加によるものであり、固定資産増加の主な要因は、機械装置及び運搬具等の有形固定資産の増加によるものであります。
負債合計は、前期末比8億89百万円増の363億30百万円となりました。
流動負債は前期末比19億9百万円減の228億88百万円、固定負債は前期末比27億98百万円増の134億41百万円となりました。
流動負債減少の主な要因は1年以内返済長期借入金の減少によるものであり、固定負債増加の主な要因は長期借入金の増加によるものであります。
純資産合計は、前期末比7億11百万円減の386億72百万円となりました。
主な要因は、その他有価証券評価差額金の減少によるものであります。
以上の結果、自己資本比率は、48.1%となりました。
(2)経営成績の分析
当期の売上高は473億76百万円(前期比3.1%減)、営業利益は12億28百万円(前期比55.3%減)、経常利益は15億55百万円(前期比51.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は特別損失としてミャンマー子会社の固定資産減損損失を計上したことにより8億76百万円(前期比53.2%減)となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日 以下「収益認識会計基準という。)等の適用により、売上高は4億92百万円減少し、営業利益、経常利益はそれぞれ84百万円増加しております。
セグメント別の概況は次のとおりであります。
コンクリートパイル需要は全国的に前期比横ばいでありましたが、当社グループにおいては、厳しい受注競争により大型物件の受注高が減少し、売上高は189億95百万円(前期比21.9%減)となりました。
利益につきましては、売上の減少に加えて工場稼働率の低下も影響しセグメント利益は2億27百万円(前期前期比81.9%減)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は2億55百万円減少し、営業利益、経常利益はそれぞれ85百万円増加しております。
当事業のうち、ポール関連事業につきましては、コンクリートポールの全国需要が前期比横ばいである環境下、当社グループでは東北ポール株式会社の新規連結による売上高の増加に加えて携帯電話基地局向けポールの出荷が前期比で増加し、売上高は163億75百万円(前期比27.0%増)となりました。
土木製品事業につきましては、PC-壁体における発注遅延の影響等がありましたが、法面補強事業のフリー工業株式会社は好調であり、リニア中央新幹線向けRCセグメントの売上計上もあり、売上高は116億94百万円(前期比2.9%増)となりました。
これらの結果、コンクリート二次製品事業の 売上高は280億69百万円 ( 前期比15.7%増 )となりました。
利益につきましては、ポール出荷の増加に加えて好調なフリー工業株式会社も寄与したものの、PC-壁体等土木製品の売上が伸び悩み原材料価格高騰の影響を受けたことから、セグメント利益は 25億51百万円 ( 前期比17.5%減 )となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は2億36百万円減少し、営業利益、経常利益はそれぞれ0百万円減少しております。
不動産事業につきましては、介護施設等の安定的な賃貸料収入を計上しております。また、太陽光発電事業につきましては、NC関東発電所(茨城県古河市)およびNC田川発電所(茨城県筑西市)の両発電所において安定的な発電・売電を行っており、売上高は3億11百万円(前期比2.9%増)、セグメント利益は1億82百万円(前期比4.1%増)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ2億4百万円減少し、85億99百万円とな
りました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、28億79百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上17億10百万円、減価償却費の計上21億19百万円等の資金増加要因が、仕入債務の減少6億35百万円等の資金減少要因を上回ったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、35億90百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支払16億5百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出20億97百万円等の資金減少要因があったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、5億32百万円となりました。これは主に、長期借入金の純増額17億81百万円、等の資金増加要因が、自己株式の取得による支出3億43百万円等の資金減少要因を上回ったことによります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び仮定のうち、特に重要な事項については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の「(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積りに関する事項)」に記載しております。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、製造原価によっております。
当社グループにおいては、大部分が計画生産であり受注生産は僅少であります。また、工事受注の大部分は、販売代理店から製品の販売に付随して受注し着工までの期間が短いため、受注残高は僅少であります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
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