(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、当社グループは、2021年4月15日付で岩瀬プレキャスト株式会社を設立したことに伴い、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しておりますので、前期との比較分析は行っておりません。
①財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績の状況
当連結会計年度の当社グループの事業環境は、新型コロナウイルスの感染予防により新規契約獲得などの営業活動に制限がかかるうえに、鋼材をはじめとする原材料・燃料価格が急激に高騰するという厳しいものでありました。
このような事業環境の下、スパンクリート事業は、他社製品との価格競争激化による大型案件失注が影響し、売上数量が計画未達成となり営業損失を計上しました。不動産事業は、オフィスビルの3棟の賃料収入により堅実な業績でありました。なお、プレキャスト事業は、東急建設株式会社との合弁事業会社の設立に係る費用負担があるなか、生産余力のある競合先の安値攻勢への対応により販売価格が低迷し営業損失が拡大しました。その他に、本社費削減の一環として、昨年9月に仙台営業所を閉鎖し、10月に本社オフィスを移転しました。
その結果、売上高2,575百万円、営業損失382百万円、経常損失385百万円となりました。なお、昨年10月に持合株式の一部売却益及び元取締役(現代表取締役)が元代表取締役等を提起した株主代表訴訟の和解が成立したことに伴う受取和解金を合わせ、特別利益に116百万円計上しました。一方、研究開発用に2017年に購入した成型機及びスパンクリート事業に係る固定資産等の減損損失78百万円を特別損失に計上した等のことから、親会社株主に帰属する当期純損失274百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(スパンクリート事業)
当事業は、大型物流倉庫の失注、マンション等住宅事業の着工遅延により売上数量が計画未達成のなか、生産体制の見直しによる固定費削減に努めました。しかしながら、鋼線など原材料、電気・燃料、消耗品等の価格の急激な高騰が始まり、これをコストダウンで吸収すべく全員参加型の歩留まり向上、修繕費削減等に取り組みましたが、売上高は1,947百万円、セグメント損失250百万円となりました。
なお、販路拡大を目指し「複雑溝成型パネル」の生産技術開発や「超薄物成型」技術開発などに着手しており、継続して取り組んでまいります。
SDGs推進の一環として、宇都宮工場においては、炭酸ガス排出量削減へのデータ整理、LED化を進めております。また、ゼネコンと共同のグリーンイノベーションプロジェクトに参画の方向で詳細を詰めております。
(不動産事業)
当事業は、賃貸用不動産がほぼ100%の稼働率を維持し、安定した賃料収入を得ております。2020年12月に賃貸用オフィスビル「30山京ビル」を売却し、代替ビルの取得には至っていないことから、売上高233百万円、セグメント利益111百万円となりました。
(プレキャスト事業)
当事業は、岩瀬プレキャスト社の創業初年度、生産余力のある競合先の安値攻勢への対応で販売価格は低迷し、予定利益の確保がままならず、また、同社の本格生産の立ち上がりまでのコスト及びプレハブ建築協会の認定取得経費負担もあり、計画未達による営業損失額が増大し、売上高394百万円、セグメント損失243百万円となりました。
b.財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計は、7,810百万円となりました。主な内訳は、流動資産3,709百万円、固定資産4,100百万円であります。
当連結会計年度末の負債合計は、1,256百万円となりました。主な内訳は、流動負債827百万円、固定負債428百万円であります。
当連結会計年度末の純資産合計は、6,554百万円となりました。主な内訳は、資本金3,295百万円、資本剰余金3,010百万円、利益剰余金82百万円であります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、2,562百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、減少した資金は287百万円となりました。
これは主に、売上債権の減少174百万円、減価償却費114百万円、減損損失78百万円等の資金の増加があったものの、税金等調整前当期純損失368百万円、投資有価証券売却益78百万円、法人税等の支払額112百万円、その他流動・固定資産の増減額84百万円等の資金の減少が上回ったものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、増加した資金は27百万円となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出135百万円、長期預り敷金返還による支出11百万円等の資金の減少があったものの、投資有価証券の売却による収入143百万円、長期預り金の受入による収入23百万円等の資金の増加が上回ったものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、増加した資金は158百万円となりました。
これは主に配当金の支払額62百万円、自己株式の取得による支出98百万円の資金の減少があったものの、非支配株主からの払込みによる収入320百万円の資金の増加が上回ったものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
スパンクリート事業(千円) |
2,269,829 |
- |
不動産事業(千円) |
- |
- |
プレキャスト事業(千円) |
373,710 |
- |
合計(千円) |
2,643,539 |
- |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前年同期比については記載しておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比 (%) |
スパンクリート事業 |
2,138,183 |
- |
552,594 |
- |
不動産事業 |
- |
- |
- |
- |
プレキャスト事業 |
801,720 |
- |
495,529 |
- |
合計 |
2,939,903 |
- |
1,048,123 |
- |
(注) 当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前年同期比については記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
スパンクリート事業(千円) |
1,947,714 |
- |
不動産事業(千円) |
233,405 |
- |
プレキャスト事業(千円) |
394,558 |
- |
合計(千円) |
2,575,678 |
- |
(注)1.当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前年同期比については記載しておりません。
2.不動産事業は、土地建物等の賃貸料収入によるものであります。
3.当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
|
金額(千円) |
割合(%) |
|
三菱商事建材株式会社 |
1,660,151 |
64.5 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績の状況に関する分析・検討内容
a.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、事業の発展を通じて企業価値を安定的に成長させていくことを目標としており、営業利益等利益の確保と利益率の向上を重要な経営指標として認識しております。今後とも、経営基盤の強化と効率化の追求により、安定的な収益を確保し企業価値を高めてまいります。
b.財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における流動資産は3,709百万円となり、これは主に、現金及び預金が2,562百万円、売掛金771百万円であります。固定資産は4,100百万円となり、これは主に、土地2,680百万円、建物907百万円であります。
この結果、総資産は7,810百万円となりました。
(負債合計)
当連結会計年度末における流動負債は827百万円となり、これは主に、短期借入金500百万円、買掛債務113百万円、未払費用70百万円、未払金35百万円であります。固定負債は428百万円となり、これは主に、再評価に係る繰延税金負債204百万円、長期預り敷金が167百万円であります。
この結果、負債合計は1,256百万円となりました。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産合計は6,554百万円となり、これは主に、資本金3,295百万円、資本剰余金3,010百万円、利益剰余金82百万円であります。
この結果、自己資本比率は81.1%となりました。
c.経営成績
当連結会計年度の当社グループの業績は、第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.経営成績の状況で記載したとおりであります。
(売上高)
スパンクリート事業の売上高は、大型物流倉庫の失注、マンション等住宅事業の着工遅延により1,947百万円となりました。
不動産事業の売上高は、233百万円となりました。
賃貸用不動産がほぼ100%の稼働率を維持し、安定した賃料収入を得ております。
2020年12月に賃貸用オフィスビル「30山京ビル」を売却し、代替ビルの取得には至っておりません。
プレキャスト事業の売上高は、394百万円となりました。
岩瀬プレキャスト社の創業初年度、生産余力のある競合先の安値攻勢への対応で販売価格が低迷しました。
(セグメント損益)
スパンクリート事業は、生産体制の見直しによる固定費削減に努めましたが、鋼線など原材料、電気・燃料、消耗品等の価格の急激な高騰が始まりました。これをコストダウンで吸収すべく全員参加型の歩留まり向上、修繕費削減等に取り組みましたがセグメント損失は、250百万円となりました。
不動産事業は、安定した賃料収入の結果セグメント利益は、111百万円となりました。
プレキャスト事業は、販売価格の低迷に加え、同社の本格生産の立ち上がりまでのコスト及びプレハブ建築協会の認定取得経費負担がありセグメント損失は、243百万円となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費は32百万円となっており、その主な内容につきましては「第2 事業の状況 5 研究開発活動」に記載のとおりであります。
(営業外収益・費用)
受取利息及び有価証券利息から支払利息を差し引いた純額は、△2百万円であります。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
親会社株主に帰属する当期純損失は274百万円となりました。また、1株当たり当期純損失は35.90円となりました。
なお、新型コロナウイルス感染症による当期の業績への影響は軽微であると判断しております。
(セグメント資産)
スパンクリート事業のセグメント資産は、1,878百万円となりました。
不動産事業のセグメント資産は、2,492百万円となりました。
プレキャスト事業のセグメント資産は、876百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
a.当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、スパンクリート及びプレキャスト製品製造のための原材料の仕入れ、人件費及び製造設備の投資等にかかるものがあります。
また、不動産事業のために生じる資金需要については、既存3棟の維持補修等の設備投資があります。
財務政策
当社グループは現在、運転資金及び設備資金につきましては、自己資金又は借入金により賄っております。運転資金及び設備資金につきましては期限が一年以内の短期借入金で調達しており、2022年3月31日現在の短期借入金残高は合計500百万円であります。
③重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
a.投資有価証券
当社グループの保有する投資有価証券は、その他有価証券に該当し、概ね業務上の関係を有する企業の株式であります。これらは株式市場の価格変動リスクや、財政状態・経営成績の悪化による価格の下落リスクを負っているため、内規により期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には全て減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、時価の回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。このため、株式市況の変動により、投資有価証券の減損費用が発生する可能性があります。
b.据付施工を伴うスパンクリートの製造及び販売
当社グループの据付施工を伴う施工取引については、一定の期間にわたり充足される履行義務であり、工事の進捗度に基づき収益認識をしております。なお、進捗度の測定は、発生原価に基づくインプット法によっております。
実際に発生する売上原価が当該見積に比べ大きく変動すると、売上の計上額が見積と大きく乖離するリスクがあります。この対応策として、営業本部及び管理本部が対象施工取引の施工の状況と売上原価の発生状況、及び施工完了時の総利益の予想をチェックして、必要と考える場合には、その調整を行います。
ただし、期間がごく短い工事については、一定の期間にわたり収益を認識せず、完全に履行義務を充足した時点で収益を認識しております。
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