当社グループの業績は、今後起こりうる様々な要因により大きな影響を受ける可能性があります。当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項とその対策について各本部との対話を通じてリスクマネジメント委員会が取り纏め、取締役会に報告しております。これらのリスクが発生し当社グループの業績が悪化する場合には、固定資産の評価等の見積項目に影響を与えることから、当社はこれらリスクの発生の可能性を十分認識した上で、適宜適切な経営対応に努める方針であります。これらリスクの内容は以下のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)スパンクリート製品に関するリスク
①市場のリスク
他社製品へのシフトといった需要の変動により、高層マンション及び物流倉庫の受注が減少するリスクがあります。このリスクに対しては、市場分析を随時行い市場ニーズに合った製品の供給、新規顧客との接点を増やし市場開拓に努めてまいります。
さらに、新型コロナウイルスの影響で、新規顧客と接点が持てず市場を開拓できないリスクがあります。代理店など、取引先と協働し、新規顧客開拓、市場開拓に努めてまいります。
②資材価格の変動リスク
原材料価格の高騰等により資材の調達価格が想定以上に上昇した場合、販売価格に転嫁できず十分な利益が確保できないリスクがあります。このリスクに対応するため、資材調達の早期発注や資材調達先の多様化を図るとともに、調達価格の動向を踏まえ、お客様に対し、販売価格へのコスト転嫁を申し入れております。
③生産性の変動リスク
工場における適正生産数量の確保ができず、生産効率の悪化により工場利益が確保できないリスクがあります。
不良率を抑えるため、原材料の性状や生産場所の温度などを把握し、生産効率の向上を目指します。
④品質の低下リスク
設計・生産過程における人的誤りが不適合製品の出荷に繋がり、顧客の信頼を失うリスクがあります。防止策として、事前の打ち合わせによる情報共有の徹底、製品検査の充実、顧客要請への対応など進めてまいります。
スパンクリート製品は建物の床・壁・駅舎のプラットホーム・鉄道の防音壁等に幅広くご採用いただいております。製品を納入する場所の環境を想定して種々対策を講じ、製品の品質管理には万全の注意を払っておりますが、据付場所によっては、漏水や塩害等により想定を超える製品の劣化や耐力の劣化が進むこと、あるいは施工時の取付け部材等の不具合を起因とした事故が発生することがないとはいえず、その場合には業績に何らかの影響を及ぼすリスクがあります。顧客からの当社グループ製品に関する意見には絶えず真摯に対応し、必要な場合には現地調査を行い、顧客と相談しながら対応策を実施してまいります。
(2)プレキャスト事業・新製品に関するリスク
①プレキャスト事業
競合他社との価格競争の結果、プレキャスト事業の事業計画の利益確保ができないリスクがあります。プレキャスト事業の業績分析、管理を通じた危険予知に努め、顧客との販売価格の折衝及び製造原価の削減を進めてまいります。
②新製品開発
技術力や情報収集力の不足により、市場性のある新製品開発ができないリスクがあります。人材の育成による技術力向上を図るとともに、市場分析による製品開発力の向上に努めてまいります。
(3)信用に関するリスク
当社は生産活動に伴い取引先に原材料の発注を行っております。また、営業活動においては売掛金、未収入金等の取引与信、融資、保証及び出資等の形で取引先に対する信用供与を行っております。取引先の信用悪化や経営破綻等による損失が発生する発注リスクと信用リスクを負っております。
このリスクを管理するために、当社では取引先ごとに発注限度額と信用限度額を定めて取引を行い、生産活動や営業活動を通じて取引先の状況を常にモニタリングしております。取引先の信用状態悪化に対しては取引縮小や債権の回収期間短縮等の債権保全策を講じ、取引先の破綻に対しては処理方針を立てて債権回収に努めておりますが、債権等が回収不能になった場合には当社業績は影響を受ける恐れがあります。
(4)コンプライアンスに関するリスク
建築基準法、水質汚濁防止法、製造物責任法(PL法)、下請代金支払遅延等防止法、税法、労働基準法等関連諸法や関連業法に違反することで当社グループの信頼が低下し、経営に深刻な打撃を被るリスクがあります。関連諸法や関連業法に違反することがないよう、絶えず万全の注意を払うよう努めております。
また、契約の履行義務を果たせない、契約の更新を怠り期限切れを生じさせる、社外へ提出する書類のデータを誤ることにより当社グループの信頼が低下し経営に深刻な打撃を被るリスクがあります。契約の履行義務、契約更新や社外へ提出する書類のデータについては必ずダブルチェックを行う等万全を期しております。
当社グループ外へ提出する書類のデータ改ざん、たかり、キックバックの要求等の不正行為、ハラスメント行為により当社グループの信頼が低下し経営に深刻な打撃を被るリスクがあります。連結子会社も含め、コンプライアンス規程をイントラネットに掲載し、社員研修や朝礼、面接等を通じて社員のコンプライアンス意識の向上に努めております。さらに、社内外に通報窓口を設置しております。
(5)工場の生産停止に関するリスク
①被災に関するリスク
製造拠点の被災からの復旧に時間がかかり市場を失ってしまうリスクがあります。事業継続計画(BCPマニュアル)を活用することにより少しでも早い復旧を目指します。また、BCPマニュアルの定期的な見直しと社内啓蒙活動を実施いたします。
②事故発生のリスク
製造拠点や施工現場での人身事故と対応の不備による信用失墜のリスクがあります。社員のみならず協力会社や施工店を含めた安全活動や社員教育を実施することにより、人身事故の発生を無くす努力をすると共に、発生した場合の対応を定め周知徹底することで、対処の不備や遅延を起こさないよう努力いたします。
③設備の故障によるリスク
設備老朽化による故障や破損による生産への影響リスクがあります。設備点検等を定期的に行い、必要な個所の修繕を怠らないようにすることと、設備更新投資計画を立て老朽化対策を実施することで、故障や破損が生じないよう取り組みます。
(6)情報管理に関するリスク
①機密情報の取扱いに関するリスク
当社グループは、技術、研究開発、製造、販売及び営業活動等に関する機密情報や当社グループの人事情報を保持及び管理しています。かかる機密情報が権限なく開示された場合、当社グループが損害賠償を請求され又は訴訟を提起されるリスクがあり、また、当社グループの業績、財政状態、評判及び信用に悪影響を及ぼすリスクがあります。かかるリスクへの対応として、情報管理に関する規則・運用を定め、社員教育、ID管理、アクセス制御等を行います。
②情報システムのセキュリティに関するリスク
コンピュータウイルスその他の要因によって当社グループの情報システムの機能に支障が生じた場合、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすリスクがあります。かかるリスクに対してはサイバーセキュリティ対策、BCP対策等を行います。
(7)証券取引市場の上場維持基準に関するリスク
2022年4月4日の東京証券取引所の新市場区分への移行により当社はスタンダード市場に上場していますが、東京証券取引所の新たな上場維持基準に適合できず上場廃止となるリスクがあります。特に、株価の低迷による流通株式の時価総額基準への抵触が懸念されます。これに対しては、まずは株価の向上が最重要課題であり、「業績の回復を通じた中長期的な企業価値と株価の向上」を基本方針として取り組んでまいります。
(8)人材育成・人材確保、社内コミュニケーションに関するリスク
①人材育成・人材確保に関するリスク
社員の高年齢化と若手人材の不足により各部署の課題解消が滞り、企業力が低下するリスクがあります。また、業務処理、決算処理等に影響を与えるリスクがあります。
社員研修による人材の育成、若手人材確保と活用のための環境整備を図り、併せて内部統制の体制整備によりチェック体制を強化することで組織力を高めるよう努めてまいります。
②社内コミュニケーションに関するリスク
重要な情報がタイムリーに経営幹部に伝わらず、経営判断を誤るなど不正や損失の回避ができず、当社グループの信頼の低下をまねき経営に深刻な打撃を被るリスクがあります。報・連・相の徹底を図るとともに、朝礼、社員研修等を利用しコミュニケーションの重要さを社員へ伝えるよう努めてまいります。
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