課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社は、創業以来スパンクリート(穴あきPC板)と呼ぶコンクリート部材を建設業界に供給しております。当社の主力製品であるスパンクリートは、耐久性の面に優れ、断熱性能、遮音性能、耐火性能面でも優れた特性を有しており、工場での量産が可能であり、プレハブ化による工期の短縮、工事の省力化を図ることができ、ひいては建設コストの引き下げに貢献することができます。建設業界にとって建築施工の合理化を推進していくことは永遠の命題であり、スパンクリートはその一助になり得るものと確信しております。

当社は、このスパンクリートを安定的に供給できる生産、販売体制を強化し、かつ効率化を推進することにより、建築の合理化を必要とする顧客のニーズに応え満足していただくとともに、自己の企業価値を高め広く社会に貢献する企業を目指してまいりたいと考えております。

また、当社は、岩瀬工場敷地内に東急建設株式会社とプレキャスト製品の製造・販売合弁会社「岩瀬プレキャスト株式会社」を設立いたしました。既存の穴あきPC板に加え、プレキャスト製品の製造販売によりコンクリート二次製品の総合メーカーとしての総合力を強め、関東圏を主市場としたプレキャスト製品の製造及び販売事業を展開いたします。

(2)経営戦略等

当社グループを取り巻く環境は依然として厳しいものがある中で、当面の経営戦略は次のとおりと考えております。

① 新たな販路を構築し、マンション・大型倉庫・工場・学校や病院の床材の拡販並びに土木の分野への参入を果たし工場の操業度の確保に努める。

② 鋼線など原材料、電気・燃料、消耗品等の価格の急激な高騰に対し原材料費等の販売価格への転嫁を実現する。

③ スパンクリート事業において、他社のコンクリート製品、工法とのコスト競争力を強化するとともに工場の効率化を図り、同時に顧客ニーズへの即応体制を構築し、製品の品質安定・改善に努める。

④ スパンクリートの生産ラインを活かした、より付加価値の高い新製品の開発に努める。

⑤ 収益基盤の安定化を図るために、不動産事業の着実な推進を図る。

⑥ プレキャスト製品の品質管理の徹底と諸コスト見直しでプレキャスト事業を収益の安定した事業とする。

⑦ 岩瀬プレキャスト社のH認定取得に向けた超高強度コンクリート生産の検討。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、経営指標として、経常利益額と経常利益率を主に重視しております。経常利益額の増加と経常利益率の向上を目標に経営努力してまいります。

短期的には何よりまず黒字化を達成することを経営上の目標としておりますので、具体的な経常利益額と経常利益率の公表はいたしておりません。現時点では黒字化を達成することができておりませんが、事業構造の改善等により経常損失の幅を減少させることができており、今後も事業構造の見直し等の継続により採算の改善を図れるものと考えております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題

当社グループは、国内需要の不調、他素材製品との競合など厳しい経営環境が継続するなか、2021年6月23日開催の株主総会以降、新たな経営体制に移行し企業価値の向上に努めておりますが、中期経営計画が未達成のなか2020年3月期以降3期連続で営業赤字となりますことから、2018年11月14日に公表しました中期経営計画 “SPC plus One 2022 〔スパンクリート事業基盤の強化と新たな収益基準の創出〕”を取り下げました。

当面の対処すべき課題と取組みは次のとおりであります。

 

<スパンクリート事業>

① 原材料並びに輸送費価格の価格上昇に対応した原材料費等の販売価格への転嫁

② マンション住宅における受注量の確保、大型倉庫・工場・学校や病院の床材の継続的販売並びに土木製品市場への参入への注力

③ 新市場参入推進のための新規顧客開拓、新製品新用途研究開発への注力

④ 原材料の値上げに対する仕入れ取引先へのきめ細かな対応

⑤ 生産コストダウンへ向けた活動の継続と新規テーマの探索

⑥ 新複雑溝成型パネル、超薄物成型技術開発の実成型試験による技術確立と事業化

⑦ 受注変動に対する最小限の保有人員での生産対応及び急激な生産数量の増加に備えた協力会社との連携推進

⑧ SDGs推進の一環として、グリーンイノベーションプロジェクトの参画、具体的テーマとスケジュールの詳細計画作成及び実現可能なテーマの模索

 

<不動産事業>

① 賃貸ビルの新規獲得の検討

② 3棟の賃貸ビルの高稼働率の確保

 

<プレキャスト事業>

① 生産量に対応した品質管理の徹底及び納期の厳守

② 物流費を含めた諸コストの見直し及び生コンの内製化による製造原価等の削減

③ 受注・生産量の平準化に向けた、複数の販売先・製品の確保

④ H認定取得に向けた超高強度コンクリート生産の検討

 

(5)経営環境

経営環境については、新型コロナウイルスの感染予防により新規契約獲得などの営業活動が制限されているうえに、鋼材をはじめとする原材料・燃料価格が急激に高騰しているなかで、ロシアのウクライナ侵攻の影響から原材料及び輸送費価格の上昇がさらに加速するという厳しいものであります。その環境下で、スパンクリート事業は他社製品との価格競争が、プレキャスト事業は、合弁事業会社の設立に係る費用負担があるなか、生産余力のある競合先との価格競争が激しくなっております。

また、SDGs推進のため、スパンクリート事業において工場での炭酸ガス排出量削減へのデータ整理、LED化実施などを進めており、ゼネコンと共同のグリーンイノベーションプロジェクトに参画の方向で詳細を詰めております。

なお、不動産事業はコロナウイルス感染拡大の影響はありましたが、賃貸用不動産がほぼ100%の稼働率を維持しています。

 

 

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