(1)経営成績等の状況
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染収束が見通せない中で、一部では持ち直しの動きも見られたものの、原材料価格の高騰による企業収益や個人消費への影響が顕在化しつつあるなど、先行きは不透明な状況で推移いたしました。
当社グループ(当社および子会社)の需要先である建設業界では、公共事業については、「国土強靭化」、「防災・減災」や「流域治水」などの重点施策を中心に工事が進捗するなど、概ね堅調に推移いたしました。一方、民間建設投資については、住宅市場における2021年の新設住宅着工戸数が5年ぶりに増加に転じるなど、総じてコロナ禍による影響から緩やかに復調しつつあります。
このような状況のもと当社グループは、販売部門においては、営業担当と各支店に配置の営業推進部が連携の上、現場の省力化や生産性向上のためのプレキャスト化を訴求すべく、役所や建設コンサルタントに向けた提案営業を鋭意推進するとともに、民間需要の開拓にも注力するなど、受注獲得に努めてまいりました。また、採算性の向上を図るべく、開発・設計部門の支援により、3DCADや3DプリンターなどITツールを駆使したプレキャスト製品の提案力強化により、高付加価値製品の拡販や難易度の高い特注物件の受注にも注力いたしました。加えて、昨年4月に連結子会社であるエヌアイシー株式会社を吸収合併の上、北関東営業所として再編し、当社土木資材製品を中心に拡販を推し進めてまいりました。一方、生産部門においては、生産性の向上をより一層推進し、協力会社とも連携を強化しながら更なる原価の低減に取り組むとともに、東日本地区における当社土木資材製品の供給拠点確保に向けて、株式会社新茨中(茨城県笠間市)の事業の一部譲受を推し進めるなど、グループ一丸となって収益の向上に努めてまいりました。
当連結会計年度の経営成績は、主に景観資材事業の苦戦に伴い、売上高は117億68百万円(前年比3.8%減)となりました。
利益面については、付加価値の高い製品の拡販や原価の低減に努めたものの、原材料価格の急激な高騰の影響により、営業利益は3億64百万円(前年比17.6%減)、経常利益は4億20百万円(前年比12.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2億73百万円(前年比16.5%減)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
土木資材事業
国や地方の推進する「国土強靭化」や「防災・減災」、「流域治水」などの重点施策への対策を強化するとともに、建設現場における生産性向上や工期短縮を実現すべくプレキャスト化の提案を強力に推し進めた結果、港湾部のメンテナンスに供される高耐久性の走行路版や橋梁工事に係る特殊排水路などの大型物件が堅調に推移したほか、関西地区における大型民間工事も売上に寄与したものの、西日本豪雨災害に伴う復旧工事が一巡したことや、昨年度の増収をけん引した北陸新幹線整備事業や四国地区におけるダム整備事業などの大型工事が終了したことで、当セグメントの連結売上高は79億48百万円(前年比0.6%減)、営業利益は4億34百万円(前年比10.1%減)となりました。
景観資材事業
コロナ禍に伴う建築外構工事の縮減の影響が残る中で、駅前整備事業や商業施設などの大型物件の受注に向けて、豊富な製品ラインナップと当社独自の特注対応力を活かした提案営業を推進した結果、主力市場である東日本地区を中心に、バリアフリータイプの舗装材や擬石ファニチュア製品などに持ち直しの兆しが見られたものの、第2四半期までの苦戦をカバーするには至らず、当セグメントの連結売上高は26億58百万円(前年比12.1%減)、営業損失は1億2百万円(前年は73百万円の損失)となりました。
エクステリア事業
ガーデン関連製品を中心に新製品の投入や品揃えの強化によりラインナップの拡充を図り、主にエクステリア製品の販売を担当する連結子会社のニッコーエクステリア株式会社において、ハウスメーカーを中心に拡販を推し進めるとともに、再生可能エネルギー市場など今後成長が見込まれる分野への事業展開にも取り組んだ結果、主力の立水栓を始めとするガーデン関連製品は堅調に推移したものの、その他の製品が伸び悩んだことで、当セグメントの連結売上高は11億62百万円(前年比3.8%減)、営業利益は32百万円(前年比1.4%減)となりました。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響について、当連結会計年度においては、感染拡大に伴う一部の工事に遅延や縮減はあったものの、経営成績への影響は限定的であると判断しております。翌連結会計年度においては、ワクチン接種などの諸対策により経済活動が正常化に向かうものと想定され、感染再拡大の局面においては民間の建築外構工事の縮減などが予見されるものの、当社グループの経営成績への影響は、当連結会計年度に引続き限定的であると見込んでおります。
また、当連結会計年度における財政状態は、次のとおりであります。
(a)流動資産
当連結会計年度末における流動資産の残高は、70億87百万円(前連結会計年度末は72億77百万円)となり、1億89百万円減少いたしました。減少の主なものは、受取手形及び売掛金の減少(前期比4億26百万円減)などによるものであります。
(b)固定資産
当連結会計年度末における固定資産の残高は、66億73百万円(前連結会計年度末は67億43百万円)となり、70百万円減少いたしました。減少の主なものは、投資有価証券の減少(前期比64百万円減)などによるものであります。
(c)流動負債
当連結会計年度末における流動負債の残高は、56億32百万円(前連結会計年度末は59億13百万円)となり、2億80百万円減少いたしました。減少の主なものは、支払手形及び買掛金の減少(前期比3億12百万円減)などによるものであります。
(d)固定負債
当連結会計年度末における固定負債の残高は、9億66百万円(前連結会計年度末は10億90百万円)となり、1億24百万円減少いたしました。減少の主なものは、長期借入金の減少(前期比1億6百万円減)などによるものであります。
(e)純資産
当連結会計年度末における純資産の残高は、71億61百万円(前連結会計年度末は70億16百万円)となり、1億44百万円増加いたしました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ33百万円(2.5%)増加し、13億71百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益3億93百万円、売上債権の減少額が2億6百万円などで資金増加したものの、仕入債務の減少額1億16百万円などにより、当連結会計年度において営業活動によって得たキャッシュ・フローは、前年と比較し3億35百万円減少し、6億78百万円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動に使用したキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出の減少などにより、前年と比較して2億36百万円減少し、2億56百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動に使用したキャッシュ・フローは、前年と比較して14百万円減少し、3億88百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
土木資材事業(千円) |
2,714,543 |
107.85 |
景観資材事業(千円) |
1,222,614 |
91.67 |
エクステリア事業(千円) |
344,895 |
96.80 |
合計(千円) |
4,282,054 |
101.79 |
(注)金額は、製造原価によっております。
(b)商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
土木資材事業(千円) |
3,212,869 |
92.24 |
景観資材事業(千円) |
546,149 |
103.53 |
エクステリア事業(千円) |
447,790 |
87.35 |
合計(千円) |
4,206,809 |
93.00 |
(注)1 金額は、仕入価格によっております。
2 上記に対応する商品売上実績は、4,849,364千円であります。
(c)受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(d)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
土木資材事業(千円) |
7,948,498 |
99.4 |
景観資材事業(千円) |
2,658,288 |
87.9 |
エクステリア事業(千円) |
1,162,013 |
96.2 |
合計(千円) |
11,768,800 |
96.2 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり当社が採用している会計方針等につきましては、第5[経理の状況]1[連結財務諸表等]の[注記事項]4.会計方針に関する事項ならびに(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成に当たっては、会計上の見積りを行う必要があり、貸倒引当金や賞与引当金、役員賞与引当金の計上、固定資産の減損に係る回収可能価額の算定、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられるさまざまな要因に基づき、継続して評価を行い、資産や負債、収益・費用の数値に反映しております。なお、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は異なる可能性があります。
当社グループは、今後も入手可能な情報を基に見積りに係る検証・評価を行い、適切に連結財務諸表に反映させてまいります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)当社グループの当連結会計年度の経営成績等
当社グループの当連結会計年度の経営成績等については、(1)経営成績等の状況 ①財政状態及び経営成績の状況に記載のとおりであります。
(b)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの連結売上高の大半を占める土木資材事業および景観資材事業において、主に公共事業に供される製品の販売を行っていることから、公共事業の発注減少や進捗遅延により当社グループの経営成績および財政状態が大きな影響を受ける可能性があります。
また、原材料価格や輸送費の急激な上昇により、その影響を生産効率化やコスト削減、販売価格への転嫁などの諸対策でカバーできない場合、当社グループの経営成績および財政状態が大きな影響を受ける可能性があります。
一方、新型コロナウイルス感染症の影響については、当連結会計年度においては経営成績への影響は限定的であったことから、翌連結会計年度においても、感染再拡大の局面においては民間の建築外構工事の縮減などが予想されるものの、経営成績への影響は限定的であると見込んでおります。
(c)当社グループの資本の財源および資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、工場における原材料仕入などの製造費用ならびに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に既存生産設備の更新や土木資材事業に係る型枠製作、製品開発投資などによるものであります。
当社グループは、短期運転資金については自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
(d)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、現在、中長期的な経営計画等に係る具体的な目標数値は定めておりませんが、財務体質の強化のためのフリー・キャッシュ・フローの増大を重視しているとともに、収益力の指標としてROA(総資産経常利益率)や資本効率の指標としてROE(自己資本当期純利益率)の一層の改善を目指しております。
当連結会計年度に獲得したフリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ99百万円(19.0%)減少し、4億22百万円となりました。これは主に、営業活動によって得たキャッシュ・フローが前年に比べ3億35百万円減少したことによるものであります。
また、当連結会計年度のROAは3.0%(前年同期比0.5ポイントの悪化)、ROEは3.9%(前年同期比0.9ポイントの悪化)となりました。ROAおよびROEの悪化の要因は、主に景観資材事業の減収や原材料価格の高騰の影響による収益の悪化によるものであります。
(e)経営成績等の状況に関する分析を踏まえた検討内容
当社グループは、国の進める「国土強靭化」を始め、「防災・減災」、「流域治水」、「維持・補修」などの重点テーマや建設現場の生産性向上へのソリューションとして、プレキャストコンクリート製品のもつ優れた特性をユーザーに訴求しながら地域の需要や特性に応じた提案を推し進め、シェアおよび収益の拡大を目指してまいります。また、当社オリジナルのカスタマイズ技術を駆使した高付加価値の製品・工法の開発と拡販に注力するとともに、3次元データ等のデジタル技術を駆使した製品モデルの提案により難易度の高い特注物件への対応力強化を図り、多様化・高度化するユーザーのニーズに的確に応えてまいります。加えて、脱炭素などの環境課題への取組みを加速化すべく、他社とも連携しながら新たな環境配慮型の製品・工法の開発・上市を推し進め、環境負荷軽減に向けたアプローチを強化してまいります。
一方、本年4月に株式会社新茨中のコンクリート製品製造事業の譲受が完了し、新たな生産拠点である茨城工場の設立により、昨年4月開設の北関東営業所とともに、東日本地区における当社土木資材製品の拡販体制が整うこととなりました。今後、製販一体によりさまざまなニーズへの対応力を高め、同地区でのシェア獲得を目指してまいります。また、生産部門を中心に、原材料価格の高騰に対処すべく、製造現場の安全性向上と品質向上を両立させながら、効率的な生産活動により原価の低減を推し進めるとともに、物流の一層の合理化により輸送コストの抑制にも努めることで、さらなる利益の創出を図ってまいります。
以上のような施策を当社グループが一丸となって取り組み、社員一人一人の生産性向上と付加価値創出を図るとともに、ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)などの社会的課題に対しても取組みを強化・推進していくことで、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現しながら、経営理念である「美しく豊かな環境づくり」への貢献に向けて挑戦してまいります。
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